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誕生日の出来事(長いです)

7月26日(木)
ついにやってきました。このblog、geopolitical critique名を冠した初の私主催のライヴイヴェント「東京生音生活」の1回目です。geopolitical critiqueとは訳して「地政学批評」。英語圏の地理学(もともとは国際関係論)ではcritical geopolitics=批判地政学という名前で新しい研究動向ができていますが、私の研究の場合は批評の方をより強調したいので、自らの研究をこの名称で呼ぶことを提唱しています。ということで、研究とは直接関係ないのですが、ホームページの名前につけています。
「東京生音生活」の「生音」とは厳密な意味ではなくライヴ音楽のことで、アンプラグドのことではありません。「生活」とつけたのは私の音楽の楽しみ方と関係します。この時期は夏フェス真っ盛りですが、私はああいうのは嫌いです。日常を忘れるように、非日常的な環境で羽目をはずして暴れまくる、というのはどうもついていけません。私はあくまでも自分の日常に音楽を溶け込ませたいと思っています。もちろん、自分の部屋にいる時にCDでかけるBGMはそうですが、ライヴでもそうです。わざわざ片意地張って出かけるのではなく、ふらっと近くの馴染みの定食屋に行くように、毎日のように出かけ、椅子に座って食事をしてお酒を飲み、本を読みながら開演を待って、時にはウトウトしながらライヴ音楽に触れ、終演後はミュージシャンたちと軽く会話をして心地良い気分で帰路につく、そんな音楽との付き合いを目指していますし、多くの人にもそんな風に気軽にライヴに出かけて欲しいと願います。
私が贔屓にしているミュージシャンの多くは、まさに音楽を奏でることを日常としており、小さなお店で演奏をしている。時には3人とか5人のお客さん相手に演奏することも少なくありませんが、そういう時、聴く側は本当に贅沢で、そしてもったいない気すらするのです。チケットがなかなか取れないような、大掛かりなコンサートよりももっと良質で、そしてミュージシャンと近く、臨場感を味わえる、この穏やかな演奏に、自由な気持ちで接する機会を提供したい、そんな想いでイヴェントを開催しようと思った次第です。
しかし、もう少し具体的にはちょっと腹黒いところもあり、実はこの日は私の誕生日。ここ数年は誕生日を一人でライヴ会場で過ごすことが多いのです。2004年は渋谷クワトロ。高宮マキさんのオープニングアクトと、SAKURA、矢野真紀などというなかなか豪華なライヴでした。2005年は台風のなか大宮まで出かけ、JAMというジャズバーで仙道さおりさんと林 正樹さんのユニット、アルカイックを初めて聴きに行きました。そして、2006年は友人のみわさんに付き合ってもらって池袋明日館にてHARCOがゲスト出演したビューティフルハミングバードのイヴェント。どれも素晴らしいライヴで満足ではあったのですが、せっかく顔見知りのミュージシャンが増えたこともあり、せっかくだったらステージ上からお祝いの言葉をかけてくれるような幸せにあがりたいと思った次第。そんな妄想をmixi日記で書き込んだら、さっそくマイミクのミュージシャンたちが名乗りを上げてくれて、あれよあれよという間に実現してしまったのです。
Img_0621 てなことで、映画が終わって下北沢に急ぐ。駅に着くと、なんと雨が。そんな予報だったっけ?集客に影響しなければ良いけど。mona recordsに着くと、早速hitme & miggyのお2人が来ています。いきなり誕生日プレゼントということで花束なんかもらっちゃったりして。出演してくれることだけでプレゼントなんですけどね。そして、受付にはドラえもんの電報が。中を開けるとcanappecoさんからでした。canaさんは随分前に来てくれるといっていたのですが、どうやら来れないようです。でも、ちゃんと覚えてくれていて嬉しい。初めて見るリハーサル風景。外側の音が、とか、返しが、とか、リバーブが、とか、私には分からない用語が飛び交いながら、やはり演奏云々ではなく、その場での音の出方の調整に時間が費やされます。そして、リハーサル時間は15分の予定でしたが、それだけではなかなかきついことが分かりました。そして、リハーサル2番手のノラオンナさんは現れず。30分ほど時間を勘違いしていたようです。まあ、それでもお店の人も焦るようでもなく、淡々と最良の音を見つけることに集中して作業が進みます。早めに時間を勘違いしたのは櫻倉レオンバンド。こちらは3人のサポートなので、セッティングに時間がかかります。やはりこれも15分では足りない。ちょうど遅れている時間に合わせるようにdois mapasのお2人登場。ここは随分スムーズでした。ちょうどリハーサルが終わった時間が開場予定時間。私の友人マッキーさんを含めてお客さんが次々入ってきてしまいます。mona recordsに初めて来るお客さんが多かったのでしょうか。けっきょく開場は10ほど遅れてしまったのですが、嬉しいことにお店の外に列ができていたようです。マッキーさん、サカウエ君、TOPSさん、くまこさん、などなど私の知り合い、そしてさくらちゃんのお客さんが続々と店内を埋めていきます。ちょうど椅子席が埋まったところで客足は途切れる。この状態なら始めてもいいかなと私的には思いましたが、トップバッターのdois mapasが揃わない。ときわさんはどこだ、と新美さんが探していたかと思えば、今度はときわさんが新美君はどこだという感じ。やはりリハーサルの集合時間の時から感づいてはいましたが、ミュージシャンが時間にルーズなのは一般的のようです。というか、そんな開演時間が迫ってドギマギするようではリラックスした演奏なんて無理なんでしょうね。
この日、私は部屋で眠っている私のアナログレコードをかけてもらいたくて、事前に連絡、持参しましたが、お店の人はすっかり忘れていたようで、開場前にあわててセッティングしてもらう。アナログプレイヤー2台にCDプレイヤー2台の立派なDJブースの完成です。とりあえず、開場から開演までの時間はアナログプレイヤー片面の時間では足りないので、CDをかけました。gemma hayesの『The Roads Don't Love You』を流します。アイルランドの女性シンガー。外国のシンガーでは今、私が一番好きです。来日してくれないかなあ。
dois mapas:さて、トップバッターはdois mapas。この日も2人での演奏。ときわさんは秘密兵器の楽器を持参しています。ボディがドラム缶の小さいようなもので、太鼓になっています。後半はこれを肩から提げてお腹の前で叩きながら歌います。最近は大きな2人の演奏を近くで聴くことが多かったのですが、遠くから見てもその存在感は素敵です。そして程よい音量で。選曲も夏らしくてバッチリ。特に、東北の民謡がとても良かった。ここ最近は世田谷週間と題して、祖師ヶ谷大蔵のムリウイ、下北沢のlete、この日のmona records、最後が池ノ上bobtailという素敵なお店ばかりで続けざまにライヴをし、新美さんは福島のお寺に修行(?)にいっていたり、ときわさんは別にソロで歌ったりと本当に忙しいお2人でしたが、トップバッターに相応しい素敵な演奏を聴かせてくれました。そして、最後の曲は私のリクエストで「旅する人」。これをhitmeさんのサックスを入れて演奏してもらいました。いやあ、やっぱりこうでなくっちゃ。dois mapasを初めて聴きに行ったのはhitmeさん目当てでしたが、昨年から頻繁にライヴに通うようになってからは一度もhitmeさんサポートのライヴがなくて、「旅する人」を聴くたびに、頭の中でhitmeさんのサックスが鳴り響いていたわけです。
このセットチェンジ中は、レコードプレイヤーを使用。なんと、松田聖子の『north wind』のA面をかけます。残念ながらレコード盤のメンテナンスが悪くてノイズがかなり入ってしまいました。『north wind』は兄貴が買ってわが家においてあった唯一の松田聖子LP。これがいいんです。なぜかシングル曲は「風は秋色」しか入っていなくて、そのほかの曲が素敵なんです。秋から冬にかけての季節感満載のある意味でコンセプトアルバム。この頃のLPって、先行してシングル曲があって、それがたまってくるとちんけな曲を数曲入れてLPにするみたいなのが多かったのですが、この作品は違います。1枚まるごときちんと聴ける素晴らしいアルバム。もちろん、聖子ちゃんの歌唱力の素晴らしさとジャケット写真の可愛さ。最高です。ノラオンナさんもMC中にそのことについては話していましたが、ノラオンナさんも聖子ちゃんが好きで、たまに気まぐれでカヴァーしたりするんですよね。なので、この日にかけるのは最適ではないかと思った次第。
櫻倉レオン:上述したように、この日はキーボード、ギター、パーカッションの4人編成。1曲目はサカウエ君も知っているスタンダード曲。そして、最後の曲は「誰か知ってますか?」の問いにTOPSさんが挙手。そんなカヴァー曲に挟まれてオリジナル曲を披露するさくらちゃん。さくらちゃん目当てのお客さんのおかげでいい感じのお客の入りになりました。仕事の後で駆けつけてくれたまさよし君も気に入ってくれたようで、最前列でのりのりです。さくらちゃんと私を引き合わせたアライ君はもちろんのこと、先日さくらちゃんをミッドタウンに連れて行って私が引き合わせたみわちゃんも来てくれて、座敷の上もいい感じで盛り上がっています。前回さくらちゃんの歌声を聴いた時はバンド編成、コーラスつきだったので、今回のアコースティック編成には多少不安もあったのですが、サポートのミュージシャンはなかなか素晴らしく、リハーサルの時より音響のバランスも良く、かなり良質なステージ。演奏時間、予定時間の35分きっかりでした。櫻倉レオン、ただいまオリジナルアルバム製作準備中とのこと。皆さん、応援お願いします。
さて、次のセットチェンジでは洋楽を。yesの『こわれもの』のA面を流します。ここで、私の大学院時代の後輩であるヤベ君が来てくれました。こちらも仕事を終えて駆けつけてくれた様子。多分5年以上ぶりの再会です。こういうのも嬉しいですね。彼はクラシックのチェリストでもあり、BGMを聴きながら「なぜブラームス?」といっていたが、yesはそんな風に有名な曲の断片を利用しているんですね。知りませんでしたよ。
ノラオンナ:ノラオンナさんのライヴはなんだかんだいって2月以来の今年2回目。相変わらず、ゆるいんだけど、緊張感のあるステージ。出演者も含め、ノラオンナさんのステージをはじめて聴く人は多かったと思いますが、皆さん引き込まれていましたねえ。私もここでようやく、座敷まで上がって聴いたり、下がって写真を撮ったりしました。ノラオンナさんを目当てに中川五郎さんなんかもいらしたりして、ビックリ。普通に当日料金で入っていましたよ。それにしても、受付のお姉さん、ミュージシャンを知らなすぎ。事前にノラオンナさんから藤原マヒトさんが来るかもしれない。ノラさんのステージに間に合ったら演奏でも出演してもらうかも、と聞いていたのに、受付の人はマヒトさんがきてもよく分からない様子だったので、思わず私が首を突っ込みました。というか、私の存在をあまり理解していなかったらしく、私で予約していたお客さんが来る度に一言いわなければなりませんでした。まあ、そんなことはおいておいて、マヒトさんは意外に早く着いたので、予定通り最後の1曲でアコーディオン参加。どうやら、ノラさんが私の誕生日ということでちょっとしたサプライズのつもりでマヒトさんを呼んでくれたとのこと。全くリハーサルなしでもさすがですマヒトさん。こちらはちょっと予定時間を超過してのステージでしたが、この日初めてノラさんのステージを体験した私の友人サカウエ君も絶賛。
最後のセットチェンジでは、宇崎竜童のダウンタウンブギウギバンド『脱・どん底』のB面をかける。これはなんとなくdois mapasの新美さんが気に入るんじゃないかなあと思っていたけど、案の定かなりお気に入りだったようです。
hitme & miggy:トリは彼女たちにお願いしました。しかし、これから出番だという時にハプニング発生。hitmeさんが「ナルセさん、ごめん。2、3分待って」といってお店の外へ。miggyさんもかなり神妙な面持ち。どうやらフルートを昼間に行ったスタジオに忘れてきてしまったとのこと。当然22時前で閉店しています。諦めてそのままステージへ。さすがにこんな忘れ物は初めてだったようですが、そこはプロ。肝の据わった素晴らしい演奏をみせてくれました。hitme & miggyとしてはmona records初出演で、miggyさんはお店のキーボードを使うのも初めて。でも、ステージ自体は2人ではけっこう広めですし、かなり気持ちよさそうに演奏してくれました。私の誕生日ということで(しつこいですね)、「happy hour」や「happy days」などと幸せな曲ばかりそろえてのステージ。そして、多くの人は気付かなかったかもしれませんが、最後から2番目の曲は私がリクエストしたバースデイソング。佐野元春の3rdアルバム『someday』に収録されている「2人のバースデイ」をお願いしていたのです。この曲は私のけっこう好きな曲で、前奏でピアノとサックスが入っているのでお願いした次第。しかし、やはり歌がメインの曲をインストゥルメンタルで演奏するのはかなり難しかった様子。私も「happy days」を演奏した時点で、お願いはしていたもののやはり無理だったかなと諦めたのですが、素晴らしいアレンジで(意外にもhitmeさんはピアニカでした。本来はフルートだったかもしれませんが)演奏してくれました。なんだかここで、じわっとしてしまい、特に主旋律から外れて途中、ほぼ彼女たちのオリジナル曲のようなアレンジのフレーズに入った途端、私の目からは涙がこぼれました。先日の日記でも書きましたが、ついにライヴで泣きましたよ。でも、それは私のためにだけ演奏してくれたという彼女たちの思い遣りに対してですね。その後最後に1曲演奏して、23時前に終了。さすがにアンコールのない、潔いステージでした。
ということで、終わってしまいました。さすがに終電を気にして帰ってしまった知人がいましたが、ほとんどのお客さんは最後まで聴いてくださって、本当に良い演奏だったんだなと確信。櫻倉レオンファンの幾人かは彼女のステージで帰ってしまいましたが、最後まで程よいお客の入りで、ゆったりと楽しんでいただけたのではないでしょうか。あちこち移動していた私には店内が若干暑く感じましたが、その辺はどうだったのでしょうか。
終演後はDJブースのことをすっかり忘れていたら、monaのスタッフの人が私のCDからshelleyan orphan『humroot』をかけてくれていました。素晴らしい。すっかり遅くなってしまいましたが、1時間でも打ち上げをしたいということで、無理をいって打ち上げ。1500円のコース。ワンドリンクつき、料理5品が出てくるお得なコースです。結局、打ち上げにも15人が参加してくれて(なかには打ち上げの時間に来てくれたみうさんやizuさんもいましたが)、料理もほとんど残ることなく、楽しい時間が過ごせました。
打ち上げの時間は、時折DJブースに行って、佐野元春『Cafe Bohenia』A面をかけたり、この日家を出るときにポストに届いていた、one toneの最後のCD『一音の舟』などをかけました。本当は終電を気にせずに夜を明かすつもりでいましたが、さすがに朝からの疲れがどっとでてきていたので、終電で帰宅することに。慌しくお店を出ました。最後に本当に私の好き勝手させてくれたmona recordsのスタッフの皆さんに感謝いたします。

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コメント

ナルセさん
夜中の調べものをしていたら
偶然に!!ナルセさんのこの日記に着いて
ビックリマオコです

先日は素敵なお葉書ありがとうございます!
メールでのやりとりどころか、お会いしたこともあるのに
ナルセさんの直筆の文字に会ったのは初めてでして
なんだか、わぁ〜と眺めてしまいました

お誕生日モナ☆
充実至福の時間だったのですね
駆けつけたかったです。。
おめでとうございました!

ナルセさんのよい宇宙
広げていってください☆

投稿: マオコ | 2007年8月 4日 (土) 01時53分

さすがマオコさん
このblogを始めて1週間。ようやくmixiでもお知らせしたばかりなのに,自ら辿り着いてコメントしてくれるなんて。
他のマイミクさんなんてみてみぬふりですよ。つーか,文章が長すぎますけどね。
ありがとうございました。またの書き込みお待ちしています。

投稿: ナルセ | 2007年8月 4日 (土) 07時55分

ナルセさん☆
やってきましたん♪

おぉーー☆
素敵バースデーライブ
様子がよーく伝わって来ましたぁ♪
ありがとうございます&おめでとうございます
ザッツ☆行ったつもりのちいちゃんです☆笑

DJもされてたんですね☆
ほんまにナルセさんカラーの夜になったみたいで☆

では、9月にお会いしましょう☆

投稿: ちい | 2007年8月 4日 (土) 15時56分

>ちいちゃん
これまた福井組で書き込みありがとう。

そうそう,うっかり書き忘れちゃったけど,主催者というある意味裏方になって,リハーサルを見て気分を盛り上げ,お客さんを迎え入れて,本番を迎えると,いつも観ているステージ上のかれらの姿が違って見え,いつも聴いているライヴが違って聴こえます。
何がどう違うのか,うまく説明できませんが,新しい発見・体験です。ちいちゃんも味わうでしょう。
お楽しみに。

投稿: ナルセ | 2007年8月 5日 (日) 01時09分

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