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観劇

8月30日(木)

『ユモレスク~逆さまの蝶』で主演していた美波ちゃんですが、今度公開の主演映画『逃亡くそたわけ』の予告編があまりに素的で、すっかり美波ちゃんが気になっている今日この頃ですが、蜷川幸雄演出作品『エレンディラ』に出演しているというのを、上演最終週になって知ってしまった。もちろん、既に土日のチケットは売り切れていて、幸い私が休みの木曜日の昼間の回がS席12000円で残っていたので、さんざん悩んだ挙句購入。行ってきました。

彩の国さいたま芸術劇場 エレンディラ
上演前に、舞台にも出演している4人組のバンドが生演奏。ソプラノサックスのフロントマンに、紅一点のパーカッショニスト、鍵盤男に巨大管楽器の男という編成。東欧っぽい陽気な音楽で楽しませてくれます(ホームページには12時開場ってかいてあったのに、実際には12:30だった)。ちなみに、与野本町が最寄り駅ですが、寂しい駅です。
ガルシア・マルケスの原作ということだが、残念ながらマルケスの作品は読んだことがない。演劇向けなのか、この作品はちょっとよくある話のようにも思う。両親と別離してしまった少女が祖母と2人で暮らすが、家計が厳しく(家事でさんざんこき使われ、火の不始末で家財一式を焼いてしまう)、この少女が身売りをして暮らす。ある日、この少女エレンディラを救うべく現れた青年と恋に落ちる。この青年は何度も彼女をこの金に目がくらんだ祖母から救い出そうとするが、なかなかうまくはいかない。エレンディラは祖母に支配された生活を憎みながらも、そこから逃げ出したところで希望を抱けないのだ。
まあ、ストーリーはおいておいて(ちなみに、ストーリーの大半が多少ありふれたものだが、結末はなかなか面白い)、初っ端で驚く。私の席は結局2階席の正面だったので、かなり全体が見渡せる位置。開幕時に目に錯覚を覚えるが、どうやら錯覚ではないことが分かる。というのも、初っ端で行列が後進してくるのだが、舞台の奥、かなり遠方から行列の先頭がやってくるのだ。しかし、これは目の錯覚ではなく、実際にかなり奥行の深い舞台であったのだ。客席の奥行と同じくらいの距離を持っている。主要登場人物はさほど多くないのだが、大道芸人が集まるような祭りのシチュエーションが多く、多くの出演者が舞台上で踊るシーンなどで、この広い舞台が効果的である。その他にも面白かったのが、舞台上を車が走ること。といっても、ちゃんとエンジンで走るのではなく、人が3,4人がかりで押すのだ。なかには中古車を利用したものもあるが、完全な手作り大道具の車もある。それから、雨のシーンでは舞台の前方だけだが、本当に雨が降る。振り終わると、舞台に一筋の溝があるのだが、登場人物が演出の一部として水を溝に集めて落とし、雑巾でふき取るのだ。
まあ、ともかくいろんなことがあって、本当に多くの人の手と、お金がかかっているのが良く分かる。映画ももちろんそうした舞台装置にかけるお金と労力は大きいと思うが、どちらかというと、そういうものは背景として鑑賞者は自然なものとして受け止め、役者の自然な演技を期待する。しかし、もちろんほとんどマイクを通さない地声の演技は自然なものではなく、大げさなものでちょうどよい。なので、演技がどうこういうよりは舞台装置やその動き、俳優一人ひとりの立ち位置とその動きを追うことに、鑑賞の楽しみがあるように思う。本作品は3部構成になっていて、それぞれ15分と10分の休み時間があり、13時開演で終演は17時前だった。基本的にはステージを見ても見なくてもよい音楽ライヴに比べて、見るは聞くは考えるはで、鑑賞者もかなり疲れるものだ。しかし、やはり前回の『血の婚礼』よりも大分面白く、演劇に夢中になる人々の気持ちは良く分かった。しかし、2000円程度のライヴに比べて、行きたいのが山ほど出てきてもさすがに毎日のようには行けないな、と思う。でも、演劇の世界もピンからキリまであって、2000円ほどの小さなものもあるんだろうけどね。
さて、この日私は全く一人で出かけたのですが、思いがけぬ人に会ったり見かけたりした。2階への階段ですれ違ったのはなんと、女優の原田美枝子さん。やっぱりキレイでした。そして、聞き覚えのある声だと思ったら藤田陽子さん。声に気付いて振り返ったら後姿しか見えず、その声の先、彼女が話しかけていたのは藤田陽子さんが主演した映画『犬猫』の監督、井口奈巳さんでした。この時、1回目の休憩だったので、後できちんと声を掛けようと思ったら結局みつかりませんでした。残念。だんなさんの野田秀樹と来ていたのかもしれませんね。そして、最後がなんとorbit blenderのkeikoさん。先日moodstockで横須賀で会ったばかりなのでお互いビックリ。ライヴ会場で会うことはよくありますが、私がたまたま観に来た舞台で会うとは。
一番大事なことを書き忘れるところだった。なんと,この作品,舞台の上で美波ちゃんが脱いじゃうんです。私はほとんど前知識もなく観に行きました。一応,娼婦の役なので,バスローブの姿がありました。そして,突然場面は変わって街中のシーン。舞台の上で着替えるのですが,ブラジャーもしていない後ろ向きの背中が見えるではないですか。私の位置からはもちろん胸は見えないけど,近くで横の人だったら見えるはず。とドギマギしていたら,いきなり入浴シーン。私の位置からはそれが本当に裸なのか分かりません。というのも,その前におばあさんの入浴シーンがあったのですが,おばあさんやくは男性なので,裸のスキンスーツを着ているのです。でも,やっぱりどうみても裸そのままだ。後姿でお尻が見えるシーンも少なくありません。その上,相手役は中川晃教ですが,いわゆるカラミのシーンが非常に多い。ディープキスに肌と肌での抱擁。もー観ていられません。席がこれほど遠くになってしまったのは不幸中の幸いだったかもしれません。もう何年も直に女性の裸体などみていないのに,久し振りに観る裸体が憧れの女優さんとは...まあ,見た目どおり,美波さんは決して豊かな胸ではありませんが,まだ21歳。遠目で見ても美しいです。でも,贅沢をいえばちょっと猫背なのが残念ですね。背筋を伸ばせばもっときれいです。
さて,そんな話題で終わりにしないで,もう一つのこの作品の見所,聴き所は音楽が『ピアノ・レッスン』など映画音楽も数多く手がける,マイケル・ナイマン。でも,やっぱり私がまだ舞台をあまり経験していないので,音楽までは神経がいきませんでしたよ。でも,主演男優の中川氏はもともと私が知っているほどのシンガーですから,彼が歌うシーンは一つの山場です。でも,さすがに生ではありませんが伴奏も入るので生声ではなかったようです。美波ちゃんも歌っていたのかな?
そんな感じで,前回よりもかなり得るものが大きかった演劇鑑賞でした。フランシス・イエイツの歴史書に『世界劇場』ってのがあるんですが,世界を劇場の隠喩で理解するって思想には長い歴史があるってことをちょっと実感したかも。
与野本町から新宿に出てちょっとブラブラ。夜の音楽ライヴまで時間があるけどあまりやるべきことはないので,新宿から青山まで歩いて行くことに。幸い雨もほとんど降っていません。かなり涼しくなっていますし,お散歩日和です。といいたいところですが,同時に陽が暮れるのも早いので,しかも平日なので,会社が終わって呑みに繰り出す人が多いです。

青山プラッサオンゼ dois mapas
プラッサオンゼに着くと,こちらもその繰り出された人たちで盛り上がっています。何気にプラッサでのdois mapasは初めて。やっぱりプラッサ贔屓な人が多いようです。私は予約なし1人客だったので,空いている席,ステージ向かって右側のステージ横です。この日は客席にdois mapasでベースのサポートをよくしている小島さんも来ていましたが,2人のステージ。その前に,いつきても食べられないスパゲティがこの日は食べられるという情報を得ていたので,食べたソーセージのスパゲティ。トマトかニンニクかってあったのですが,ニンニクにしてちょっと失敗。やっぱり塩辛いし,全体的に水分が少ないので,飲み込むのが辛い。やっぱりこのソーセージにはご飯が合う。
さて,ワイン1杯ですっかり気持ちよくなってしまった私。もちろん,ちゃんと演奏は聴いていましたが,やはり観劇の疲れが(ついでに徒歩の)出てきたのか,気持ちよくウトウトしていたようです。新美さんにもいわれてしまったし,会計の時,クラウジアさんにも「歌声気持ちいよねえ」なんていわれてしまった。でも,確かにちゃんと聴いていて気持ちよくて,意識をちょっと沈めているだけなんですよ,ときわさん。といっても,唄っている本人は私のその姿には気づかなかったかな。
やっぱりお客さんが多いと,それだけ本人とお話しするチャンスも減りますが,さすがにそのまま帰るのはどうかな,と思い,挨拶だけでもとときわさんに声を掛けると,意外と『エレンディラ』の話などで盛り上がってしまいました。いつも丁寧に接してくれてありがとうございます。

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