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監獄の誕生

ミシェル・フーコー著,田村 俶訳 1977. 『監獄の誕生――監視と処罰』新潮社,318p.,3800円.

いわずとしれたフーコーの代表作。他の主著からすると,本書は後期の著作といえる。私が読んだフーコーは,『これはパイプではない』,『狂気と文化』,『言葉と物』,『言語表現の秩序』,『ピエール・リヴィエールの犯罪』に次いで6冊目。でも皆,薄めのやつだ。本書も主著といわれながら,分量的には薄い方かもしれない。
しかし,後期の著作ということもあり,いわゆるフーコー的議論の多くがそこには含まれている。まずもって,『監獄の誕生』といえば,ベンサムの一望監視方式だ。しかし,そこまでに辿り着く記述が重要なんだろう。とりあえず,目次を示してみよう。

第1部 身体刑
 第1章 受刑者の身体
 第2章 身体刑の華々しさ
第2部 処 罰
 第1章 一般化される処罰
 第2章 刑罰のおだやかさ
第3部 規律・訓練
 第1章 従順な身体
 第2章 良き訓育の手段
 第3章 一望監視方式
第4部 監 獄
 第1章 「完全で厳格な制度」
 第2章 違法行為と非行性
 第3章 監禁的なるもの

そう,これまたフーコー的概念である,規律・訓練=ディシプリン=学問分野も本書に含まれます。他にも文中には微視的物理学とか権力の偏在性とか,へたなフーコー解説書よりもコンパクトにフーコー的エッセンスが学べます。冒頭には現代のわたしたちからみると,おぞましいほどの身体刑の記述があります。人々は刑罰という目的で,平気で他人を苦しめながら死に至らしめ,しかもその様子を見世物として楽しむ。人間がそういうむごたらしいことをせずにすむようになったのは,一方で,罪人に限らず,軍隊から始まり,学校教育における規律・訓練。そして一方では,法律の厳格化と監獄施設の発明により,社会全体がおぞましい刑罰を必要としなくなったということ。しかしそれは必ずしも幸せな社会変化ではなく,近年はこの分かりやすい一望監視方式という特定の施設の形状が,社会全体にいきわたり,最新テクノロジーをともなって「監視社会」などといわれるようになっているわけです。
だから逆にある意味では物足りなく感じたりします。私が読んだフーコーの本のなかでは一番読みやすかったし,他の著書はどこかしら解説書などでは説明しきれない複雑な要素を含んでいたが,本書は解説書からはみ出ることはない内容。まあ,でもまだまだ読むべき本はあります。

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