« 1週間で映画6本 | トップページ | 汝の症候を楽しめ »

長い日曜日

5月17日(日)

恋人が遅番ということで、朝から映画を観ることにした。一緒に住むようになって、夜と朝はいつも一緒だが、休日が合わないので、一緒に外出して遊ぶ機会がなかなかとれないということで。

新宿ピカデリー 『60歳のラブレター
作品の選択には場所と時間が重要だ。ということで、公開2日目のこちら。さすがに初回は満席にならなかったが、新しくなったピカデリーとバルト9は何度となく満席に泣かされているので、助かった。それにしても、映画が映画なだけに、年配のお客さんが多いこと。しかも、なんとなく夫婦の姿も多いような。そう、この作品は60歳を迎えようとしている、2組の夫婦と1組の独身男女の物語。まずは中村雅俊。建設会社で専務まで上り詰めたものの、60歳を前に自主退職。尾頭付きの鯛を買って待つ妻、原田美枝子の元へと帰ると思いきや、原 沙知絵演じる浮気相手の下に。星野真理演じる娘も大きくなったおなかを抱え、子どもの父親ではない恋人(内田朝陽)を連れてきて待っていたものの、帰宅したのは待ちくたびれた頃。娘が怒ると、両親は離婚するという。中村は退職後、その愛人が経営する会社の共同経営者となり、若い社員たちの小さな会社に飛び込む。しかし、それが間違いのもとで、何をやってもうまくいかない。30年間専業主婦をやってきた妻は初めての仕事として、ある翻訳作家のお手伝いさんとして働き出す。その翻訳作家を演じるのは戸田恵子。自由気ままな職業で裕福だが、婚期を逃していまだ独身。戸田は一見地味に見える原田を社交の場に連れ出す。そこで、石黒 賢演じるベストセラー作家に原田が見初められて。一方、戸田は医療関係の作品の翻訳で、井上 順演じる医者に協力をお願いしている。井上は最愛の妻を数年前に亡くしているが、不器用ながらも戸田にほのかな思いを寄せる。さて、話は遡って、中村が退職する日に、原田が鯛を買った魚屋を経営するのが、イッセー尾形とジャズシンガーの綾戸智恵演じる夫婦。お互い貶し合いながらも互いなしでは生きていけない人生。イッセーが糖尿病ということで通っている病院で星野は出産する。その病院は井上が勤務する病院で、イッセーはその患者。まあ、そんな感じで、登場人物が全員緩やかにつながっていくという、いかにもテレビドラマ的なエコロジカルな社会関係。ちなみに、チョイ役で登場する俳優もなかなか豪華。
監督は深川栄洋というが、なんと『真木栗ノ穴』は彼の作品だったらしい。今回はいかにも商業ベースに乗る作品だが、なかなかセンスはいいのかもしれない。まあ、それほどの作品ではないと思うけど、とりあえず俳優はさすがとしかいいようがない。誰もが目立った演技をするわけではないけど、オムニバス風映画にはもってこいの演技と演出。各場面で泣き所も用意してあり、私も恋人もかなりの涙を流しました。まあ、素直に観るといいことがある作品です。

ピカデリーの入っているビルの地下にある無印良品のカフェで食事。有楽町店とは違って、こちらはパンはないが、朝食をパンにしてきたので、2人でデリランチ。味と量はまあまあというところでしょうか。ランチセットには含まれていませんが、ポットの紅茶の量が多い。食後、ちょっと買い物をして、恋人は職場へ。この日は20時から青山でライヴだったので、空き時間をつぶすためにこの日もさらに映画2本。

新宿K's cinema 『食客
まずは韓国映画。ホームページを探そうと思って検索したら、どうやらこれはテレビドラマらしい。とある高級料理店で、新しい料理長を決定する審査がなされた。課題はふぐ刺し。どちらも申し分ない出来だったが、直後審査員たちは泡を吹いて病院に運び込まれる。後から試食させた男のふぐに毒が残っていたという判断で、彼は当然波紋になる。そして、現代。彼は田舎に引っ込み、祖父と2人暮らしで、近所への食材販売をして生計を立てている。ある日その家を訪れたのはテレビのディレクター。宮廷料理の韓国一を決定するという料理番組を企画していて、彼にも出演を促したのだ。彼は頑なに出演を拒むが、その最大のライバルが、かつて料理長の座を争った宿敵であることが分かり、闘志を燃やす。実は、当時のふぐの毒は、どうしても料理長の座をつかみたかったその男が仕組んだ罠だったのだ。そんな、日本の漫画でよくありがちな料理バトルもの。その相手の卑怯さが際立っていて、エンタテイメントとしてとても面白い。そして、お互いのアシスタントのばかさ加減が喜劇的要素を加え、またこのテレビ局のアシスタントの女性が主人公と徐々に近いづいていくというロマンスも兼ね備えている。映画の作りは古風ですが、1980年代はじめのとても面白かった頃の日本のテレビドラマ的要素が満載で楽しめます。

続いて、新宿バルト9で『グラン・トリノ』を観ようと思い、前売りチケットを探す。チケット屋では「ピカデリーでは使えるんですけど」と数軒でいわれ、しょうがなく当日1800円覚悟で、映画館に向かう。まだ上映1時間前だというのに「×」の印。もう、ここの映画館嫌い。とにかく、ライヴまではまだ4時間あるので、渋谷に移動して別の作品を探すことにした。すると、渋谷でも『グラン・トリノ』をやっていて、こちらは前売り券が使えるという。1300円なり。余った時間と差額の500円でコーヒーブレイク。

渋谷TOEI 『グラン・トリノ
クリント・イーストウッド監督最新作。先日は役所広司氏の監督業について、イーストウッドの名前を挙げたが、私は彼の監督作品をきちんと観たことがない。アカデミー賞に絡んでくるのが気に入らないのだ。ちなみに、私は北野 武の監督作品も好きではない。一応、『キッズ・リターン』と『Hana-bi』は観たんだけど、なんかね、芸術家気取りなのが気に入らないんだよね。本人は芸人として下品なことばっかりやってきたのに、なぜ素直にコメディではないのか。イーストウッドも、彼の代表作といえば『ダーティ・ハリー』で、彼は正義のためなら手段を選ばないという非常に差別主義的で横暴な警官を演じていた。まさにその矛盾さとリアリティのなさが面白かったのに、監督となると社会派だったり、シリアスだったり、どうにも嘘っぽくて受け入れられません。そして、そういう類の作品を選びたがる米国アカデミー賞も好きではない。なぜコメディは作品賞を受賞できないのか。
で、なぜこの作品は観ることにしたかというと、まさに彼が演じる役どころがダーティ・ハリーと被るからだ。主人公のじいさんは妻に先立たれ、息子2人にも愛想付かされる頑固親父。朝鮮戦争で活躍したことを愛国心的誇りに、そして同時に戦争とはいえ人を殺めたことの罪悪感を拭えないでいる男。彼の住む地区はすっかりアジア系の人々が住み着くようになっている。彼にとっては「イエロー」たちよこの地から出て行け、というところだが、かれらからすれば、「もうあなた方の土地ではないんだから、出て行きなさい」ということになる。しかし、忌み嫌っていた隣に住むモン族の家族と徐々に親密になっていく。自分の息子よりもその家族の10台の男の子にいろいろと世話をするようになる。しかし、彼を悪の道に引きずり込もうとする彼の従兄弟たちへの制裁をしたつもりが、彼とその姉を傷つけることになってしまう。その報復のために、主人公が取った最後の行動とは。
このラストが良いですね。見終わった後で前売りチケットとかポスターとか見ると、「男は迷っていた、人生の締めくくり方を。」などと書いてあるけど、これってネタバレじゃないの?まあ、ともかくなかなか観応えのあるいい映画です。そして、モン族のお姉さん役の女優さんがとてもキュート。

けっこう終わった時間が早かったので、青山までは歩いていくことにした。夕食を食べられるところを探しながら、青山ブックセンター本店に寄ったりして(随分レイアウトが変わっていた)。結局、プラッサオンゼのごく近くの「青山麺飯坊」というお店で肉と白菜の塩ラーメン。基本的にラーメンはさほど好きではない私。大抵は美味しいと思っても、ラーメンと1度食べると、もう3ヶ月くらいは食べたくなくなります。でも、ここのはまだ2,3回目ですが、1週間くらい経てばまた食べられる感じ。優しい味がします。しかし、ただでさえ温かい陽気のこの日にラーメンはちょっと体温を上げましたね。

青山プラッサオンゼ コーコーヤ
東京でのコーコーヤライヴが久し振りということで予測したとおりの混雑ぶり。そして、予想通りカウンター席に案内されます。TOPSさんはフロア中央の椅子席(テーブルなし)。コーコーヤの時は込み合うだけでなく、お客さんがよく食うので、お店がてんてこ舞いになるのが分かっていたので、お店で食べるのを避けたというわけです。案の定、そのせいで開演もも20分以上遅れました。開演前にヤマカミヒトミさんもお客さんとして登場。この日は昼間にコーコーヤのリーダー、笹子重治さんと一緒に仕事をしていて誘われたとのこと。
久し振りのコーコーヤなので、改めて説明を。リーダーのギタリスト笹子さんは日本のブラジル音楽界の重鎮。といっても、それほどお歳はいってないと思うんですけどね。ブラジル音楽のショーロというジャンルをベースに、ヴァイオリンの江藤有希さんと、クラリネットの黒川紗恵子さんの3人ユニット。昨年は初めてのアルバムも発表し、それぞれが作ったオリジナル曲も魅力。ユニット名は若い女性2人が爺さんをいたわるということで、「好好爺」と名づけられた(好=女子)。
最近はフジテレビ系列深夜のアニメ『リストランテ・パラディーゾ』のサウンドトラックも担当していて、そのCDも近日発売になるということで、そちらからの曲も披露。私は初めて聴く曲ばかりだったので、かなり新鮮。それにしても、そのためにボツになったのも含めて、数ヶ月で数十曲の曲を作ったというのだから驚き。やっぱりこの3人は素敵だ。東京藝術大学出身の女子2人ですので、演奏の正確さはもちろんのことですが、ブラジル音楽ということで神経質にそこにこだわるのではなく、あくまでもゆったりと、リズムに身を任せて楽しむように演奏するというのが基本です。そのバランス感覚が飲み食いしながら聴くお客さんにちょうどよいのです。そんな感じで、程よくよい気分になって帰路へ。

|

« 1週間で映画6本 | トップページ | 汝の症候を楽しめ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218863/45081770

この記事へのトラックバック一覧です: 長い日曜日:

« 1週間で映画6本 | トップページ | 汝の症候を楽しめ »