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2007年10月

逃亡くそたわけ

絲山秋子 2007. 『逃亡くそたわけ』講談社,182p.,400円.

本書は「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞している作者の作品だが,今回この作品が『逃亡くそたわけ~21才の夏』として映画化されるにあたり文庫化されたもの。初版は2005年とのこと。「イッツ・オンリー・トーク」は廣木隆一監督,寺島しのぶ×大森南朋で『やわらかい生活』として映画化された作品のはず。
前の日記にも書いたように,映画版『逃亡くそたわけ』を舞台挨拶の回で観,原作を読んで,もう一回観ようということで,ほとんど読むことのない現代日本小説を読むことになった。生きている日本の作家は島田雅彦くらいしか読まない。やっぱり駄目だ。台詞が次々と続き,ページを余白で無駄にするような小説はとても読めないのだ。日本映画も最近はそのほとんどが原作小説があるが,ストーリー的には大抵満足できる。でも,小説として読む読書体験としては別だ。映画はストーリー以外にも楽しむべき要素はいっぱいあるし。
本書は基本的に一人称の視点。すなわち,主人公の花ちゃんの語りからなっている。事実を説明する語りは標準語。しかし,「」で括られた台詞は博多弁。一応,語り手が第三者的視点に立つことはないようだが,こういういかにも的な文体はどうにも好きになれない。

それは映画にも反映されているが,この作品には私にも身近な思想家たちが登場する。マルクス,ウィトゲンシュタイン,そしてヘーゲル。身近なといっても,どの著者も1冊ずつしか本を読んだことないが(あ,マルクスは2冊か)。マルクスに関しては,花ちゃんが幻聴で悩まされていますが,その時の決まり文句が『資本論』の一節だという。ウィトゲンシュタインとヘーゲルに関しては,大学で西洋思想をかじったなごやんが,引用という形ではなく,非常に一般論として言及している。そもそも作者はこうしたものに精通しているのだろうか。『資本論』のその一節が有名であるかどうか,私には分からないし,ヘーゲルが主張したとされる考え方についても私は知らない。そもそも私はそういう入門書の類が嫌いなので,「だれだれは○○といった」という類の一般論は知らないことが多い。
作者は精通した上でこのような使い方をしているのか。あくまでも,なごやんの知ったかぶりとして言及しているだけなのか,あるいはそれらの言葉に何らかの意味を持たせたくて,入門書の類で学んだことを安易に利用しているのか。まあ,私は勝手に後者だと推測しているが,渡部直己なる人物による解説では,特にマルクスの一節にこだわってテクスト分析がなされていて,この種の作品解説にしては格別に面白い。むしろ,作品より面白いといっていいかもしれない。

まあ,ともかく邦画で,映画を観てから原作を読むという経験は初めてのような気がしますが,それなりに面白かったかな。やっぱり登場人物を俳優にあてはめて読んでしまうことはどうしようもないね。

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ちょっとうまくいかない週末

10月20日(土)

この日も講義後が忙しい。講義を5分早めに終わりにさせてもらって、渋谷に急ぎます。先日、Q-AXシネマに行った時に購入できた下記作品の公開初日舞台挨拶のチケット。上映後の舞台挨拶なので、予告編はありません。なので、遅刻するわけにはいかないのです。やはり舞台挨拶の日はざわざわして落ち着きがありませんね。左の方の席でしたが、前から3列目です。しかし、なにやらキャンセルが出たのか、座席番号も確認しない人たちが最後の方に入ってきて、最前列を埋めていました。

渋谷シネマQ-AX 『逃亡くそたわけ 21才の夏
この作品は美波ちゃんが主演。前にも書いたように、最近お気に入りの女優。特にこの作品は彼女が出ずっぱりなのでファンにとってこれほど嬉しいものはありません。設定は精神科に入院している21歳の女性。この病棟を「プリズン」と呼び、同じく入院患者の24歳の男をそそのかして脱走する話。当の病院は福岡にあり、主人公花ちゃんは福岡の子。男は吉沢 悠(これで「ひさし」って読むんですね。初めて知りました)が演じる名古屋出身だけど東京人になりたくて標準語しかしゃべらない通称「なごやん」。なごやんの車、マツダのルーチェで福岡からひたすら南下する逃亡ルートで鹿児島までたどり着くというロードムーヴィー。
まあ、映画的には単館がちょうどよい感じの出来ですが、この2人の演技と九州の風景が美しい作品。なんといっても、博多弁でまくし立てる美波ちゃんの迫力がたまりません。エレンディラの度胸もこの映画の撮影がかなり影響しているのかもしれません。ストーリーについては、この後に原作を読んだので、読書日記の方で詳しく書きましょう。ともかく、美波ちゃん目当てにいった私には大満足の作品でした。
上映終了後、監督と脇役2人の男性、そしてほとんど台詞のなかった花ちゃんの元彼役の高良健吾、そして美波ちゃんと吉沢君。総勢6人が舞台挨拶に登場しました。壇上での美波ちゃんはどこか遠くを見る感じですましています。真顔は本当に美しい。吉沢君は場慣れした感じ。一方で、高良君はめちゃくちゃ緊張している様子。スクリーンでは透明感のある美形ですが、生では思ったよりも普通な感じ。彼は同じ建物の『ユーロスペース』で公開中の『M』で挨拶してきた方が良いんじゃないか?
それはともかく、話始めた美波ちゃんはもう最高。すました美しい顔からは無愛想な挨拶を予想したが、まだまだ場慣れしていない感じもありつつ、堂々としていて、「スポットライトの逆光で皆さんの顔が見えませんが、出来れば皆さんの表情を見たい」と嬉しい言葉。やっぱり美波ちゃんを好きになったのはその声もあるんだろうな。ともかく、感激でした。
実は、この舞台挨拶の回のチケット、前売り券とでも交換できたのですが、購入した時前売り券を持っていなかったし、後日前売り券を持ってくるってのも席が悪くなるし、ということで前売り券がまだ余っているのです。他人に譲ろうとも考えていましたが、あまり他人にお勧めする作品でもないし、もう一度自分で観ることにしました。その前に、私にしては珍しく原作を読んでみようかとその場で購入。
急いで渋谷の反対側に移動して映画をもう1本。

渋谷イメージフォーラム 『待つ女
こちらはフランス映画。主人公は結婚している女性。旦那が理由は明確にはされませんが、7年間刑務所に入ることに。刑務所からの帰り道、兄も服役中だという男性に声を掛けられます。けっこうしつこく迫るので、その気もなしに体を許します。そんな何度か目の後、彼が刑務所に勤務する職員であることを知らされる。なにやら夫とも仲良くしているらしい。まあ、フランス映画なので、映像として映るもの以外のことはあまり細かく説明されませんが、どうやら夫の指図で妻を喜ばせるためにこの男に性的関係を依頼した様子。この三角関係の心理描写も非常に複雑です。嫉妬と信頼と愛情と時に憎しみ。ある意味では単純なストーリーですが、飽きることはありません。そして、主演女優の美しいこと。ホームページを見れば、なんと彼女は『マルタ マルタ』という訳の分からない映画で主演だったではないですか。『マルタ マルタ』はそれこそもう覚えてもいないくらい訳の分からない作品だったような気がしますが,本作は普通に楽しめます。しかも,先述したように,微妙に登場人物の心理が読み取りにくい,すなわち分かりやすいような単純な形で提示されていないことが逆にリアリティがあるように思います。

下北沢garage リトルハンセン
体育の日に予定されていた野外イヴェントTokyoSONGSが中止になって残念だったので急遽予定を変更して、久し振りのライヴを聴きに行くことに。相変わらず、ここgarageはお客の出足が遅い。開演15分前に到着すると、私の他にお客は3人。この日はリトルハンセンがトップバッター。サックスに茨木 応君を、ギターには浜本 亮氏を招いての5人フルバンド編成。ちなみに、坊主頭の北原君は初めて見ました。まあ、もともとファッションには意図的かと思うほど無頓着な人なので特に違和感なし。
1曲目が始まった途端、ああ北原君の声だ、とちょっと感激。後ろの方で聴いていましたが、思わず3曲目で一番前に(でも、控えめに一番左です。しかも自主的に動いたというよりは隣の男がヘビースモーカーだったためもある)。ひとしきり知っている曲をやったあとで、暴走。知らない曲はとても私についていけるものではありませんでした。レコーディングを準備しているというかれら。ちょっと先が思いやられますが、そもそも北原君が聴いている音楽は私の全く知らないものばかりで、恐らく彼が本当にやりたいことを追求したら、とても私にはついていけないのだろうと思う。やりたいようにやってほしい気持ちと、ちょっと寂しい気持ちと。
19時半くらいにかれらのステージは終了したので、以前の予定に軌道修正。下北沢から茶沢通りを歩いて三軒茶屋へ。初めて徒歩で移動しましたが、30分ほどで到着。でも、目的の場所は駅からまた遠いんですよね。

三軒茶屋switch ナオリュウ
2回目の参加になる、ここカフェを併設した美容院でのナオリュウさんマンスリー投げ銭ライヴ。前回と同様ナオリュウさんのお母さんもいて、前回も同じ場所に座っていた女性もいて、その輪に私も入れてもらう。今回はここで食事をするつもりだったので、お腹のことを気にしながらも「生姜焼き丼」を注文。今回はお客さんがそこそこ。今回は世田谷のローカルネットテレビ局(?)の取材も入っています。ナオリュウさんのライヴも悪くはなかったのですが、どうにもこの日は私の感受性が鈍っていたようです。
ライヴだけでなく全体的にこの場の雰囲気と波長が合わずに居心地が良くない。でも、なかなか帰るに帰れず、けっこう遅い時間になってしまう。ちょっと欲張って一日に予定を詰め込みすぎたか…

10月21日(日)

という前日だったので、この日はゆっくり家で過ごすつもりが、寝すぎたりジョギングしたりしていたらあまり時間に余裕がなくなってしまった。結局、夕方から出かけるということになると時間の無駄のような気がして、ライヴの前に映画を入れちゃうんだよな。先週の日曜日と同じような行動。

横浜ムービル 『エディット・ピアフ~愛の賛歌
フランス人らしからぬ感じでとても好きなフランス人女優、マリオン・コティヤールの迫真の演技が話題になっている作品。エディット・ピアフという名前は知らなくても歌声を聴けば分かる、フランスの代表的なシャンソン歌手の自伝的作品。実際のピアフは小柄で、マリオンは長身。歌はピアフの録音を乗せているらしいが、実在のピアフを知らない私には違和感はなかった。演技の中の声もかなり本人に似せたハスキー声になっているため、歌声との違和感はありません。確かに、かなり入れ込んだ演技です。
でも、意外に実在する人物がモデルの作品ってあまりにも俳優が入れ込みすぎて、ちょっとどうかなって思ったりする。フィクションでもないし、ドキュメンタリーでもない。やはりそういうジャンルとして観ないと駄目なんだろうな。私はやっぱりそのままのマリオンちゃんが好きだ。でも、もちろんこの作品に対する意欲と女優魂には拍手を送りたい。この作品では、むしろ、子ども時代のエディットを演じた子役俳優2人が本当にマリオンに成長するような配役でとてもよかった。特に、2番目に登場した女の子の可愛いこと。

横浜THUMBS UP flex life
映画館と同じ建物に入っているTHUMBS UP。すごい好きな場所なんだけど、開場前に到着して愕然。まあ、良く考えれば予想できないこともなかったけど、お店の外に大量の椅子が移動してあり、どうやら中央はスタンディング。そして、タイムテーブル。やたらとDJタイムがあり、しかもいつのまにかライヴ出演者も増えている。ああ、ゆっくり食事するつもりが…
まあ、この手のイヴェントだから出入自由ということで、とりあえず入場して席を探す。もちろん、空いている席がないわけではなかったが、やはり一人客には非常に居づらい雰囲気。flex lifeの出番まで外で食事をすることにして、flex lifeだけ見て帰ることにしました。といっても、横浜駅周辺には一人で食事をするよさそうなお店はあまりなく、結局相鉄ジョイナスの地下のとんかつ屋で食べる。THUMBS UPに戻っても予定より30分遅れのスケジュール。ただでさえ、終了が23時なのにどうなってるんだろう。まあ、ともかくその私の嫌いな雰囲気に耐え、そしてライヴが始まってもおしゃべりをやめない客の中でflex life鑑賞。久し振りだったので、スタンディングフロアで一生懸命自分を盛り上げましたが、ちょっと限界。flex lifeのライヴも最近マンネリ気味かな。前は、毎回違う曲をやっていたのに、2年前にライヴ盤を出してからは、大倉さんもギターしか弾かないし、どうにも停滞気味だ。また、変な場所でゆる~いライヴをするようになったらいいのにな。
この日は私の家に近い、分倍河原駅近くのお寺で大橋エリさんが参加するバンブーオーケストラのコンサートがあったのに。ああ、後悔。なんだか、うまくいかない週末でした。

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痛みを伴わない下痢

10月19日(金)

この日は本当は下北沢440に辻 香織ちゃんを聴きに行こうと思っていたが、予約を入れる前に予定変更。日曜日に出会ったピアニスト松下美千代さんがレストランで演奏するというので聴きに行ったのだ。品川駅ビル「アトレ」に入っている「TRANSFER」というお店。
しかし、実はこの日は大変だったのだ。午前中にいつもどおり、会社のトイレで用を足そうと個室に入ると、出てきたものがすごかった。たまに辛いカレーなどを食べると、瞬間的な腹痛を伴って柔らかいものが出ることはあるが、全く痛みを伴わず、しかもほとんど液体上のものが。ほとんど胃腸を一掃するような排泄物でした。やはりいつもどおりパンの昼食をとった後にも、もよおしてしまう。これで夕食外食は厳しいなあと思いつつ、品川へ。
品川駅に到着したのは1stステージが始まる時間。駅ビルといいながらも駅がでかいので遠いんですよね。到着した頃には演奏は始まっていましたが、驚くべきことにお店は入店を待っている客が出るほどの盛況ぶり。当然、ピアノのそばの席は埋まっていて一向に空きそうもないし、案内されるのを待っているうちに1ステージ終わってしまう。幸い、このお店は壁で仕切られていないし、ピアノはその一番外側にあるので、お店の外から眺めることにする。しかし、そうこうしているとこんどは男性3人組みがなにやらお店の人と交渉していて、演奏している松下さんを撮影し始めました。なにやらなにかの取材らしい。あまり居心地のいい場所もなく、フラフラしながら30分のステージを見守ります。とりあえず、1ステージ終わったところで声を掛けて帰ろうと思ったが、きっかけがつかめず。結局、彼女のために用意された一番奥の厨房に近い席に座って用意された食事を食べだした松下さん。このまま帰ろうとも何度も思ったが、mixi上で「今度は声を掛けます」と約束したこともあって、勇気を出してお客でもないのにお店の中に入っていって、食事中の美千代さんに声を掛ける。さすがにビックリしたようですが、気さくにお話してくれました。やはりいつもこの時間は込み合うそうで、最後の21:30のステージだとかなりゆっくり聴けるとのこと。「他のお店で食事でもしてまた戻ってきてください」といわれたが、結局そのまま帰宅し、自分で作った夕食を食べることに。
その後メール交換をしましたが、やはりあのような場では、拍手をもらうような演奏をしてはいけないとのこと。曲の間に合間を入れず引き続け、音とパフォーマンスは控えめということです。もちろん、オリジナル曲ではなくスタンダードを、でも皆が知っている曲ではいけないようです。でも、そんな状況で自分のできることを彼女なりに楽しんでいるとのこと。さすが、どんな状況にも対応するプロフェッショナルですな。

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文明論之概略

福沢諭吉著,松沢弘陽校注 1995. 『文明論之概略』岩波書店,391p.,760円.

あの福沢諭吉の著書,あなたは読んだことがあるだろうか。おそらく(というか,私がだが),国語か社会科の教科書で『学問のすすめ』の一節を読んだくらいではないだろうか。今,法政大学の「地理学」の講義で使っている教科書,西川長夫『地球時代の民族=文化理論』のなかで,本書が大々的に取り上げられている。ということで,先日古書店で,この岩波文庫版を手に入れたので読んでみることにした。

本書の初版は明治8(1875)年に,和紙木版で6巻本として発行された。もちろん,この岩波文庫版はその6巻を全て1冊に含んでいるが,当時は活字ではなく,木版画だ。その2年後に洋紙活版刷一冊本が刊行されたというから,まさに日本が近代化する過程に生まれた出版物であり,著書であるといえる。
日本の近代化とは,鎖国の江戸時代の終焉であり,明治維新があり,廃藩置県など日本の制度がまるっきり入れ替わった時期であり,それをわたしたちは「文明開化」と呼んでいる。しかし,「文明」ということばは日本語にはなかったのだ。もちろん,文化という言葉とともに,過去に年号として文明の語は使われたことがあるが,わたしたちの時代の昭和や平成が日常用語として用いられることがないように,文明という語は単に中国の古典から借りてきた言葉にすぎない。意味など伴わない象徴的な言葉であった。
すなわち,「文明」という語は文明開化という現象のなかでヨーロッパから輸入された言葉であると同時に,ヨーロッパからさまざまな政治制度や経済体系,生活様式を輸入することを,その言葉を用いて文明開化と呼んだわけである。すなわち,文明とはこの時代の最大のキーワードであった。だから,その言葉を普及させるために,当時最もすぐれた知識人であった福沢諭吉がその言葉を普及させるために本書を書かなくてはならなかったのだ。

日本の政治制度や経済体系に関して,本書ではJ.S.ミルの『代議政治論』や『自由論』,『経済学原理』が多用されているが,その他にバックルの『英国文明史』とギゾーの『ヨーロッパ文明史』からヨーロッパ文明について学んでいる。当時からもちろん,ヨーロッパの著作をそのまま翻訳するということはあったが,部分的に翻訳したものを引用文だと明示することなく,自分の文章であるかのように用いることが多くあったようである。本書もそんな感じで,上の2著からの引用分は数多い。もちろん,本文だけ読んだだけではそれには気づかないだろうが,ご丁寧にこの岩波文庫版ではいちいち注釈を入れている。
すなわち,この本はヨーロッパの文明化の過程を概観し,日本に明治維新以前にあった文明の歴史を辿り,両者を比較することで,日本が今後ありうべき姿を探求するという目的がある。もちろん,その具体的なところは『学問のすすめ』のような他の著作がありますが,その前提となるのが本書。

いやあ,それにしても難しかった。木版画版の1ページ分の写真が掲載されていますが,カタカナによるおくり仮名を平仮名に直し,漢字にはとても丁寧に読み仮名がふってありますが,基本的には現代語訳にはなっていない。特に,日本の文明史の箇所は英語を読むより大変だ。でも,現代と違って,こうした歴史を記述するのは大変だと思う。
しかし,全体的な論調は,日本は今のままでは駄目で,文明化=欧化であり,ヨーロッパに近づくことこそが日本国の独立である,という主張はかなり極端のように思えるが,そのくらい強い主張だからこそ重要な論として受け入れられたのだろうか(あ,といっても,本書は他の福沢の著書と比べて当時はあまり読まれなかったらしい)。

ともかく,やはりこういう読書は新鮮です。

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福井からはるばる

10月18日(木)

有楽町シネカノン一丁目 『パンズ・ラビリンス
アカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞したというスペイン映画。といっても監督はレルモ・デル・トロというメキシコの監督。最近、CGの力を借りて非常にパワーアップしている歴史ものとファンタジーものに私は全く興味はないが、なぜかこの歴史ものでありファンタジーものであり、CGも存分に使用した作品は、予告編を観たときから絶対観ると決めていた。それは他の作品とは違って非常にヨーロッパ的な雰囲気(そもそも言語が英語でないところがいい)を持っているし、主演の女の子イバナ・バケロがとても魅力的だったのだ。
1944年のスペイン内戦が舞台。父親を亡くし、母親と2人で(そして母親のお腹の中には子どもがいる)、再婚相手の元にやってくる。その再婚相手は反政府勢力を鎮圧するために山中に派遣された政府軍の指揮官。この男が残忍冷酷なつわものなのだ。予告編では、そんな過酷な現実世界から、地下のファンタジーな迷宮へと迷い込む少女、という物語を想起させるが、非常に悲しい結末である。
あくまでも映画で描かれるファンタジーとは彼女が辛い現実世界から空想上で逃避するためのものに過ぎなかったのだ。幸い、現実世界の方は、反政府勢力が(あくまでもこの戦線だけの話ではあるが)政府軍を制圧し、最終的にこの指揮官を殺すところで終わる。しかし、この少女はこの男に殺められてしまうのだ。でも、彼女も空想上では最終的にその迷宮の仲間入りをすることができる。
やはり素晴らしい作品だった。本当はもっと詳しく書きたいところだが、この辺にしておこう。ともかく、この少女が素晴らしい。そもそも脚本の時点では少女を8歳で想定していたが、オーディションでイバナが現れ、彼女の実年齢11歳に脚本を書き直したという。全く無垢な少女としてではなく、わずかに胸も膨らみ始める、場面によってはセクシーにも見えるイバナの存在はこの作品をより厚みのあるものにしていると思う。今後も楽しみな女優である。

講義を終えて下北沢へ。この日は他にも魅力的なライヴがあったが、この日は福井からまたまたちいちゃんが上京するというので、私もそれに合わせて久し振りに早瀬君の歌声を聴きに行くことに。

下北沢mona records 早瀬直久(fromベベチオ
私が到着した時には既に開場していたが、この日はHARCOファン友達のizuさんが席を確保してくれていたので、ソファに私、みうさん、ちいちゃんと3人並びます。その前のソファにもizuさんとその友達3人が座ります。早瀬氏はベベチオという男2人組ユニットのギター&ヴォーカル。大阪在住だが、頻繁に上京して、前日にベベチオを、そして時間があればこうしてソロでライヴをやっている。私がこのイヴェントに参加するのも2回目。前回はizuさんとちいちゃんと3人でしたね。
このライヴがすごいんです。完全に一人きりということでやり放題。焼酎を飲みながら、たまにはベベチオの曲もやりますが、基本的にはその場で思い浮かんだメロディに言葉を乗せる、完全なる即興演奏。東京では2時間半と若干控えめですが、大阪では3時間以上が当たり前だという。まあ、この日のMCでもいっていましたが、彼は音楽活動の中で一番楽しいのが作曲している時といいますから、こういうライヴが本当に楽しいんでしょうね。今回はほとんど女性客で、立ち見も出るほどの盛況ぶり。前日のベベチオライヴで好きになったという元one toneの原口君も遊びに来ていました。しかも、原口君と仲の良い元ゲントウキのベーシスト、伊藤健太氏が、飛び入り参加。

しかし、1時間半ほどステージを観たところで、私は途中退席をしなければなりませんでした。実は、この日すぐ近くで山田タマルちゃんがラジオ公開生放送のゲスト出演をしているというのです。なにやらCLUB Queの上のファーストキッチンのテラス席を使って、週に一度の木曜日に「下北FM」という放送局が公開生放送をしていて、毎回けっこう豪華なゲストが登場するのです。番組が始まる21時過ぎに到着すると、それを目当てに来た客は5人以下。ゲストは21:15からでしたが、それでもお客は増えません。当然ファーストキッチンの前は道路。しかも、この日はけっこう寒く、立ちっぱなしです。でも、タマルさんはそうしたお客にも気を遣って上着は羽織らずに登場します。スタッフの人もお客の少なさにわれわれを前方へと誘います。2m先のタマルさん。いやあ改めて見るとかなり綺麗ですね。ステージと客席だとどうしても見上げる感じになりますが、同じ目線で間近で顔を見ると、本当にキレイ。さすが、SHUUBIがコール&レスポンスで「山田タマルは美しい」とお客にいわせようとした気持ちが分かりました。途中、足を止めたギャル2人も多分タマルちゃんのことを知らないと思うけど、やたらと「キレイ」を連発して手を振ってもらおうとしていました。
まあ、そんなトークは思いのほか22時前まで続き、しかも生演奏で「あなたになら言える秘密のこと」を披露。座っての一人弾き語りは最近のライヴとは違ってとても魅力的。インディーズ時代はこんな感じでやっていたんでしょうね。その頃知らなかったことが本当に悔やまれます。本当はもっとお客さんを参加させる企画もあったようで、私にも「途中でタマルさんに歌のレッスンをしてもらうコーナーがありますので歌ってくれますか?」という打診があった。せっかく了解したのに、最終的にそれはなくなって、他にも抽選でグッズが当たるというものもなくなったようだ。かなり行き当たりばったりの素人的FM曲。まあ、最終的には立ち止まるお客は増えましたが、それでもちゃんとタマルちゃんを目当てに来た人は少なかったので、多少なりともお話する時間があるかと思っていましたが、マネージャーの厳しいガードのなか、足早に去ってしまいました。ああ、悲しい。

さて、mona recordsに戻ると既にライヴは終了。izuさんは帰ってしまいましたが、ちいちゃんは深夜急行バスに乗るということで、ここで食事をすることになりました。途中で抜けてしまったにもかかわらず、帰る前に早瀬氏とちょっとおしゃべり。かなり以前のホームページのプロフィールにBONNIE PINK好きと書いてあったのを思い出して、BONNIEネタで若干盛り上がりました。

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11月のライヴ予定

11月2日(金)
青山月見ル君想フ はやしいと/the indigo/他(予約済み)
青山プラッサオンゼ ko-ko-ya(予約済み)

11月3日(土)
早稲田大学 湯川潮音(予約済み)
祖師ヶ谷大蔵ムリウイ tico moon/mayuluca

11月4日(日)
中目黒楽屋 casa/行川さをり

11月5日(月)
吉祥寺strings saigenji+太宰百合(予約済み)

11月7日(水)
下北沢lete dois mapas(予約済み)

11月9日(金)
下北沢CLUB Que トルネード竜巻/石橋英子×アチコ/POP CHOCOLAT(予約済み)

11月10日(土)
六本木ヒルズ 山田タマル/ビューティフルハミングバード/一十三十一/他(予約中)

11月11日(日)
渋谷cafe ano hitme & miggy(予約済み)
下北沢lete 戸田和雅子/他(予約済み)

11月12日(月)
吉祥寺strings 松下美千代トリオ

11月17日(土)
下北沢mona records フルカワモモコ/山田稔明/他(チケット購入済み)

11月18日(日)
表参道FAB 辻 香織(予約済み)
しかし,山田タマル@銀座cafe ohanaに当たったらいっちゃうだろうな。

11月19日(月)
渋谷duo music exchange おおはた雄一(チケット手配済み)

11月22日(木)
恵比寿LIQUIDROOM leyona(予約済み)

11月23日(金,祝)
新宿red cloth HARCO/TOMOVSKY(チケット購入済み)

11月24日(土)
王子プラネタリウム omu-tone/他
あるいは,渋谷7th floor 永山マキ/IRIS

11月25日(日)
表参道FAB 拝郷メイコ/SHUUBI/伊藤サチコ/稲田光穂(予約済み)

11月26日(月)
渋谷クラブ・クワトロ ハンバートハンバート(チケット購入済み)

11月27日(火)
大塚GRECO 太宰百合管弦トリオ

11月28日(水)
銀座my humble house tokyo 一十三十一(チケット購入済み)

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そして,翌日も貴重ライヴ

10月17日(水)

さて、この日は待ちに待ったライヴ。TOPSさんに貴重な情報を教えてもらいました。開場から開演まで1時間ありますが、お客の行動が読めないし、まあ家でのんびりするよりはお店に行っていたほうがよいと思って時間通りに到着。すると既に6人が開場を待っています。でも、開場してからはポツポツきたくらいで、開演30分前で10人ほどでした。さすがにこの日は店内に椅子がかなり出ていて食事のオーダーはできない。まあ、翌日の講義の準備もまだだったので、ひざの上で手書きでレジュメを作ります(もちろん、その後ワープロに入力しますが)。私は最前列ですが、ちょっと真正面は気が引けたのでステージ向かって右側へ。私の背後にはCianさんを含むミュージシャンの女性ばかりの集団だったようです。

祖師ヶ谷大蔵ムリウイ port of notes
さて、この日は誰のライヴかというと、畠山美由紀さんがソロになる前に組んでいたユニット、port of notesです。私が美由紀さんを本格的に聴きだしてからまだ2年も経っていませんので、もちろんリアルタイムでは知りません。ただ、昨年の品川教会のライヴで、相方の小島大介氏がゲストで出演し、数曲port of notesの曲を聴いている。美由紀さんはソロになってからアルバムを数枚出しているが(カヴァー集やライヴ盤などもあり枚数は数えにくい)、どれも中古店では安く売っていないので、美由紀さんを聴き始めたころ、私は中古店で気軽に手に入るport of notesから買い始めたのだ。port of notesは本当に多くのCDを発売していて、曲数もまちまち、しかも同じ曲が複数枚のCDに収められているなど、どれを買ったか分からなくなるくらい。
一度、shima & shikou DUOのゲストヴォーカルとして美由紀さんが出演した時に、ここぞとばかり初めてソロのCD『リフレクション』を購入し、持参し、サインをもらう時に「まずはport of notesから集めているんです」というお話をしたら、自分でも何枚出ているのか把握していないってことをいっていました。
port of notesはCDデビューしてから10周年ということで、今回のこのスペシャルなライヴはこれっきりってわけではなく、ベスト盤を発売すると同時に、年内にちゃんとしたライヴハウスで2回ほどライヴが予定されているとのこと。今回はその小手調べとして、馴染みのお店でひっそりとって感じのようです。お2人とも仲の良い、かっきんという女性が企画した、というところでしょうか。まずは、おもむろに小島さんがチューニングデモするかのようにステージに上り、「じゃあ、前座ということで」と4,5曲、自分のソロの曲を披露。意外に緊張しているようです。port of notesの楽曲のほとんどを小島氏が手がけていますが、ソロでは随分違います。うーん、どうなのかなあ?頑張れ、っていう感じです。
その後、かっきんさんと美由紀さん登場。美由紀さんはスリムなインディゴジーンズと薄い色のシャツに黄色いカーディガン。最近は髪の毛を随分短くしましたが、これもシャープで素的です。いやあ、こんなに間近で困りますな。なんか、現実感覚が歪みます。でも、やはり彼女の魅力は外見よりも歌声。1曲目を歌いだしたときから本当に夢心地です。なんでしょうね、この存在感。そして、最近いろいろ人の曲を歌ったりしていますが、私はオリジナル、そしてport of notesの曲が好き。port of notesは英語詞のオリジナル曲が多いのですが、全く違和感ないんですよね。前半ですでに、私の大好きな「ほんの少し」を披露。本当に言葉がありません。
しかし、この日のライヴの素晴らしさは、ここで夢心地の私たちを現実世界に戻してくれる「笑い」の部分。いやあ、楽しかった。かっきんが奇妙奇天烈なオリジナル曲を披露したり、美由紀さんもわけの分からない曲をアカペラで歌ったりと、全く大きなステージでは見せることのない地の美由紀さんの姿を見ることができました。でも、本来美由紀さんは大きな舞台で気取っているわけではなく、自然体なんですけどね。まだ、畠山美由紀の名前しか知らない頃に『@SHIBUYA PPP』というという雑誌が女性ヴォーカリスト特集を組んでいて、美由紀さんも登場していた。そのインタビューは結婚前のものでしたが、普段は5本指靴下を履いているなど「ガハハ笑いをするお姉さん」的キャラを暴露していました。ちょっとだけ彼女の歌を耳にすると、歌唱力の技術的上手さが際立ちますが、聴けば聴くほどそうした彼女の人格がきちんと歌声に反映して奥深さを感じることができる、そんなところが魅力なんでしょうね。
演奏が終わり、21時半過ぎ。まだ時間はあるし、食事はしていないので、ハンバーガーとビールを注文し、この余韻をこの場所で楽しむことにしました。この日はもちろんTOPSさんが来ているので、久し振りにゆっくりお話をしながら、それでいて本人たちも出てくるのを待ちながら。小島さんは早々と客席の方に出てきて、友人と語らっていました。さすがに,そこに分け入るわけにもいきません。でも,少しするとステージを片付けに小島さんが一人きりになったところにすかさず声を掛けにいきます。というか,持参したCD『more than paradise』にサインをもらうため。TOPSさんも一緒だったので,意外に話が盛り上がりました。見た目どおりにとってもいい人です。お礼をいって席に戻ろうとすると,なんと楽屋から美由紀さん登場。といっても,おそらくかっきんのお子さんと思われる小さな子どもを連れて,両親を探しにでてきたのでしょうね。すかさず,同じCDにサインをいただく。子どもが一緒なのであまりゆっくり話せずに話題をTOPSさんに奪われてしまって(というか,突然のことだったので話そうと思っていた内容を忘れていました),美由紀さんとの対面も短時間でした。
でも,この日は本当にライヴが大満足だったので,一言交わしてサインをいただいただけで十分。ホクホク顔でTOPSさんとともに駅まで向かいます。

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完全生音

10月16日(火)

この日はNUUさんが完全生音ライヴ(全くPAを使わない)をするというので、初めてのお店まで行きました。四谷でも今まで足を踏み入れたことのないところ。なんとシェフの三國さんのホテルがありました。お店で食事ができるか分からなかったので、新宿でおにぎりを食べ、向かう。かなりの雨に降られてしまいました。

四谷コア石響 NUU
お店に到着すると、出迎えてくれたのはなんとクラリネット奏者の黒川紗恵子さん。受付で私が名前をいった途端に「あっ」と声が漏れる。黒川さんはko-ko-yaというユニットで笹子重治さんと一緒なので、手伝いに来たとのこと。改めて挨拶します。
この日は本当はパーカッションの渡辺 亮さんとギターの笹子さん、そしてNUUちゃんの3人のステージの予定でしたが、渡辺さんが出演できなくなったとのことで、なんと笹子さんのバンドCHORO CLUBがゲストとのこと。それにしても、食事してきて良かった。生音ということで、出演者側に何も余計なものがないように、観客の方も何もなし。食事どころかドリンクも。もちろん禁煙。パイプ椅子だけが整然と並べられた空間。開演直前に寒いくらいのエアコンを動かしたが、演奏中はエアコンの音がうるさいのでオフ。当然おしゃべりもなしのかなりな濃密空間。CHORO CLUBがよくここで生音ライヴをやっているとのことですが、これはこれで貴重だけど年に1度くらいで十分だ。
さすがに、CHORO CLUBのメンバーはその日の朝にその話をもらったとのことで、ほとんどは笹子さんとNUUさんの2人で演奏。新しいアルバム『縫う』から、ファーストアルバム『うたうの』からも「水の檻」も披露。やはりこの2人だからできる生音ですね。改めてNUUちゃんの歌声の良さを確認。笹子さんとのMCはけっこう好きなんですよね。休憩なしで、まずはコントラバスの沢田さんが登場して、笹子さんが引っ込んで、2人で「なんにもしない」を演奏。いやあ、沢田さんの演奏、ホント凄い。実は、コントラバス(あるいはウッドベース)の奏者で本当に凄いと思える人はそういない(といっても、多分聴く方の私の問題だと思うのですが)。そこからは秋岡さんと笹子さんが登場して一気に終盤戦です。笹子さんがblogに書いていましたが、NUUちゃんとの相性は心配するどころかばっちりです。エアコンをオフにした室内は最後には居心地が悪くなるほどにヒートアップしましたよ。でも、やっぱり本編最後は「1234…」だったんだよな。
終演後、お客さんがはけるまでアンケートなどを書いて時間をつぶし、黒川さんとちょっとお話をする。うーん、この人も美しい。そして、この日は黒川さんが先日dois mapasと演奏をした渋谷のアダン・オハナ・ギャラリーのマスターがお客でいらしてました。NUUちゃんとも面識があるみたい。CD『縫う』は持ってきた分が完売してしまって、「サインをしてお送りします」とのこと。私は発売日に購入したものを持参していたので、サインをもらう。NUUちゃん私の顔は覚えていてくれましたが、さすがに名前は忘れてしまっていた様子。まあ、また聴きにくることにしましょう

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日曜日,横浜

10月14日(日)

前日はあまりにもハードなスケジュールだったので,この日はのんびりしてから出かけることにしました。でも,睡眠時間は十分に取れたものの意外とのんびりはできない。横浜まで行く途中の武蔵小杉の東横線構内のパン屋で遅いランチ。
横浜についてチケット屋へ。残念ながら『ミス・ポター』の前売り券は売り切れということで,一般料金1800円で鑑賞。といいつつ,なんと横浜駅への帰り道で別のチケット屋で売っていた。残念...

横浜ムービル 『ミス・ポター
レニー・ゼルウィガー主演作品。日本ではいわずと知れた『ピーターラビット』の著者,ビアトリクス・ポターを演じるのがレニー。その半生を描きます。映画そのものというよりも、伝記的に面白い。まあ、当時で動物に衣類を着させ、人間のようにふるまう姿をメルヘンチックに描くというのはかなり奇異だったんでしょうね。どの出版社も理解を示しません。しかし、とある出版社が家族的な理由で、出版しようといいだします。この出版社は家族経営で、兄弟で編集をしています。そこにユアン・マクレガー演じる末の弟が加わります。30歳近くまで勤めることもなくフラフラしていた男が急に家業を手伝うというもんだから、兄2人は赤っ恥をかかせようとたくらみ、どう考えても売れるはずのないビアトリクスの作品を彼に任せたのです。
しかし、兄たちの思惑とは裏腹にこの出版は成功します。この成功はこの2人の人生を大きく変えます。これまで空想の世界に生きていて、縁談もうまくいかず恋も知らないビアトリクスとこの編集者は恋に落ちます。しかし、良家のポター夫妻はそれを許しません。毎年のように夏季に訪れている湖水地方に家族揃って出かけることで2人を引き離します。ところで、動物ばかり出てくるビアトリクス作品。確かに、幼い頃の湖水地方の思い出がベースにはなっていますが、製作されたのはロンドン。いわゆるピーターラビットの村はその後の話です(ちなみに、シーラ・スクワイアという地理学者はこの湖水地方への観光について論文を書いていて、『地理科学』に翻訳があります)。
この湖水地方での滞在中に、なんとユアン演じる編集者は亡くなってしまいます。家族も含めて人から離れたい一心でビアトリクスは湖水地方に家を買います。母親はもちろん反対しましたが、それを払いのける経済力をビアトリクスは持っていたのです。そう、遊んで暮らせるほどの印税が入っていたのです。湖水地方に住み着いたビアトリクスは、その幼い頃から馴染みの風景が開発の波に飲み込まれようとしているのを知り、少しずつ土地を買い始めます。たまたま幼い頃の友人がこの地方の不動産業を営んでいることもあって、次々に土地を買い集め、そののどかな田園風景を維持する人生となったとのことです。この地方はいまでもその風景が残され、ピーターラビットの故郷として観光地になっているとのこと。ビアトリクスは後にその不動産の男性と結婚しています。
まあ、映画のほうはいかにもレニー・ゼルウィガーですが、ユアンの姉役でエミリー・ワトソンなども出ていて、ロケも実際に湖水地方でおこなわれたということもあり、見応え十分です。
ちなみに,私のネット上での友人,うさぎさんが現在英国留学中なのですが,湖水地方に出かけたということでその旅行記が数回にわたって彼女のblogに掲載されています。よろしければどうぞ。

少し時間があったので、伊勢崎長者町で以前よく行った古書店を訪ねる。古書店って基本的に日曜日は休業ですが、ここはやっていて助かる。これぞというのはなかったので購入しませんでしたが、相変わらずいい品揃えです。

関内KAMOME 島 裕介
さて、ちょっと分かりにくい場所にあるジャズバー(バーというにはちょっと広めですが)に行く。看板を見つけて近づくと、なんとお店のお姉さんが出迎えてくれました。ちょっと寂しい場所なので、客引きのお姉さんに見えないことはありませんが、いい感じ。店内もとても素的です。ステージに近いところはソファ席で、カウンターに近いところには足の長い椅子。ちょっとチャージは高めですが、ドリンクは500円から、ハンバーグ定食や親子丼など、1人客にも嬉しいご飯メニューも充実しています。私は赤ワインに親子丼でくつろぎます。お客の入りは少なめで、最終的にも15人程度だったでしょうか。
この日はトランペッターの島 裕介さんが企画したというステージ。島さんとサックス奏者の武嶋 聡さんがフロント(武嶋さんは一度湯川潮音さんのサポートで聴いています)。バックは松下美千代さんというピアニストのトリオです。いやあ、また素的なミュージシャンに出会ってしまいました。この日のメンバーでは紅一点だったということもありますが、松下さんに釘付け。もちろん、その容姿だけではなく、演奏の素晴らしさ。私が良く聴いている太宰百合さんや宮嶋みぎわさんとはまた違った魅力を持ったピアニスト。相変わらず語彙不足でうまく表現できませんが、一発で素晴らしい奏者だということが分かります。
後で、最近島さんが箱根でデュオをしたり、stringsでもご一緒する予定だったのが美千代さんだったことを知り、納得。その日帰宅して夜中に彼女のサイトを読み漁ってしまいましたが、stringsの常連でもあったということも納得。ともかく、この出会いだけで十分満足。しかし、途中の休憩が長すぎ。1時間近くありました。あれは一人客には酷なのでやめて欲しい。美千代さんと一言交わしたいところですが、終演もけっこう遅かったので失礼しました。会計を済ませているところに島さんがやってきて少しお話。こういう感じでも隔月くらいでやりたいとのこと。最近はshima & shikou DUOであまり活動していないが、スウィートバナナなどの活動は盛んだなあ。志宏さんが忙しいのだろうか。

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マトリョミンをご存知ですか?

10月13日(土)

大学の講義が終わり、即ぴあに電話。つながらない。一十三十一の11月の銀座my humble house TOKYOでのライヴのチケット。ローソンチケットでも取り扱っているので、国分寺でローソンを探す。見つからない。ローソンって集中して出店しているのか、あるところには近くに2,3店あるのに、ないところにはない。ということで、諦めて吉祥寺に移動してPARCO内のチケットカウンターで購入。既に11時を回っていたが、35番をゲット。前回の横浜クルージングは数時間で完売だったが、今回は出足が遅いみたい。なんとか安心して渋谷に向かう。

渋谷TOEI 『パーフェクト・ストレンジャー
この日は時間的に余裕がなく、駅近くで大衆映画を観る。ハル・ベリー主演作品。彼女は私より年上なんですよね。ジェニファー・ロペスが同い年。いやあ、2人とも美しい(あ、別にジェニファーは出演していません)。なかなか分かりにくいストーリー。ネタバレでいきます。ブルース・ウィルス演じる広告代理店の社長に幼馴染を殺されて、復讐するということで、会社に潜入し、元同僚の男に助けを借りながら、近づき、最後には逮捕させ有罪判決にまでたどり着く物語。でも、やはりただでは終わりません。それまでにもいくつか意味ありげな過去の映像が挿入されていたが、結局は彼女自身が幼馴染を殺し、ウィルスに罪を着せたのだ。幼い頃、父親を殺して母親がその死体を埋めるところを隣に住む幼馴染に目撃されてしまい、いまだにそのことが2人の関係を支配していた。それを終わりにしたかったのだ。
まあ、けっこう面白かったのではないでしょうか。

五反田アトリエヘリコプター
この日はomu-toneが出演するなにやら楽しそうなイヴェントがあるので久し振りに五反田へ。この場所はもと工場か倉庫かで、それを改装してアトリエとして使っている。佐藤沙恵さんはテルミン奏者で、テルミン大学と名づけたテルミン教室をこのアトリエで開催しているとのこと。彼女がソロでCDを発売したとのことで、その記念イヴェントです。
佐藤沙恵:レコーディングにも参加したという、ギターの男性とパーカッションの女性、そしてbobtailでもお馴染みのアコーディオン奏者DANさん、というバンドで登場。なんと表現したらよいのでしょう。とても難しいですが、意外に普通ともいえます。どちらかというと音程の取りにくいテルミンはそれを逆に活かして音響系の演奏としていままで聴いたことがありましたが、沙恵さんの演奏は一音一音を正確に出すという奏法。それにしても、宙に浮かせた腕を正確な位置で静止させる技術はナカナカ見ていても楽しい。でも、沙恵さんは自分で作曲したりすることはあまりないらしく、今回のCDでもDANさんの曲を1曲と、このギタリストの曲を3曲収録しているとのこと。
そして、この日初めて目にしたのがマトリョミンという楽器。ロシアの有名な人形、マトリョーシカの内部に小型テルミンを組み込んだ楽器。そもそもテルミンがロシアで発明された楽器なので、まあありえますね。で、圧巻だったのは1部の最後に、テルミン大学の学生さんだと思われる10人の女性がそれぞれにマトリョミンを手にして登場。まあ、楽しい以上のものではありませんが…
omu-tone:休憩を挟んでomu-tone登場。この日もマリンバは1台。それに電子ピアノ。あまり長い演奏時間ではありませんでしたが、やっぱりいいですね。3人のコンビネーションが音的にもキャラ的にも。ちなみに、やっぱりあのマリンバは音がキレイだ。奏法も含めてやはり大橋エリさんとは随分違うな。マリンバ奏者って幾人も聴く機会がないので、一時期非常によく聴いた大橋エリさんをどうしても基準にしてしまう。
後半では佐藤沙恵さんがまた出てきてのセッション。といっても、そもそも沙恵さんのCDにomu-toneも参加しているらしい。澤口さんが提供した曲を一緒に演奏しているとのこと。いい組み合わせだ。チェロとかアイリッシュハープとかオーボエとかいろんな楽器と組み合わせてみたい。

私が聴いたのはお昼の部ということで、終了が17時前。五反田駅前の商店街で思わず5本指靴下を店頭で売っているのに引かれて購入。5足1050円でした。下北沢まで行ってみうさんと合流し、bio ojiyan cafeで軽く食事をしてから池ノ上へ。

池ノ上bobtail
この日は当然casaを聴きにきたのですが、意外にもナカナカ素的な2組の演奏がありました。
IRIS:女性ヴォーカルに、ピアノ、ベース、ドラムスというトリオでの演奏(多分ギターはなかったような…)。しかも、ベースが河瀬英樹さんでした。彼のバンドRUNT STARは聴いたことがないのだが、はやしいとさんや拝郷メイコさん、加藤千晶さんで馴染みのベーシスト。来月のレコ発には永山マキさんをゲストで呼んでの7th floorだっていうから、面白い。バックの演奏はやっぱり良いし,歌声もきれいだが,もう少し頑張れって感じ。レコ発までにはリハーサルを積んで安定した演奏を聴かせて欲しい。
たゆたう:今回の収穫の京都から来た女性2人組。一人の女性がギターを弾いて歌います。一人でも通用しそうな感じではありますが,もう一人がまた素晴らしいのだ。ヴァイオリンを弾いたかと思えば,アコーディオンも弾きます。その他にも鍵盤ハーモニカとかいろいろ小物も。さすが,侮れない京都娘です。歌声の方は,Quinkaのような遊び心のある可愛い声かと思えば,曲の途中でアチコさんのような絶叫に近い裏声も出します。まあ,そこまでいうと大袈裟ですが,ともかく初めて岩﨑 愛ちゃんを聴いた時のような密かな喜び。
casa:長崎,福岡,北九州と九州ツアーから帰ってきたcasa。この日はしっとり2人でのステージです。もうcasaのライヴは今年14回目。11回のhitme & miggyとともに,飽きることなく聴いております。最近は夕紀子さんがblogを始めたこともあり,なんとなく彼女の心情によって歌の抑揚や強さの違いを楽しめるようにもなってきました。この日はMCも素的。なにやら,九州では弟の美宏君が随分しゃべったとのこと。
終演後ものんびりしましたが,まだ病み上がらないみうさんは辛そう。でも,夕紀子さんとゆっくりしゃべれるシチュエーションだったので,みうさんほったらかし。ゴメンネ。早めに帰してあげればよかったね。結局,その後たゆたうの唯一のCD(ライヴ盤)を300円で購入し,終電近くまで。casaと一緒に駅まで向かいます。

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大盛況ライヴ

10月12日(金)

2日続いての440。この日はサカウエ君も一緒ということで,18時に待ち合わせてカレー屋「茄子おやじ」に連れて行く予定がお休みでした。以前に一人で行った,近くのタイ料理屋へ。なんてことのないちいさなお店なんだけど,なんとなくお店の人の人柄が良いなって思っていたけど,それはサカウエ君にも伝わった様子。

下北沢440
440に戻るとそれなりに人が集まっています。私の方が整理番号が早かったので,先に入場して席を確保。中ほどの一段上がったところの最前列。けっこう人気の席です。あれよあれよという間に満席になり,開演前には立ち見も出る盛況振りでした。私の知ったミュージシャンも多数。列挙してみましょうか(敬称略)。
オオタユキ
佐野遊穂(ハンバートハンバート。佐藤良成氏は安宅さんのステージでヴァイオリン出演)
ari
canappeco(canaさんとcoziさんは別にやってきました)
mue
今野英明
神田サオリ(ミュージシャンではなくアーティスト)
BIC(Hands of creation)
あー,なんかもっといたような気もしますが,思い出せません。このライヴは当然オヤスミレコード主催ということで,bobtail関係者や常連さんなども多く集まりました(TOPSさんもその一人)。しかも,こうしたミュージシャンが後方にたむろするのではなく,隙間を狙って前方の席をゲットしているのが面白い。

安宅浩司:実は,安宅さんの演奏はあまり聴いたことがない。多分,キッチンでは2度ほどあるが,ハンバートハンバートでは1回は確実にあるけど,そんなに回数は多くないと思う。なので,ヤマカミヒトミさんのblogで彼のレコーディングを橋本 歩さんと一緒にbobtailでした,という話を読んでもあまりピンと来なかった。この日聴くまで,彼が唄うとも知らなかったくらいだ。この日はその2人は参加しなかったけど(どうやら12月2日にラ・カーニャでこの2人をサポートの招いてライヴをするらしい),hitmeさんと同じカセットコンロスのアンドウケンジロウさんがクラリネットで,そしてベースの熊坂さんがサポートしてのステージ。おおはた雄一さんも数曲参加します。歌声はあまり私好みではありませんが,やはりその音楽性は彼が関わっている多くのミュージシャンと共通した気持ちよさがあり,ライヴはとっても楽しめます。

おおはた雄一:この間におおはたさんを挟むってところが,羽場さんにくいですね。2日連続440のおおはたさん。開場待ちの時に店から出てきたところに声を掛けたら,「昨日からずーっとここにいる感じですよ」と,かなり上機嫌です。それもそのはず,この2日間で,3組のアーティストのレコ発で,どれも彼が関わっているのですから。そんな感じで,一人で軽く,短めに場をつなぎます。それでも,ぐぐっと心を掴んでいく演奏をするところはさすがです。

ううじん:なぜか,私はううじんさんを素直に大好きになれないところがある。歌声は美しいし,楽曲だって素朴で素的な曲ばかりだ。まあ,分かっている理由は2つほどある。1つは,これまでううじんさんのライヴを4回観ているのだが,1回目は正直驚きました。しかし,その期待でのぞんだ2回目以降がちょっと期待はずれだったというか,ギターも歌も演奏が安定していないように感じたのです。カヴァー曲も多かったりして。そして,2つめはなんとなくariさんと比較してしまうこと。活動歴がどちらが長いか知らないのだけど,少なくともariさんのファン歴が長い私にとって,ううじんさんの方が知名度が高いのが気に入らないのかもしれない。まあ,そういうことはどうでもいいんだけど。でも,やっぱりじいさんとかばあさんとか,そういうものを歌の主題にしているううじんさんの方がインパクトがあるんだろうな。
まあ,そんな話はおいておいて,ともかくこの日のステージは格別でした。レコーディングに参加したミュージシャン(安宅さんとほとんど同じですが,一人鍵盤弾きのサバンナさんという人が加わりました)のサポートでの演奏でしたが,単に音数が多くなったということではなく,まさにサポートという感じで,ううじんさん自身の歌とギターが良かったんですね。まあ,あれだけの人数のお客さんを目の前にすれば自ずから自信に溢れモチベーションも上がることでしょう。そして,私の左の方で立ったり座ったりしていたcanaさんがいいところで生歌コーラスを入れたりして(彼女は好きでよくやっています),ちょうど私の位置ではそれが良く聴こえて最高でしたよ。お客さんの盛り上がりも本当に素晴らしく,たまにbobtailで起こるマジックが440にも下りてきましたね。
アンコールでは安宅さんも登場し,おおはたさんがドラムスを叩くなど(そうそう,書き忘れましたが前日のアンコールでのセッションでは,おおはたさんは最近購入したというベースを弾いていました),楽しかったですねえ。ちなみに,私もこの日ううじんさんのCD『おめでとう ありがとう』を購入しましたが,これが素晴らしい出来です。mona recordsにも売っていますので,この日に購入できなかった人は是非。
サカウエ君はこの日来ていたくまこさんとお話していくというので,私は早々に帰宅しました。ライヴ続きで翌朝も早いしね。

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面倒くさいので今回はリンクなし

10月9日(火)

この日もみうさんとご一緒する予定ですが、体調不良のため、メール交換で状況確認。どうやら私の知らない病名を診断され、どうもあやしい様子。一人で中目黒のライヴハウス楽屋に向かいます。ここは料理も美味しいので開演30分前に到着。

中目黒楽屋
すると、私が一番乗り。少し待ってもみうさんは来そうにないので、一人用の料理、カレーラーメンを注文。といっても、タイ風のカレーに、ベトナムの米の麺なので、違和感はありません。辛くて美味しい。なかなか2人目のお客さんがやってこないところに、夕紀子さんが着替えるために楽屋から上がってくる。「今日はナルセさん一人のためですかねえ」などと笑っていると、何人かやってきて、開演時には5人になりました。夕紀子さんが歌い始めて数曲目でみうさんも登場。点滴を打ってきて遅くなったとのこと。ご苦労様です。
古賀夕紀子:この日はcasaとしてではなく、ソロでの登場。ここ楽屋では何度かやっています。ソロの時に欠かせないギタリスト前原さんと、casaでもお馴染みのドラマー菅原さんによる演奏。ソロということで、casaの曲よりもカヴァー曲や自らのオリジナル曲を演奏。なんと、フルートを吹き、ピアノ弾き語りまで。なんとも贅沢です。それこそ独り占めしたい感じ。カヴァーはけっこうブラジルの曲が多く、他にも金延幸子など(あー他に思い出せない。もったいないなあ)を歌ってくれました。
スマン4:こちらはトランペットの女性、ピアノの女性、トロンボーンの男性、ウッドベースの男性という4人組。そろいのTシャツを着て、随分ゆるい感じで楽しい演奏を期待したが、意外に真面目な感じ。本人たちはふざけようとしているんだけど、根が真面目なんでしょうね。お客が多くて盛り上がれば話も別なんでしょうけど、なんだか中途半端な感じ。
この日は30分のステージを交互に2回ずつやるという構成で、古賀夕紀子→スマン4→古賀夕紀子、の時点でみうさんが辛そうなので帰ることに。casaのサポートもしているnoa noaのフルート奏者上野さんも客席に来ていましたが、それでもお客は総勢8人というところで、出演者が7人だっただけに、かなり寂しいですね。良いお店に良い出演者でも、なかなかです。

10月11日(木)

有楽町日劇 『クローズド・ノート
なにやら主演の沢尻エリカの舞台挨拶が話題になっているので、土日を避けて平日に鑑賞。さすがにガラガラでした。ここのところ、監督作品が続いている行定 勲作品。ストーリーは説明するまでもないですよね。私は『世界の中心で、愛をさけぶ』を観ていませんが(観ず嫌い)、本作はとても好き。多少分かりきった展開ではありますが,なんといっても竹内結子がいい。まあ,ちょっとあまりにもできすぎた人物像ですが,やはり竹内結子はああいう役が似合う。そして,沢尻エリカと同時に登場するシーンはないのですが,竹内結子と比べると,ちょっとエリカちゃん肉付き良すぎじゃないのと思ってしまう。話の展開がとてもテンポ良く,そして,こういう過去と現在が交錯するものは泣き所満載で困りますね。でも,最後,エリカが伊勢谷友介の個展で日記を読むシーン。ここでの伊勢谷君の泣く演技はいまいちだったなあ。ここぞという時に,やはり彼自身はあまり哀の表情を表に出すのは苦手なのだろうか。あの場面では私の方が立派に泣いてたよ!って感じです。
ちなみに,万年筆屋のシーンがとても好き。
木曜日ですから,法政大学で講義でしたが,その後のライヴは19時半開場ということで助かります。事前に食事をしても十分間に合います(どこで食べたのか思い出せない)。これだけ時間が遅いのに,開場時間に集まったのはせいぜい6人。整理番号も関係なく,私は一番に入り,最前列をゲット。おおはたさんのライヴでよく見かける女性も最前列です。

下北沢440
この日はおおはた雄一さんプロデュースによるカヴァーアルバム『canary』を8月に発売した扇谷一穂さんのワンマンライヴ。もちろん,おおはたさんの他,グッドラックヘイワとmule trainという一穂さんに関係する名前が並んでいますが,基本的に扇谷さんが主役。
扇谷さん,この日もキレイだったなあ。この人は本当に美しいと思う。といっても,とびきりの美人という顔ではないし,グラマラスなボディをもっているわけでもない(失礼!)。でも,全てが洗練されていて無駄がなくて,それでいて自然体で,隙がない。でも,ちゃんと親しみがあるんですよね。そんな扇谷さんの魅力満載のステージでした。ゲストの3組も,そんな扇谷さんの魅力を最大限に引き出す引き当て役としての演奏はさすが。グッドラックヘイワの2人は初めてでしたが,ドラムスとピアノという基本でありながら意外に変わった男性の2人組で,ギター1本おおはたさんのサポートとはまた違った雰囲気を醸し出していました。
この日は『canary』から中心にカヴァーのみのステージ。たまには『しののめ』のオリジナル曲を聴きたいなあと思いましたが,2時間に満たないコンパクトなステージとしてはまとまりがあってよかったのかもしれません。一穂さんのステージ上での立ち居振る舞いから今回はとてもキュートな部分が目立った,本当に愛おしいライヴでした。
この日は同じ下北沢でサックス奏者のヤマカミヒトミさんがソロライヴをやっているというので,早めに出口に向かいますが,久し振りにflex lifeの青木里枝さんを発見。そういえば,扇谷さんとはプライヴェートでも出かけるという仲の良い2人でしたね。それから,後方にはcanappecoのcanaちゃんと,BE THE VOICEの2人がいました。和田純子さんは私の顔を見るなり「これからhitmeちゃんのライヴ行きます?」とどうやら彼女も行きたい様子。そのお店sugarはとても分かりにくい場所にあるので,いったことがあるかどうかたずねてみると。やはりないとのこと。一緒に行ければよかったんだけど扇谷さんに挨拶したいとのことで,私もちょっと物販を冷やかして待っていた。で,思わずTシャツを購入。サイズが2種類しかなく,迷った挙句女性用の小さいのを購入しましたが,ピチピチにはならず安心。素的なTシャツで,別の色の方も買いたいくらい。そんなことをしていると扇谷さんがやってきたので,すかさず持参したCDにサインをねだる。ついでに純子さんにも引き合わせたりしたんだけど,その間に知り合いのミュージシャン立ちも増えてしまったようで,「ナルセさん先に行って」とのこと。

下北沢sugar ヤマカミヒトミ
やはり何度か行ったことのある私でも若干迷って到着。既に2ndステージが始まっていました。店内はかなりの込みようで,マスターも次々と注文されるドリンクに大忙し。なぜかhitmeさんの正面のソファが空いていたので,図々しくもそこに座る。hitmeさんはギタリスト平岡雄一郎さんとのデュオ。平岡さんは以前も永山マキさんとご一緒していたので,経験済み。
私が入って行ったとき,ちょうどソプラノサックスでの演奏。最近,めっきりソプラノの出番がなくなっていたhitmeさんですが,やっぱりカッコイイ!入った途端に「やっぱり来て良かった!」と思った。楽器のことだけでなく,やはり演奏もhitme & miggyの時とも,カセットコンロスの時とも違う。ああ見えてけっこう控えめで気遣いやさんだと勝手に思っているhitmeさん。といっても,別に自分を抑えて人に合わせているというわけではなく,メンバーから引き出される自分自身を楽しんでいる感じ。なので,こうしたソロは誰にも依存せずに本当に自分勝手にやっていて,またそれも同等に楽しんでいるところがなんともいえません。どれもhitmeさんの魅力ですね。もちろん,この日は控えめに演奏していた平岡さんもスゴイ。結局,5曲しか聴けませんでしたが,投げ銭は1000円を入れてきました。さすがに本人が集金に回ってきたら小銭を入れるわけにはいきませんしね。本人も「生々しい~」といっていましたが。
なぜか,近くに座っていたお姉さんから「こっちにきて一緒に呑みましょうよ~」と誘われてサカウエ君と不思議なテーブルに加わってしばし呑む。そんな感じの,この日も長い一日でした。

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個の礼讃

ツヴェスタン・トドロフ著,岡田温司・大塚直子訳 2002. 『個の礼讃――ルネサンス期フランドルの肖像画』白水社,310p.,2900円.

まずは,内容とは関係ないことから。本書は『日常礼讃――フェルメール時代のオランダ風俗画』の姉妹編。原著では,この2冊の発行年に7年の間があるが,トドロフが本格的に美術批評を行った本ということで,翻訳は同じ時期に同じ出版社から似た装丁で出版された。私は両方とも古書店で購入したのだが,どちらもあまりついていない。『日常礼讃』の方は,新刊図書を1割以上の値引きで売っている神保町の書店で購入したのだが,なんと驚くべきことに,活字が欠落しているのが数箇所あったのだ。ひょっとして不良品が中古本に流れてしまったのではないかと思いながらも,出版社に連絡して交換。
そして,本書。こちらは吉祥寺の古書店で購入。800円という値段が気になりながらも,パラパラとめくって問題なさそうなので購入。そして,今回いざ詠もうと思ったら冒頭の47ページ,びっしりと緑のボールペンで書き込み。これはかなりショックです。やっぱりひととおり全部のページをチェックしなくてはいけませんね。

そんな冒頭の「古代の肖像画における栄華と衰退」という文章は,本書のテーマであるルネサンス期の肖像画の背景となる,ルネサンス以前の小増加の歴史を教科書的に辿っている。哲学的にその含意を述べるのではなく,下線を引きやすいキーワードが頻出する。まさに人物の顔が描かれ,その形態が変化していく肖像画前史となっています。トドロフらしからぬ,私には退屈な記述ですが,前の持ち主にとってはこここそが必要な情報であり,その後の複雑なルネサンス作品の考察はどうでも良かったのでしょう。前半だけやたらと下線が引いてある割には新品同様なのです。だから気づかなかったんですね。

さて,本編に入ると,なかなか本題に入りません。ルネサンス期の小増加を理解するために必要な歴史的背景の考察が続くのです。中世の間の政治的な問題と宗教的な問題。もちろん,古代から中世にかけて,絵画に描かれた人物というのは神話上の人物,ないしは政治的に偉い人に決まっています。
その際たるものはキリストであり,その母であるマリア。
そして,発達する印刷技術。印刷物を飾る彩色挿絵。社会における書物の役割。ルネサンス絵画といえば,わたしたちはイタリアを思い浮かべますが,本書の対象である肖像画,そして『日常礼讃』の対象である風俗画,あるいは静物画はフランドルやネーデルランドで登場します。地中海に面して太陽の光が豊かな温暖地域であるイタリアと,暗くて寒い北部地域。地図や風景画が,そして印刷技術も発展していくのはドイツからベルギーにかけての地域。そんなヨーロッパ内部での地理的な違いと,ルネサンス展開の時期的な違い。
いろんな要素から,本書では本編「15世紀フランドル絵画」と題された章が,3人の画家とともに,時期に分けて説明されます。「断絶」と題された節に登場するのはロベール・カンパン。このころから,中世的な人物像とは大きく変化していきます。そもそも人物画とは,描く人,描かれる人,観る人の微妙な人間関係でどう描くかが決まってくるものであり,現在のように写実的に描くことが意味を持ち始めるのはこの時期なんです。カンパンは知られた画家ではありませんが,歴史上なお残すような人物ではない肖像画を残したり,キリストやマリアを,現実に生きる人間と同様の像として描いたり,そしてなによりもその写実性。
そんな変化は「成就」期のヤン・ファン・エイクに受け継がれます。この頃になると,肖像画と同時に写実的なものに発展していく風景画や室内画もが肖像画に反映されます。まさに,その人物が自然にその場にいるように,人物の余白に室内があり,窓の外には自然の風景が拡がります。
そして「後裔」期に取り上げられるロヒール・ファン・デル・ウェイデン。描かれるのはその辺にいるたわいもない人物。あるいは無名の人物。しかし,今度はそうなると,個としての個人がそのまま描かれるというよりは,個人の外見から理解するこのとのできる,あるいは外見に滲み出る性質を昇華して,より普遍的な,あるいは抽象的ななにかが,絵画の主題として描かれるということです。肖像画が画家自身の芸術的作品として誕生するわけです。

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台風の影響で野外フェス中止

10月8日(月,祝)

野外フェスといってもそんな大掛かりなものではありません。
この日は本当は稲毛海岸公園のなかの野外音楽堂でリトルハンセン主催のイヴェント「TOKYO SONGS」が開催される予定だった。しかし,台風に伴う雨の予報で,前日の夜に中止決定。結果的にあまり雨は降りませんでしたが,予定を変更してマッキーさんとみうさんと3人で『包帯クラブ』を観ることとしました。私は合流する前に1本。

渋谷アミューズCQN 『サウスバウンド
森田芳光監督作品、豊川悦司主演。もう、大好きです、こういう作品。豊川悦司は学生時代、学生運動に身を投じ、未だに社会に適応しないで作家活動を続けている。天海祐希演じる奥さんも彼に憧れて結婚したというのだから、普通の家族なはずがない。吉田日出子演じる役所の人が、「年金を支払うのは国民の義務です」というと「じゃあ、国民やめた」と返すほどだ。小学生の長男と次女役の子どもたちも可愛い。そして、なんと長女役が北川景子。天海祐希の子どもってどうなの?と思いながらもキレイだから許しちゃいましょう。いやあ、ホント景子ちゃん美しい。浅草で暮らしていたこの家族にもいろいろ問題があり、突然天海演じる母親が、「わが家は西表島に引っ越します」と宣言する。予告編からでは、これは父親の決定かと思いきや、この宣言を聞いて父親が驚くシーンは面白い。
父親は沖縄の出身。先祖代々関係のあるというこの島の偉い爺さんの紹介で、とある空き家を借りて住みつくことに。ここでも大問題。その家の建つ敷地は既に東京の開発業者が買収した土地だったのだ。立ち退き命令が出ても、「そっちの法律のほうがおかしい、ナンセンス」といって聞かない。最後には強制退去になってしまうが、そのやりとりや、その後の顛末も面白い。
こう、あらすじを書いても面白くないなあ。ともかく、この本筋以外にも楽しめる要素満載の映画です。

渋谷シネマQ-AX 『包帯クラブ
マッキーさんと合流。みうさんは朝、熱があるというメールをもらっていたが、やはり回復しなかったようで、2人で観ることにしました。事前に受付を済ませ、この映画館が入っているビルの1階に入っているカフェでお茶をすることに。結局昼食を取る暇がなかったので、ちょっとスウィーツでも、ということで温かいアップルパイ、アイスクリーム添えをいただく。やっぱりそれほど美味しくないんだよな。まあ、お店としてはまあまあかな。なんどか入れ替わっているこのスペース。
さて、『包帯クラブ』をなぜ私とみうさんが観ようと思ったかというと、2人がファンのハンバートハンバートが音楽を担当しているからだ。マッキーさんはハンバートを聴いたことがないが、共通の友人ということで誘った次第。
映画は柳楽優弥出演作。しかし、一応主演は石原さとみ。彼女の出演作はあまり観ていないこともあり、勝手に外見からあまり好きでないと思っていた。私の目に触れる彼女はいつもニコニコしすぎで女優というよりはアイドルだったから。でも、本作では、自殺も考えてしまうくらいいつでも冷めていて、不機嫌で、素直でない。そんな姿には女優を感じる。そして、いつも脇役だが意外に気に入っている貫地谷しほりが女子高生で石原の親友役。ちょっとあまりにもおバカな役だが、まあ彼女だから許しましょう。
いやあ、この映画素的です。泣けます。ハンバートの曲は佐野遊穂さんのハミングが素的だが、ちょっと単調な気もします。それに、肝心なエンディングが高橋 瞳だし。まあ、それはともかく、やはり柳楽優弥の存在は大きい。田中 圭君の役どころもいい感じ。ちょっとストーリーを説明すると面白くなくなりそうで、やめておきますが、こういう良い作品を短い上映期間で終わらせてしまうのはあまりにも惜しい。ストーリーのよさというよりは映画としてのテンポの良さがいいのかもしれません。
ともかく、観るべき作品。特に、登場人物と同世代の高校生に観て欲しいと思う。マッキーさんも大満足だったようです。

そんな2人で、以前から行ってみたかった「ひもの屋」に行ってみました。渋谷本店は満席でしたが、2号店に案内されるとかなり空いていました。個室に案内され、良い感じ。料理の種類はかなり多く、2人だったのでそれほど多くは食べられませんでしたが、また来たいお店ですね。祖師ヶ谷大蔵にもあったので、けっこう店舗展開はしているみたい。

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映画とライヴばっかり

10月7日(日)

もう最近はデートの予定も全然ないので,日曜日にライヴしか予定がないと,その前に映画を2本観ないと気がすまない。誰か私を止めて~

渋谷シネマQ-AX 『キャプティビティ
たまにこういうしょうもない映画を観てしまうんですよね。うーん,説明するのも面倒だな。ネタバレです。ある有名広告モデルの女性が主人公。彼女の住む街で最近謎の失踪事件が続いている。当然,映画でこういう展開だったら彼女が次のターゲットになります。地下室に閉じ込められて逃げられない。とある日,隣の部屋にも同じように男性が閉じ込められていることに気づき,2人で脱走を試みる。それは残念ながら失敗するのだが,2人は同じ部屋にいることになり,恐怖のなかでの一体感により結ばれてしまう。でも,ここでどんでん返し一回目。この男は犯人と兄弟で,共犯だったのだ。そんな感じでこの兄弟が幼い頃母親を殺す回想場面や,弟が兄を刺したり,やってきた警官を殺したり,まあ,ドタバタあって,最終的に主人公の女が逃げて一件落着。かと思いきや,最後のシーンで,なにやらこの事件を仕組んだのは彼女自身だったような映像が。えー,ちょっとつじつまあわなすぎなくない?
ま,こんなもんか。モデルってのに,太目のグラマラスボディだし。

渋谷ユーロスペース 『ミリキタニの猫
同じ建物の別の映画館でもう1本。以前から気になっていた作品ではありますが,ドキュメンタリーだし,予告編以上の展開は期待できないと勝手に思っていた。でも,この日は時間的にちょうど良いのがこの作品だった。でも,私の予想をはるかに越える素晴らしい作品でした。予告編では,ミリキタニというおじいさんがいかにすごいかかがこの作品の決めてかと思いきや,実は監督だったんです。
どうやら,この作品の監督はドキュメンタリー作家などではなく,普通に会社勤務する女性のようです。とある日,路上生活しながら絵を描いているミリキタニに出会います。本人に撮影許可を得て,話を聞きだす監督。その時,ミリキタニは「私は巨匠だ。今ここには作品製作のために一時的に住んでいるにすぎない」というが,明らかに彼はホームレスの気難しい爺さんだ。監督は,彼の下に通いつめることで,少しずつ話を聴くことができるようになる。といっても,はじめの頃は誰にでもいう主張を聞いていた。彼は米国で生まれた市民であるにもかかわらず,太平洋戦争時に日系ということで強制収容所に入れられ,市民権を奪われ,夢を絶たれ,家族と離れ離れになる。そんな米国政府への恨みが彼を頑なにさせているように思う。監督はそんな彼の意固地な心を少しでもほぐしていこうと,そして奪われた権利を取り戻すことができることを遅ればせながら彼に分かってもらおうとする。
そんな2人に訪れた転機は2001年9月11日の世界貿易ビルのテロ事件だ。現場からそれほど遠くない場所でやはり絵を描き続けていたミリキタニだが,さすがにそこで野宿するのは危険すぎる。ということで,監督が住むアパートに住まわせることになったのだ。当然同居するとなれば、お互い興味本位ではいられません。米国の社会保険証などいらんと意固地だったミリキタニ氏も次々と監督が与えてくれる好意に応えるようになってきて、多くのことが変わっていきました。米国で活躍するミリキタニ姓の女性詩人がいることがわかり(ミリキタニなんていう名字は日本でも滅多に出会いません)、単身高齢者を年金で住まわせてくれるアパートが見つかり、老人ホームでの絵画教室で教えることになったり、かつて強制収容所があった場所に他の日系人たちとツアーに出かけたり、最後にはこれが涙ものですが、別の強制収容所に入れられて離れ離れになったお姉さんに再会してしまうのです。
そんな、ドキュメンタリーらしからぬあまりにもドラマティックな結末を迎えてしまいます。しかも、この映画が完成し、それとともに日本に監督とともにやってきて、彼の出身地である広島にも訪れたようです。一人のホームレスの男性に、とある女性が興味を持ってからできた小さなドキュメンタリー映画ですが、これを通して世界で起こっている多くのことを考えることができます。素晴らしい作品。

池ノ上bobtail
eart:以前にも一度、ここbobtailで聴いたことのある、女性ヴォーカルがバンド編成で歌います。ベースにはいろんなところみかける田中啓介氏。心地良い歌声。
植田慶介:ギター弾き語りの男性。普段はバンドをしているということですが、意外にいい歌声を聴かせてくれました。曲もナカナカ。あら,月球のヴォーカルだったのね。私はドラムスの神谷君の演奏以外聴いたことないけど,けっこう人気らしいから,彼を目当てに来たお客さんも多かったのか。
ナオリュウ:さて、今回は私がみたことない2人をサポートに招いてのステージ。ピアノとパーカッションの男性2人です。久し振りにピアノを入れたナオリュウさん。いやあ、久し振りにしっかりと胸に届くパフォーマンスでした。こういっては失礼だが、昨年後半に家族にいろいろあって、ライヴをお休みしていたナオリュウさん。再開してからも、ピアノでずっとサポートしてくれていた桜井さんが多忙で、一人弾き語りで、ライヴチャージを取らない店での演奏が続いていました。やっぱり演奏面での支えがないということもありますが、どこかふっきれない、そんな印象が残るステージが多かったのです。でも、先日原宿KDDIスタジオでのフリーライヴでギターのサポートが入り、マオコさんの結婚式で滋賀まで行って2人のために新曲を作り、そんななかで以前のようなパワフルさを取り戻したように思います。歌声もギターも申し分なし。幸い、この日のbobtailはかなりの盛況で、とても満足のいくライヴでした。3組とも良かったし、今後も楽しみですね。

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たまには夜に家でゆっくりしたい

10月6日(土)

渋谷イメージフォーラム 『明るい瞳
フランス映画。主人公の女性はとある施設に入れられていたようだが、今は兄夫婦に引き取られて同居している。ちょっと素行が普通ではなく、社会生活には向かないということのようだが、日常生活に支障をきたすような重度な障害ではない。兄嫁の情事を目撃してしまってから、特に居心地が悪くなって、彼女は車でドイツへと家出する。ドイツには父親の墓があるのだ。父親は彼女が若かりし頃、母親の他に女性をつくってしまい、母子を見捨ててドイツに移住し、そこで亡くなった。彼女はその葬式に連れて行ってもらえなかったのだ。結局、村の名前は聞いたものの、墓地の場所は分からない。そんな時にタイヤもパンクしてしまう。その近所に住んでいた男性がタイヤ交換をしてくれて、言葉が通じないものの、墓地まで案内してくれる。彼女はそんなきこりの彼の家に住みついて…
そんな感じのストーリーです。でも物語の展開はそれほど重要ではなく、彼女の姿を追いながらのんびりと過ぎ行く時間を感じることが楽しい作品。自由奔放に生きるのは難しいけど、そういう心をなくしてしまったら、その可能性すら自ら奪ってしまうことになる。なんてことを穏やかに教えてくれる作品。

渋谷ピカデリー 『幸せのレシピ
電車の中吊り広告か何かでこの作品のことを知る。このタイトルと、コック姿のキャサリン・ゼタ=ジョーンズの写真で、この作品が2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイクであることがすぐ分かる。しかし、その広告や後に映画館で入手したチラシにもリメイクのことは何も書いていない。このリメイク版の原題は「No Reservation(予約不要)」だし、それに「幸せのレシピ」という邦題をつけた時点で、日本で公開されたオリジナルのことを意識しているはずなのに、販売促進上、日本人の誰もが知っているわけではないオリジナル作品に言及する必要性を感じなかったのだろうか。でも、やっぱり配給会社の誠実さは感じられない。
かといって、相手役はアーロン・エッカートだし、子役は『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリンだし、観ないわけにはいかない。ちなみに、オリジナルではドイツ人の主人公に、相手役は『赤いアモーレ』にも出演していたイタリア人俳優。劇中で、イタリア旅行などをするシーンもあり、彼が陽気なイタリア人という設定が不可欠だった。それに対して、こちらの方はニューヨークが舞台で、お互いアメリカ人。設定を変えて、しかも一見ラヴコメディタッチなので、別作品として楽しめるものかと想像した。しかし、スタッフのオリジナルに対する敬意はかなりもののようで、脚本はかなりオリジナルを活かしていると思う。なので、いわゆるラヴコメディ的要素はそれほど多くなく(そういえば、最近のアメリカ映画のラヴコメの質低下については書きましたね)、しっかり泣かせるところは泣かせていました。といっても、こういうリメイク版を観ると、日本で5年前に公開されたオリジナル版の話の展開も思い出してしまうもので、話の筋がみえてしまうと、どうにも演技としてしか観られないのでそこがちょっとね。
それから、アーロン・エッカートの役どころはイタリアかぶれになった時期があって、という設定でしたが、やはりその陽気な役作りには多少の無理があったかな。といっても、ナカナカ素的な作品です。

渋谷タワーレコード Bophana
この日は夜をゆっくり家で過ごしたいと思ったので、ライヴの予定は入れず、ちょっとインストアライヴを冷やかす程度にしておきました。実は、このインストアライヴの時間を勘違いしていて、14時からだと思っていて、映画→ライヴ→映画の予定を急遽変更したために、2本目の映画を何にするかをさんざん悩んだ挙句、『幸せのレシピ』にしたので、映画が終わるのが、インストアライヴの始まるのと同じ16時だった。急いでタワレコ5階に行くと、既に始まっていました。
通常、タワレコ渋谷店のインストアというと地下1階ですが、その場合かなりの客数と整理券などの手配が必要となる。でも、Bophanaはフリーでやりたかったんでしょうね。通常はジャズなどのアーティストがやっている5階で。中央にスペースを作って若干の椅子を用意してのライヴ。当然私は椅子には座れませんでしたが、横から聴くことにした。かれらのライヴは何度か聴いていて、ヴォーカルの山田里香さんの歌声は素的だと思いつつも、なぜかメチャクチャ好きにはならず、って感じでしたが、今回聴いてみて、やっぱり積極的に聴きに行くほど私の好みのゾーンには入ってこないかな、と実感。何度か聴いて好きだと実感するケースもあるんですけどね。

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久し振りの7時間睡眠

相変わらず,タイトルと下に書いている日記とは関係ありません。1週間以上ずれていますね。

10月4日(木)

銀座シネスイッチ 『題名のない子守唄
『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督最新作。この映画,かなりすごいです。本編が始まる前に「日本の観客に向けて」というクレジットが出る。まあ、結末を観ていない人に漏らさないで欲しいということなので、ネタバレなしにします。でも、そういいたくなるもの分かります。かといって、かつての『シックスセンス』のような、あるは『ユージュアルサスペクツ』のような「衝撃的なラスト」といった類のものではない。宙ぶらりにするという意味の「サスペンス」ではなく、しっかりと地に足のついた物語が進展していく過程を非常に楽しめる作品。ドキドキとかワクワクとかそういうのとは違う刺激をいただく映画です。ともかく、主演女優が素晴らしい。金髪の過去と縮れ毛で黒髪の現在とでまさに別人のような演じ分け。そして、子役も素晴らしい。こんなパフォーマンスを期待される役どころなどそうはないだろう。
まあ、私の薦めにしたがって実際に観る人なんてほとんどいないだろうが、それでもやっぱり観て欲しい、といいたい。

10月5日(金)

仕事を終えて、最近は一度帰宅して着替えて外出することが多いのだが、この日はそのままの格好で電車に乗り、渋谷へ。この日はTOKYO FMのスペイン坂スタジオの番組に矢野真紀ちゃんがゲスト出演するというので、観覧しにいったのだ。15分ほど前に着いてしまったが、既に来ている客は4人。しかも、番組が始まる18時になってもお客さんは10人程度。この情報は本人のblogで発表されただけだったためか、ちょっと寂しいね。通りすがりの人も、「誰?」「知らな~い」って感じで行ってしまう。でも、私の隣にいた女性2人はかなり気合が入っていて、厚紙に手書きでメッセージを書いてきて、『窓』のCDとともに、ガラス越しに本人に見せている。
まあ、パーソナリティとの会話は内容的に新鮮なものはなかったが、実際のやり取りはやっぱり楽しいし、普段ラジオは聴けないので、それだけでも楽しかった。
雨が降ってきてしまいましたが,ライヴまではまだ時間があるので,本屋で時間をつぶしているうちにほとんどやんだので,あるいて表参道まで。

青山プラッサオンゼ スウィート・バナナ・ホーンズ
お店に到着すると,既にサカウエ君が得等席を確保し,飲み食いしています。そこに加わり,私もドリンクと料理を注文していただきますが,どうもこの日は客の入りがイマイチ。金曜日の夜だし,スィート・バナナ皆勤のサカウエ君によると,やはり毎回のように満員御礼だったのに。まあ,たまにはこんなこともあるよね。でも,意外にコンスタントにやっているために,初回のような貴重さは薄れてしまったのかもしれない。
このバンドは,トランペッター島 裕介とサックス奏者ヤマカミヒトミによるユニットとして始められたこのバンドですが,今回で4回目。ギター日野良一,ドラムス石川 智,ベース須藤剛志という3人は当初サポートという形だったが,結局固定メンバーとして4回目を迎え,hitmeさんの紹介の仕方からしても,もう5人のバンドという感じ。前回,1回目を聴いた時にはやっぱりフロントの2人に目が行って,普段お互い別々のデュオとか,サポートとかではみせない側面を楽しんでいましたが,今回はバンドとしての全体を楽しめました。
そのせいか,そして私自身が多少疲れていることもあって,1stセットは気持ちよくウトウトとさせていただきながら聴いていました。すぐれた演奏は音量が大きくても気持ちよく眠れるものです。2ndセットではあえて,フロントの2人の音を私の頭のなかで背後に追いやってみる。すると,際立ってくるバックの3人。日野さんはソロでもやっているし,石川さんはいわずと知れた引っ張りだこだし,須藤君も自身のバンド以外にもけっこう活動の場を広げている様子。一人一人が個性ありながら,バンド全体に寄り添っていく,そんな感じで,どの音がかけてもこのバンドはちょっと物足りなく感じるんだろうな。そんな音楽好きたちが好きで集まっているバンド。もちろん,それは唯好きでやっている素人とは違って,観る方にもその楽しさが十二分に伝わってくる,そんなパフォーマンスでした。
島さんも正直に「お客が少ない時の方が,なぜかいい演奏ができる」とステージ上で告白。そんな飾り気のなさもかれらの魅力かもしれない。

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一人平日の夜も楽しや

10月1日(月)

渋谷シネマQ-AX 『バウムクーヘン
観たいと思っていた作品だけど、せっかく映画の日が平日で、ライヴの予定もなかったので、1000円で観ることにしました。まあ、山本浩司が主演ということだけで観るべき作品だが、今回はその相手役が桃生亜希子というのも楽しみ。そう、8月にとあるライヴで間近で見てしまったもので。しかも、監督がなんと25歳の男性、柿本ケンサク。ん?『colors』も彼の監督作品か?
本作は、マメ山田、山本浩司、そして『闇打つ心臓』以来けっこうスクリーンでも見かける本多章一が3人兄弟。長男は理髪店を経営、次男は会社員、三男は引きこもりニートという設定。それぞれの恋人、結婚相手、幼馴染として、旅ばかりしている一色紗英、同じ会社の専務の娘桃生亜希子、バウムクーヘンが得意なケーキ職人今宿麻美という美形女優3人を、まあ本多君は除くとしても不細工兄弟にくっつけるという発想はとても好きだ。『間宮兄弟』はなんだかんだいってそれほど不細工じゃなかったし。
まあ、ちょっと退屈するドタバタ劇があったり、青臭い部分もありますが、まあレイトショーのみ公開作品としてはまずまずの出来ではないでしょうか。25歳であまり洗練された作品作っても面白くないしね。まあ、私がバウムクーヘンを食べたくなって翌日のおやつに買ったことは仕方がありません。

10月3日(水)

吉祥寺strings 太宰百合THBトリオ
またまたstringsに太宰さんを聴きにきました。今回は女性ばかり、しかも桐朋学園出身の3人です。ピアノ太宰百合、チェロ橋本 歩、オーボエ広多智香。太宰さんと歩さんの組み合わせは過去に2回ありますが、智香ことtomocaさんは今回初めて。オーボエでジャズなど自由なジャンルで活躍するミュージシャンは世界的にも珍しいとのこと。stringsでも初出演だそうです。なにやらどんな音の組み合わせになるのか想像もつかないので、かなり楽しみにしてきましたが、お客さんの入りはイマイチ。
ビールに鶏肉料理をいただきながら、演奏が始まりました。1曲目でかなりノックアウト。もう私の頭の中では理解不可能です。三者三様の音が発せられ、それが複雑にミックスしています。それぞれ体の動きも全く違う3つの楽器。どこを見てよいのやらも大変。いろんなジャンルのスタンダード曲や太宰さんのオリジナル曲などを演奏。しっとりした曲もあり、2曲目以降は落ち着いて聴くことができましたが、素晴らしかったのがtomocaさんのオリジナル3曲。といっても、tomocaさんは鴛淵さんとうソングライターと2年前に『Aqui』というCDを製作していて、曲自体は彼のものが多いらしい。やはり自分たちの曲でのオーボエは素晴らしかった。思わずCDも買いましたが、これがまた朝の目覚めにちょうどよい感じで良く聴いております。
さて、ライヴも終盤に入った頃、それぞれが自分の宣伝をしている時間に、tomocaさんの番で話をしていたら、突然客席から質問が飛びました。そのおじさんは多分2ndステージからやってきた人で、一度見たときには焼酎をボトルで、水割りして飲んでいたのに、2度目の時は白ワインをボトルで呑んでいた。そのくらいの酔っ払いだったが、質問内容は非常に冷静で、「君はいったい何を目指しているんだね。私たちお客は何を期待して聴けばいいんだ。さっきから眠くてしょうがない。」とのこと。tomocaさんはすかさず,「眠れる音楽ってのはアルファ波が出ていて,悪いことではないと思います」とすかさず,そしてうまくまとめる。でも,やっぱりお店はちょっと変な空気に包まれます。そんな雰囲気を読み取ってというわけでもないですが,アンコールが期待できないと読んだ太宰さんは機転を利かせて,アンコール曲も含めて最後にまとめて演奏。件のおやじは,終演を待たずに席を立ち,お会計を済ませ,終演とともに店の外へと消えていきました。すっかり楽しんでいた私からすれば,「余計なこといいやがって。そもそも,私たちお客って俺と一緒にすんな!」って感じでした。
終演後は歩さんとお話がしたくて,赤ワインを注文。すると,なにやらそのおやじが出演者のために赤ワインのボトルを一本つけていってくれたようで,私もそのおこぼれにあずかります。そんなこんなでお話をしているうちに私以外のお客さん,太宰さんと親しい最後の人も帰ってしまい,トリオ3人の反省会のなかに私も加わってワインを呑んでいました。すると,太宰さんは,あのおやじの言葉をけっこう気にしていた様子。歩さんも忙しかったし,結局事前のリハーサルをできなかったので,満足いく演奏はできなかったとのこと。準備万端であれば,あのような意見にも自信を持って言い返せたものの,そうではなかったということをひどく反省し,次回はきちんとリハーサルを積んでのぞみたいとの決意。さすがです。
ここで,tomocaさんが思いついたように,オフコースの「僕の贈りもの」という曲をピアノで弾き語り始める。私と歩さんも歌います。すると,太宰さんも負けじと松任谷由美の曲を弾き語る。次回は日本ポップスのカヴァー大会にするかなんて冗談も飛び出しながら,非常に貴重で楽しい夜を過ごしました。
さすがに23時半をすぎて私が帰るというと,3人とも電車で来ているということでその場がお開きになり,一緒に駅へと向かいました。
すると,今度は駅前で弾き語りをしている元one toneの原口友也君に出会う。「よかったら聴いていってください」といわれたが,さすがにきびしい。私は歩さんとtomocaさんと井の頭線に乗り込みます。歩さんはやはりかなり疲労しているようで,電車を乗り継ぐのが面倒になったらしく,途中下車してタクシーで帰りました。

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日記はようやく9月終了

9月30日(日)

渋谷ユーロスペース 『M
廣木隆一監督作品。本当に精力的に撮っていますね。今回は映画初出演で初主演という美元(みをん)を起用。モデルという実年齢と役どころの年齢が同じの28歳。映画のなかでは一時の母で美貌の衰えを気にする主婦ですが,全くもって美しい。いかにもモデルらしい端正な顔にすらりと伸びた手足。モデルにしては豊かな胸。それらを惜しげもなく披露せざるをえない,売春をする女性を演じます。そして,彼女を支配しようとするヤクザに田口トモロヲ。久し振りにはまり役です。そして,そんな彼女を救おうとする若者に高良健吾。『サッドヴァケイション』にも出演していたこの若き俳優は今最も美しい男優の一人。その目の強さから,この2つの作品ともちょっと血気溢れる役どころですが,また違った役もみてみたい。そして主人公の旦那役には廣木作品常連の大森南朋。相変わらず贅沢な配役です。音楽もオオヤユウスケ。
まあ、これだけ揃っていてひどい作品にはならないが、脚本的にはもう一捻り欲しかった作品。それから、ネットで主人公のヌード写真をみつけてしまうというシーンがあるのだが、これだけネットにおけるポルノが氾濫している時代にあの程度の画像で喜んだり、身近な人がそれを偶然見つける可能性というのはもっと低いと思う。あまり重要なことではないが、少しリアリティに欠ける。大森南朋の役どころももう少し活躍して欲しかったかな。

渋谷シネマ・アンジェリカ 『小津の秋
一転して、こちらはタイトルからも分かりますが、非常に古臭い雰囲気の作品。それがまたいいんです。主演は沢口靖子。相変わらず一生懸命すぎる演技がぎこちなくて良いですね。沢口靖子は雑誌記者で取材のために蓼科を訪れる。はじめからなにやら訳ありの雰囲気あり。もう一人の主演といってよいのが最近何故かけっこう引っ張りだこの藤村志保という年配の女優。映画監督小津安二郎が作品製作のために借りていた別荘を現在は記念館にしているが、彼女はそこで働いている。幼馴染のホテルのオーナー(沢口が宿泊している)にも愛想が悪いし、沢口とは口も聞こうとしない。やはりこちらも訳ありだ。
そんな感じで、良く分からない人間関係を解きほぐすかのように物語りは進行する。この辺り、多少テレビドラマ風ではありますが、映画的洗練さも十分に持ち合わせていて、徐々に人間関係がよい方向へと導かれていく、とても爽快な作品です。やはりタイトルどおり、小津安二郎にオマージュをささげた作品で、日本映画の古き良さを残していこうという想いがとても伝わる作品です。

渋谷7th floor
開場時間の18時半に到着すると、1階の掲示板には19時開場と書いてある。まあ、よくあることと、一旦文化村の方に下ってお茶をして時間をつぶす。19時前に再び行くと、今度は18:45になっているではないですか!急いで7階に上がると既にテーブルのある席はほとんど埋まっていて、サカウエ君がドリンク交換の列に並んでいる。「席取った?」と聞くとまだだというので(さすが彼にとっては酒が最優先だ)、中央後方のパイプ椅子にとりあえず座る。ビールを交換してきたサカウエ君が隣に座って、「あー今日は食べる気満々だったのにね」と意見が一致する。
さて、この日はチェロの橋本 歩さん率いる3人トリオair plantsのレコ発記念ライヴだ。オープニングアクトにリクオさん、ゲストミュージシャンにドラマーの坂田 学さんという豪華さ。以前から歩さんに日付だけは聞いていたので、迷わず予定を入れ、予約開始とともに予約。引き換えの時に名簿を見たらTOPSさんが一番で私が二番でした。開演時間にはほぼ満席。もっと私の知ったミュージシャンが来るかなあと思ったけど、omu-toneの2人とmueさんくらいだった。
リクオ:さっそうとリクオさん登場。決して長い時間ではありませんでしたが、一人で数曲、歩さんを呼んで1曲、さらにair plantsのメンバーでもあるヴァイオリンの阿部美緒さんを呼んで1曲、最後は客席も巻き込んで1曲と、まさにオープニングに相応しいパフォーマンス。もうさすがとしかいいようがありません。リクオ初体験のサカウエ君も圧倒された感じ。
air plants:3人でひとしきり演奏し、坂田さんを招いて1曲で前半終了。途中休憩を入れます。そこでレコーディング風景を撮影したビデオを上映。これがナカナカ面白い。そして、後半へ。後半はもちろん坂田さんが全面的に参加して、air plants3人も徐々にヒートアップしていきます。いやあ、本当に素晴らしいライヴだった。細かい説明は要りません。最後の方には再びリクオさんを呼んで、air plantsギターの嘉多山さんが昔リクオさんのライヴで聴いたというビートルズの曲を日本語でカヴァーする曲を一緒に演奏。リクオさんが「この曲は昔よくHONZIと一緒に演奏した」と最近若くして亡くなったヴァイオリン奏者の思い出を口にし、阿部さんのヴァイオリンつきで演奏したのには思わずグッときましたが、その思い出を悲しむのではなく音楽で楽しくしていこうというリクオさんの姿勢を素晴らしいと思った。
また、後で書きますが、1ヶ月強のアメリカ生活から帰国して、やはり1ヶ月近く毎日舞台での演奏、その間にも着々と準備を進めてのこの日のair plantsを仕切った橋本 歩さん。本当に記憶に残る素晴らしいライヴになったと思います。お疲れ様でした。

さて、ここ7th floorでは既に打ち上げが予定されているとのことで、私とサカウエ君は店を出て、程近い立ち呑み屋で呑み直します。といっても、結局7th floorでも我慢できずに一品ずつフードメニューもたいらげたのですけどね。この串焼きやがナカナカ美味しい。しかも,けっこう食べてそれなりに呑んだのに1人2000円。いいねえ。

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東経大後期初日

9月29日(土)

東京経済大学後期講義初日。やっぱりこちらは落ち着きます。法政大学は何年経っても落ち着きません。
さて,この日は特に用事がないので,ちょっと遠出して日比谷で映画2本。シャンテ・シネは大抵私好みの作品をやるし,3つのスクリーンがあるので,こういうはしごは便利。

日比谷シャンテ・シネ 『キャンディ
基本的に美しい男女の話しは好き。本作のキャンディ役のアビー・コーニッシュは『プロヴァンスの贈りもの』にちょこっと出演していた。チョイ役にしては可愛すぎたので,本作はけっこう楽しみにしていた。相手役で主演の男は『ブロークバックマウンテン』でゲイ役だったヒース・レジャー。こちらは私好みではないが,女性相手の恋愛ものをどう演じるのか,それに期待。
しかし,内容はいかにもアメリカ映画。両親が手塩にかけた娘であるキャンディを,この何もできない男に堕落させられるという設定。2人は愛し合うようになってドラッグの日々。その金稼ぎにキャンディは売春をするという典型的な堕落物語。何度か更生しようと思うが,そのやり方が根本的に間違っているために失敗。結局ヒース・レジャーのよさもそれほど分からなかったし,期待はずれの作品。
結局,こういう映画ってのはどんな意味があるのだろうか。鑑賞者にドラッグの恐ろしさを伝えるのだろうか。あるいは,そういうジャンキーの実態を知ってもらうためか?といっても,俳優が実際にドラッグをやっていたらそれは問題だし,そうでないことを知っているから,あくまでも演技に過ぎないと思っています。それとも,この種の演技が俳優の通過儀礼なのだろうか。まあ,現実にはびこるこうした問題を映画が全く描かないのもそれはそれで困るが,もうすっかり紋切り型でなんの新しい発見もない。

日比谷シャンテ・シネ 『サルバドールの朝
一転して,こちらは実在の人物をモデルにした作品。私が生まれた頃のスペインが舞台。反政府運動に身を投じる主人公とその仲間たち,そして家族の物語。現代の物語であった『パラダイス・ナウ』と重なり合います。細かい史実を知らなくてちょっと説明不足だったところもあるが,愛情と緊迫感があって,とても引き込まれる良い作品です。特に,主人公のサルバドールが警官殺害の罪で死刑が求刑され,判決が下り,執行されるまでのラスト30分がすごい。かつて『デッドマンウォーキング』というショーン・ペン主演の映画があり,それは全く期待はずれだったが,本作の描写はなかなかすさまじい。
ところで,この主人公をなぜドイツ人俳優のダニエル・ブリュールが演じているのかはよく分からなかった。

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All thet is solid melts into air

Marshall Berman 1982. All thet is solid melts into air: The experience of modernity. New York: Penguin Books, 383p., U.S.$16.00.

外出先で辞書なしで洋書を読むという試みを開始して,『landscape』が意外にも早く,そして内容もそれなりに理解できたので,調子に乗って読み始めたのがこちら。『landscape』について書いた日記が9月1日だから,読み終わるまでに1ヶ月以上かかったということだ。しかも,内容はほとんど理解していません。
著者のマーシャル・バーマンは日本ではあまり知られていない。同じバーマンでも,ジークムント・バウマンは最近翻訳が立て続けに出ているが,こちらのバーマンは翻訳された文章を知らない。英語の論文を読んでいると,この本がよく引用されているので,洋書店でペンギンブック版をみつけたときに思わず買ってしまったもの。でも,正直なところはそんなに多くの引用例はしらない。書名が長くて意味不明でインパクトがあるので,記憶に残っているだけかもしれない。
本書の書名「All thet is solid melts into air」はカール・マルクスの『共産党宣言』のなかの一節だという。実は私も太田出版版の『共産主義者宣言』を読んだことがあるが,あとでこの言葉を探したが見つからなかった。なので,いまだに定訳は知らないが,直訳すれば,「固体である全てのものは空気へと溶け出す」となる。思い切って意訳すれば「形あるものは全て亡くなる」ということだろうか。
それが,『共産党宣言』のなかのどのような文脈で使われていたのか,そして本書はこの言葉を近代性の問題とどう関連させているのか,そこがポイントだ。にもかかわらず,そこを読み取れなかったのだから情けない。
一応,形式的なことを書けば,本書は4部構成になっている。もちろん,その前に序文と,最後にまとめの言葉がついています。1部はゲーテの『ファウスト』から近代的主体性を読み取ろうとするもの。この作品で登場する「変態」によって,人々は前近代的主体から近代的主体へと移行したのだ。2部はマルクスの著作から,近代の代表的な制度である資本主義経済を中心に,社会の近代化を論じる。3部ではボードレールの作品を通して街路という公共空間における視線の問題を論じる。このテーマはベンヤミンでよく知られる議論だが,本書においてはあまりベンヤミンへの言及もないし,ベンヤミンのものとは重ならないような議論を展開している。そして,分量的にも一番多い,4部はペテルブルクというロシアの都市を中心に,プーシキンやドストエフスキーといったロシアの作家の作品を利用して,近代期に低開発状態だった都市におけるモダニズムの状態を論じている。

と偉そうに書いてみたが,これはほとんど目次から推測される内容だ。本文を読んでもその詳しいところはほとんど読み取れていない。そもそも,固有名詞が分からないというのもあるし,ある程度自明視されている歴史的事実に関する知識の不足もある。でも,それ以上におそらく本書の翻訳本を読んでも理解できない部分は多かったのではないかと思う。それはよくあることだ。なんだかんだいって,地理学者の書く本は比較的分かりやすい。
ただ,私なりに,特に序文で分かったことは,本書は近代という時代を広く理解されているよりももっと複雑で,しかも矛盾したものとして捉えることを提案しているのだと思う。一般的には近代は「合理性」に支配された時代であり,現代は既に近代=モダンを終え,ポストモダンの時代に入ったと気軽に主張する人が多い。でも,本書は最後の章で1970年代までを論じていて,現代でも近代は続いているのだという。
この近代観はフーコーの『言葉と物』の影響下にあるのではないかと思う。私が『言葉と物』を読んだときはかなり衝撃的だった。自分が理解している「近代」というものが,フーコーの説明のなかでは近代以前の「古典主義時代」に位置づけられ,彼が近代と呼ぶ時代には既にポストモダンの特徴だと理解していた要素が含まれているのだから。

さて,本書はいわゆるペーパーバックの代表格であるペンギン・ブックの1冊。コンパクトで非常に軽いが,紙が薄いので,それでも300頁以上あるのだ。よく我慢して活字を追ったと思う。この我慢の読書体験を通じて,思うことはけっこうあった。小説は物語の筋があるので,途中の内容が理解できなかったりすると,読み進めることが意味なくなってくる。
しかし,この手の本は途中が分からなくても,1文1文から学ぶことはある。そう考えると,1冊の書物というのは,1文1文の間に,段落間に,節の間に,章の間に,どれだけ有機的な関係性があるのだろうか,あるいは要求されるのだろうか。作者はどれだけそれを意識しているのか,読者はどれだけそれを期待し,実際に掴み取っているのだろうか。私はどうやら自分で文章を書くときもこの辺の意識が希薄なようなんです。

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長い一日(木曜日)

9月26日(水)

大宮ムムタージ erikuo
またやってきました。大宮のソニックシティのビルの中に入っているカレー店、「ムムタージ」。ここはカレーライス屋ではなく、高級インド料理店という感じ。多分、インドにはこだわっていないとは思いますが。マリンバの大橋エリさんと、ギターの後藤郁夫さんによるDUO。それなりに予約が入っていて、いい感じ。
でも、この日も2階席はライヴとは関係なく大盛り上がり。まあ、ミュージックチャージは無料なので仕方がありません。この日の私はなんとなくカレー以外の料理を食べたくて、いろいろ肉料理の盛り合わせを注文。今回もメンバーズ葉書持参でサービスのきのこの天ぷらをいただきます。それから豆のサラダ。豆料理は数種類あるのですが、これがけっこう美味しいんですよ。
演奏もいつもどおり。最近かなり人前で演奏する頻度も増えてきたエリさん。かなり調子を上げています。しかし、本人的にはマリンバが湿度を吸ってしまって、音の響きが少なくて大変だったらしい。後藤さんのギターもやっぱり素的ですね。彼がサポートしているdorlisも一度ちゃんと聴いてみたいと思う。今回も数曲、この店の音楽監督である須藤君がウッドベースで参加。
実はこの日、同じ大宮のJAMというお店で、音あそびのライヴもあった。さすがに2つのお店の距離はけっこう離れているので、はしごしようとは思いませんが、なんだかちょっと惜しい気もします。

9月27日(木)

新宿テアトルタイムズスクエア 『めがね
『かもめ食堂』ですっかり人気監督の一人になってしまった荻上直美。今回も前作のヒットにあやかるように、同じスタッフ、数人が同じキャストとでのんびりとした雰囲気の作品が届けられました。今回もそれなりのヒットとなると予想し、客席の多いテアトルタイムズスクエアで平日鑑賞にしました。案の定、余裕も余裕ですね。さすがに、この映画館が満席になるというのはよっぽどのことです。
今回は鹿児島県の離島、与論島が舞台。といっても、あくまでもこの作品のなかでは固有名としての地名は出てきません。何かから逃げるように、光石 研が経営するこじんまりとした民宿にやってくるのが小林聡美演じる女性。同じように3年前にここを訪れ、すっかり気に入ってしまって、教師として就職してしまった女性が市川実日子。毎年春になると海の家でカキ氷を作りにくるもたいまさこ。そして、小林聡美を追ってやってくる加瀬 亮。基本的に登場人物はその5人。
なぜか、主人公の小林聡美はどこか煮え切らない嫌な人物。今,冷静にこの作品を考えると,設定や物語の進行に変なところがいっぱいあるような気がする。まあ,さまざまな文化テクストを研究している私ですから,なにもこうした作品に論理的な一貫性や因果関係の矛盾のなさを求めているわけではない。「どうして?」という問いは基本的にあまり意味がないと思っている。しかし,この作品はうまく説明できないが,やはり脚本がすぐれているとは思えない。例えば,たまたま先日井の頭線に乗ったときに乗り合わせた隣の男性2人のうちの一人が話していたことでもあるが,はじめの頃のかもめ食堂,そして本作の民宿。そんなに少ない客で経営は成り立つのであろうか?かもめ食堂は最終的には繁盛するが,『めがね』の宿は月に1人か2人のお客じゃどう考えても収益は生まれない。金持ちの道楽がやっているのだろうか。この監督の作品,『バーバー吉野』と『恋は五・七・五!』と比べて,なにやら人間の闇の部分を排除することで成立するような清潔空間,そんな雰囲気が漂う作品であり,それがゆえに独特の世界を有し,万人受けしたように思う。
本作では,けっきょく登場人物の素性はほとんど詳細には語られない。『かもめ食堂』では生きることに前向きだった小林聡美。しかし,『めがね』ではいつまでたっても郷に従おうとしない,なにやら頑なな人物。まあ,最後にはなんとなくどこか変わるのですが,前作ほど分かりやすいものではない。そんな人物なのに,なにやら生来の「ここにいる才能」ってのに恵まれてここに集まってくる眼鏡をかけた登場人物たち。なにやら「選ばれし者」てなところがありますね。つーことで,あえて否定的に書いてみました。

そして,大学へ。この日もまったく反応のない,そして人数が少なくなってしまった学生相手に講義をするのは辛い。

渋谷duo music exchange 乙女塾
ちょっときりが悪かったので,5分ほど講義を早く終えて渋谷に急ぐ。思ってたよりも早くつくことができ,この日は開場から開演まで1時間あったせいか,まだお客の入りはそんなに多くなく,前方から2列目,ステージ向かって右側が空いていたので座る。あ,その前に今回初めてここduo music exchangeのネット予約を利用した。このサービスが始まったのも最近だし,私の行くような公演はプレイガイドのみの扱いが多かったが,なんと発売日から数日たって予約したのに,整理番号11番。こりゃいいかもしれない。もちろん,人気公演は今でもプレイガイドのみのようだが。
さて,今回はSHUUBI主催女性シンガー2組イヴェント第3回。前回のゲストは竹仲絵里ちゃんで,行きたいところでしたが私の誕生日に当たっていたので行くことはできませんでした。今回のゲストは山田タマルさん。もちろん,こちらが目当てです。
山田タマル:いきなりですが,この日の彼女のステージは9曲。いやあ,これだけしっかりと聴くのは初めてだったのでもうかなり満足。11月に初のフルアルバムの発売を控えている彼女。なぜか,デビューシングルは前作のミニアルバム『回廊』にも収録されていたのに,今回も再収録。なので,12曲入りといっても,4曲は既に発表された曲。しかし,この日のライヴではそれ以外の曲を4曲もやってくれました。まあ,それも嬉しかったんですが,個人的には『回廊』に収録されていて,映画『ユメ十夜』のエンディング曲になり,レコーディングにはなんとHARCOがピアノで,あらきゆうこさんがドラムスで参加している曲「手」を披露してくれたのがなんといっても嬉しかった。
この日のステージはドラムスとベース,ギターとキーボードも入っての今年唯一の豪華なバンド編成。キーボードの佐藤真吾さんは矢野真紀さんのこれだけガッツリやっても声量が負けていないので,かなり力強いステージになりました。もちろん現在進行形のタマルさんも好きなのですが,一度,インディーズ時代の曲をしっとりと弾き語りで聴きたいという希望もあるんです。
SHUUBI:さて,この日の主催者SHUUBIのステージ。SHUUBIのライヴはそれほど回数を見たわけではないんだけど,けっこう印象はいい。でも,この日はなぜ私にはかイマイチだった。谷口 崇氏をゲストに迎えて彼の曲をSHUUBIが歌うってパフォーマンスはよかったと思うんだけど,なんとなく歌声が息苦しく聴こえたのは気のせいだろうか。でも,彼女の曲はなぜかけっこう覚えている。CDは1枚も持っていないのに,ライヴでやる定番曲が決まっているからか。
SHUUBIのステージの初めと最後にタマルさんを招いてのセッションタイム。「サルビアの花」と「ルージュの伝言」ということです(mixi情報)。一応アンコールとしての「ルージュの伝言」では,SHUUBIが不必要なコール&レスポンスを長時間にわたって強要したために,予想外に終焉時間は22時半に。
アンケートを書きながらなんとなく出待ちしていましたが,やはりタマルさんが出てくる雰囲気がなかったので,移動。そう,この日はまだ帰宅しないんです。

渋谷アダン・オハナ・ギャラリー dois mapas
この日はdois mapasがそれなりに近い渋谷のレストランで生音&投げ銭ライヴをやっているというので,顔を出すことにした。ここで食事をするために,「乙女塾」特製メニューは我慢したのだ。それにしても,こんなに遅くなるとは思っていなかったので,演奏は終わっていることを覚悟して向かいます。このお店は縦長で2階建て。しかも,通りに面してガラス張りなので店内の様子がよく見えます。どうやら2階で演奏中。2階に上がり,赤ワインと沖縄そばの焼そばを注文してしばし演奏を楽しみます。この日はdois mapasの2人にクラリネットの黒川紗恵子さんが加わっての演奏。黒川さんはNUUさんのレコーディングにも参加していますが,NUUさんのサポートギタリスト笹子重治さんと仲が良いようで,笹子さんともう一人ヴァイオリンの江藤有希さんと3人でko-ko-yaというユニットを組んでいる。dosi mapasとの2人とは以前韓国ツアーにも同行していたということで,息もピッタリ。東京藝術大学出身ということで,とてもキレイな音を響かせています。
2階での演奏で終了と思いきや,23時をすぎているのに,最後に1階でも演奏するということ。時間も遅いので途中で帰ろうとも思ったが,なにせ3人が演奏しているのがお店の出入口なので,それは無理。焼そばを食べながら聴いていたものの,「旅する人」を演奏しはじめて,思わず階段にしゃがみこんでしっかり聴くことにします。この曲のCDヴァージョンではヤマカミヒトミさんのサックスが非常に効果的に使われていて,私の誕生日企画ライヴでは特別にhitmeさんも参加して演奏してもらったほど。そのサックスパートをクラリネットで演奏していたのだが,これがまた違った味わいで素的。
結局,全ての演奏が終了したのは23時半近く。ときわさんと少しお話しましたが,やはりかなりお疲れの様子。20時過ぎから1回目の演奏が始まって,おそらく1階と2階をそれぞれ2セットというところでしょうか。投げ銭ということでお客さんは自由に歓談しているなかで生声ですから,相当声を張り上げているはず。やはりさすがです。
そして,ときわさんが黒川さんにも私を紹介してくれて,ほんの少しですが会話をしました。以前,このお店でmatsumonicaさんとdois mapasの3人で黒川さんの話題があがったとき,飲兵衛でパワフルということを聞いていたので,なんとなくイメージとあわない。非常に知的で清楚な雰囲気です。私の聞き違いだったのだろうか。まあ,ともかくko-ko-yaのライヴが11月2日にプラッサオンゼであるということなので聴きに行くことにしよう。なお,ko-ko-yaは現在合宿レコーディングだとのこと。
さて,すっかり遅くなってしまった帰り道。以前に,このお店の場所は小田急線の代々木八幡にも近いということで,下北沢経由,ないしは新宿に一度出て帰ろうと思い,歩く。するとけっこう遠いですよ。終電の時間が気になりつつ急ぎます。ここで一つ失敗をしてしまい,代々木八幡の手前で千代田線の代々木公園駅の改札に入ってしまう。あー一回乗り換え増えちゃったよ。という感じで,さらに終電が不安になりますが,幸い乗り継ぎも良く,終電前に帰宅することができました。あー,良かった。

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休日,ライヴ・映画・ライヴ

9月24日(月,祝)

高島平板橋立熱帯植物園 音あそび
以前、大橋エリさんがギターデュオで演奏したことのある熱帯植物園。今回は音あそびの登場ということで、また高島平まで行ってきました。この日は開園何周年かで、お祭りでした。エリさんの時は地下での演奏でしたが、今回は野外。入口前の広場での演奏です。幸い危ぶまれた天気もなんとかもちそうで、賑わっています。13時半の回で、開演10分前ほどに着いた私は後方の結構みやすい席につきましたが、次々とやってくる地元の人で立ち見も大勢出てきたので、私のような部外者は立つべきかとも思いましたが、ここで立っても後ろの人が見えないなと思い、申し訳なさそうに座っての鑑賞。でも、一方で私の前方右手にはstringsなどでも見かけたことのある音あそびファンたちがこぞって座っています。席取りまでして「よりによってなんでこんなところでライヴやるんだろうな」などといっている。出店も出ているというのに祭りには参加せずにコンビニで買ってきたおにぎりなど食べている。そういうのどうかなあと思います。
さて、音あそびは最近、待望のCDを発売し、私はなかなかライヴに行けなかったので、今回はCDを購入するのも目的の一つ。ほんの30分のステージでしたが、初めて聴くお客さんに対するパフォーマンスはさすが。さまざまな形態で、さまざまなサポートで演奏してきた3人ですから。久し振りに見る仙道さおりさんはやっぱりスゴイ人だ。アルカイックなどと比べて明るい曲の多い音あそびは野外が似合いますね。
まだライヴは聴いたことはないけどCDを欲しがっていたサカウエ君の分もまとめてCDを2枚購入。私の分はサインももらいます。でも、さおりさんもマツモニカさんも私の顔を覚えていない様子。
新宿でのライヴの前に映画でも1本観ようかと思っていましたが、時間的にけっこう怪しい。と思いながらもとりあえず新宿に急ぎます。やはり高島平は遠い。結局、ライヴの開演時間には間に合わないが、映画を観ることにしました。

新宿武蔵野館 『サッド ヴァケイション
青山真治監督最新作。今後観る人のために書いておきますと(まあ,普通に情報を得ている人は既にご存知かもしれませんが),彼自身の監督作品『Helpless』と『ユリイカ』を観ておいた方がよさそうです。私は両方観ていませんが,それでも十分楽しめる作品ですけどね。『Helpless』と同じ役どころで,それだけ時間が経過したという設定で,浅野忠信が,『ユリイカ』も同様に宮﨑あおいちゃんとそれを取り巻く2人の男性が『ユリイカ』その後の役どころで出演。それがうまく交錯していい感じです。そこに新たなキャラクタとしてオダギリジョーなど登場させたり。
まあ,もちろん青山監督作品ですからダークな部分もありますが,全体的には本当に女性の存在によって希望に満ちた作品になっています。石田えりさんの演技は本当に申し分ありませんが,本作で注目したいのが板谷由夏。これは,女性にはこうあって欲しいという監督だったり,鑑賞者としての私だったりの男としての視点かもしれませんが,浅野忠信を健気に愛するその姿。素的すぎます。相変わらず2時間以上ありましたが,全然長さが気にならない。しいていえば,この「サッド ヴァケイション」ってタイトルだけどうにかならなかったかなって思う。
とにかく必見です。

新宿sact! 笹生実久
ということで,開場時間を過ぎてしまいましたが,意外に席は半分以上空いていて,前から2番目の席をゲットする。ここのお店はかなり狭いので,後ろの一段高くなったところでもけっこういい感じです。ということで,そちらから埋まるというのもありますね。結局,食事をする暇がなかったので,またここでピザトーストをいただく。素朴で美味しいんです。
さて,何故かこの日はレコ発ワンマン。これまで自主制作で6枚ものCDを作っている笹生実久。といっても,3~5曲入りで,2枚は30枚限定とのこと。そんな彼女がついにレーベルつきで10曲入りのフルアルバムを発売。本人,かなり嬉しいようです。そんな嬉しさを共有すべくやってきました。本当のことをいうと,彼女の音楽はそれほど頻繁にライヴに行きたいと思ったり,CDで聴いたりする感じではない。でも,どこか気になる彼女のキャラと,一度ライヴで聴いても強く印象に残らないところが,逆にあまり日をおかずに行っても楽しめる。まあ,彼女に会いに行く感じで意外に頻繁にライヴに通っている。といっても,一時期メールを何度かやり取りしてmonaで2度ほど少し話をしただけで,今回サインをもらう時にも顔は覚えていなかったようだが。遠くで見守る感じでも面白い女の子だ。
さて,ワンマンということで,ギターにベース,そしてよしうらけんじさんのパーカッションをサポートに迎えたこの日のステージ。かなり以前はariさんのサポートをしていたよしうらさん。先日のhitme & miggyでの出演は見られなかったので,おおはた雄一さんのワンマン以来。ヘアスタイルのせいでかなり雰囲気違っていました,しかし,相変わらずなよっとした演奏は素的。エレキギターなども入った演奏でしたが,この日はとても音のバランスが良くて(多分,実久ちゃんの歌の強さも良かったんだと思う),なかなかのステージ。2部構成でゆったりとしたライヴでした。やはり岡林信康さんの「チューリップのアップリケ」は一人弾き語りで。
ちなみに,この日はライヴ後,アンケートを書いてサインをもらってすぐに帰りましたが,このお店ワインが300円なんですよねえ。なので,ドリンクチケットではそれで引き換えられる最も高いお酒を選び(この日は黒ビールでした。600円なり),その後にワインという流れが良いようです。ガツンとは食べられませんが,おつまみはけっこう充実しています。またゆっくり来たい。

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仙川・東京・吉祥寺

9月23日(日)

仙川森のテラス sauta cafe
またまたやってきました、森のテラス。あまり天気はよろしくありませんが、なんとか振らずにもちそうです。今回はあまり混雑しなそうなので、開演少し前を狙って行きました。途中で桐朋小学校があり、なにやら文化祭の模様。桐朋といえば音楽大学があるので、おそらくそこの学生による演奏。とても本格的です。このまま聴いていてもいいなあと思いながらも歩みを止めず森のテラスへ。既にサカウエ君が到着していたので、その隣の席に座る。今回は食事つき。やはり希望者購入式だと、場合によってあまったりするからだろう。まあ、私はどっちにしろいつも食べるので、こういう抱き合わせは問題ありませんが、遅れてきた人などもいるので、難しいですね。美味しいスープとパンをいただきます。

Lillte:このイヴェントも3回目の参加。毎回書いていますが、イヴェントの主催者だからこのユニットを聴かなくてはなりません。今回はギターと2人。うーん、どうにかならないものか。

はなうたサーカス:今回は、人形作家のいしいりょうこさんの展示もあったのですが、なんとこの女性ばかり大所帯バンドにいしいりょうこさん自身も所属しています。そんな、素人集団がリコーダーやおもちゃをカラカラ鳴らしたり、そんな感じの演奏。中心となる人物がギターを弾いたりして、それなりに音楽経験があるようですが、まあ学芸会的雰囲気ですね。20分くらいなら楽しいけど、40分くらいやっていたのでちょっと辛い。こういう時こそ眠くなってくれればよいんだけど、そううまくはいかない。やっぱり眠くなるってのは相当聴いていて気持ちよい優れた音楽でないとだめなようです。ちなみに、いしいりょうこさんの作品はQuinka, with a Yawnの『ミクロ』にも使われているし、Quinkaやtico moonのライヴに合わせて展示などもしているので関係が深いようだ。彼女の作品はファンシィですが、絵の技術はしっかりしているので、もっと年配の女性かと思いきや、若くて驚き。
この後の休憩で、デザートをいただく。こちらもおいしゅうございました。

casa:さて、ようやく出番です。casaの演奏が始まるなり、その場の雰囲気が一転。それまではそこに自分がいることの意味を考えるような邪念が頭に浮かんでばかりでしたが、casaの音楽を中心にそこを取り巻く世界がそれに彩を添える。この時間にこの場所にいることが必然的に思われ、そのことに幸福を感じる。やはりcasaは素晴らしい音楽家たちであると実感する。日常的に優れた演奏のライヴばかりに接しているとつい忘れてしまいますが、本当に素晴らしいです。かれらは森のテラスは初めてですが、恐らくリハーサルの時点でさまざまな調整をするんでしょうね。守屋さんのコントラバスはPAにつながず生音。夕紀子さんのヴォーカルもいつにも増して控えめ。木々のざわめきや小鳥のさえずり、本人たちが期待したこの夏最後の切ない蝉の声はありませんでしたが、そういう音が自分たちの演奏に音の色を加えてくれるような配慮で演奏しています。いやあ、本当に素的です。

さて、私はここで急いで移動。東京駅に向かいます。前日と同様丸ビルでフリーライヴがあるというので行ってきました。この日も同じ時間、16時から高野健一と山田タマルという2組のステージ。もちろん、私のお目当ては山田タマル。新宿駅の時点で既に16時だったので、2人で30分、山田タマルが先だとすると聴くのは無理ですが、終演後のCD発売だけでもという思いで急ぎます。すると、到着するとタマルさんが「あなたになら言える秘密のこと」を演奏中。なんとか間に合いました。どうやら、高野氏が始めだったようで、その後も4曲しっかり聴くことができました。

丸の内マルキューブ
山田タマル:この日は矢野真紀さんのサポートもしているキーボードの佐藤真吾さんとパーカッションの桜井さんによる3人編成。ギターのサポートが入っちゃうとどうしてもタマルさん本人のギターがかき消されちゃうんだけど,このくらいだといいですね。ステージ上でも落ち着いてお客さんの反応をチェックしているタマルさん。曲数の少ないライヴでは定番曲ばかりですが,この日は「各駅停車の恋」が聴けたのが収穫。それに,結局16:40くらいまで演奏していたのがとてもよかった。汗だくで急いできた甲斐がありました。
私は物販のすぐ近くで聴いていたので,終演後,様子をうかがいます。どうやらサイン会はないけど,CD購入者に事前に書いたサイン色紙を本人が渡してくれるということで,最新シングルを購入。実はこの2曲入りのシングル,11月に発売されるフルアルバムに両方収録されるんですよね。だから買わなくてもよかったんだけど,一度直接お話しみてたかったので,そのために1050円。タマルさんと高野さんが物販に来ても,お客さんは誰一人来ない。しょうがないので,私が一番に買うことに。タマルさんはそのことをとても喜んでくれました。本人は直接サインできないことを申し訳なさそうでしたが,結局この場で購入したのは8人程度。このくらいだったら直接サインでもよかったんじゃない?って思うけど,今度はそうすると人が殺到したりするんですよね。そうなると時間もかかるし,この日は17時からも次のライヴが予定されているし,しかたがありません。

矢野沙織:で,引き続き矢野沙織さん。私は知らなかったのですが,かなりメディアにも登場しているらしい,20歳のアルトサックス奏者。16歳でメジャーデビューして,海外でもライヴを行っているといいます。本当の実力派なのか,食わせ物か。外見は後者な感じ。でも,飛び切り可愛いわけでもない。で,演奏の方は私にはよく分かりません。まあ,演奏は丁寧だし,音もきれいだと思います。でも,そんな私でもhitmeさんのサックスを聴くときにグッとくることがありますが,彼女の場合はそうでもなかった。まあ,それはいきなりフルバンド編成というのもあるだろうし,単純に彼女のオリジナル曲が私の好みでないってこともあるのかもしれない。
とりあえず,ずーっと聴いているのも疲れるので,一度地下に下りてcold stoneのアイスクリームを買って,食べながらまた戻る。意外に距離を置いた方がステージがよく見えたりする。それにしても,ここのチョコレートアイスクリームはイマイチだな。
さて,今度は吉祥寺に移動します。

吉祥寺strings 宮嶋みぎわ大橋エリ
店内に入り、予約席を案内されるとサカウエ君の隣。たまたまか、それともボチボチいつも別々に予約するこの2人が友達だということに気付き始めたか。サカウエ君が食べ終わる頃に私もワンプレートを注文。ステージ向かって右側の高い椅子の席。食事をするにはテーブルが狭いし、演奏を観るには体をひねらないといけないが、上から間近でマリンバを見下ろせる位置なのでありがたい。
さて、この日は前回のhitme & miggyでのゲスト出演に続いて、miggy+大橋エリという組み合わせ。そこにゲストでベースの高井亮士氏。まずは2人での演奏です。最近のエリちゃんはとても可愛い。私がおっかけをしていた頃のエリちゃんは本当に寝る間もないほど多忙だった。それが顔に出ちゃうタイプなんですね。見るたびに顔が違かった。結婚して出産して、1年ほど演奏を観られずに、そして最近でもその回数は減っていますが、仕事のペースはいい感じなのかもしれません。といっても、まだまだお子さんも小さいので育児で忙しいはずですが、その辺はさすがだ。
もちろん、このことは演奏にも反映している。erimba時代の緊迫した迫力はあまりみられなくなりましたが、その分、温かさと楽しみがあります。もちろん、その両者もerimba時代からありましたが、その質がちょっと変化しているような気もします。かつてのようなバンドメンバーをぐいぐい引っ張っていくような強さではなく、メンバーとともに会話をするような穏やかさ。といっても、久し振りに聴く「リバーダンス」での集中したマレット捌きはたまりません。本当にこの曲シビレマス。まあ、ともかく演奏を楽しむことにかけては負けていないmiggyと高井さんですから、楽しくないはずがありません。それはお客さんたちにも瞬時に伝わって、満員のstringsはとても素晴らしい空気に包まれました。
日曜日ということで、開演時間が早い分、終演後も少しゆっくりできるということで(しかも、翌日は祝日だ!)サカウエ君ともう一杯。すると、後片付けにだんなさんがやってきました。ギタリストの後藤郁夫さん。最後の方にはお子さんまで。なんだか、幸せな気分で帰路につきます。

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