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ことば,この未知なるもの

ジュリア・クリステヴァ著,谷口 勇・枝川昌雄訳 1983. 『ことば,この未知なるもの――記号論への招待』国文社,512p.,4500円.

クリステヴァの本は,『テクストとしての小説』(原著1970年),『ポリローグ』(1977年),『セメイオチケ』(1969年)に続いて読むのは4冊目。どれも分厚いんですよね。でもとっても面白い。
前にもちょっと書いたように,今私が執筆しようとしている(といいながら,最近サボり中)テーマは「バベルの塔」。本書の存在はもちろん知っていたけど,先日早稲田の古書店で本書を手にしてビックリ。表紙をめくると,ヴァルケンボルグのバベルの塔の絵画が図版でついていました。まあ,ことばをテーマにした本書でそんな話があっても不思議じゃないな。
ということで,早速読まなければならなくなったわけです。『セメイオチケ』がクリステヴァの処女作だと思っていましたが,本書と同じ年に出版されています。どうやらついになっているようですね。テーマは同じでも内容はかなり異なっています。かなりオリジナルな議論が展開する『セメイオチケ』に対して,第一部が「言語学入門」というタイトルで始まる本書はかなり教科書的な内容。けっこう読むのが辛いです。第一部はソシュールから始まって,「ことばの物質性」,すなわち音としてのことばに関する議論を細かく紹介しています。どうしても私の関心は意味論なので,音韻論の議論はついていけません。
第二部は「歴史のなかのことば」と題して,人類学研究から,古代文明以降の歴史が辿られます。ようやく面白くなってくるのは第三部「ことばのいろいろ」のなかの精神分析に関する議論。
クリステヴァはブルガリア出身で主にフランスで活動しているフェミニストでもありますが,バフチンを再評価した初期の人物でもあります。こうして考えてみると,現代思想と呼ばれる分野での著作家のなかでもフランスの人たちは言葉にこだわるなあと思います。人類学のレヴィ=ストロースや,歴史のミシェル・フーコー,ロラン・バルトやジャック・デリダは当然のこと,精神分析のジャック・ラカンも。まあ,現代思想というもの自体が,言葉の捉え方から新しい方向性を見出しているわけではありますが,どこまで探求しようともいつまでも「未知なるもの」であり続ける,本質的なテーマなんでしょうね。

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