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覗くひと

アラン・ロブ=グリエ著,望月芳郎訳 1970. 『覗くひと』講談社,288p.,650円.

『嫉妬』,『消しゴム』に続いて,ロブ=グリエの作品を読むのは3作目。相変わらずわけが分かりません。あらすじを書けば,なんてことはない。マチアスという男性の主人公がいる。彼は生まれ故郷に行商のために帰ってきた。彼は腕時計の行商で,週に数往復しかないこの島を訪れる。朝について夕方に帰る船に乗る予定。この島の世帯数は限られているので,港町で自転車を借りれば回るのはたわいない。しかし,実際に回ってみると,思うようには売れず,またたまにはかつての知り合いに出会って引き留められたり,自転車が故障したりで,結局寸でのところで船を逃してしまい,数日宿泊するはめになる。その数日間の1日に,どうにも行商を諦めたっぽい怪しげな空白の1日がある。しかし,翌日になるとそのことを忘れたかのようにまた時計を売りに歩く。そんななか,ある少女が一人行方不明になるのだが,なんだかんだ町は騒いでいる間に,次の船に乗ってマチアスは島を後にする。そんな物語。しかし,その一つ一つの出来事の描写が曖昧で,主人公の記憶も曖昧で,錯綜していて,記述は繰り返す。どうやら,その行方不明の少女は,マチアス自身が暴行をし,殺害してしまったということになるらしい。しかし,それにも明白な動機もあるわけではないし,そもそもそれは計画的なものなのか,衝動的なものなのか,サッパリ分からない。
まあ,恐らく1955年に原著が出たときにはそのこと自体が意義があったんだろう。もちろん,有体の誰にでも理解可能な事実の羅列のような退屈な小説と比べて面白いのは間違いない。はやく,『去年マリエンバードで』を手に入れたい。

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