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伝奇集

ホルヘ・ルイス・ボルヘス著,鼓 直訳 1993. 『伝奇集』岩波書店,282p.,560円.

珍しく定価で買った岩波文庫版。私はほとんど書籍は定価では買わない。古書店で多少なりとも安く買いたい。特に普通の書店で売っているような岩波文庫は古書店でも手に入りやすいが,この本はちょっと早めに読まなくてはならなかったのだ。というか,このボルヘスの主著を私が読んでいなかったというのは怠惰です。
下北沢にある書店「フィクショネス」は本書の原題からとられている。ここはHARCO「お引越し」のPVにも使われているように,HARCOもお気に入りのお店。HARCOと顔見知りになって間もない頃,私は彼に「1分の1の地図」という曲があることから,同じテーマを持ったボルヘスの「学問の厳密さについて」のコピーを上げたことがある。その時に,フィクショネスの話をしていたのだ。HARCOは読んだことがないものの,その書店の店長からボルヘスのことは聞かされていたとのこと。
さて,脱線しましたが,私は今文章を書いている。詳細はまだ明らかにできませんが,目下のところの小テーマは「バベルの塔」。その議論のなかで重要な作品であるポーの「盗まれた手紙」と「群集の人」を私が読んだのは,ボルヘスがイタリアの出版社の企画に応じてセレクトした短編集シリーズ「バベルの図書館」の11巻目,「エドガー・アラン・ポー」でだったんです。で,この「バベルの図書館」というタイトルは,この『伝奇集』に収められている短編のタイトルでもある,というわけで,本書を読まなくてはならなくなったのです。
ボルヘス作品の特徴を知っている人には冗長ですが,本書に本人の言葉で書いてあったので引用すると,「長大な作品を物するのは,数分間で語りつくせる着想を500ページに渡って展開するのは,労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は,それらの書物がすでに存在すると見せかけて,要約や注釈を差し出すことだ。」まあ,基本的にはオリジナルなフィクションなんだけど,ボルヘス作品を読む限りではそれがオリジナルなのか引用なのか,要約なのか,はてまたフィクションなのかノンフィクションなのか,よく分かりません。そもそも,そんなことをこだわることの無意味さを思い知らされます。
しかし,と偉そうに書きましたが,ボルヘスの作品を何冊か読みましたが,「面白い!」と思うものはそう多くありません。まだまだ,私はボルヘスを理解していないし,ボルヘス好きをも胸張ってはいえないくらい。本書も彼の代表作なので,かなり期待したのですが,やはり引き込まれる感じではありませんでした。

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