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コンニチハ 世界の子どもたち

田沼武能 1997. 『コンニチハ 世界の子どもたち』岩波書店,259p.,1200円.

田沼武能(たぬまたけよし)は私が修士論文で取り上げた写真家。もう78歳の高齢だが,現役でしかも日本写真家協会の会長をしている。芸術的な批評の対象とはなりにくい,非常に堅実な作品を撮る写真家であり,かといってジャーナリズムの世界で名高い写真家とも違う。
そんな微妙な位置であり,また本書のタイトルにあるように彼のライフワークが世界中の子どもの写真を集めることにあるため,彼の作品に「世界」というものがどのように描写されているのか,ということを地理学的テーマとしたのだ。その私の修士論文は1994年度に提出され,そこから中心となるテーマの部分を論文として学術雑誌に掲載したのが1997年。確かに,私のなかで田沼武能について調べることは終わってしまったが,その年に発行された本書を知らなかったことは,先日本書を古書店で見つけたときに軽いショックだった。

さて,この作品は岩波書店が出している「同時代ライブラリー」という文庫より一回り大きいシリーズの一冊。そして,その内容は1国2ページ分,111ヶ国の記録である。見開き左ページはモノクロ写真,右ページはその国に関する文章。そもそも,本書は『聖教新聞』に5年にわたって連載されたコラム記事からなっている。1つの国が全く同じ分量で書かれているので,それはそれで面白い。国土面積や人口,気候や文化など基本的なデータ提示から,もちろん撮影旅行でのエピソードまで。その国を訪れた年を明記している場合もあるが,本の構成的には彼の実際の訪問歴よりも,まるで地理の教科書のように,この読書によって世界一周を疑似体験できるようなつくりになっている。

Ⅰ オセアニアと太平洋
Ⅱ 南アメリカ
Ⅲ 中央アメリカから北アメリカへ
Ⅳ 北欧からロシア・東欧へ
Ⅴ ヨーロッパ
Ⅵ アフリカ大陸一週
Ⅶ 中近東
Ⅷ アジア

こんな感じ。これも批評対象にできるな。

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