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またまた長い一日

1月19日(土)

恵比寿東京都写真美術館ホール 『ハーフェズ ペルシャの詩
もともと観る予定にしていた作品ですが、初日舞台挨拶が事前のチケット購入なしに観られるということで、早起きして行くことにしました。といっても、イラン映画に日本から唯一出演した麻生久美子さんのみが目当て。私の友人、さくさんは彼女のことが好きで、先日も青山ブックセンターで彼女の本の予約者先着100名に本人から手渡し握手つきというイヴェントに行ってきたとのこと。その予約も完売で、やはりかなりの人気なので早めに行くことにした。10:20の初回上映終了後に舞台挨拶はあるが、受付は通常通り10時。どのくらい前ならば座れるのか予想はつかなかったが、9時過ぎに到着。60番目くらいだったようです。それにしても、あの寒さで屋外で立って待つのは相当辛い。少しくらい受付を早くしてくれてもよいところだが(恐らく、事前に人数を数えて並ぶ人を締め切っていたようです)、時間通り。私はもう限界でしたね。入場して左寄りでしたが3列目をゲット。けっして大きなホールではないので、いい感じです。
まずは映画鑑賞。でも、結局10分ほど遅れて始まりました。そんなことなら、入場時間を早めればいいのに。どうせマスコミ対応で時間が押したのだろう。さて、この作品はなかなか面白いです。「ハーフェズ」というのはイスラム教のなかで、コーランの暗唱に優れた人物に与えられる称号。「ペルシャの詩」という副題がついていますが、決して自分で新しい言葉を紡ぐような詩人ではない。むしろ、そういう行為は禁じられている。神の言葉であるコーランをいかに正確に記憶し、どの箇所でもいつでもどこでも引き出せるかが重要なのだ。そんな厳格なルールのあるイランの詩人世界。麻生久美子演じるのはその世界で最も権威のある男の娘役。日本人という設定ではなく、チベット人とイラン人のハーフという設定。チベットからイランにやってきて、コーランを教える家庭教師として、主人公のシャムセディンは麻生演じるナバートと出会う。しかし、家庭教師といっても顔を合わせてはならず、壁越しに隣の部屋から読み合わせをするというもの。
そもそも、シャムセディンが家庭教師として名指されるところに陰謀がある。ナバートの父であるモフティ師は詩人界の最高権力者であるが、かなり傲慢なところがある。シャムセディンは別の師に仕える身であったが、まあかいつまんでいうと、モフティ師はこの若き詩人シャムセディンが気に入らず、なんとか彼を破滅に追いやろうとしているのだ。家庭教師の前にも一度彼を窮地に追いやったのだが、それでも気に入らず、美しい自分の娘に近づかせ、惚れさせることが目的。ちょっと計算違いは娘の方も惚れてしまったことだが、勉強中にコーラン以外の言葉で会話をしてしまい、隣の部屋を覗こうとした、それだけで追放の理由にはなる。シャムセディンはハーフェズの称号を剥奪され、追放され、肉体労働者となる。
まあ、こんな感じで書いていくとちょっときりがありませんが、まあ苦境に立たされ、よりその愛は深まっていくという展開ですが、実際の映像と脚本は非常に複雑である。ある意味ではサルマン・ラシュディの『悪魔の詩』に似たところがある。ナバートは結局父親が見立てた弁護士のような男と結婚させられる。しかし、この男は名前を主人公と同じくシャムセディンといい、主人公の運命をも案じている。そんなこんなで、2人のシャムセディンは別々の旅を開始するのだが、その足跡や行為はどちらがどちらか分からなくなる。夢なのか現実なのか、奇跡なのか理屈の通る現象なのか、そんな、曖昧さが魅力の作品です。果たして、本国イランではこんな作品をどう受け取っているのだろうか。かなり気になります。ラシュディの時のように、イスラム原理主義者たちは怒るのだろうか。
舞台挨拶のために、なんと最前列の人たちがどかされる。「ここは報道席となりますので」って、危ないなあ。私が3列目に座った後に、最前列の空席を見つけて座っていた人を見て「あーまだ空いてたんだ」って悔しく思ったのだけど、結果的にはよかった。それにしてもひどいな。報道の人たちなんてどうせ写真撮るだけなんだから、椅子なんて要らないし、座席の前のスペースで十分だと思うんだけど。そして、かれらのセッティングでまた10分ほど待たされる。舞台挨拶に来るたびに思うんだけど、こういうのはマスコミ向けの完成披露試写会の時にすでにやっているんではないか?まあ,こんな一人の映画ファンが愚痴をいったって何も変わりはしないからやめておこう。
ともかく,暫くして麻生久美子さん登場。なんと私と反対側の通路から入ってきました。残念ながらというか当然というか,監督も主演俳優もいない。麻生さんが一人では寂しいからと連れてきたのが,現地コーディネータ兼通訳の女性。さらっとした淡い色のワンピースの麻生さんはやっぱり可愛い。左手の薬指には本当に眩しいくらいに結婚指輪が光っています(マスコミのお目当てはこちら)。スクリーンだと若干まのびした顔に見えないことはありませんが,実物の顔はちっちゃい。もう29歳ですが,振る舞いや言動など,演じているときよりも幼い感じがします。ちなみに,本作ではほとんど(全く?)ノーメイクでの出演。主演俳優よりも8つほど年上なんですから,ある意味面白い。麻生さんは芸能人というよりは俳優なので,やはりこういう場になれていないところがまた素敵だ。慣れていないといっても緊張しているというわけではなく,作り笑いとか考えてきた台詞をスムーズにしゃべるとか,そういうのではなく(以前に見た戸田恵梨香はかなり場慣れした雰囲気があった),非常に自然体で人柄がそのまま出るような舞台挨拶でした。通訳の女性は,日本人がチベット人とのハーフを演じることには全く違和感はないし,また麻生さん本人の現場での溶け込み具合も素晴らしかったと,彼女の人柄を賞賛。麻生さんが話している間もフラッシュを焚いて連写する報道陣以外はとてもいい舞台挨拶だったと思います。結婚しても,年齢を重ねてもますます楽しみな女優さんです。

恵比寿の駅ビルに入っているドーナツ店でベーグルサンドのランチを食べて急いで新宿に移動。

タワーレコード新宿店 Quinka, with a Yawn
今回は1年という短い期間での新作発表となったQuinka, with a Yawn。本人のMCによると6,7年前にCDも出していないのに無駄にインストアライヴをしていたとのことですが,私がQuinkaをインストアで観るのは初めて。私はレコ発の終わったmona recordsで購入してしまったので,サイン会には参加できませんが,ちょっと人の集まりも心配だったので来ることにしました。いや,その前にレコ発のライヴを聴けなかったんだから,素直に演奏を聴きにきたって書けばいいじゃないか!
その予想は的中し,ちゃんと聴きに来たお客さんも10人以上はいるものの,リハーサルの段階では,皆遠巻きに見守っている。今回はmona recordsからの発売ということで,この場を仕切るのはmona recordsの行さん。これからライヴです,みたいなことをいいたいがためにマイクを取ったものの,くだらない話をうだうだと。これが私のような人間にはメチャクチャ面白い。知っている人は知っていますが,行さんは10年前までタワーレコードで働いていて,しかもインストア担当だったんですよ。でも,現在のインストア担当の遠藤さん(顔はよく見ているのですが,先日のHARCOのインストアで初めて名前を知りました。どうやら近々異動するらしく,HARCOが紹介したのです)のような形式的な仕切りではなく,悪くいえば馴れ馴れしい感じが素的です。
さて,この日のQuinkaはレコーディング参加メンバーがけっこう揃っています。といっても,私が知っているのはベースの鎌田さんだけ。今回はコケストラというバンドのメンバーが,ギター,コーラス,ヴァイオリンと参加しています。レコ発のときもかれらがゲストだったのですが,私は勝手に勘違いしていて,レコーディングのバンドメンバーを勝手に「コケストラ」と呼んでいるのかと思ったら違いました。このコーラスの女性がヴォーカルだそうですが,なかなか可愛いです。その名前は多分,「オーケストラ=大ケストラ」に対して「小ケストラ」なんだろうな。最近のQuinkaはとても歌声が強い。この日はギターも2曲弾いて,とてもいい感じです。最終的には演奏を聴きに集まったのは30人じゃくらいだったのでしょうか。でも,行さんもいってましたが,このくらいだとゆっくり聴けていいのかも。コケストラも今度聴きに行こう。サイン会に参加する人数も気になるところでしたが,人数が少ない分,ミッコさんは一人一人とゆっくりお話をしていたようで,それもとてもよかったです。あまりに少なくてすぐに終わってしまったらと要らぬ心配をして,私も自分のCDを持参していたのですが(要は自分もサインしてもらいたいだけだ!),列が途切れる前に次の予定のために移動することに。

渋谷アップリンクX 『東京ソーダ水
久し振りにアップリンクX。やはり土曜日の真昼間だというのにお客さんは5人くらい。でも,それがちょうどよい映画館。この映画は東京に住む20歳から30歳台までの女性8人の生活を取材したドキュメンタリー作品。その8人を覚えている限り書いてみましょう。一人だけ有名なのは,廣木隆一監督作品『M』に主演していた女優,美元。自らタレントをしながら,タレント事務所を経営する女性。仕事を辞めてアフリカに行きたいというボクササイズインストラクター。仕事を辞めて30歳前にしてサックス奏者として音楽中心の生活をおくる女性。狂言部の部長を務める大学3年生。歌舞伎町で働くが,世界大会出場も目指すポールダンサー。夫と中央区の新築マンションに住む看護師。内縁の夫と下北沢に住み,下北沢再開発反対運動に参加する女性。お,全部覚えていましたね。まあ,ともかくこういう映像は覗き見趣味的にけっこう面白い。所詮社会科学者なんて覗き見趣味的な好奇心が旺盛なんだよな,って内省したりして...

タワーレコード渋谷店 Shima & Shikou DUO
2ndアルバム『road to the deep north』発売記念のインストアライヴ。タワーレコード渋谷店ですが,地下ではなく5階のジャズコーナー。エスカレータに張ってあったチラシには「19時から」と書いてあってビックリしたが,17時からでした(あのチラシに騙されて帰ってしまった人がいないか)。まだまだジャズフロアでCDを物色するほどの知識は全くないので,用意された椅子に座り,レポートの採点。17時には15分ほどありましたが,私が一番最初に座ると不思議なもので,次々と座る人がでてきます。昼間のQuinkaインストアに続いて若干遅れてのスタート。さすがに,トランペットの音は店内に響きますね。ポップスとは違って,ライヴが始まると買い物客も多くが聴きに集まってきます。かれらを知っている人は恐らく10人程度だと思いますが,なかなかの盛り上がりでした。そういえば,煙草を吸っていない志宏さんの演奏ってのも貴重かもしれない。私は新宿店で購入したので,特典はおあずけでしたが,どうやらPVのDVDのようです。どんなPVを撮ったのか気になるところ。島さんもかなり上機嫌でしたね。
そして,なんとこの日は2月16日のレコ発ライヴに3組6名を招待するという抽選会がありました。結局,それに参加したのは十数名でしたが,なんと当たってしまいましたよ。私は畠山美由紀さんがゲスト出演する1stセット(3500円)と,新譜から中心に演奏する2ndセット(3000円)と通しで予約していますが(5000円),どちらか一方2名様ということだったので,高い方の1stセットでお願いしてきました。その場でチケットを渡されるわけではなく,後日詳細を知らせてもらって,ゲスト枠で入場するようなことになるのでしょうか。私自身の1stをキャンセルして誰か1人連れて行くか,それとも私の予約はそのままで2人連れて行くか,そもそも一緒に来る人がいるかどうか分かりませんが,ともかくラッキーです。もし希望者がいれば受け付けますよ。左下の「メール送信」をポチッとしてください。

さて,この日は相模原市のさくさんちで米パーティがあるというので,急いで移動。彼は昨年会社を辞めてプラプラしています。そんななか,夏ごろから参加したというのが大磯の米農家。収穫された米をわけてもらったとのことで,皆を呼んでのパーティです。彼の家はデザイナーズマンションで,彼自身インテリア雑誌に頻繁に登場する部屋タレント。とても広いし,いろいろ楽しいものもあるので,毎月のようにパーティをしているのです。私も久し振りに参加。お米が主役ということで,東急百貨店の地下で錦松梅を購入。
私が19時前に到着した時には既にさくさん含めて5人で盛り上がっていました。以前からさくさんのblog上で何度かやり取りをしていた爽健美茶さんが来ていて,隣に座ると,彼女の話で随分楽しませてもらいました。以前から一十三十一ファンとして知り合いだったナオーさんも来てたりして(全く偶然にさくさんとも知り合いになっていた),そして先日わが家のパーティに来ていたばかりのみわちゃんもいたり,遅れて810も来たり,とにかく前から知っている人も,初めての人もこの日は随分お話もできたし,楽しかった。あ,ちなみに主役のお米ですが,玄米のまま炊いたものを雑炊にしていただいたのが主。もちろん,炊き上がりに錦松梅をかけて食べたり(驚くことにさくさんをはじめ,錦松梅を知らない人は多かった),雑炊にはさくさんの恋人から取り寄せたズワイガニが入ったりと,この日も贅沢な食卓でした。さんざん酔っ払って南武線終電で帰宅。

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コメント

映画館に足繁く通っているナルセさんと違って、年間で両手に余るくらいしか映画は観ていませんが、以前は毎月、銀座のガスホールでの試写会を担当していたりしたので、観る立場だけでなく、催す立場の事情も多少は分かります。舞台挨拶のときにカメラマン席をつくるというのはままありますが、「その場所の人は移動せよ」というのは失礼な話ですね。業界の常識、一般人の非常識という類。これは音楽関係のイベントでも同様でしょうが。

先日、『母べえ』の試写会に行きました。山田洋次監督は僕の父と同年齢の76歳、まだまだ一級の切れ味を持っているという印象です。まず、女優を撮るのが上手い。壇れいを観ていて、小津安二郎や成瀬巳喜男が撮った黄金期の女優の輝きを感じたのは個人的に嬉しいことでした。子役を活かすのも上手いし、悪人を登場させないことで悲惨な話を重々しくさせていないように感じました。スピード感もあって、退屈せず、そしてやはり泣けるのです。2008年度の映画賞をにぎわすのはまず間違いないでしょう。

さて、1月21日は吉祥寺「スターパインズカフェ」で「大人の女性、大人の唄」というイベント。初めましての、ちくわぶ。2度目の ゆいこ。そして、7回目か8回目の秋山羊子と渡邊奈央の4組、秋山・渡邊両ファンはそこそこ共通しているようで、前方には僕よりも年上の男性もちらほら。オリジナルはイマイチながら昔の唄をエノケンのバージョンをアレンジして歌う、ちくわぶは面白いと思いました。先日のバースデーライブに続いてバンドネオンの小川紀美代さんをサポートにした秋山羊子、彼女は独りよりもサポートがいたほうがいい。小川さん、遠くから見る分には年齢不詳な感じですが、会って見ると、とても素敵な女性で演奏も素晴らしい。僕よりも、ナルセさん好みでしょうか(?)。ヴォーカルが魅力的な渡邊奈央、何度か感じたことだけど、やや楽曲が単調で彼女の歌を活かしきっていない印象を今回も持ちました。彼女はカバーでも自分の世界で表現するタイプと思うので、イベントライブでもたまには、日本の古い唄やスタンダードをカバーしてもらいたい。

投稿: TOPS | 2008年1月22日 (火) 12時46分

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