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ライヴに子ども

8月30日(土)

午前中、Amazonで注文した本が届く。書店では見かけたんだけど、あまりに厚いので持って帰るのが面倒。価格もそれなりなので、Amazonで購入しても送料は無料。購入したのは新曜社から翻訳が出た、エドワード・ケーシー『場所の運命――哲学における隠された歴史』。原著が出たのが1997年で、私は1999年に『地理学評論』に書評を書いている。ケーシー氏は哲学者だ。しかし、本書には地理学者の著作が多数引用されていて、場所研究者としての私は無視することができず、その分量と難解さに悩まされながらも、原著を読破して拙い書評を書いたものだ。もちろん、私が密かに構想している一つの研究テーマにこの本は大きく関わってくるので、もう一度はきちんと読まなければならないので、このタイミングで翻訳が出たのはとてもうれしい。というか、翻訳が出る本を原著で先に読んでいたってのがけっこう嬉しいんですよね。

初台近江楽堂 ビューティフルハミングバード
この日は昼間のライヴ。同じ時間にLynnがタワーレコード新宿店でもインストアライヴをしていたが、さすがに断念せざるをえない。東京オペラシティのなかにある近江楽堂。なんのための空間なんでしょうか。表現が難しいですが、内部がゼリーのお椀のような形をしていて、内部には聖母像などもあり、天井には隙間があり、ガラス張りの屋上から光が差し込みます。そんな構造なので、客席の話し声は上部で反響して待っている時間、耐えられないほど共鳴する。本当に他人の話し声ってうるさくてうんざりすることが多い。しかも、この日は子連れが3人。一人は完全に赤ちゃんで、布に包まれて寝ているだけ。もう一人は1歳くらい。とても音楽を聴くような子どもではない。最後の一人は3歳未満くらいで自意識は持っている。
そんな場所ですから、当然この日も完全生音。前回まで明日館講堂で行われていた「耳をすまそうコンサート」3回目です。タバティが少し太ってきている様子。ビューティフルハミングバードは11月に『HIBIKI』というアルバムを発売する。そのアルバムはかれらがmona recordsから発売した2003年のアルバムの曲を多くセルフカヴァーしている。このインディーズ盤をもちろん私は持っていますが、最近入手困難だということで、こういうことになったようです。そんなこともあって、この日のライヴはそんな昔の曲を中心とした選曲。いつも、けっこうさらっと1時間くらいで終わってしまうのですが、この日はけっこうたっぷり、昔の曲も久し振りだったし、とてもいいコンサートでした。特にこの日はゲストで、チェロ奏者の四家卯大さんという人が参加して、この人のチェロが素晴らしかった。ちなみに、この名前は本名だそうですが、外見は名前のような仰々しさがなく、ビューティフルハミングバードの2人曰く、気さくな人。はい,人当たり良さそうな感じで,音にもその人柄は表れているように感じます。はじめの頃はヴォーカルやギターよりも音が強かったが,徐々にチェロの音に角が取れてきて,ヴォーカルも徐々に響きがよくなってきて,3つの音が合わさっていきます。今度のアルバムは明日館講堂で,ゲストに藤原マヒトさんと,この四家さんの4人で一発取りレコーディングしたそう。ということで,アルバムの曲,といっても昔の曲ですね。光子さんは歌のためにあの体型をある程度維持しているのかと思いきや,最近はジムに通っているらしく,「(体型がどう変化するか)お楽しみに!」といっていた。
さて,先ほど書いた子どもの話。中盤で1歳の男の子が,そして最後の最後で3歳の女の子が,まあ台無しにするほどの大きな声ではありませんでしたが,ちょっと耳障りな存在でした。確かに,子どもがいるおかげで,それまで楽しんでいた映画やライヴなどが行けなくなるというのは可愛そうで,同情します。この日も昼間ということで子ども同伴で来たんでしょうね。でも,そのことは予め主催者側にことわっているのだろうか,それとも料金を払っているのだろうか。ちょっと疑問が残る。よく探せば,子ども同伴OKのライヴもあるし,フリーライヴなどはもちろん大丈夫だ。まあ,ライヴならどんなのでもよいということではなく,ビューティフルハミングバードを聴きたいんだろうけど,なんか,ちょっと納得いきませんでした。
ちなみに,この日はめずらしく終演後に本人たちが出てきて,CD購入者にサイン会がありました。さすがにCDはあまり売れていませんでしたが,だからこそ一声懸けて帰ればよかったと後悔。最近はそういうことがないせいか,親しそうに声を掛けて行く客が少なくてなんだか少し残念。最初の方は,大半が知り合いの客だったのに。

この日は渋谷JZ Bratでshima & shikou DUOのワンマンライヴがあった。先日casaライヴで島さんに会ったとき,「ナルセは居て当たり前」なんていわれちゃったけど,やっぱりあの店はちょっと敷居が高い。チャージは4000円くらいだったら敬遠するほど高くはないが,飲食が高いし気取ってるからな。店員もね。アットホームで素敵なお店をいっぱい知っているから,ああいうお店は行きづらい。
ということで,この夜は恋人が当てた試写会を観に有楽町へ。

有楽町よみうりホール 『おくりびと
主演,本木雅弘演じるのはイマイチパッとしないチェロ奏者。奥さんはウェブデザイナーの広末涼子。ようやくとあるオーケストラの正式団員になり,1千万円台のチェロを購入したものの,オーナーの鶴の一声で解散。もともと自分の才能の限界に気づいていたこともあり,母親が残してくれた山形県庄内の実家に戻ることを決意。奥さんはネットさえつながればどこでもできる仕事です。ということで、「旅のお手伝いをします」という新聞広告に引かれて来たのが、山崎 務社長の下、余 貴美子が秘書をしている2人だけの会社。しかも、事務所には棺桶3つ。山崎は悪気もなくいってのける。「あ、これ誤植だ。「旅立ちのお手伝い」だよ。」と。
はじめは抵抗するが、とりあえず「今日の分の給料」といって3万円ほどもらってしまったので、やってみることに。要はこの会社「NKエージェント」の仕事は「納棺=Nou Kan」。遺族の前でご遺体の体を清め、着替えをし、お化粧をして棺桶に収めるという仕事を葬儀屋からの下請けでやっている。まあ、そこは映画ですから、一つ一つの遺体と遺族との出会いのエピソードが多彩で、主人公は密かにその仕事に誇りを持ち始める。しかし、奥さんには言えず、そのうちにどこからか知れてしまう。「お願いだから仕事を換えて」と嘆願する奥さんは結局実家に戻ってしまう。
まあ、物語の説明に終始しても面白くありませんが、とにかく脚本が良い。発想もよいし、一つ一つの展開と台詞の一つ一つが丁寧に書かれています。もちろん、山崎氏と余氏の演技、その他にもいろいろ渋い役者が出ています。最後のクライマックスはちょっと予想できるものだったので泣きませんでしたが、一つのエピソードでは号泣。いい涙を流させる映画ですね。1箇所、本木と広末の絡みのシーンがあるのですが、ここがいい!広末涼子はすっぴんも何度も披露しているし、この絡みのシーン(セックスそのものではない)ではリアルな露出がいいですねえ。まあ、ともかくこの作品は先日モントリオール世界映画祭で最高賞を獲得したとかで、アトム・エゴヤンも審査員でいたりするのでしょうか。受賞が十分に納得できる作品です(観てはいないが『アキレスと亀』がカンヌ映画祭で絶賛されたというのは私には理解できない)。

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コメント

僕も先日「おくりびと」の試写を見ました。映画の基本に外れていない(失礼)というか、テンポ、ストーリーの伏線、演技・演出すべてにストレスなく見られましたね。この映画の脚本は小山薫堂さんが初めて映画用に書いたということで、心配半分期待半分(映画畑でない人の映画はたいてい失敗する)でしたが、僕も脚本がよくできていると思いました。

予想通りだったのは、「死」に対する「生(ないし誕生)」の表現(親の死と子どもの誕生)があったのと、グルメの小山氏らしい「食べる」シーンへのこだわり。うれしい誤算は、広末涼子のお色気シーンで、初々しい若妻を好演していてました。欲を言うと、シャケの遡上シーンが張りぼてっぽい感じだったのと、チェロを弾く本木にはもうひと頑張りしてもらいたかったような。

投稿: TOPS | 2008年9月 3日 (水) 13時35分

>TOPSさん
確かに、シャケとチェロね。
でも、やっぱり楽器は難しいですよね。ギターくらいならまだしも、クラシックの楽器は音がそれなりに鳴るまで練習すれば見た目もましになりますかね。

投稿: ナルセ | 2008年9月 3日 (水) 14時48分

納棺士役の二人の仕事振りをはじめ、所作の美を感じました。これがあるから映画に説得力が生まれるのでしょう。山崎努もさすがでしたが、僕らのような音楽好きにはどうしても「同じように音楽のシーンも決めてもらいたい」という欲が出てしまいます。でも、音を鳴らすのにもある程度の鍛錬が必要な楽器は、やっぱり難しいのでしょうね。音楽というと「おくりびと」は久石譲。こちらもさすがでした。橋本歩さんがこの映画をみることがあったら、チェロのシーンをどう感じたか聞いてみたいものです。

投稿: TOPS | 2008年9月 3日 (水) 17時59分

続けて失礼。別ネタです。

「近江楽堂」は礼拝堂をイメージした小ホールで、100人規模のコンサートホールとしては音の響きが素晴らしいと評判とか。東京都現代美術館などを手がけられた柳沢孝彦さんの設計、美しさと機能性を併せ持っているのがいいのでしょう。オペラシティには新国立劇場の大中小3つの劇場とコンサートホールがありますが、ちゃんと共存しているようです。結婚式やイベントも行えるので、ナルセさんもいかがですか。

僕は毬谷友子さんがここで舞台を何度かやっているので、親しみがありますが、音楽はショロークラブで1回だけ。air plantsやtico moonあたり聞いてみたいものです。

投稿: TOPS | 2008年9月 4日 (木) 12時57分

私はBHBのチケットが取れなかったので、Lynnのフリーライブに参加していました。お客さんはかなり少なかったけど、パフォーマンスは良かったですよ。特に和田さんの声に惚れ直しました。
ステージ後のサイン会も参加者が少なかったので一言二言交わせたり、潮音ちゃんのときとは大違いでしたっけ。JZ Bratにも参加するので、またご一緒できそうです。

投稿: mike | 2008年9月 9日 (火) 00時20分

>mikeさん
周りにLynnのインストアに行った人がいなかったんですが,mikeさん行ったんですね。そして,お客が少なかったとは。残念です。
でも,ゆったりとしたサイン会もいいですよね。
HMVのsaigenjiの時なんか,サイン会参加者が少なくないにもかかわらず,一人当たりの時間がやたらと長いってのもありましたけどね。

JZ Bratはなにやらよく分からないですね。お客さんも多そうです。どんな感じになるのか楽しみではありますが,1人で参加予定なので,ちょっと疲れそう。

投稿: ナルセ | 2008年9月 9日 (火) 07時06分

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