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トニオ・クレエゲル

トオマス・マン,実吉捷郎訳 1952. 『トニオ・クレエゲル』岩波書店,98p.

『魔の山』などで知られる,トオマス・マンの1903年の自叙伝的作品。28歳の時に執筆。私はマンの作品は初めて読みましたが,単に先日鎌倉に出かけたときに手持ちの本が読み終わりそうだったので,小町通の古書店で買い求めたもの。マンの作品を読んでみたかったが,薄かったのが決めて。
巻末の解説で,ゲーテの『若きウェルテルの悩み』と並べているように,本作は若き主人公トニオ・クレエゲルの恋の苦悩を描いている。トニオは男だが,美少年の同級生,ハンス・ハンゼンのことが大好きだった。それは別に同性愛を強調するような物語ではない。以前にも紹介したように,プラトンの時代には愛といえば美少年に対する男性の感情だったのだし,同性愛が文学の主題となるのは同性愛が禁じられる時代においてである。といっても,本作が書かれたのはまさに同性愛が禁じられた時代だと思われる1903年であり,プラトンの時代よりはまったくもってわれわれの時代に近いのだが。まあ,ともかくやっと実現したハンスと2人きりで帰る下校の道が,インメルタアルという男の子に邪魔されてしまう。
そして,突然話は16歳に飛ぶ。その頃トニオが恋したのはインゲボルグ・ホルムという女性だった。しかし,彼女はクアナク先生に憧れているようで,そもそもインゲには大して近づけはしないのだ。
そして,また突然話は変わる。彼はそんな思い出の詰まった幼少期を過ごしたその町を離れて,一人旅を始める。ミュンヘンからコペンハーゲンまで,自分の家系を辿る旅。しかし,奇妙にも,その地でハンスとインゲがカップルでいるのに出くわす。結局,トニオはその2人に接触することはないので,なぜその2人が一緒なのか,そしてなぜそこに来ているのか,ということは全く分からない。ひょっとしたらそれはトニオの幻想なのかとも思える。
まあ,ともかく短いのに,なんともよく分からない物語だ。別に哲学的な内容が含まれているわけでもないのに。それは単純に私の物語解読能力の問題か。

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