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現代作家ガイド①ポール・オースター

飯野友幸編 1996. 『現代作家ガイド①ポール・オースター』彩流社,213p.,2200円.

この現代作家ガイドは本書の巻末に挙げられている限りだが,オースターを筆頭に,
②スティーヴ・エリクソン
③ウィリアム・ギブスン
と続くようである。基本的にアメリカの作家ということのようですね。まあ,基本的には作品の内容に突っ込んだ批評論集というよりは,作家の解説です。本書は以下のような構成になっています。

Ⅰ オースターとの対話
 2つのインタビュー
Ⅱ オースターを読むためのキーコンセプト集
 オースター作品に関連の深い12つの用語・概念について解説する
Ⅲ オースター作品 梗概と解題
 当時は映画作品の『スモーク』と『ブルー・イン・ザ・フェイス』が公開された時点
ビブリオグラフィ

私は今,オースターの処女長編小説『ガラスの街』の研究をしているので,この本もようやく本格的に読んだわけですが,実はオースター作品は『ガラスの街』を含む「ニューヨーク三部作」といわれている『幽霊たち』と『鍵のかかった部屋』に加え,『最後のものたちの国で』しか読んでいない。あ,それと映画『スモーク』は観ました。
それにしても,オースターは作品のなかで,作者とは何か,フィクションとは何か,書くこととは何か,登場人物とは,などと従来の因習的な小説が自明視していることを問いかけているために,作品と作品外における作者の区別もないようだ。インタビューではあまりにも多くを語りすぎているようにも思う。でも,それだからあの独特の面白さが在るのだろうか。オースターの生き方は,私の望む生き方なのかもしれない。このblogはむしろ,研究者としてよりも映画好きやライヴ好き人物ということで,私のことを認識して読みにきている読者が多いと思うが,あえてハンドルネームなどを使おうという気はない。mixiやアーティストの掲示板でも「ナルセ」で通っている。けっしてよくある名字でもないので,容易に私自身は特定できるはずだ。でも,そもそもこの「成瀬 厚」と呼ばれる名前で存在する人間とはどんなものなのか,私的な側面として守るべきものが自分にあるのか?公的な存在として何かの役割を演じなくてはならないのか?そんなことを問いかけながら,そして私の一部しか知らない人に対して,私とは何なのか,そんなことを問いかけ,その断片でも知ることが私自身が生きる興味であり,存在理由なのかもしれない。
まあ,横道にすっかりそれていますが,そんな感じで,久し振りに別のオースター作品を読みたい,いや読まなければならないと思わせられる本でした。

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