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トゥルー・ストーリーズ

ポール・オースター著,柴田元幸訳 2004. 『トゥルー・ストーリーズ』新潮社,341p.,590円.

またまたオースターものですみません。こちらもタイトル通り,小説ではなく,エッセイ集。各エッセイは既に書かれたものでありながら,役者の柴田氏がオースター自身の求めに応じて日本で独自に編集されたもの。どうやら,エッセイの類は,著者の意向にかかわらず,出版社によって勝手に編集・出版されたりするらしい。
本書には「赤いノートブック」という,彼の初期の作品であるニューヨーク三部作を髣髴とさせるエッセイもあるが,作品とのつながりはあまりなく,彼が出会った奇妙な偶然の事実が,作品の創作メモのように書き込まれている。実際に作品に利用された逸話も少なくない。オースターの口癖に「事実は小説より奇なり」というものがあるが,確かに彼の実人生はとても面白い。まあ,本書はそのことを実証するような,彼の自伝的なエッセイだ。特に,収められたなかでは180ページと最長の「その日暮らし――若き日の失敗の記録」は,小説家オースターが出来上がるまでの日々が綴られている。1947年生まれの彼が,1985年の初長編小説『ガラスの街』で世に名前を知らしめたのは38歳の時。ちょうど私と同い年だ。しかし,そこまでにいたる彼の波瀾万丈な人生は私とは比較にならない。自らが書いて生計を立てることを信じて疑わず,貧乏暮らしが長かったようです。でも,父親が死んでちょっとした遺産が手に入るってのは,私には到底真似できないので,まあ私は私の人生を歩むしかないのだが,ともかく書くことはもっとできるはずだ。

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