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Presents

角田光代 2005. 『Presents』双葉社,209p.,

続けて読書日記でスミマセン。『landscape』が読み終わりそうだったので,一緒に持ち出した小説。私は特に日本の小説はほとんど読みません。例外といえば,島田雅彦。それすら1995年の『忘れられた帝国』以前の作品だけ。
そんな私が久し振りに買ったのが本書。『小説推理』という月刊雑誌に2005年の1年間をかけて毎月連載された短編12編が収められたのが本書。映画化されたものを観ても,普段は原作を読みたいとは思わない私ですが,これは違っていました。収められた1編の短編小説「うに煎餅」が,私の好きな戸田恵梨香ちゃん主演によって映画化されました。このことについては既に書いたと思うので省きますが,この映画の上映に伴って再映されたのが,同じく本書に所収の「合い鍵」が広末涼子主演によって映画化されたもの。この2本は別の監督によるもので,原作そのものよりも映像の雰囲気が対照的でしたが,どちらも50分足らずの短編映画でとても良かった。
ところで,本書には一つの短編につき,松尾たいこさんというひとが1枚の絵を描いていて,原作本にはカラフルなそれらが1ページずつ印刷されている。映画のパンフレットにも彼女のデザインがあしらわれていて,2作品が統一された装丁のパンフレットになっている(もちろん,これも購入)。
そして,そんな映画のことを今井雅子さんのホームページのBBSに書き込んだら,今井さんに原作本を薦められたのだ。12編の短編につけられたタイトルは以下の通り。

名前
ランドセル
初キス
鍋セット
うに煎餅
合い鍵
ヴェール
記憶

料理
ぬいぐるみ

彼女の作品で映画化されたのは他に『空中庭園』があったが,短編のなかには『空中庭園』を思い起こさせる内容もある。正直いって,10年前の私だったら,読むに耐えないというのは大袈裟だけど,イライラしていたかもしれない。ありきたりな事柄のオンパレード。最後には人生っていいな,人間っていいなという結末。
しかし,そう思わせる勘定の引き出し方がうまい作家なんだと思う。こんな捻くれた私でもご他聞に漏れず,加齢によって涙もろくなった。というか,こうしたフィクションに泣かされることに抵抗しなくなったというべきか。電車のなかでも読みながらうっすら涙を浮かべる私でした。
いやあ,素的な作品です。小説を原作にする映画って最近とても多くて,それらによって私は泣かされてしまうんだけど,やっぱり原作でも泣いちゃうんだろうな。こんな感じで質の高い作品はその辺にゴロゴロあるんだろう。読み始めるときりがないんだろうね。

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