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テクストの出口

ロラン・バルト著,沢崎浩平訳 1987. 『テクストの出口』みすず書房,256p.,2400円.

ロラン・バルトは1980年に亡くなっている。彼の著作はほとんど翻訳されているし,さらにはそのほとんどを出版してきたみすず書房により,「ロラン・バルト著作集」として新訳が次々と出されている。自分の仕事を自ら否定してるってどうなの?って思うからってわけじゃないけど,私はこの著作集は買わずに旧版を集めます。
この本はちょっと色々あって,読み始めから随分時間が経過してしまってあまり覚えていないので,詳細目次を書くことにしましょう。本書はさまざまな媒体に書かれた小文を寄せ集めたものです。遺稿も収録されているので,本人の意図に基づいた論集というわけではないようです。そして,すでに翻訳されていた『言語のざわめき』と本書は,原書では1冊に収録されているとのこと。

第1部 レクチュール
1 削除(1964)
2 ブロワ(1966)
3 今,ミシュレは(1972)
4 ミシュレの現代性(1974)
5 ブレヒトと言述――言述研究のために(1975)
6 F・B(1964)
7 バロックな面(1967)
8 「能記」に生ずること(1970)
9 テクストの出口(1972)
10 研究の構想(1971)
11 《長い間,私は早くから床についた》(1982)
12 ルノー・カミュ『トリックス』への序文(1979)
13 人はつねに愛するものについて語りそこなう(1980)
第2部 イメージの周辺
14 作家,知識人,教師(1971)
15 ゼミナールに(1974)
16 周期的に行なわれる訴訟(1974)
17 イメージ(1977)
18 省察(1979)

このように,発表された年もまちまちで,長さもまちまち。構成も発表順とは違います。まあ,そもそもバルト自身が「作者の死」を主張したり,「断章」という手法を多用して,テクストの時間的つながりを否定した人物ですから,まあ,読者の好きな解釈で理解したりしなかったりして,楽しんだり貶したりすれば良いのではないでしょうか。まあ,私の場合もある文章は集中して読んだり,その他の文章は気散じながら活字を読んだりした感じなので,うまく説明はできません。
ともかく,バルトは小説の型にはまらない小説的な作品を作ろうと構想しながらも1980年に事故で亡くなってしまうわけですが,晩年にはその構想の一端を読み取れる小文があったり,日記的な文章があったりと,本書はエッセイ集ではありますが,ジャンルというものを実践的に解体しようとしていたようなことが訳者あとがきに書かれています。まあ,本当のところは私には分かりません。

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