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ピーター・グリーナウェイ

120日(日)

前日帰りが遅かったので、10時前まで寝坊。やっぱりジョギングは朝飯前が理想だが、呑んで寝て起きてすぐには走る気にならん。まあ、ともかく寒いだのなんだかんだ理由をつけて最近はサボっている。この日は珍しく予定がないが、映画を2本観ることにしてしまうと、やっぱり1日潰れてしまうので、1本だけにする。早めに出かけて夜をゆっくり部屋で過ごすことにしよう。

新宿テアトルタイムズスクエア 『レンブラントの夜警

ということで、選んだのがこちら。上映時間がけっこう長いんです。ピーター・グリーナウェイという英国の監督作品。『プロスペローの本』(1991)を観て衝撃を受けて以来、彼の作品は楽しみにしている。『枕草子』(1996)や『8 1/2の女たち』(1999)なども観ていますが、それ以来ですから、久し振りですね。ともかく、彼の作品は本当に凝っていて、ある意味完璧なる芸術作品なので、そう多くは作れないでしょう。美的で官能的、そんな印象です。『プロスペローの本』はもちろんシェイクスピアの『テンペスト』を、『枕草子』はもちろん日本の古典文学のあれです。そんな感じで、古臭い素材を彼流の感覚で味付けするというのが得意なのでしょうか。ということで、今回の素材は17世紀オランダの画家、レンブラントの1枚の絵画『夜警』製作をめぐるお話。それだけが実際の史実に基づいているのかよく分かりませんが、もちろんフィクションとしても十分に楽しめます。この辺り、真面目な作りの『真珠の首飾りの少女』のフェルメールとはかなり違いますね。

それもそのはず。この作品では特段17世紀の歴史的街並みをセットとして再現させるような努力はあまりしていません。室内のシーンも多く、それも当時の室内空間を再現させるわけでもない。全体的に照明は暗いし、特にアトリエのシーンは非常に演劇的なのだ。そして、この演劇的ってのがこの作品のポイント。オランダ絵画といえば、静物画や肖像画、風景画といった、対象物を詳細に写実的に描くことを確立させた。それ以前の、特にイタリア絵画は特に宗教画を中心として、絵画は現実を模倣するのではなく、テーマがあるのが普通であった。それとは対照的に、あくまでもオランダ絵画は静態的なのだ。一方で、グリーナウェイの英国は演劇の国。歴史家フランシス・イエィツはルネッサンス期の英国を「世界劇場」と呼んでいるくらいだ。しかし、レンブラントはオランダにあって、そして特にこの『夜警』においては、集団肖像画をドラマティックに仕立てた、というのが本作におけるこの絵画の解釈だ。通常は肖像画を依頼してきた各人の払う金額に応じて描き方が異なっている。全身を描く場合と上半身の場合と値段は違う。『夜警』の場合には夜警団のメンバーが等しく料金を払っているために、ルールからすると各人を平等に書かなくてはならない。しかし、演劇では通常、登場人物は平等であるはずがなく、主人公がいて脇役がいる。主要な人物でも敵と味方といる。そんな具合に静止表現としての絵画でありながら、そこにドラマを作り、光の当て方、視線の方向、全てにおいて各人に不平等な役割を与えているのだ。

まあ、そんな感じの展開。グリーナウェイ作品としては珍しくちゃんとして筋を追うことのできる脚本ですが、一度観ただけでは全てを吸収できません。2度目で脚本中心に、3度目には字幕は無視して映像だけを楽しみたいもの。といっても、濃密度、長時間なので、一度観ただけでぐったりです。それにしても、出演女優の美しいこと。なんか、彼の作品はいつも渋谷シネマライズの印象がありますが、本作はこの映画館が適切。ところで、この日の映画館、ものすごく混んでいました。私は上映15分前に到着しましたが、前方2列しか空いていませんでした。まあ、どうせ最前列なので何の問題もないのですが、相当座席数があるあの映画館でこれだけ人気とは。ちなみに、美術系大学生は学生証提示で1000円に割引をしています。

そういえば、若きアメリカ俳優、ヒース・レジャーが亡くなったそうです。28歳。

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コメント

日曜日はどこも映画館は混んでいたようです。僕は「母べえ」の試写会の前に東京ドームの「キルトフェスティバル」に行ったんですけど、すごく混んでいました。寒さのせいもあるでしょう。昨日ナルセさんには伝えましたが、明日舘のビューティフルハミングバードは無事当選でした。これで、2月のライブは16本になりました。最終的には20本ちょっとでしょうか。

昨日、22日は渋谷の「DUO」で、おおはた雄一。高田漣と坂本美雨がゲストということで、楽しみにしていました。おおはた&漣のコンビは一昨年の「440」が印象的でしたし、美雨ちゃんも渋谷「SPUMA」でのこじんまりしたライブが良かったのですが、隔世の感。まずはおおはたさんが独りで4曲、漣さんと二人でまた4曲、美雨さんが入って5曲、そしてまた二人、独りで5曲ほど、最後に3人で1曲、アンコールも独りで2曲、最後に漣さんを呼んでもう1曲と、2時間半ほどの長丁場でした。詳細はナルセさんに委ねますが、全体的には落ち着いた静かなライブでした。これはこれでいいと思いましたが、おおはたさんのライブは大抵長いので、ゲストにもよりますが、途中に山を持ってくるような構成を工夫してもいいように思いました。もっとも、どこで何をやっても彼は持ち味を出してくれるのですけどね。

投稿: TOPS | 2008年1月23日 (水) 12時47分

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