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あたらしい教科書11 民芸

濱田琢司他監修 2007. 『あたらしい教科書11 民芸』プチグラパブリッシング,157p.,1500円.

一応,監修者は濱田君を筆頭に6人が名を連ねているが,文章は半分近くを彼が書いている様子。濱田君は2つ年下の研究者仲間で,地理学者。でも関心はむしろ民俗学に近い。
この「大人のためのファーストブック」と銘打つ「あたらしい教科書」シリーズはこれまで以下のようなものが発行されています。

0 学び
1 雑貨
2 本
3 ことば
4 定番
5 結婚
6 広告
7 外食
8 音楽
9 コンピュータ
10 住まい

という感じで,全くその編集意図が分からないのでなぜこのシリーズに「民芸」が入ったのかは問わないでおこう。

「民芸」という言葉をみて,皆さんは何を思い起こすだろうか。実はこの言葉の歴史は100年経っていない。知っている人も多いと思うが,食器などのデザイナー柳 宗理の父親である柳 宗悦が中心となって進められた「民芸運動」というものがあったのだ。
「民芸」という言葉は柳による「民衆的工藝」のことだが,その運動は成功したというべきか,その後も1970年代に「民芸ブーム」が起こり,現在も長男の宗理の存在によって「民芸」の名は表に出ないものの,同様のブームにあるという。
しかし,一方で「民芸」という言葉自体があまねく広がったのに対して,その意味は古臭くて魅力ないものとして矮小化されているのも事実だ。
どっちにせよ,この本はごく一般の人向けに,そうした「民芸運動」という歴史的事実とその運動が持っていた思想を伝えることを前半部の目的としていて,その部分を濱田君が分かりやすく解説している。
しかし,その一方で後半部はその固有名詞としての「民芸運動」とはあまり関係なく,現代における民芸的なものの魅力を伝えるべく,他の監修者たちがさまざまな魅力あるモノたちを紹介するという構成になっている。
なので,安易な民芸ブームにある種警告を発している前半と,そのブームを大歓迎している後半との温度差は否めない。

ちなみに,柳 宗悦と一緒に運動をしていた陶芸家の濱田庄司は栃木の益子焼を有名にした人物でもありますが,濱田琢司君はそのお孫さんなのです。
この本は渋谷bunkamura地下の書店で発見してビックリしていたら,本人が送ってくれました。

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