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あなたの履いているジーンズは中国製ですか?

10月29日(水)

この日は恋人が友達と表参道で食事をするからってことで呼ばれて行くことになったが、集合時間が遅いので、その前に映画を1本。

渋谷イメージフォーラム 『女工哀歌
現在、私たちの生活品には「made in china」がはびこっている。食料品については、多少お金を出せば日本産を手に入れることができるので、近年さまざまな形で問われている中国製を避けることができる。しかし、洋服となると、日本や欧米のブランド品でも多くが実際には中国製であり、特に特売品でなくても中国製を避けることは難しい。かといって、私は中国嫌いでもないし、どうしても中国製を避けたいと思っているわけでもない。ここ、イメージフォーラムでは『いのちの食べ方』、『いま ここにある風景』と、私たちの生活を見直すべくドキュメンタリー作品が続いている。『いま ここにある風景』はまさに中国を題材とした作品でもあった。
本作は、スイス生まれの異色ドキュメンタリー作家による作品で、中国にあるジーンズ工場を舞台としている。そこで働くジャスミンという1人の17歳の少女を追ったものだ。警察署長を辞して経営を始めたというこの工場の社長が冒頭に「世界における中国のイメージは間違っている。中国人は真面目で誠実な労働者だ」みたいなことをいっている。確かに、最近日本で報道される、中国産食品の不祥事ニュースの多くには生産者の姿は見えない。そこを知りたいがためにこの作品を観たかったのだが、結局のところはこの現状をどう理解したらよいのだろうか。どうしたら事態は改善されるのだろうか。途方に暮れる映画だった。
ジャスミンが17歳で出稼ぎに出たのは、彼女が次女だからだ。一人っ子政策ってのが未だにどれほどの効力を持っているか分からないが、ともかく長女が大学に行ったということで、次女は家計を支えるために、自ら進んで働きに出るという。住み込みの職に就くことで家計の出費を減らし、働いた給料を送金することでより助けになればという、涙ぐましい家族愛だ。といっても、あらかじめ就職が決まって都市へ出るわけではない。人伝いに人手を求めている会社を探し、直談判のようだ。それにしても、そんな状態でどうやって彼女が故郷を離れるシーンから撮影ができるのだろうか。
ともかく、ジャスミンは工場に併設された女工のための寮に住むことができ、早速朝の8時から勤務に就く。寮はもちろん共同トイレで2段ペッド。洗面所はなく、各自バケツで水を汲んできてベランダで洗顔、歯磨き、洗濯をする。お湯は有料。食事も給料から天引きだ。彼女の仕事はジーンズの最終工程、ミシンで縫った後の残った糸を取り除く作業だ。どの作業工程にもノルマがあり、それが終わらない限りその日の作業は終了しないが、効率よく作業を行うものは歩合制となる。作業中の居眠りなどには罰則があり、罰金としてこれまた給料から天引きされる。歩合制といっても単価は定まっているわけではなく、個々の発注によって異なる。発注先が代金を支払わない限り、動労者への賃金も支払われない。平気で3ヶ月遅れになったりするという。個々人の給料は職場に張り出される。ジャスミンの初任給は会社預かりとなり、数ヶ月お金の入らない彼女は正月に帰省もできなかった。初めて入った給料では実家に送金する以外はなんと精力剤の購入に当てるという。1日の労働をより効率的にするためだ。納期の前には深夜2,3時に及ぶこともある。作業が徹夜にまで及ぼうとしたある夜、ジャスミンは友達と一緒に、ちょっと抜け出して街まで栄養ドリンクを飲みにいった。眠気を覚まして作業するためだ。しかし、そのちょっとした外出が罰則の対象となり、その日は欠勤扱いとされ、さらに罰金は2日分の給料に及んだ。撮影の期間、動労者たちによるストライキをもとらえている。しかし、基本的な状態は変わらない。
結局、この会社自身も儲けは少ないのだ。外国企業との取引の様子も撮影されているが、これがまたひどい。基本的に発注者であるジーンズメーカーの買値は売値の10分の1。もちろん、かれらが生産地として中国を選択しているのはあくまでも安価な労働力が魅力。中国は社会主義国でありながらも、結局このグローバル化の時代に資本主義の世界システムから孤立して国民経済を維持できるわけでもないので、しょうがないんだよな。
ところで、17歳のジャスミンはそれでも、歳を取っている方。なかには14歳の子もいて、16歳未満の子は皆、偽造した身分証を持っているとのこと。他にもいろんな女性が登場していて、人間模様の観察としてもなかなか面白い。結末はそんな女工たちが数ヵ月後にどうなったのかが字幕で知らされ、最後の最後にまた字幕で締めくくられる。この作品の撮影中。中国当局から規制にあって、撮影データのいくつかが没収されたとか、会社と女工との関係が絶たれたとか書いてあった。本編中にずーっと流れていたジャスミンの声だと思っていたナレーションは、なんとさまざまな情報から再現された吹き替えだったとのこと。それも微妙だな。

そして、この日も食事は表参道の地下にあるエチカで。最近お気に入りです。食事もお酒も気軽に。

10月30日(木)

有楽町サロンパス ルーブル丸の内 『ICHI
講義前に観たのはこちら。私自身は観たいと思っていなかったが、恋人が観たいというので一緒に。私は北野 武の『座頭市』も観ていないが、彼女はそれを観たのかもしれない(そのくらい、確認しろよ!)。まあ、私が観てもいいと思ったのは、主演の綾瀬はるかちゃんと、監督の曽利文彦。『ピンポン』の監督でもある。私は勝新太郎の座頭市も知らないので、座頭市が女っていう奇抜な設定でも、元を知らないのでよく分からない。まあ、ともかくある意味では面白かった。まず、綾瀬はるか。相変わらず美しいが、人と関わる感情を失い、かつ盲目であるということから、終始無表情。瞬きすらほとんどしません。これは前作『僕の彼女はサイボーグ』と同じである。そして、『ピンポン』で敵味方で対決した、窪塚洋介と中村獅童がここでも敵味方だ。とにかく、主演の大沢たかおといい、これまで各人が培ったキャラクターをそのまま踏襲するという、いかにも保守的な配役と演出。どこか観るべき点があるとしたら、利重 剛だろうか。でも、チャンバラシーンで、飛び散る血液をCGで合成する技法ってのはなかなkいいかもしれない。

この日は講義を終えて真っ直ぐ帰宅。たまには家で一人のんびりと。といいながら、ちょっと引越しを計画していて、部屋の荷物のスリムアップを図っていたりする。

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» 映画>女工哀歌 (China Blue) [千恵子@行政書士]
「平均年齢15歳、労働時間1日18時間、時給7円以下」というと、中国版女工哀史か。「ああ野麦峠」を思い出してしまう。 否、中国では少し違う。四川省の田舎から、広東省の工業地帯に出稼ぎに来たジャスミン16歳。初めての職場、もちろん初めての都会、初めての搾取の連続にあっても、明るい。ともだちは14歳...身分証偽造...働くために嘘つくしかないのだろう。年長の同僚でも、19歳とか若さゆえの耀きなのだろうか。 謎に満ちた感想だが、要するに「をを、なんとここまで撮ったか」という映像が続くのだ。鋭く活写さ... [続きを読む]

受信: 2008年11月 1日 (土) 09時43分

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