« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

2009年3月

2009年4月のライヴ予定

まだ確定しているのは2つ。まあ,せっかくなので,行きたいのを列挙しておきました。

4月3日(金)
池ノ上ruina ari/他
4月8日(水)
日暮里bar porto 古賀夕紀子
4月10日(金)
お茶の水日大カザルスホール 湯川潮音(チケット購入済み)
4月15日(水)
南青山MANDALA erikuo/他
4月16日(木)
西荻窪サンジャック 秋山羊子/他
4月18日(土)
淡路町ルシェーヌ 山田タマル
4月26日(日)
代官山LOOP 一十三十一(チケット購入済み)
4月27日(月)
吉祥寺strings SJS
4月28日(火)
代官山晴れたら空に豆まいて flex life/カセットコンロス/他
4月30日(木)
東京タワーClub333 木下ときわ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

数年ぶりの出張

3月22日(日)

新宿武蔵野館 『ゼラチンシルバー,LOVE
写真家として活動してきた、操上和美による監督作品。妊娠して最近話題になっている宮沢りえ出演作品。主人公を演じるのは永瀬正敏。そういえば、確か登場人物に名前は与えられていない。主人公はカメラマンだが現在作品は撮っていない。役所広司演じる男に依頼され、宮沢りえ演じる女性の自宅での姿をビデオカメラで撮影し続ける。2人の暮らす場所は川を隔てた一軒家とマンション。どちらも生活感はなく、女は毎朝500mlのペットボトルの水で12分30秒卵を茹で、出来上がったゆで卵をやはり無機質なテーブルとチェアに座って食べる。男は120分毎にビデオテープを交換して録画を続ける。廃墟のような一室に無造作に置いてある浴室に入り、出てくると2lペットボトルの水を飲む。1度だけスパゲティを茹で、食べる。定期的に役所からかかってくる電話で呼び出され、録画したビデオテープを報酬と交換する。基本的に登場人物はこの3人なのだが、永瀬がふらっと寄ってその後何度か通うことになるバーのママを天海祐希が演じ、そのほかに誰も客のいない店内でヴァイオリンを弾くのが香月さやかという人物で、クレジットではSAYAKAとして登場する。どうやらオリジナル曲で活動するヴァイオリニストのようですね。そして、またまた永瀬がゲームセンターで捕まってカラオケ店にまで同行することになる女子高生を演じるのは水野絵梨奈。素人とは思えない歌唱力で歌い、ガリガリの子ども体型をブラウス1枚で披露する。まあ、そんな感じの展開です。結局どんな結末だったのか忘れてしまうほど、ストーリー自体には重きを置いていない、映像重視の作品。基本的にカラーだけど、モノクロもあるし、モノクロにも映える風景、セットが選択されている。どうやら南武線の川崎の先、貨物の引込み線といった場所でしょうか。朽ちていくものが発する美しさを捕らえようという意図でしょうか。加齢も含めて魅力を振りまいている宮沢りえが最大の見所でしょうか。井上陽水の主題歌は見事。

この週はこれといった活動なし。

3月26日(木)

普段は会社をお休みする日ですが、なんと数年ぶりの出張で稚内に行く。羽田空港で同行する上司たちと待ち合わせ、彼らの同伴者としてANAのラウンジに入る。ビールやウィスキーを含むドリンクが飲み放題。さすがに朝11時なので、アルコールは飲みませんが、優雅なものです(そこにいるお客は決して上流階級の優雅さは持ち合わせていませんが)。
稚内空港は除雪作業のため、旭川空港か新千歳空港へのダイバート(代替着陸)する可能性があるとアナウンスがあったが、2時間のフライトで無事稚内空港に到着。空港唯一のレストランでラーメンを食べ、稚内市街地にある役所で打ち合わせ。私は名刺交換の時しか声を発しない。往復の航空券9万円をかけた意味はあったのだろうか。まあ、ともかく打ち合わせを終え、ホテルにチェックイン。
稚内グランドホテルという外観はごく普通のビジネスホテルでしたが、改装して間もないということで、内装はとてもきれいでした。ただ新しくきれいというだけでなく、センスがけっこう都会的。ということで、快適な部屋で、上司からパソコンを借りて仕事。夕方からはホテルの近所の居酒屋で呑み、若い女の子のいるスナックで呑み&カラオケ。3人で2軒、2万円の浪費でしたが、私は出張手当もつかないので、ご馳走になりました。
翌朝は他の2人は私が関わらない業務内容で、再び打ち合わせ。私はホテルのチェックアウトの時間まで相変わらずパソコンで仕事。チェックアウトして、ホテルから小雪がちらつくなか、歩いて副港市場まで。なぜか「松坂大輔記念館」なるものがありました。荷物にならないような海産物をお土産に買ってから打ち合わせ終えた人たちと合流。回転すしで昼食をとり、空港へ。なぜか前日に行ったスナックのママが空港のセキュリティで荷物検査をしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

引越しパーティ,大盛況

3月20日(金,祝)

高田馬場早稲田松竹 『ハッシュ!』
昨年8年ぶりに『ぐるりのこと。』を上映した橋口亮輔監督の前作が、『ぐるりのこと。』と同時上映で再上映されていた。日本映画好きにはかなり評価が高いが、私はまだそのころは積極的に日本映画を観ていない時期なので、予告編しか観ていなかったので、今回観に行くことに。この日が最終日ということで、かなり混み合っていました。普通に観られる席は空いてなくて、ウロウロしていたら、劇場スタッフの人が、最前列で荷物を隣の席に置いている人に「ここ空けていただけますか」という場面に出会ったので、座らせてもらう。その人たちは当然のように2本鑑賞だ。ちょうどお昼時だったので、座席で昼食をとっている。
さて、『ハッシュ!』はこの時期にしては先駆的なゲイ映画。しかも、主演は男闘呼組の高橋和也と多分俳優としては駆け出しの頃の田辺誠一。新宿二丁目で出会い、一晩を過ごし、そのまま付き合うようになった2人に、片岡礼子演じる女性が接近する。田辺君の目を見て、彼の子どもが生みたいと思うのだ。その時点で、女性はこの2人が恋人同士であることを見抜くのだが、その後奇妙な三角関係が進展していく。一気に物事を解決に導くテレビドラマ的展開ではなく、いくつもの伏線もが楽しめる脚本はさすが。高橋の勤めるペットショップ。田辺は室内実験場で土木設計の検証をする技術者だが、そこの事務員の女性をつぐみが演じる。ここはさすがの演技。片岡にまとわりつく、セックスだけ目的の若い男性、そして、3人のボーリングのシーンなど。最後には高橋、田辺の家族も登場して一気に盛り上がります。俳優としての力量はイマイチの男優2人に対して、存在感のある女優、そんなアンバランスも含めて、脚本、演出などなど完璧というとそのことに付随するマイナスの側面もあるが、この作品は適度に力が抜けていて、愛すべき作品。やっぱりスクリーンで観て良かった。
一度帰宅して、恋人と一緒に翌日の準備。

渋谷B.Y.G 遠藤賢司
久しぶりのB.Y.G。そして、久しぶりの遠藤賢司コンサート。お店で直接チケットを購入したために、整理番号は24番。でも、開場が開演1時間前だというのに、お客の集まりは良いので、ほぼ番号どおりの入場。久しぶりのエンケンということで、真正面は避けて、ステージ左側の席に座り、タイ料理のガッバオをいただき、読書をしながら開演を待つ。隣の若い男性は「今ステージ撮影していいですか」とスタッフに確認して熱心に撮影。この男性が演奏中も激しく反応していた。彼の姿を観るのは初めてだが、相当好きなようだ。一方、反対隣の女性2人はなにやら絵本の話で盛り上がっている。ちょっと前に、エンケンの「ボイジャー君」という曲をもとに、絵本作家の荒井良二が絵をつけて、CD付の絵本を発売したのだが、そこからエンケン好きになったのだろうか。
冒頭はいつもどおり、照れくささと一汗かくためか、エレキギターで絶叫ソング。隣の女性たちが圧倒されるかと思いきや、ぜんぜん普通に受け止めている様子。もちろん、毎度見かける顔も揃っていますが、私が来なかった間に新たなファンも獲得しているのでしょうか。この日も立ち見も出る盛況で始まります。今年でデビュー40周年を迎えるエンケン。最近は2,3年に一枚のペースでアルバムを作っていますが、今年も5月くらいにレコーディングを開始する予定とのこと。それにも参加してもらいたいと、先日麻薬保持で逮捕された鈴木 茂の話題あり、どちらかというとサッカー好きのエンケンですが、WBCについては「侍JAPAN」という命名はよくないだとか、辛口トークもいつもどおりです。相変わらず表弱の激しいライヴで、アンコールも含めて2時間強で短めでしたが、この人の体力には本当に驚かされる。新しいアルバムに入れる予定という新曲も披露されましたがいい感じですね。今度はなんと下北沢マジック・スパイスでのカレーディナーコンサートをやるとのこと。

3月21日(土)

この日はわが家の引越しパーティ。私が引っ越してきてから2ヶ月。恋人が引っ越してきてから1ヶ月経ちますが、その間に布団乾燥機を購入したり、カーテンを手作りしたりと少しずつ快適ライフを目指してきて、最後に必要だったクローゼットが前日の午前中に届き、私がライヴから帰宅して、組み立て。ようやく、お客さんを招く準備が整ったと思いきや、こういう時に一番必要な冷蔵庫が不調を訴えた。私が18年間使ってきた冷蔵庫は1ドアで冷凍食品を保存できないということで、リサイクル料金を払って引越し屋に引き取ってもらった。恋人が引っ越してきてから使っていた2ドアのサンヨー製品は実は半年前にリサイクル店で購入したもの(実は購入した日は例の秋葉原の事件の日。そのリサイクル屋のテレビで事件を知りました)。製造年は不明だったが、8千円台という価格に負けて買ったのだが、改めて調べたら10年以上前の型だったようだ。まあ、だからといって私の1ドア冷蔵庫がまだまだ使えた保障はないのだが、ちょっと残念。とりあえず、冷凍庫はまだ多少なりとも機能していたので、ギリギリな状態で予定していた料理を作って、お客さんを待ちます。
14時から開始ということですが、はじめのお客さんは14時前に到着。なぜか女性が早い時間に到着し、男性客は遅い時間。このblogにもよく登場するピアニストの松下美千代さん、ライヴ友達のTOPSさんやサカウエ君など、さらには東京経済大学でお世話になっている山田晴通さん夫妻に研究者仲間の杉山和明君家族(3歳の息子含む)など、のべ14名。今回はお酒や料理を持ち寄ってもらったが、足りなくもなく、大幅に余ることもなく、ちょうど良い感じ。特に先発隊の女性人たちはほとんどが手作りの料理を持参してくれたので、容器もその場で洗って返却し、ゴミもそれほどでないで助かった。先発隊は19時前後に帰って行きましたが、後発隊は結局22時くらいまで管を巻いていた。私は杉山君の息子と遊ぶのに体力を使い果たす。
世間では3連休の真ん中だというのに、多くの人に集まってもらい、楽しい時間をすごして、なかなかいい企画だった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

郊外の社会学

若林幹夫 2007. 『郊外の社会学――現代を生きる形』筑摩書房,231p.,720円.

先日,難波功士さんの『創刊の社会史』を読んで知った,同じちくま新書の本書を早速BOOK OFFで購入。私は本書を書くきっかけとなった,パルテノン多摩での若林氏の郊外に関する講演を聴いているし,冒頭で取り上げられているドキュメンタリー映画『ニュータウン物語』もしっかり観ている。でも,若林氏の著作は意外にも『地図の想像力』(講談社メチェ 1995年)しか読んでいないんだよな。
さて,一応私も都市研究者の端くれなので,本書の冒頭に繰り広げられる郊外論の基本的なところは知っていて退屈。特に,三浦 展などの話はうんざりだが,もちろん本書は彼の議論に与するわけではなく,そういう言説がなぜ生まれるのかを明らかにしようとする。三浦氏はPARCOが出版していたマーケティング誌『アクロス』の編集長をしていたらしく,だからこそ「第四の山手」とか「ファスト風土化」などとくだらない発想で,あたかもそれが現実を説明しているかのように流布してしまうのだ。私などは感情的になって,(そもそも読書としてそんなものが楽しめるはずがないのだが)彼の著作などとても読めないが,若林氏はあくまでも研究対象の一つとして読み込んでいる。その辺りはさすがであり,そういうことができない私はなかなか多くの人を納得させる研究ができないんだろうな,と反省。しかも,地理学者の業績まで引き出してくるところは彼らしい。
しかし,新書という形をとっているが故に,本書はゆるい部分もある。あとがきで,本書は「私論」であると言い切っているように,町田市で生まれ育ち,つくばエクスプレスが開業し,郊外化した筑波大学に長年勤めていて,現在は流山市に住んでいるという。彼は郊外の問題を上から目線で批判したり,逆に他人事のように賞揚したりするのではなく,自分ごととして捉える。まあ,その辺は東京都心から50km圏で,東京23区内に通勤する父親のもとで20歳まで育った私にとって本書が魅力的なところである。しかし,全般的には,相変わらず著者の器用さが故に物足りなさを感じもする。
まあ,でも郊外の問題はいまさらどっぷり深く突き詰めるものでもないので,この軽い本一冊でかたをつけてしまいましょう,という感じだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

新宿以北

最近は,池袋や新大久保,高田馬場などになぜか集中して行っている。

3月19日(木)

新宿シネマート 『パラレル
実話を基にした作品。作品中でも主人公は実名です。結婚を前にしたJリーガーが事故で足が動かせなくなる。主人公の母親は婚約者に結婚をキャンセルするように勧めるが、2人で困難を乗り越えていこうと決意する。しかし、最終的な検査の結果、足が元通りになる希望は絶たれるが、そんな時に、入院していた病院の隣の体育館で活動する車椅子バスケットボールチームに出会い、パラリンピック出場を夢に再出発するという話。珍しく、お涙頂戴なシーンはあまりありませんでしたが、やはりこの手の障害を真面目に扱う映画は、中学生の頃に道徳の時間に観た教育的な映画に作りが似ている。この2人を演じるのは要 潤と島谷ひとみ。要は相当車椅子バスケを練習したと思うが、やはりチームメイトや試合相手の本物の選手たちの動きは桁違いだ。そんななか、主人公がパラリンピック選手に選ばれるってのも無理が...一方、島谷はなかなか迫真の演技だったと思う。でも、足の動かない夫を看病するのに、長い爪で寝入るアートもバッチリってのはどうかな。まあ、いつも素敵な衣装ってのは目をつぶるにしても、爪くらい切ろうよ。まあ、期待以上ではない。
池袋に移動して、アルバイト上がりの恋人と合流して食事。その後、私は一人で新大久保に移動。新大久保は韓国料理店を使った飲み会とかで行ったことがあるけど、いつも西口だった。今回、コンサートが開催される場所を探して、東口へ。やはりこちらも韓国色が濃いですねえ。そして、そういえば韓国ではキリスト教が日本よりも普及しているって聞いたことがあるけど、協会が多い。しかも、雑居ビルの間を縫って、教会があるんですね。韓国人信者との関わりは分かりませんが、コンサートが行われるのも協会です。

新大久保日本福音ルーテル東京教会 ビューティフルハミングバード
まあ、かれららしい場所の選択ですね。表通りの雑踏を忘れてしまうほど静かな空間。でも、お客さんの話し声が響いて開演前はけっこううるさいんですけどね。さすがに平日ということで、お客の集まりはあまりよくなく、発売日過ぎてから購入した整理番号118番でも4列目くらいに座れました。最終的にはまずまずの入りだったようですね。今回はtico moonのアイリッシュ・ハープ奏者、吉野友加さんをゲストに招いての完全生音コンサート。最近はすっかり独自の路線で会場選びをしている2人ですから、衣装選びも大変ですね。タバティも襟と袖の裏が金ぴかになっている白のフォーマルシャツで登場。友加さんは2人を際立たせるためか、いつもどおり、オーガニックな衣装で物静かに、参加する曲にそっとやってきて、自分の演奏する曲が終わるとそっと舞台から去っていく。そんな感じの彼女らしい立ち居振る舞い。コンサートでビューティフルハミングバードに友加さんが参加するのは初めてだったと思うけど、何の違和感もなく、素晴らしい音色を重ねています。そして、この天井の高い教会に響き渡る光子さんの歌声。彼女は決して声量が大きいというわけでもないが、柔らかい声が空間全体を満たしていく、そんな心地よい時間でした。アンコールも含めて90分ほどのステージ。前は短いと思っていたけど、やはり生音での演奏は相当体力的にもきつそうでした。このくらいが限界なんでしょうね。この日はMCの具合もちょうどよかった。
最近は積極的に物販席に登場する2人。まあ、ものを買わなくても一声かけるくらい大丈夫だと思うけど、なぜかなかなか気軽に声を掛けられない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

映画ってどうなるのだろう?

3月16日(月)

渋谷duo music exchange leyona
スタンディングで開場から開演まで1時間。再三このblogで,それはきついからやめてくれと訴えているがなかなかなくならない。まあ,こんなblogで物事が変わるわけもないけど。でも,不思議とここ最近のライヴは,開演予定時刻を大幅に遅れることがないような気もする。この日のライヴも開演時間直後にスタッフ(ローディ?)が出てきて,ちょっとセッティングに時間がかかったけど,10分くらいでしょうか。ちなみに,この日のチケットは整理番号4番。leyonaはメールマガジン登録者は先行メール予約を受け付けているんです。そして,毎度のように申し込む人はけっこう優先的な整理番号を与えられているような気がします。今回ももちろん,予めいい番号で予約の返信をいただいたのですが,郵便局で代金の支払いを期限までに忘れていたのです(引越しに紛れてね)。そしたら,leyonaスタッフから個人宛にメールをいただき,数日遅れての入金で,予定通りの整理番号のチケットが送られてきました。なんとも,ファン想いのスタッフだ。
この日は1月に発売されたミニアルバム『MELODY』発売記念。このアルバムはかつてleyonaを手がけていた懐かしのプロデューサー藤本和則が参加して,なかなかまとまりのよい,力の抜けたいい感じの作品に仕上がっています。もちろん,leyona自身もいい曲を描きますが,アルバム全体となると,全曲作詞作曲よりも,他人が関わった方がいい気がする。
さて,そんなこの日のライヴは,昨年クリスマスTHUMBS UPに引き続き,バンマスがベースの鈴木正人,ドラムスが沼澤 尚という強力な2人に,キーボードが金子雄太という人で,ギターがなんと會田茂一。そう,私にとってはここ数年のBONNIE PINKバンドのギタリストとして馴染みのある人物。なにやら,この日は2階の関係者席に自分の娘が来ているということで,はしゃいでいます。基本的にスタンディングはきついお年頃ですが,leyonaは別です。そう,彼女の曲はちょうどよく身体が反応するんですよね。さすがに2時間が限界ですが,気持ちの良い汗をかきました。開場を30分遅らせてくれれば,着替えることができるし,開演前に足に疲労が溜まってしまうこともないんだけどな。まあ,そんな感じの爽快ライヴでした。leyonaも今年でデビュー10周年です。

3月18日(水)

府中TOHOシネマズ 『ベンジャミン・バトン~数奇な人生
恋人の要望により,この日は就業後に映画。残念ながら,この作品の前売り券は売切れてしまって,私は当日普通料金1800円でしたが,レディースデイということで,2人で2800円なり。先日に引き続き府中で映画。けっこう宣伝などもやっていたと思うが,ブラッド・ピット主演作。ゴールデングローブ賞などを獲得したということもあって,評判も高いようです。「ブラッド・ピットってちゃんと演技ができたんだ」なんて声も聞こえてきました。予告編で,その基本的なプロットも予め公表されています。主人公,ベンジャミンは老人の姿で生まれ,年を追うごとに,若返っていくという人生を辿る。実年齢で6歳下の少女と出会い,一生関わりあうことになる人物はケイト・ブランシェットが演じる。「数奇な人生」と副題がつけられたさまざまなエピソードは細かく説明しないが,私にはエピソードが多すぎて,なんだか平板な展開のような気がした。ただし,この変わった体質がマスコミなどで注目され,彼が見世物になってしまうという,よくありがちな映画の展開にはならずに胸をなでおろす。
それにしても,私が思わず注目してしまうのは,その映像技術だ。実年齢は若く,成長期で身長も小さいが,足腰が悪く両手に杖で歩くベンジャミン。それを演じる顔はまさしくブラッド・ピットだが,明らかに身体は違う。その一方で,バレエを習う10歳台のケイト・ブランシェット。ここ数年,出演作を何本か観ているが,ダンスを踊る彼女の身体は明らかに一回りも二回りも細い。そればかりか骨格まで。もちろん,肌の皺はなし。そんな感じで,老いていくケイトと,若返って行くブラッド。あまりにも自然で,不自然にみえる。ここまでやってしまうと,どこまでを演技で,どこまでが役者が努力して体型を変えたのか,全く判断できない。そもそも映画は既に役者の真正な演技がどうのこうのというものではなくなっているのかもしれない。そんなことを考えさせられた作品でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ホワイトデイに肉まんかよ!

3月14日(土)

この日は一応ホワイトデイということで、恋人へのサービスデイということで、午前中から肉まんを皮も含めて手作りしたり、もっぱら自宅で過ごします。でも、1本くらい映画を観に行こうと調べているうちにいいことに気づきました。というのも、ちょうど2月も14日は土曜日で、2人で渋谷のシネフロントで映画を観たのですが、そこも東宝系で、14=とうフォー=東宝ということで、14日がサービスデイ1000円なのでした。ということで、府中のTOHOシネマズで観ることに。しかも、ネット予約でちょちょっと。

20090314_006

府中TOHOシネマズ 『ジェネラル・ルージュの凱旋
選んだ映画は、前作『チーム・バチスタの栄光』を恋人がかなり気に入ったということで、その続編。といっても、舞台となる病院が同じで、登場人物が多少重なっているだけで、基本的には別物として楽しめるということで私も一緒に観る。さすがサービスデイということで、満席。この辺の人はわざわざ都心まで映画を観に行かない人なんでしょうね。話題の映画が近くの映画館で、しかも土曜日に1000円とくれば、集中するわけです。恋人がその匂いに誘われて買ってしまい、久しぶりにポップコーンなどをほおばる。キャラメル味だったけど、甘さは控えめだった。でもやっぱりあの量は多いな。
さて、この作品、『フィッシュストーリー』も近日公開になる中村義洋監督作品。『アヒルと鴨のコインロッカー』以来、ヒット作が続き、もちろん『チーム・バチスタ』もそうだけど、今回の重要な役を演じている堺 雅人主演の『ジャージの2人』という地味な作品も撮っている。そういえば、最近話題の多部未華子ちゃん主演の『ルート225』もこの人だったそうだ。ちなみに、私と同い年。舞台は病院。堺 雅人演じる救急医療センター長が医療機器メーカーと癒着しているという告発文書が、院内の倫理委員長の竹内結子と厚生労働省の阿部 寛の元に届く。この2人は前作でも事件解決の中心人物だったそうだ。原作は海党 尊のシリーズものらしい。ということで、確かにそのストーリー展開は非常に分かりやすく、引き込まれるものになっている。竹内と阿部の凸凹コンビもいかにもテレビドラマ的で面白い。それにしても、気になるのはタイトル。なんか、こういうカタカナの連発は鼻にかかりますね。それが、医療業界の鼻持ちならぬ慣習を皮肉っているのか、どうなのか。まあ、とにかくけっこう器用な監督だ。

3月15日(日)

テアトル新宿 『罪とか罰とか
ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督は先日緒川たまきさんと結婚したらしい。そんなこんなで、今回は予告編だけでも十分ドタバタ劇だと分かる作品。そんな作品の主役に選んだのは、成海璃子ちゃん。まあ、まだまだ成長期の彼女ですが、かなりふっくらしています。一応売れないグラビアアイドルの役ということで、役作りのために太ったのでしょうか(まあ、そうとは思えないけど)。ともかく、駄目アイドルが一日署長になって、いろんなことに巻き込まれていくという展開。しかも、それに関わる人たちは、さまざまなエピソードのなかで間接的に関係してくる、といういかにも映画的・テレビ的人間関係。まあ、面白いといえば面白いけど。三木 聡ワールドとちょっと被っているのが残念か。出演者もけっこう被っているし。せっかくの璃子ちゃんのコメディ挑戦も、困り顔のシーンがかなり多かったので、もうちょっと喜怒哀楽がいろいろあったほうが良かったかな。奥菜 恵ちゃんの役どころは面白かったと思う。璃子ちゃんの相手役の永山絢斗ってのはインチキ瑛太って感じで、この作品には合っていたような気もする。

吉祥寺strings maiko
吉祥寺月間もとりあえずこの日で終了。ここ8日間で、stringsが3回目。この日も同じカウンター席に座ります。私がmaikoさんを知ったのは太宰百合さんのライヴだったと思うが、そもそも2人が演奏するようになったのもその辺りということらしい。でも、それからは本当にこの2人の組み合わせは多く、そして素晴らしい。そんな2人にこの日はガットギターの宮野弘紀さんが加わるということで、楽しみにしていた。この宮野さんのギターには初っ端でガツーンとやられましたよ。笹子さんといい,小畑さんといい,見た目はとても音楽なんてやりそうにないおじさんなんだけどな。こういうスゴイおじさんが日本にはけっこういるんですよ。maikoさんも「一音一音に魂がこもっている」と賞し,百合さんのことは「ヴォーカルのサポートもよくやっているから,こちらの音を良く聴いてくれる」と,まさに的を射た表現。そう,そうなんですよ。やはりまだジャズ歴の浅い私では,ギターとヴァイオリンという組み合わせに耳が慣れませんが,まあそれが逆に新鮮で,maikoさんのオリジナル曲もまた違って聞けました。そして,ピアソラの「リベルタンゴ」の圧巻よ!とにかく,この夜もすっかり楽しませてもらいました。そして,maikoさん,5月には秋田慎治さんとのデュオだってさ。これは是非聴きたい。ちなみに,やはりmaikoさんはクラシック出身だったらしい。ジャズに転向して上京して10年とのこと。まだ30歳前かと思っていましたが,上京する前は神戸でクラシックを教えてもいた,といってたからやっぱり音大卒ですよね。ということは,30歳ちょい過ぎか。ほー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

わが家に初めてのお客さん

3月12日(木)

4月の研究発表に向け、最近の木曜日は文献収集に充てている。この日は久しぶりに東京経済大学に行く。春休み中でもけっこう普通に図書館はやっているのです。この日は恋人の専門学校でも親しい友達が来るということで、パーティ用のフランスパンを国分寺のパン屋「キィニョン」で購入する。午後まで恋人が赤羽でアルバイトをしていて、池袋で待ち合わせて映画を観る予定だったが、ちょっと早く済んだので、そのまま赤羽へ。彼女のちょっとした用事が終わるまで、赤羽の駅前を散策。古い商店街も残っていて、その真ん中に小学校もあったりして、ほのぼのとした街だ。

池袋シネ・リーブル 『N43°
パーティの前に池袋で観た映画は、大泉 洋が所属しているTEAM NACSという劇団というか、グループの映画。メンバー5人がそれぞれ短編を監督したもの。もともとはこの劇団のファンのために、フィルムを持って全国を回って上映したという作品。ついに、普通の映画館での上映になった。このTEAM NACSの存在は知っていた。大泉氏は北海道のこの劇団を中心に活動していて、有名になって単独でいろいろ出演するようになったということだけだけど。しかし、メンバーのなかには安田 顕という知っている俳優もいた。
本当は1本1本について何かコメントしたいところだが、そのことに時間を費やすのはやめておこう。平日にもかかわらず、しかも学生割引など基本的な割引もなく、1800円均一にもかかわらず、女性を中心としたお客がかなり座席を埋めていたものの、やはりTEAM NACSファンにとって面白く思う内容だったと思う。2本は本人たちが本人として出てくるもので、2本はかなりエキセントリックな映像。1本だけ、夏八木 勲を使った作品は普通の映画として楽しめた。まあ、こういう試みはあってもいいと思うけどね。もうちょっと、1本当たりの時間が短くて、1000円くらいでやってくれるといいと思うけど。

夜は3人のお客さんがやってきた。2人は初対面。台湾人2人に日本人1人。引っ越して初めてのお客さんです。なんと、その一人の女性はグォ・ビーティンという台湾のモデル・女優。私は昨年台湾シネマコレクションで彼女が主演した『午後3時の初恋』を観ているのだ。映画を観て想像していたのとは違い、169cmの長身で、ものすごく細い。今は日本でモデルの仕事を短期でしているそうです。今回は人数も少ないので、2人で4品ほどの料理を作って、もてなします。やはり中国語が中心に飛び交い、私はもっぱら聞き役になってしまうが、とても楽しい夜だった。このくらいの人数なら頻繁にやってもいいかな。

3月13日(金)

吉祥寺star pine's cafe 湯川潮音×ロンサムストリングス
お互い仕事場から直行して吉祥寺で待ち合わせる。整理番号は80番台だったが、それなりのところに席を確保。スタパカレーを久しぶりに食べて空腹を満たす。この日はステージの高さを上げているので、十分見やすいです。いつもの潮音ちゃんライヴよりも男性比率が高く、女性の年齢層も高い。潮音ちゃんライヴでよく見かける顔のほかに、良原リエさんのライヴで見かける顔や、casaライヴで見かける顔など、不思議な面々。開場から開演まで1時間ありましたが、開演時間にはほぼ満員になり、ほとんどおくれることなく、潮音ちゃんが1人で登場。
この日のライヴは湯川潮音とロンサムストリングスの西日本ツアーの最終日ということで、3部構成。はじめは潮音ちゃん弾き語り。やっぱり座席は後ろの方でしたがホールよりもぜんぜん近いです。力強くも優しい潮音ちゃんの歌声を聴いて、けっこう悩んだけどここに来て良かったと実感。このツアーのために作った新曲も何曲か披露し、これがまたいい感じだった。ソロでの演奏は5,6曲というところでしたが、なんとここでゲスト登場。名古屋かどっかで、さだまさしさんのツアーに参加していたところに出くわしたというチェロの徳澤青玄さんが加わります。いやあ、思いがけないうれしいゲストです。恋人は徳澤さんのことを、一度お客さんで潮音ちゃんライヴに来ていたグローブ座で見かけていますが、出てくるなり、「(私と)髪型一緒!」。
さて、ロンサムストリングスとは潮音ちゃんのライヴにもサポートに入ったことのあるギタリスト桜井芳樹さんとウッドベースの松永孝義さん。私が知っているのはその2人だけかと思いきや、ペダルスティールの田村玄一さんは以前leyonaのライヴにゲスト出演したことがありました。そして、テンガロンハットを被ったバンジョーの原さとしさんの4人。原さんの存在により、楽曲も含めてカントリー調ですね。といっても、多方面で活躍する凄腕たちのバンドですから、ジャンルにとらわれることない、自由なインストゥルメンタルバンドです。桜井さんが「潮音ちゃんまであと少しです」と笑いを取りながらも、演奏となるとかなり熱が入っていますね。いやあ、それにしても1人1人が素晴らしい演奏で聴き応えのあるバンドです。そして、若干の休憩があって、最後はロンサムストリングスをバックバンドに潮音ちゃんが歌います。この日うれしかったのは、『逆上がりの国』からも2曲歌ってくれたこと。この日の選曲はなかなか私好みでした。もちろん、アンコールを含め、こちらのセットにも青玄さんが数曲参加。まあ、彼の場合このままメンバーに加わっても違和感はありませんな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

吉祥寺月間

3月8日(日)

新宿武蔵野館 『パッセンジャーズ
アン・ハサウェイ主演作品。彼女の存在は日本での綾瀬はるかに似ていると思う。顔も美形で胸も大きい。コメディもシリアスもやるが、なぜかセクシーさがなく、清潔感が先に立つ。そんなイメージを若干払拭する役どころです。ある航空機事故で生き残った5人を彼女がカウンセリングする。すると、その生存者が次々に行方不明になり、それには事故原因と航空会社の思惑が関係している。そんな物語。このblogはさんざんネタバレをしていますが、この作品はさすがにまずい。
まあ、ストーリー的にはそのオチでがっくりくる感じではありますが、アン・ハサウェイの魅力はたっぷり味わえます。冒頭からちょっとセクシー。もちろん、肝心なところは見えませんが、夜中に起きた航空機事故によって、彼女は早朝に起こされる。電話でベッドから起き上がる彼女は全裸で寝ている。他の日も自宅にいるときはノーブラ。日本の映画には、寝起きのシーンでもバッチリ化粧&もちろんブラジャーつきという不自然なセッティングが当たり前だけど、この辺はリアリティを追求しています。相手役は『ハードキャンディ』のパトリック・ウィルソン。もちろん、彼との絡みのシーンもあります。オチにはちょっとやられますが、最後の方のシーンはちょっとほろっときます。

吉祥寺でバイトあがりの恋人と待ち合わせ。この日は恋人念願の焼き鳥屋「いせや」で軽く呑む。私も改装してからは初めてです。相変わらず煙いけど、やっぱり美味しいですね。

吉祥寺strings 松下美千代トリオ
恋人と一緒に松下美千代トリオのライヴ。4月にはようやくこのトリオでのCD『tuning point』が発売されるということで、そのレコ発記念ライヴ(本当の発売日は3月3日だったのだ)。前々からこの話は聞いていたのだが、特に打ち合わせもなくジャケットが決まったり、同じレーベルから発売されたコンピレーションアルバムにも1曲収録されているものの、現物すら送ってこないなど、あまりアーティストの意向が反映されないらしい。でも、青木カレンさんと同じレーベルなんだけどね。
Michiyon trioという名前になってしまった(?)このトリオはドラムス斉藤 良、ベース工藤 精という編成。最近、この2人はshima & shikou DUOのライヴにも参加しているが、orange pekoeのレコーディングなどにもそろって参加しているとのこと。てなことで、最近は3人での演奏も増えて、ますます一体感を増しています。特にこの日は、斉藤氏のドラムスも控えめで、美千代さんのピアノが際立ちます。といっても、ソロになると熱が上がり、後半にかけてちょっとヴォリュームアップしていきますが、全般的に3人とも気合が入っていていいパフォーマンスでした。一応、以前からこの日がレコ発でライヴ会場でCD発売するいい機会だったということもあり、ちょっとジャケットの違う(美千代さん本人のイラストが表紙)ものを発売。終演後は買い求める人が多く、サイン会となりました。

3月11日(水)

吉祥寺strings Asa festoon
3日後に続けてstrings。一度帰宅して自宅で夕食を作って食べてから、開演直前にお店に入る。またまたカウンターの一番Asaさんの立ち位置に近い場所。その奥、厨房の前の席からはフランス語が聞こえます。そう、この日は基本的にAsaさんと太宰百合さんのデュオですが、スペシャルゲストで、フランス人チェリストのロビン・デュピィさんが参加します。その友人も聴きに来ていて、百合さんが彼にワンプレートを勧めている。驚いたのは、百合さんがフランス語が少しできるということ。さすがです。
まあ、そんな感じのAsaさんの歌声と百合さんのピアノはいつもどおりで素晴らしく、聴き惚れてしまう。そして、彼女のライヴの魅力は毎回テーマを決めた選曲をしていて、カヴァー曲を織り交ぜていること。大抵のミュージシャンは異なったお客を想定して、同じ曲に対しては毎回同じ説明をするけど、Asaさんの場合は複数の曲の組み合わせによって、あるいはテーマによって、その曲について話すことがけっこう違うんですよね。そんなところも面白い。そして、この日のゲスト、ロビンのチェロが加わります。弾き始めの印象は、かなり一音一音がはっきりしている感じ。弦楽器らしからぬ、正確な音。後半になるにつれて、その印象も薄れていき、スウィングしながら激しく弾くシーンもあり、やはり以前に同じ楽器の組み合わせがありましたが、橋本 歩さんの時の女子3人とはまた違った雰囲気で楽しめました。それにしても、またまた改めて太宰百合さんの素晴らしさを実感。
「そういえば、この前のトリオジョイナスは来なかった」と百合さんに声を掛けられ、「ワンレン?」と髪型をからかわれた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

創刊の社会史

難波功士 2009. 『創刊の社会史』筑摩書房,254p.,760円.

ちくま新書の1冊。読み終わって,巻末の「好評既刊」を見たら,赤川 学,吉見俊哉,内田隆三,若林幹夫,と東大社会学出身の研究者が立て続けに書いていることに気づく。私はあまり新書を買わない。やはり,基本的に新書は研究者が読んで面白いようなものは滅多にないからだ。なので,新刊チェックはしていないけど,本書はたまたま近所の図書館で,出版社が発行している,半分新刊案内を含んだ,でもフリーペーパーではなく,50円とかで売っている(だけど図書館などには寄贈される)小冊子に難波さんの小文が載っていて,本書の出版後記みたいなものがあり,知った。
難波功士さんは大学卒業後,広告代理店に就職し,暫くして休職して東大大学院の社会学に入学した。そしてそのまま研究者の道に入って,広告や雑誌の研究をしている,現在は関西学院大学の教授。
もちろん,彼の著書や論文をいくつか読んでいる私だが,前著の『族の系譜学』の前身となる文章を自分の大学の紀要に書いていて,マガジンハウス女性誌の分析のなかで,私の論文が2本ほど言及されていて,少し親近感を持った。結局,この紀要の論文があまり面白くなかったために,『族の系譜学』はまだ購入していないが,ちくま新書なら気軽に読めるし,安価なので新刊で買うことにした。もちろん,私も雑誌には興味があるし。一応,「若者向けのファッション誌・ライフスタイル誌を中心に,雑誌の栄枯盛衰の流れを概観してきた」とあるような限定つきで,日本の雑誌の創刊号について,1970年代から今日までを辿るという趣旨だ。
まあ,私も『Hanako』の研究をしているくらいだから,それなりの雑誌好きで,男性という自らの性差が故に,気軽に女性誌を見られないという制約のなかで,時折美容室で読んだり,大人になって付き合った女性の恋人の雑誌をゆっくり読んだりと,男性誌よりも女性誌に関心を持っていた私。もちろん,高校生の頃からファッションに興味を持ち出して,『Men's non-no』を何度か買っていた私は風間トヲルや阿部 寛,そしてこの雑誌のモデルから始まった大沢たかおや田辺誠一,あるいはglobeのマーク・パンサーなども雑誌でよく見ていたし。なので,本書が提示する雑誌に関する情報にはそれなりに楽しませてもらった。今日まで長い間続いている雑誌が創刊当時はとんでもない雑誌だったとか,出版同士誌の関係,親子雑誌や姉妹雑誌,などの系譜。最近は普通の男性でもてっぺんを盛り上げた奇妙な髪型をしていると思ったら,女性のギャルに続いて,男性のホスト的スタイルが雑誌などを通じて一般的になっていること。そして,普段表紙を見かけるだけで嫌悪感を抱いてしまうような雑誌の詳細まで。
まあ,確かに新書という形式ではそれほど難解な学術的含意を組み入れるのは望まれない。しかし,本書は圧倒的に雑誌の評論家的コメントに終始してしまい,これらの社会史(アナール学派的な歴史学的な含意を期待させるこのタイトルもどうだろうか)を通じて結局何が分かり何が主張したいのかということについても,「おわりに」に申し訳程度に加えられている程度だ。まあ,ともかく研究者としては物足りない一冊。新書でも,吉見俊哉や多木浩二は適所に学術的・批評的記述を織り交ぜている。
まあ,40歳間近になってまだ1冊も本を書いていない私は何も批判する権利をもっていないし,それなりに出版者的な事情も分かっているつもりだが,素直な感想をこうした半公的な場で公表しておくことも大事だと思う(少なくとも地理学雑誌に本書の書評を載せるのは難しいだろうから)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

映画の街,調布

3月7日(土)

この週末は調布映画祭。京王多摩川駅近くには未だに撮影所がありますが、この付近の駐車場や、ゴルフ場、テニスコートなど、きっとかつては皆撮影所だったのでしょう。そんな映画の街を自負する調布市。短編映画のコンペティションなどもやっているようですが、土日はこれまで公開された作品の再上映です。なんとどれも無料。この日は今井雅子さんの脚本作品を上映するというので、もちろん公開時にも観ましたが、観ていない恋人を連れて散歩がてら朝から観に行く。すると、市役所前の広場で観光物産展も開催。青森の林檎や、調布に工場のあるホッピー、どこのか分からない中華街から屋台などが出ていて、この屋台の焼きそばとシュウマイ、そして焼き団子などをいただき、林檎を買う。

調布グリーンホール 『子ぎつねヘレン』
朝10:30からの上映でしたが、開場前には列ができています。われわれのような中途半端な年齢の客は少なく、子どもとその親、あるいは老人が集まっています。さすがに800人収容の大ホールは満席にはなりませんでしたが、さすが無料の力。多くの人に今井作品を観てもらうことができたようです。2006年の作品でしたから、2回目で楽しめるか若干の不安もありましたが、忘れていた部分も多く、けっこう楽しめました。でも、やっぱり抱いてしまう不満は、子ぎつねの動きかな。こういう動物ものは場面に合わせて、あるいは成長に合わせて何匹もの個体を使用するといいますが、「ヘレン」は視聴覚に障害があるキツネ。本当にそうなのか、あるいはそれを見事に演じているのか、とにかく重要な場面ではすばらしい動きをしているのですが、太一と遊ぶ、調子のいいシーンでは、盲目とは思えない機敏な動きをしていて、どう考えても不自然だ。よく観ていると、エキノコックスの件も知らない間に解決しているし、吉田日出子を魔女に見立ててしまう太一の想像力はどんな心理状態を反映していたのか、そんな点が気になってしまいました。
新宿に移動して、もう1本映画。私は『少年メリケンサック』が宮﨑あおいちゃん効果と、宮藤官九郎人気で前売り券は危ないと思い、公開前に買っておいたが、この日、新宿でいくつかのチケットショップを回ったが、すでに完売。恋人の分は当日学生料金で観ることになりました。しかも、ほとんど満席です。

新宿バルト9 『少年メリケンサック
ということで、宮藤官九郎のオリジナル脚本&監督作品。まあ、特に作品の解説は必要ないと思います。基本的に私は宮藤官九郎作品のファンではない。この作品も発想は面白いと思うが、2時間の物語にするにはもうちょっと詳細を丁寧に詰める必要があると思うが、かなり勢いに任せているように思う。まあ、役どころとして面白いのは、あおいちゃんの恋人役が勝地 涼で、あおいちゃんの初主演映画『パコダテ人』(ちなみに、今井雅子初脚本長編映画です)と同じで笑えます。そして、あおいちゃんが契約社員で働くレコード会社の看板シンガーを演じる田辺誠一。その他は基本的にあおいちゃんの魅力で持っている映画ですね。それにしても、これだけのコメディというのは初体験だと思いますが、さすが宮﨑あおい。けっこう芸暦が長く、最近はNHKで固定的なイメージもできてきていると思いますが(そして私自身、彼女の出演映画はけっこう観ている)、まったく違和感がないです。そもそも、彼女の初期の出演作は『パコダテ人』を除いて、シリアスな役どころ、むしろ影がある少女ということで、仏頂面が良く似合い、1作品で1度や2度だけ見せる笑顔が素晴らしいという女優、というのが私の印象。でも、そんな過去の話はまったく関係ないし、本人にどこか吹っ切れなさとか守っているものとかも全くなく、それでいてやっぱり宮﨑あおいである。さすがに昨年は超多忙で、それが肌にも顕れてはいますが、それを補って余りある存在感だったと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

やはり雛祭りはぱっとしないなあ

3月3日(火)

渋谷ヒューマントラストシネマ 『ハルフウェイ
いち早く恋人が前売り券を購入していたものの、なかなか観れられる機会がやってこず、平日の雨の夜に観ることになった。岩井俊二周辺の人が集まったおしゃれ系映画。主題歌はSalyuですよ。主演は北乃きいちゃんと岡田将生。きいちゃんの親友役で仲 里衣紗。岡田君の親友役には『ダイブ!』に出演していた溝端淳平。そんな初々しい4人(といっても年齢的には高校生ではないだろうけど)に中堅どころの俳優が先生役で出演している。女子2人が入り浸る保健室の先生にはまたまた白石美帆。岡田君の担任役には成宮寛貴。そしてきいちゃんの部活の顧問(?)には大沢たかお。基本的に、出演者はこれだけ。恋人情報によると、基本的な設定だけ決めて、細かな台詞は俳優たちによる自由な発話だという。『ブタがいた教室』も同様の手法だったようだが、やはりいい面と悪い面があるのはしょうがない。
それにしても、北乃きいちゃんはこれまでも強い女の子の役だったけど、今回もけっこう濃いですな。やはり同じような役どころが多い仲 里衣紗ちゃんの方がおとなしく魅力的に見えますよ。やっぱり彼女は美形だ。そして、きいちゃんの前向きな演技は見ていてすがすがしい。一方で、岡田君はいまだに良く分かりませんな。まあ、その頃の男子なんてそんなもんだから、それが逆にリアルという見方もなくはない。ひとつの謎は、岡田君演じるシュウが早稲田大学に進学してやりたいこととは何だったのか?

3月5日(木)

文献探しで駒場東大前にある日本近代文学館に初めて行った。図書閲覧料300円、モノクロコピー1枚100円と、法外な料金で10ページ足らずの文献を1部コピーするだけで800円もかかってしまった。でも、都会の喧騒から離れて非常に落ち着ける(むしろそれが落ち着けないという側面もあるが)空間である。
この日の朝はパン食だったので、正午にかなり空腹。前々から行きたいと思っていた、渋谷文化村近くのカレー屋にこの日は行こうと思い立った。このカレー屋は日曜日はお休み。平日でも基本的に昼間の営業だけで、カレーがなくなり次第終了。なので、たまたま前を通って営業しているときは空腹ではなく、食べたくてわざわざ行くと終了している。ちょうど正午を回った時間で、私が椅子に座ってから長蛇の列ができた。座ってからも相当待たされる。基本は野菜がたっぷり溶け込んだカレーにいろいろトッピングがある。豚カツ、鶏の唐揚、ゆで卵、揚げた野菜。まあ、初めてということで、「絶対お得」と書かれた「おまかせ」を注文。私の目の前をそのおまかせカレーが何度も横切るにつれ、完食できるかどうかの不安がよぎる。なにせ、ご飯は裕に1合、カレーは大きなおたまに2杯。それに豚カツ1枚、唐揚4つ、厚揚げ1切れに、揚げた茄子とピーマン、なぜかひじきの煮物がスプーン1杯、最後に目玉焼きを乗っける。これで700円です。半分の量でも私には十分満腹になる量です。普段はカレー食だったらものの10分で食べ終わるのに、かなり苦労して映画の時間が迫ってきてしまう。さすがにトッピングを残すのは気が咎めて頑張るが、最後2口分の白米がどうしても食べられず、断念。隣の男性はご飯を少なくお願いしていたが、見た目はほとんど変わりなかったと思う。ちょっと2度は来ないお店かな。テイクアウトで2人で分けて食べるのはありかも。

渋谷シネマライズ 『ヘブンズ・ドア
私はオリジナルを聴いたことがないけど、ボブ・ディランの曲「knockin' on heaven's door」にインスパイアされたドイツかどっかの映画をヒントに大森美香が脚本を書いたもの。監督は『鉄コン筋クリート』のマイケル・アリアス。病院で出会った青年と少女が車を盗んで海へ向かうというロードムーヴィ。主題歌は独自の日本語歌詞をつけてアンジェラ・アキが歌う。個人的には大森美香の仕事ぶりをチェックしておくくらいしか、他に関心がなかったが、やっぱり福田麻由子ちゃんの成長ぶりを確認しておきたいというのが、時間的な理由以外の一番大きいところか。
さて、主演の長瀬君が盗んだ車は、裏でいけないことをしている会社の車。その社長役を長塚圭史がやっていて、かなり怖い。その社員役の大倉孝二と田中 泯のコンビが面白いが、事件を追う刑事役の三浦友和や麻由子ちゃんの母親役の薬師丸ひろ子などはうまく活かされていない。まあ、当初の期待通り、麻由子ちゃんの姿を存分に観られるという魅力がこの作品の最大の魅力。すっかり手足が長くなって、洋服屋で何着も試着をするシーンはいい感じです。店員がパフィーの1人だし。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

グローバルなパーティ,あるいは沖縄の表象

3月1日(日)

この日は恋人の専門学校の同級生の家に遊びに行った。恋人も外国人だが、その友達2人も外国人。1人はコロンビアでもう1人はシンガポール。もう1人を含めた3人で生活をしている。専門学校を卒業して、ひとまずこの生活を解消するために、さよならパーティだ。同じ専門学校から日本人の学生も数人来ていましたが、多くは彼女たちが通っていた日本語学校の生徒さん。タイや中国、南米ももちろんのこと、合衆国国籍の日本人や黒人などなど、30人以上が集まり、まさにグローバル化の縮図という感じ。料理ももちよりで、日本語学校の先生たちがその場で調理したり、もうすごい状態です。いろんなものを食べました。でも、シャイな私はそんないろんな人たちとのコミュニケーションはとれず、もっぱらその様子を見て楽しんでいただけ。
たらふく食べたので、夕食は不要ということで、遅い時間の映画を観に行くことにする。

新宿バルト9 『カフーを待ちわびて
玉山鉄二主演の沖縄を舞台にした作品。恋人が原作を読んでいたということで。ベケットの『ゴドーを待ちながら』を髣髴とさせるタイトルですが関係があるかどうかは分かりません。観終わって、やはり原作の方が良かった残念がる恋人でしたが、ストーリーは非現実的でない程度の良くできたストーリーです。相手役を演じるのは『山のあなた~徳一の恋』出演で話題になったマイコ。この作品は観ていないが、この女優さんのことは気になっていた。とはいえ、本作に出演することはきちんと把握していなかったので、なんだか得した気分。
しかし,相変わらず映画による沖縄の表象は難しい。素朴さと田舎臭さを演出しながらも,前面が清潔さで覆われている。勝地 涼,白石美帆,高岡早紀といった見慣れた顔が出てくると,遠くの実在する島が,遠くにあるけど近くに感じるフィクショナルな場所として奇妙な馴染みやすさに変容してしまう。この作品で一番それらしかったのは,沖縄出身の俳優,尚 玄。この島出身者でありながら,東京に出て行き,リゾート会社に就職する。そして,その島を大規模に開発するために戻ってくるという役どころ。上司が沢村一樹というのはそれらしすぎるけど。
まあ,ともかくフィクションとして楽しむには十分に楽しめます。マイコちゃんも期待した以上に美しく,存在感がある。23歳で新人女優としては決して若いとはいいがたいが,それゆえにこの年代を演じる他の女優さんにはない清楚さというか,新鮮味があるように思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

現代作家ガイド①ポール・オースター

飯野友幸編 1996. 『現代作家ガイド①ポール・オースター』彩流社,213p.,2200円.

この現代作家ガイドは本書の巻末に挙げられている限りだが,オースターを筆頭に,
②スティーヴ・エリクソン
③ウィリアム・ギブスン
と続くようである。基本的にアメリカの作家ということのようですね。まあ,基本的には作品の内容に突っ込んだ批評論集というよりは,作家の解説です。本書は以下のような構成になっています。

Ⅰ オースターとの対話
 2つのインタビュー
Ⅱ オースターを読むためのキーコンセプト集
 オースター作品に関連の深い12つの用語・概念について解説する
Ⅲ オースター作品 梗概と解題
 当時は映画作品の『スモーク』と『ブルー・イン・ザ・フェイス』が公開された時点
ビブリオグラフィ

私は今,オースターの処女長編小説『ガラスの街』の研究をしているので,この本もようやく本格的に読んだわけですが,実はオースター作品は『ガラスの街』を含む「ニューヨーク三部作」といわれている『幽霊たち』と『鍵のかかった部屋』に加え,『最後のものたちの国で』しか読んでいない。あ,それと映画『スモーク』は観ました。
それにしても,オースターは作品のなかで,作者とは何か,フィクションとは何か,書くこととは何か,登場人物とは,などと従来の因習的な小説が自明視していることを問いかけているために,作品と作品外における作者の区別もないようだ。インタビューではあまりにも多くを語りすぎているようにも思う。でも,それだからあの独特の面白さが在るのだろうか。オースターの生き方は,私の望む生き方なのかもしれない。このblogはむしろ,研究者としてよりも映画好きやライヴ好き人物ということで,私のことを認識して読みにきている読者が多いと思うが,あえてハンドルネームなどを使おうという気はない。mixiやアーティストの掲示板でも「ナルセ」で通っている。けっしてよくある名字でもないので,容易に私自身は特定できるはずだ。でも,そもそもこの「成瀬 厚」と呼ばれる名前で存在する人間とはどんなものなのか,私的な側面として守るべきものが自分にあるのか?公的な存在として何かの役割を演じなくてはならないのか?そんなことを問いかけながら,そして私の一部しか知らない人に対して,私とは何なのか,そんなことを問いかけ,その断片でも知ることが私自身が生きる興味であり,存在理由なのかもしれない。
まあ,横道にすっかりそれていますが,そんな感じで,久し振りに別のオースター作品を読みたい,いや読まなければならないと思わせられる本でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

収穫のあったインストアライヴ

2月28日(土)

またまた土日にライヴの予定がないので、フリーライヴを検索。一度聴いてみたいと思っていたRie fuがシングル発売に合わせてインストアをやるというので聴きに行った。

渋谷HMV Rie fu
なんだかんだで、到着するのが10分前になってしまったが、予想していたほど客は多くなかった。イヴェントスペースに2/3程度。残念ながら彼女は一人ピアノ弾き語りだったので、顔をしっかり見られる位置はなくなっていたが、ギュウギュウでもなく余裕を持って開演を待ちます。開演時にはほぼスペースは埋まったようですが、そこから溢れるまでは集まらない。前に一十三十一がやったときくらいだろうか。Rie fuはデビュー5周年とのことだが、前から名前は知っていたものの、ほとんど聴いたことはない。たまたま、以前渋谷でライヴ前に入ったトンカツ屋で流れていたラジオに彼女がゲスト出演していて、なんとなく気になっていた。登場した彼女は挨拶を一言しただけで歌いだす。ピアノも上手く、力の入らない自然な歌い方。BONNIE PINKがインストアライヴで弾き語りをしていた頃の雰囲気を思い出します。歌詞もそれほど奇抜ではないですが、ありふれたフレーズは少なく、きちんと自分の言葉を選んでいる感じ。こういうインストアの不思議な法則で、前方に背の高い男性がいるおかげで後方はすっかり視界が悪いですが、頭の隙間から時折見える彼女の顔は、演奏前に流れていたPVよりも素敵に見える。黒目が小さく、とても可愛いという顔立ちではないですが、冷静で聡明な感じはとてもいい印象。もうちょっと小生意気な人物を想像していましたが、実に自然体です。けっこう好きになりそう。

恋人と吉祥寺で待ち合わせ。3月13日の湯川潮音&ロンサムストリングスのライヴは恋人がチケットの予約をしていた。なので、お店までチケットを引き取りに行く。整理番号は80番台で、思ったよりも店頭で購入している人は少ないみたい。これなら椅子に座れるかな。映画の前に映画館の目の前にあるマリオンクレープで、一番安い200円の「バターシュガークレープ」を食べる。クリームたっぷりのクレープは食べたい気にはなかなかならないが、これだったら安いし、生地の味をしっかり楽しめるので意外にいいかも。

吉祥寺バウスシアター 『チェンジリング
クリント・イーストウッド監督作品は実は観るのは初めてかもしれない。イーストウッドは『ダーティ・ハリー』シリーズをテレビで観ていたころはけっこう好きだったが、特に監督になってからはあまり好きではない。彼の作品は非常に評価が高いこともあって、観ず嫌いです。今回の作品はアンジェリーナ・ジョリー主演ながら、これまでのようなアカデミー賞で話題になるようなものではなかったし、ストーリーがなんとなく面白そうだった。本作は事実に基づくもので、主人公の女性の一人息子が行方不明になる。数ヵ月後に警察が発見した子どもは別人。しかし、いくら警察に訴えても、あなたがおかしいの一点張りで取り合ってくれないどころか、怪しげな医者が子どもの同一性を証明したり、ついには主人公が精神病院に強制入院されたりする。そんななか、ジョン・マルコビッチ演じる牧師が手助けをして、警察のあり方に布石を投じるという内容。先日も『ポチの告白』で現代日本の警察の実態を告発する映画を観たばかりだったが、本作でも警察が社会の秩序をうたいながら、国家が望む秩序を市民に強制するにすぎないということを訴えている。まあ、なかなか観ていて面白かったが、敵味方の表現が分かりすぎるのは、映画というものが事実に基づくといいながらもフィクションにすぎないということを示している。
ちなみに,タイトルは日本語で書くとチェンジ・リングと読めてしまって意味不明ですが,現代はchangelingという1つの単語で「すり替えられた子」という意味だそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月のライヴ予定

3月は週3回ペースで若干多め。
でも,4週以降はまだあまり決まっていません。

3月8日(日)
吉祥寺strings 松下美千代トリオ(予約済み)
3月11日(水)
吉祥寺strings Asa festoon(予約済み)
3月13日(金)
吉祥寺star pine's cafe 湯川潮音/ロンサムストリングス(チケット購入済み)
3月15日(日)
吉祥寺strings maiko(予約済み)
3月16日(月)
渋谷duo music exchange leyona(チケット購入済み)
3月19日(木)
日本福音ルーテル東京教会 ビューティフルハミングバード(チケット購入済み)
3月20日(金,祝)
渋谷B.Y.G 遠藤賢司(チケット購入済み)
3月21日(土)
わが家で引越しパーティ
3月29日(日)
青山プラッサオンゼ casa

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ユリイカ』特集「ボルヘス」

『ユリイカ[詩と批評]』1999年9月号(第31巻第10号)特集「ボルヘス生誕100周年記念特集」,青土社,277p.,1238円.

これは雑誌であって,単行本ではないが,まとめて読んだので,こういう形で紹介しておこう。ボルヘスの本を私は何冊持っているだろう。
『不死の人』白水uブックス(1996年)
『ブロディーの報告書』白水uブックス(1984年)
『砂の本』集英社(1980年)
『伝奇集』岩波文庫(鼓 直訳,1993年)
『伝奇集』集英社(篠田一士訳,1975年)
『七つの夜』みすず書房(1997年)
『悪党列伝』晶文社(1976年)
『パラケルススの薔薇』国書刊行会バベルの図書館(1990年)
『永遠の歴史』筑摩叢書(1986年)
上2つの白水uブックスがとても面白くて少しずつ集めようと思ったのだが,それ以降はなかなか面白いと思えないでいる。でも,現在進行中の研究上,ボルヘスの「バベルの図書館」という発想は無視することができないので,とりあえず,ボルヘスが書いたものを一通り読む前に,ボルヘスに伝かかれたものを読んでみようと,『ユリイカ』という批評雑誌に手を出した。
ちなみに,「生誕100周年」ということで分かるように,ボルヘスはアルゼンチンで20世紀を生きた作家である。書店では通常「幻想文学」のコーナーに入れられる。確かに彼の作品を表現するのにこの言葉は適切だが,実際にこのコーナーに並べられた書物をみてみると首を傾げたくなる。そう,日本ではもっぱら幻想文学というとファンタジーものの暗いほうのもの,場合によってはホラーまがいのものが含まれる。つまり,幻想とはポピュラーなファンタジーがそうであるように,現実逃避による非現実性。確かに,ボルヘスの作品はそれらと類似した独自な世界観がある。しかし,その幻想性は現実逃避ではなく,表層的な事実では捉えきれない現実の真実を捉えるべきときには事実と反する非現実が表現されるのだ。
なんて,偉そうなことはかけなくはないけど,私はボルヘスの世界を十分理解しきれていない。彼は高齢で作品を次々と世に出し,しかもアルゼンチンの国立図書館の館長をしながら,しかもほとんど視力を失って。そして,彼は短編しか書かない。しかも,時には存在するかどうか分からない出典からの引用でありそうでなさそうな話をでっち上げる。私がどっちを先に読んだかは忘れてしまったが,ボルヘスを読むと,芥川龍之介の作品世界を思い出す。といっても,こちらも十分に読んだわけではないのだが。日本にはそういう優れた文学作品があるのに,彼の名を関した文学賞はもっぱらベストセラーのセールスポイントに利用されているにすぎない。
この特集のなかでも,特に気にいった文章を列挙しておこう。
ウンベルト・エーコ「ラ・マンチャとバベルの間」
室井光広「現代文学とボルヘス――あるいはボルヘス付[憑]きの現代文学」
谷川 渥「ボルヘスの地図」
芳川泰久「列挙と代替――世界の大きさを充たす小さなフィクション」
ボルヘスの翻訳もしている野谷文昭氏と高山 宏氏の対談も好き勝手いっていて面白い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

たまにはライヴイヴェントもいいものです

2月27日(金)

春一番が吹いて6月の陽気にもなったというのに、まだまだ冬は続きます。全体的には暖冬なんだろうけど、日差しのほとんど当たらない部屋に引っ越したせいもあって、なにやら長い冬に感じます。この日もしとしと雨模様の中、渋谷に出かけます。やっぱりムルギーカレーの定休日は金曜日なことにがっくりしながらパク森へ。久しぶりパク森カレー。

渋谷duo music exchange
久しぶりにJiLL-Decoy associationが聴きたくてやってきたが、出演者が何組になるのか、かれらの演奏はどのくらいなのか、などなど、チケット料金が3500円というちょっと高めなこともあってちょっと不安。でも、最終的にはその不安は解消されました。開場から開演まで1時間あったので、でもカレーが早く食べ終わっちゃったので、30分前に到着。やはりいい席はみな埋まっていましたが、最前列の中央付近に1席だけ余っていて、そこに座らせてもらう。
unistyle:まず登場したのは女性ヴォーカルと男性ベーシストという2人組。何度か名前は見たことがあるような気もしますが、聴くのは初めて。左利きのギタリストとパーカッション、キーボードのサポートを入れての演奏。なにから全体的に表面的な演奏。楽曲や演奏が悪いというような欠点は見つからないけど、ぱっとしない。そのぱっとしなさは後で分かりましたが、後の2組が汗だくで演奏しているのに、このバンドは涼しげな顔でさらりと演奏している点だろうか。
→Pia-no-jaC←:ピアノとカホンの男性2人組。私の隣に座っていた女性一人客と後ろの女性3人組がどうやら彼らのファンらしく、周りは一気にテンション上がります。そして、揃いのつなぎで登場した2人も初っ端からテンション高い。かなり激しい奏法でピアノもパーカッションも汗だくで暴れています。クラシックを中心に巷にあふれている有名な曲たちを彼らなりのアレンジで演奏するスタイル。ディズニーのカヴァーコンピレーションアルバムにも参加しているとのこと。3曲くらい聴くには楽しくていい感じ。
JiLL-Decoy association:さて、登場しましたジルデコ。なんだかんだで、まだ3回目のライヴ。先日、メジャー1stアルバム『ジルデコ』をレコファンで新品を中古価格で購入して気分が盛り上がります。最前列だったので、セットリストが見えてしまいましたが、アンコールも含めて10曲。存分に楽しめそうな予感。かれらも3ヶ月ぶりのライヴとのことで、ホーン隊も加えて気合入っています。冒頭でchihiRoが「座ってる場合じゃないよ!立たないと始めないからね」といって、客席は総立ち。ちょっと狭くて存分に踊れませんでしたが、まあ、座っているよりいいかな。chihiRoの姿も見上げずに本当に近くで見られます。3曲くらいでもう汗だく。やっぱり気合と迫力が違います。1曲目の冒頭でちょっとドラムスの音量がでかすぎる場面もありましたが、全般的にはいいバンドサウンド(最前列では若干ヴォーカル音が後方に聴こえましたが)。まだ2枚しかCDを持っていない私は勉強不足でしたが(新曲も数曲披露しましたが、やはりかれらの楽曲はリズムが複雑で難しい)、十分に楽しめるライヴでした。やっぱり来て良かった。少しずつCDも集めてまた聴きにこよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3月に雪

2月25日(水)

下北沢lete
久しぶりにしっぽりと落ち着いてleteでtico moon。同じレーベル333disks仲間のachordionを招いてのleteでは珍しい2組ライヴ。
achordion:広島から東京に移り住んで、ぼちぼち1年になろうかという2人。「ようやく慣れた」とはいっていましたが、素朴な人柄は変わりません。満田さんのギターは相変わらずだけど、役割分担して音を重ねているので、なかなかいい感じです。tico moonに誘われて、lete初登場の2人ですが、やはりこの空間にはとてもあっていますね。木村君のトークも面白かった。
tico moon:久しぶりのleteでのtico moon。こちらの影山さんトークはいまひとつだったけど、やはりここでのかれらの演奏は格別。木村君が「ここ(ギターの中)で聴いているようです」と表現したのがまさにそのとおり。まじまじと影山さんの手元を見ているとちょっと不思議。よくピックであんな演奏ができるよな。まあ、かくいう私はギターなど弾いたこともありませんが、爪弾くほうが楽なような気がしなくもない。
この日は終演後に木村君に12日の話を聞いた。そう、私が行き忘れてしまったライヴのこと。achordionは菅沼さんのドラムスを加えての演奏。trico!さんは山口ともさんに加えてヴァイオリンも。聞くたびに行かなかったのを後悔。家で誰かが待っているようになってから、ライヴ後にゆっくりするのは遠慮気味です。

2月26日(木)

4月4日に京都で研究会があり、発表を依頼されているため、文献収集のために調布市立中央図書館へ。2人で散歩がてらでかけます。その後は一人行動だったので、上映時間の長い日本映画を選択。

新宿K's cinema 『ポチの告白』
先日観た『愛のむしだし』の4時間弱にはかなわないが、3時間15分の上映時間。警察の物語です。一人のいい年で派出所の巡査をしている一人の警官が主人公。警官のことを「国家の犬」といって侮蔑するように、「ポチ」とはこの警官のことをいっている。菅田 俊という大柄で坊主頭、たまに脇役でみかけます。ある日、ちょっとした出来事で麻薬取り締まり課の課長に見初められて刑事に就任。従順で真面目な性格からどんどん活躍し、その活躍のおかげで課長は署長になり、彼も昇進していく。しかし、実際に麻薬取り締まり課のやっていることはやくざと結託しての不正行為ばかり。しかし、徐々に刑事の仕事に慣れ、組織として行動し、ついには意思決定をする身分になるまでの間に感覚は麻痺し、自分のしていることが正しいのか間違っているのか、その境界線は曖昧になる。そんな時に、不正の事実を暴こうとするチンピラが、新聞社の写真部員とつるんでいろんなことを暴こうと近づいてくる。
まあ、そんな展開で、警察の「国内最大の暴力団」と称し、あくまでもフィクションとしてだが徹底的に悪者に仕立てようという映画。ちょっと体育会のような仲間意識で、所属意識を手に入れるために、あるいは一人前の男になるために悪いことに手を染めていくといったストーリー展開が単純すぎてどうかなあと思うところがありますが、単純すぎるからこそフィクションとして割り切れるという意味ではいい演出だったかもしれない。まあ、とりあえず刑事としてバリバリ働く菅田氏の姿は、その撮影法が『太陽にほえろ』を髣髴とさせるものがあり、刑事として自信をつけていく物語上の男と、主演映画を撮影しているという俳優菅田氏自身の自負とが重なって、とても面白いです。
この日はトークショーが予定されていたようですが、さすがに平日だったので、私が観た昼間の回ではなかったようです。ともかく、見ごたえのある映画。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『アカシア』発売記念ライヴ

2月24日(火)

吉祥寺star pine's cafe ari
以前からここstar pine's cafeには頻繁に出演しているariさんが、ついに単独ライヴを行う。単独ライヴ自体、3年ほど前の『花咲くころ』のレコ発でmona recordsにて開催して以来じゃないだろうか。この日は会社の仕事で珍しく都心に出て、会社に帰っても時間があまりなかったので、直帰して16:30。時間が早かったので、夕食は自炊して食べて、開演時間15分前ほどにあわせて吉祥寺に行く。私の2組前の受付にアミーゴさん。私に順番を譲ってくれた老夫婦はariさんのご両親だろうか。音楽大学の声楽科出身のariさんですが、どうやらそのときの同級生と思われる年代の女性が、人によってはお子さんを連れて集まるような、そんなアットホームな会場でした。もちろん、元bobtailの羽場さんをはじめ、bobtail常連さんたちも来ていました。残念ながらariさんと仲の良いミュージシャンはううじんさんくらいしか見かけなかったな。さて、さすがにstar pine'sくらいになると席が足りなくなるほどの集客はないので(といっても、多くの人が集まりました)、空間を贅沢に使っています。キーボードはステージ上に置き、ステージ下のフロアにグランドピアノを置く。かつてはstar pine'sにけっこう通った私ですが、こんなことは初めてですね。そのピアノの前にサカウエ君が先に来ていたので隣に座る。後方にはTOPSさんの姿も。
開演時間にほとんど遅れることなく、ariさんが一人で登場。初っ端はトラックを使ってカラオケ状態で数曲。なんと、1曲目は「カザグルマ」でした。ライヴで聴くのは初めてかも。そんな感じで、普段のライヴではあまり演奏できない曲もけっこうあったし、なによりもこれだけ贅沢な編成での演奏は久しぶりです。最近よく一緒にやっているギターの西村さんとサックスの渡辺さんに加え、パーカッションのDUKEさんとドラムスのモミーさん、そしてスペシャルゲストとしてなんと田辺 玄君が登場。休憩を挟んで(お色直しまでして)、2時間たっぷりのステージ。いつものゆるゆるトークは控えめだったものの、なによりもいつものイヴェントライヴとは違って、自分のためだけに来てくれたお客さんの前で非常にリラックスしていたと思います。1曲1曲を大切に、そして楽しんで歌い、ピアノを弾くariさんの姿はとても美しかった。もちろん、いつも以上にこの天井の高い空間に響き渡る彼女の歌声の素晴らしいこと。メンバーの特徴を十分に活かした編成で、1人弾き語りから、玄君のギターとのデュオ、西村さんのギターと渡辺さんのサックス、あるいはギターとパーカッションといった具合に組み合わせながら、彼女自身が「集大成」と表現したようにスペシャルなパフォーマンスだったけど、特に片意地張ったものではなく、非常に彼女らしさがあふれ出るライヴだったように思う。最近はなかなか彼女のライヴに足を運べなかったけど、この日は本当にこの会場で空間を共有できてよかったと思う。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

久し振りライヴ続きの週

2月22日(日)

銀座シネスイッチ 『大阪ハムレット
『ごめん』(2002)で主演の久野雅弘君(20歳)と、『酒井家のしあわせ』(2006)で主演の森田直幸君(17歳)が中学生兄弟として共演しているということで、楽しみにしていた作品。どちらも大阪らしいほのぼのとした雰囲気の秀作だったので、かなり期待です。こんな映画に松坂慶子ってのも惹かれます。しかし、松坂慶子ももう56歳ですよ。これらが家族の久保家の主は間 寛平。いきなり彼が死ぬところから始まります。その葬儀の時、「お兄ちゃ~ん」と突然やってきて、そのまま久保家に転がり込む謎の「おっちゃん」が岸部一徳。父親をその弟に殺され、王位と母親を奪われ苦悩するというストーリーのシェイクスピア『ハムレット』になぞらえて、森田君演じる不良になりたがっている男子中学生のことを担任が「行雄君はハムレットみたいやなあ」といってしまうところから本作のタイトルはついている。行雄はそれ以来、図書館で借りてきた『ハムレット』にはまり、人生とは何かを考える。そんな具合で、家族それぞれ悩みと楽しみを抱えながら物語は展開していく。末っ子の小学生役、大塚智哉君演じる宏基は学校で担任の先生が将来の夢をたずねると「女の子になりたい」といってしまう。そんな宏基を勇気づける、母親の妹役には本庄まなみ(いくつ年離れてんねん!)が扮し、これがいい感じですよ。宏基はクラスメイトの協力で、学芸会の「ミュージカル・シンデレラ」でシンデレラ役を手にする。そんな乙女な少年を演じる大塚君は本当にかわいくて素的です。登場人物がそれぞれの物語を持っていると、1本の作品のなかで中途半端になることも少なくないですが、この作品はその辺のバランスが絶妙。さすが大阪らしい作品でした。
さて、この日は久しぶりにサカウエ君と一緒のライヴということで、その前に呼び出して、恋人と3人で飲む。ただし、彼が考えていた料理とお酒の美味しいお店はどこも休業で、結局スペイン坂の「人間関係」で軽く一杯。ここで、恋人とは別れて2人で程近い公園通りクラシックへ。

渋谷公園通りクラシックス KOKOPELLI
この日の出演者はピアニスト林 正樹さんと、ヴォーカリストさがゆきさんのユニットKOKOPELLI。この日はスペシャルゲストで外国人ドラマーも参加。KOKOPELLIを聴くのは3年ぶりくらいでしょうか。さがゆきさんはさまざまな活動で、頻繁にライヴ活動もしていますが、彼女の歌声を聴くのもそれ以来。お客さんは少なめでしたが、やはりすばらしいパフォーマンスでした。さがゆきさんは「ヴォーカリスト」とか「シンガー」という言葉では言い尽くせない。かといって、ヴォイスパーカッションのような、声で楽器を真似するのでもなく、まさに声でしか出ない音を林さんのピアノに加えてくる。それに穏やかなドラマーのリズムが加わって、いいライヴでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

自然哲学再興/ヘルメス哲学の秘法

ジャン・デスパイエ著,有田忠郎訳 1977. 『自然哲学再興/ヘルメス哲学の秘法』白水社,240p.,2000円.

本書は白水社が全7巻で刊行した「ヘルメス叢書」の第2巻。もともと著者はフランス人のようで,本書に収められた2つの文章は1625年に書かれたものらしいが,現代のフランス人によって編まれた叢書であり,この日本語訳はフランス語訳からの重訳である。そして,フランス版の叢書には,ルネサンス期の原文だけでなく,現代の研究者による研究論文も収められているようですが,日本語訳では歴史的な原典のみを収録している様子。残念ながら,巻末の訳者による解説にはその辺の事情が詳細には書かれていません。
ヘルメス哲学とは,ルネサンス期に流行ったオカルト哲学の一つ。ルネサンスという時代は,ヨーロッパの長く安定した中世を終わらせ,近代という新しい時代を準備する重要な移行期。ルネサンスというのは学校で芸術復興みたいに習うように,新しい考え方をするために古いものを見直す時期でもある。そんなヘルメスとは,古代エジプトのヘルメス・トリスメギストスという人物の思想に拠り所を求める哲学。
「自然哲学再興」は基本的に聖書における「創世記」の新たな解釈だといって良いのだろうか。といっても,創世神話は聖書のみに限定されるわけではなく,ヘシオドスの『神統記』などにもあり,いろんなパターンがある。もちろん,その後のアリストテレス『自然学』を受けてのことでもある。どうやら,ヘルメス哲学には「三位一体」という原則が中心にあるようです。なので,アリストテレスもそうだった四大要素の考え方はこのなかでは厳格には信じられていませんね。第五の要素としてアリストテレスも言及した「エーテル」はよく出てくるし,原子論者とも近い考え方として,第一質料という概念も出てきます。これはどちらかというとプラトンに近いものでしょうか。まあ,アリストテレスが支配的だった中世に対して,ルネサンスにはプラトンが再評価されますから,そうなのかもしれません。でも,アリストテレスの名は原文中によく出てきますが,プラトンは登場しません。創世記にもある早世の7日間によって神の手で宇宙は造られたという点は一緒ですが,なぜか太陽にこだわります。天動説を批判し,太陽を宇宙の中心と見做します。動植物の創造についてはなにも言及がなく,いきなり人間の話です。また,創世の1日(神にとっての1日)というのは,人間の1000年に値すると述べ,創世から既に1万年ほど経過していると考えている点も面白いというか,ルネサンス的というか。三位一体の話は単なる自然を理解する哲学的問題というだけでなく,次の文書における錬金術の技術的問題にも関わります。
「ヘルメス哲学の秘法」という文章は,要するに錬金術の技術についての説明です。しかし,解説にもあるように,これを読んだからといって錬金術が使えるようなものではなく,極めて哲学的なないようです。「賢者の石」出てきましたねえ。『ハリー・ポッター』の第一作のタイトルにも出てきますが,それが何を意味するのかはよく分かりません。この文章を読んでもよく分からないのです。まあ,ともかく万能物質というようなやつでしょうか。その製法について色々書いてありますが,ことごとく概念的で抽象的です。そして突然人間の生殖の話になったりする。「錬金術」というと,なにやら人工的に金を作り出して,金儲けするようなイメージがある。基本的に当時は四大要素論を代表として,宇宙は片手で足りるほどの基本的な要素の組み合わせによって全ての物質ができていると考えられたから,それらを分解して再結合すればどんな物質ても出来上がると考えるのは無理もない。一方では,実際にそうした金を人工的に作ろうとした人もいるでしょうけど,もう一方では,そんな単純の要素から成り立っている宇宙全体と,人間の身体を相似的に結び付けようという宇宙論を展開するのも容易だったのかもしれません。
ともかく,オカルト哲学というくらいだからもっと読みにくいのかと思いきや,けっこう読みやすく,そして面白いです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »