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2009年6月

2009年7月のライヴ予定

明日で今年も半分終わりですが,明日ライヴに行って65本。
月10本ペースは越えてしまいましたが,そんなところ。

7月2日(木)
関内KAMOME アルカイック(予約済み)
7月4日(土)
淡路町ルシェーヌ 山田タマル
7月7日(火)
池袋自由学園明日館講堂 湯川潮音/小谷美紗子(チケット購入済み)
7月11日(土)
青山プラッサオンゼ casa
7月12日(日)
タワーレコード新宿店 HARCO
赤坂BLITZ 矢野まき(チケット購入済み)
7月16日(木)
タワーレコード新宿店 一十三十一
7月18日(土)
下北沢lete ノラオンナ(予約済み)
7月26日(日)
谷中ボッサ 東京生音生活vol.3
7月30日(木)
渋谷7th floor Quinka, with a Yawn
7月31日(金)
吉祥寺star pine's cafe HARCO(チケット購入済み)

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平日も映画三昧

6月22日(月)

渋谷シアターTSUTAYA 『非女子図鑑
腐女子とか非女子とか、なにやらこういうテーマがB級作品で流行っていますが、このオムニバス作品は出演者が意外に豪華だったので、公開終了を前にレイトショーで観に行った。その出演者とは『世界で一番美しい夜』に主演していた元宝塚の月船さらら、片桐はいり、江口のりこ、仲 里依紗など。オープニングとエンディングはいいとして、6話のうち、1話が面白く、2,3話がつまらなく、だんだん面白くなって6話が最高に面白いというのは、全体的なつまらなさを上手くごまかしていると思う。
ということで、1話目はスネオヘアー演じる神主(?)に主演の女子中学生が惚れてしまうという内容。この神社にはおみくじならぬ占いのガチャガチャが置いてあって、毎朝その女の子が引きにくるというもの。毎日奇怪な行動をとる主人公が心配になって白人の同級生が友達になります。素朴で面白い。
月船さらら主演の短編は考古学調査のフィールドが舞台。さらら演じる主任はそんな土臭いところで、化粧もしなければブラジャーもしない。しかし、そこで働く作業員の若い男性がブラジャーを着けているという事実が発覚。そんな内容。月船さららは正直キレイだとは思わないけど、この物語の発想が面白い。
江口のりこ演じるのは混浴温泉フリークの女性。一人旅で訪れた伊豆の温泉。自殺客だと思ってしまう旅館の人や、やはり温泉フリークのおじさん、いちゃいちゃカップル。そしていやらしい目的で近づいてくる男性客。そんな人たちとの顛末を描きます。この男性が実は自殺をしにきたのだが、最後には江口の思惑にほだされてしまうという内容。この男性を演じるのは深水元基。深水と江口は『気球クラブ、その後』で共演していたし、仲 里依紗ちゃん主演の短編には、やはりこの映画に出演していた長谷川朝晴も出演してる。ついでにいえば、江口は『世界で一番美しい夜』にも出演していた。
片桐はいり主演の短編は、病気で降板してしまった映画の主演を探すオーディションの一風景を描いたもの。「40年女をやってきて、そろそろ飽きた」といって、ヤクザの組長役をやろうっていうんだから、この脚本の発想と、まさにそれには片桐さんしかいないよ、という感じの面白さ。このオーディションに応募してきた男のなかには『花ゲリラ』に出演していた小西遼生も出ている。
さて、最後に仲 里依紗ちゃんが登場する。相変わらず眼鏡、Tシャツ、スウェットパンツといういでたちでの登場。なんでこんなに美形の彼女がいつもこんな役どころなんだろうか。まあ、そこがまた魅力なんですけどね。会社員になって初めて男の人に告白したらあっけなく振られたということで、一人暮らしの自宅で自殺をしようと思い立つというお話。テンション低いまま自殺をしようとするが、自殺した後の自分が発見された時のことを想像して、いろいろやってしまうというお話。まずは部屋を片付け、手首を切るための包丁を買い、冷蔵庫に入れるための見せ掛けの野菜と肉を買ったが、高かった包丁の切れ味を試すために、一人暮らしを始めて始めての料理をしてしまう。最後にはすっぴん部屋着ではみっともないということで服を買い揃え、カットモデルでメイクまで。疲れ果てて、とりあえず仮眠をしたらそのまま朝になってしまい、遅刻しないようにと大急ぎで出掛けてしまう。そんな自殺失敗の物語。この空想上の自殺現場発見の場に出てくる刑事が長谷川朝晴と佐藤二朗。これがまたたまりませんね。ともかく、最高です、この短編。最後にすっきりして気持ちいい。

6月24日(水)

恵比寿ガーデンシネマ 『おと な  り
随分前にガーデンシネマに久し振りに行った時に、前売り特典が可愛くて思わずペアチケットを買ってしまった。でも、なかなか2人では観にこれないので、ようやくこの日になりました。水曜日ということで、ここは性差別をせずに誰でもサービスデイ1000円。ガーン!ちなみに、前売り特典はキーケース。部屋の鍵がこの作品のキーアイテムなのです。
麻生久美子3部作の最後。『インスタント沼』、『ウルトラミラクルラブストーリー』とかなりぶっ飛んだ作品が続きましたが、最後はかなり横道なラブストーリー。監督は『ニライカナイからの手紙』『虹の女神』の熊澤尚人。冒頭から、『虹の女神』でも使われていた独特の色彩でぼんやりした映像が流れます(特別なフィルム?)。このタイトルは「お隣り」のなかに「音」と「大人」が含まれていますね。30歳前後の男女がお隣同士。大人なので、隣に異性が住んでいても妙に欲情したりしない。でも、お互いに特定の相手もいずに仕事に忙しい毎日だから、家で過ごすふとした時間にお隣さんから聴こえてくる生活の音に妙に愛着を感じたりして。実際に顔を合わせたりすると幻滅するかもしれないし、変に仲良くなっても気まずいので、この関係がいいのでしょう。私は年齢に限らず、こういう成熟しない恋の物語ってのはけっこう好きなんです。そういえば、もっと大人の似たようなシチュエーションのラヴストーリーとしてはウォン・カーウァイ監督作品『花様年華』って映画がありましたね。ネタバレしてしまうと面白くありませんのでやめておきますが、鑑賞者の期待にこたえて面白い偶然が2人を近づかせます。主演はV6の岡田准一君ですが、CMもやっているSONYのデジタルカメラを劇中でも使用しています。彼に関る女性として、市川実日子ちゃんと谷村美月ちゃんが出ていて、この2人の存在がいいですねえ。そして、この作品を単なる甘い恋物語にしていないのは、麻生久美子に絡んでくる岡田義徳。いやいや、意外な展開でした。そして、彼の役どころがこの作品を現代都市っぽくきりっとさせていますね。そして、彼に相対する場面の麻生久美子の演技にも注目。

6月25日(木)

新宿厚生年金会館 『ムウ
またまた試写会。この作品は手塚 治生誕80年記念ということで、けっこう話題になっています。しかし、
作りがあまりにも派手でお金を払ってまで観に行くつもりはなかったが、試写会ならちょうどよい。客席には映画はほとんど試写会でしか観ない、というような懸賞好きのおばさんも多いようだ。後ろでは「試写会って当たりはずれがあるのよねえ」などといっている。この発言、明らかにおかしい。映画祭のコンペティション作品ならば、そのなかから公開に値する作品かそうでないかがきまるので、もちろんはずれはある。しかし、一般のこういう試写会は既に公開が迫っている作品で、単なる口コミの宣伝のためのものにすぎない。つまり、当たり外れはあくまでもあなた方の好みの問題だよ。
まあ、そんなことはどうでもいいな。公開前だし、内容に関するコメントは短めに。物語の設定と展開は原作を読んでいないが、さすがである。しかし、あまりにも派手に演出されたこの手の映画化では原作も浮かばれないだろう。果たして生前に作られていたら手塚氏はイエスといっただろうか。でも、実は手塚氏はディズニーからの影響が大きく、またアニメーションをテレビ番組として定着させた貢献者でもあるので、作品を芸術と捉えるのではなく、あくまでも商品と捉えるはずだ。なので、映画として受ける要素が大きければそれはそれで彼の遺志に応えているといえるかもしれない。ちなみに、本作で米軍駐屯地が登場するが、なぜか日本映画に米国人が登場するとインチキ臭くなる。こういう作品を超大作ではなく、もっと素朴に作れないのだろうか。

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西川美和さんが『笑っていいとも!』に出たらしい

6月20日(土)

講義の後、調布に戻って美容院へ。2ヶ月以上ぶりのカット。最近は長さも安定したので、特に注文もなくやってもらう。そしたら、かなりすかれてしまった。まあ、軽くなっていいか。ちなみに、この美容室は鏡にモニターが埋め込まれていて、DVDを流している。この日は名作といわれながら観ていない『ショーシャンクの空に』。あーこんなところで中途半端に観てしまった。
この日はエアコンのクリーニングということで、家に戻る。大家さんの支払いで、2台分しっかり1台1時間ほどかけて掃除。まだ引っ越したばかりであまり使ってないけどね。まあ、夏を前に点検も兼ねているのでありがたい。その時間を使って食パンを作る。出かける予定の時間をすぎていたので、2次醗酵の時間を多少省いてしまいましたが、まあまあの出来。それを持って小田急相模原まで。
ここには友人のさくさん邸があり、毎月のようにホームパーティが開催されている。私と恋人の出会いの場でもあり、私の現在の友人としてはもっとも付き合いの長い部類に入る人なので(といっても10年未満だが)、たまに行くことにしている。もともとBONNIE PINKファンということで知り合ったさくさんだが、2人とも映画好きということで、その後はよく2人とか3人で映画を観に行ってた。私が日本映画をまともに観るようになったのは彼の影響だったが、最近はほとんど映画を観なくなってしまったようだ。ということで、彼と会うのはもっぱら彼の自宅にて。この日も合計14人と1匹の大盛り上がり。初めて会う人がほとんどでしたが、意外にも私の映画ネタが受けて楽しかった。あまり長居はせずに帰宅。

6月21日(日)

昼から仕事の恋人と一緒に出かけて、私は一人で新宿で映画。

新宿K's cinema 『斜陽
太宰 治生誕100年の今年、随分話題になっているようだ。本作も太宰の原作を現代を舞台に映画化したものだが、若い時から太宰ファンだったという佐藤江梨子主演。比較的短いビデオ撮影の作品だったからか、品揃えのいいチケット屋2軒を回ったが取り扱いなし。実際に映画館に行ってみたら1500円でした。私は太宰作品をほとんど読んだことがないが、日本の近代文学はもちろんヨーロッパ小説が基礎にあるが、独特の雰囲気があり、現代日本小説に比べると(比べられるほど読んでいないが)、意味不明な部分も多いと思う。
本作も原作はどうだか分からないが、かなり意味不明。高橋ひとみ演じる母親と佐藤江梨子演じる娘の2人暮らしの話。生活費の工面をしてくれる叔父がいたり、遊び呆けている弟がいたり、なぜか娘は温水洋一演じる作家に惚れてしまったりと、どこまでが真面目なのか、ふざけているのか分からない作品。まあ、期待はしていませんでしたが、そんなもんですかね。

映画が終わって六本木に移動。六本木ヒルズ近くのTSUTAYAで『ディア・ドクター』サントラ記念のトークショー&ライヴがあった。数日前の日記にも書いたが、『蛇イチゴ』以来カリフラワーズに音楽を担当してもらっている西川美和監督だが、今回の『ディア・ドクター』でもカリフラワーズ解散後もナカムラ氏の新しいバンド、モアリズムが音楽を担当。そのサウンドトラックの発売日に合わせて、モアリズムのオリジナルアルバムも発売するという抜け目なさ。前日はタワーレコード新宿店で、モアリズムのインストアライヴに西川美和氏がゲスト出演し、今回は西川美和氏のトークショーにナカムラ氏が加わるのと、モアリズムが観にライヴを行うという形です。前日は夜の時間だったので行きませんでしたが、今回は気合を入れて、30分前に到着。このTSUTAYAにはスターバックスが入っているが、イヴェント開始ちょっと前に席が空いたので、コーヒーを買って始まるのを待つ。でも、司会者が、「この機会ですから、是非前の方でご覧ください」というので、席を立ち、前の方へ。トークショーが始まると目の前の席が空いたので、そちらで座ってゆっくりと話を聞く。この日の司会者はラジオのパーソナリティをしていて、数日前にも西川監督とナカムラ氏を迎えて番組をしていたということ、また司会者自身が西川作品に思い入れがあるということで、かなり突っ込んだインタビューとなり、またちょうどよい具合にナカムラ氏も合いの手を入れ、30分ほどの貴重な話が聞けました。しかも、私は試写会で既に観ているし。
しかし、一方でモアリズムのライヴはたった2曲。しかも、1曲は西川監督の前作『ゆれる』の主題歌、もう1曲は本作の主題歌ということで、聴いたことある曲のみ。でも、私はこのモアリズムのオリジナルアルバム『笑う花』を購入。ライヴ後のサイン会に参加しました。当日このTSUTAYAで買ったのに、整理番号は4番。ということで、最初にサインをもらう羽目になってしまったのですが、皆段取りがうまく分からず、サインに必死であまりお話しする余裕がなかったみたい。特に西川監督が手にしたマジックのインクが漏れてしまい、「これってどうなのよ?ちゃんと確かめておいてよ」などとスタッフに文句を言うばかりで、私の顔もろくに見てくれなかった。まあ、以前から一般の人に笑顔を振りまくような人ではないことは知っていたけど、ちょっと残念。

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新旧論文

実は新しい論文が発表されています。
密かに↓こちらにアップしておきました。
http://geopoliticalcritique.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_cfd3.html

でも,↓こちらでもダウンロードできます。

成瀬 厚・香川雄一・杉山和明 2008. 言説概念を介してみる人文地理学者のアイデンティティ――日本の地理学者に対する意識調査の解釈から.空間・社会・地理思想 12: 13-20.
http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/geo/Space,%20Society%20and%20Geographical%20Thought.htm

ついでに,10年以上前のものですが,1997年に所属していた教室の英文紀要の論文もこちらからダウンロードできることが分かりました。
http://www.ues.tmu.ac.jp/geog/publication/gr032.htm

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映画もライヴもコメント長いです。

6月17日(水)

大宮ムムタージ 松下美千代
恋人が美千代さんに会いたいというので、大宮までカレーを食べに行く。前から書いていますが、このカレー屋は水曜日に無料で音楽演奏が聴けるということで、もう何度も食べに行っている。そのブッキングをしているのがwater water camelの須藤剛志君ということで、これまで聴きに来たのは、erikuo、one tone、ヤマカミヒトミ、omu-tone、そして松下美千代といったところか。初めてか、2回目かの時に進められるままにメンバーズカードを作ったら、意外にお得。毎月のように送られてくるハガキにはちょっとしたフードorドリンクサービスがあり、誕生月には前後1ヶ月間有効のハガキで、カレー&ナンが無料で食べられる。私の誕生月が7月ということで、今年もいち早くそのサービスを利用。ちょっと残念だったのは、この日は普通のお客さんが多かったこと。特に2階席は10人くらいの女性を中心とした団体客で、けたたましい笑い声が店内に響いていました。
この日の美千代さんは須藤君とのデュオでしたが、穏やかでいい感じでした。ここ最近は彼女の活動もトリオがメインなので、聴く方もそうだった。たまにはどっぷりと、彼女のソロを都立大のJammin'まで聴きに行きたいところだ。翌日も仕事なので、3ステージあるうちの2ステージ終わったところで失礼しましたが、美千代さんともそれなりにお話できて楽しかった。

6月19日(金)

講義後、大学図書館で時間をつぶす。大学紀要雑誌を見ていると、けっこう地理学者の論文を見つけた。九州大学の高木彰彦さんによる日本地政学の論文、大阪市立大学の山﨑孝史さんの沖縄本土復帰に関する論文、そして個人的に期待しているのが、首都大学東京に来たばかりの滝波章弘さんのシチュアシオニストの論文。まあ、無理なく時間をつぶせて、谷中ボッサに移動。
谷中ボッサは7月26日に私企画イヴェントの開催地。その打ち合わせを兼ねてランチをしに行ったのだ。平日でもお昼時は混み合うことがあるということで、13時過ぎを目処に行ったが、13時前にほぼ満席。もう少し時間をつぶそうと、程近い東京藝術大学美術館にいったが、展示品の入れ替え期間にて閉館。しょうがなく、ちょっと遠回りをしてお店に戻るとトイレ前のソファ席は空いていて、とりあえずお客さんも食べ終わって待ったりしている雰囲気なので、私もキッシュランチをいただくことにした。この日は濃い目のブレンドコーヒーをいただいたが、これが私好み。このお店のストレートコーヒーは少し薄めに入れて、何も加えずコーヒーそのままの香りと味を楽しむ感じだが、やはり私がガッツリ濃い目に入れているのに、砂糖とクリームを入れるのが好み。残念ながらこのお店にクリームはありませんが。そして、このお店も使用している野菜などにこだわっているようで、キッシュで1000円は高いが、食べると納得の内容。食べ終わった頃にイヴェントの詳細を詰める。今週末から本格的に告知と予約開始をしますので、よろしくお願いします。
渋谷に移動して、ライヴの前に映画を1本。

渋谷ユーロスペース 『ウルトラミラクルラブストーリー
最近公開されている麻生久美子三部作の第二段。『ジャーマン+雨』で話題になった横浜聡子監督のメジャーデビュー作。いきなり引っ張りだこの松山ケンイチと麻生久美子の主演で、オール青森ロケという大胆な企画。しかも、音楽は大友良英で主題歌は中村一義率いる100s。もちろん、それだけではなく、脇役でも藤田弓子や原田芳雄、ARATA、地味なところではキタキマユといった配役も憎い。映画ファンとして『ジャーマン+雨』を見逃してしまったことは非常に残念だが、まあ仕方がない。荻上直子、井口奈己、西川美和、内田けんじなどという監督は、一般公開初作品を観て以来、作品ごとに注目を集めている監督たち。さすがに『ジャーマン+雨』もそういう雰囲気を醸し出してはいたが、さすがに一般受けする雰囲気ではないと思っていたが、2作目にしてこの注目度とは驚いた。しかも、この『ウルトラミラクルラブストーリー』は予告編を観ただけでもまたまたぶっ飛んだ内容だ。
松山ケンイチ演じる青森の田舎町在住の陽人(ようじん)は知恵遅れ(?)だが農業にいそしむ毎日。そこに、恋人を交通事故で亡くし、東京から引っ越してきた麻生久美子演じる町子が登場する。陽人はすっかり町子先生(町子は保母さんなのだ。そして、町子はキタキマユ演じる保母さんの代休ということでやってくる)に惚れてしまう。その子どものような落ち着きのなさに町子は迷惑顔。しかし、ある日陽人は人が変わったようにおとなしくなる。なんとそれは体に農薬を浴びたことによるようだ。それを陽人自身は「進化」と呼ぶ。しかし、原田芳雄演じる医者が陽人の胸に聴診器を当ててもほとんど音は聞こえない。はたして陽人の体の進化とはなんなのか、そして町子との恋の行方は。
実はエンドロールまで音楽担当が大友良英とは知らなかったのだが、観始めたころその映像と音響との素晴らしい組み合わせに驚いた。それは音楽にマリンバが効果的に多用されていたということもあるが、警報を出して、平気でヘリコプターで農薬を撒き散らすこの田舎町の風景と、陽人の健常者には理解できない頭の中身、そして音響系のインストゥルメンタルの音楽。その絶妙な組み合わせにゾクゾクする。そして、松山ケンイチの演技は『ギルバートブレイク』のレオナルド・ディカプリオを思い起こさせる。もちろん、『ギルバート』の方は明らかに特定の症状が想定されているシリアスなドラマなのに対し、本作はある意味でのファンタジー的要素を含み、アイロニックな手法での遠まわしな社会批評になっているので、単純な比較はできないが。
ネタバレになりますが、陽人が自らの進退の変化を「進化」という言葉で表現するのは理由がある。町子が陽人と2人で歩いている時に彼女独自の進化論を陽人に対して語るのだ。動物の進化には「恐怖」が必要だというのがその論点。動物は外界からの恐れに対処するために自らの身体を変化させる。すっかり「恐怖」を飼い慣らしてしまった人間にもう進化はない。人間の進化には戦争が必要なのではないか、というある意味過激な議論だ。これは町子が小さい頃から考えていたことだというが、間違いなくこれは監督自身の考えだ。農薬とは農作物を飼い慣らすもの。自らの生命を維持するための植物の身体を、人間の味覚や美的感覚にあわせて歪めてしまい、少なくても農薬は自然発生的な進化とは相容れないものだ。まあ、逆にそれが突然変異を生み出す可能性は十分にあるが。
さて、そんな植物に対しては反進化的な「農薬」がすっかり自ら進化を阻んでいる人類に対して「進化」を促進するものになりえるのか。町子が語る「恐怖」として、精神的な恐怖ではなく身体が意識下で感じる恐怖によって進化がありえるというこの作品の発想はとても面白い。まあ、世代を通じての進化ではなく、特定の個体の進化ってのはありえないが。農薬によって、陽人は確かに植物と同様飼い慣らされる。そして、陽人はついに、通常の人間を超えるのだ。つまり、心臓が止まり、食糧を摂取しなくても行き続けるのだ。これは、ハラウェイなどがSFの分析から訴えた「サイボーグ化」の一変種ともいえる。人類の進化とは、動物臭さ、生物学的な特徴を廃していくことなのかもしれない。
しかし、この陽人の進化を、自然/人工や野蛮/文化、子ども/大人という二元論で捉え、彼が持っていた良さが失われると考えるのは浅はかだ。作品中、何度か映し出されるヘリコプターの農薬散布、そしてそこにつけられた音楽、これは陽人の落ち着きのなさと関係している。つまり、あの音は陽人の頭のなかで鳴り響いているおとなのだ。陽人が奇声を上げたり、突然暴れだしたりするのは、脳内で響く音に反応しているのだ。われわれだって、音がすれば振り向くし、声を掛けられれば返事をする。好きな音楽が鳴れば踊ったり歌ったりする。つまり、外界からの刺激に反応して行動に移すが、陽人は外界からの刺激とともに、自らの内部からの刺激に常に反応しているのだ。
それにしても、ストーリー展開に多少解せないところもある。つまり、落ち着きのない陽人に対しては、警戒心を持って接していた町子が、陽人の心臓が止まっても生き続けるようになって、一緒に暮らすようになる(ここは多少疑問形だが)。まあ、そんな細かいところにこだわる必要もないのだが、町子の心のうちはイマイチ読めない。まあ、ともかく久し振りに哲学的思考を促してくれる作品でした。一つだけ不満があるとしたら,タイトルかな。監督本人がつけたわけではないらしいし。

さて、ライヴまでちょっと時間があったので、夕食を食べることにした。牛タンの「ねぎし」にて豚ロース焼き定食。おなか一杯で久し振りのAXへ。

SHIBUYA-AX leyona
leyonaを知ったのは何年のことだろうか。当時はまだ親元に住んでいて、『世界ウルルン滞在記』をよく観ていた。スポンサーは東レで、きれいなお姉さんが荒涼とした大地で向かい風を受けながら、はっぴいえんどの「風をあつめて」を歌っている。クレジットには「玲葉奈」。多分口パクだろうと思ったけど、その顔の見えないシンガーの姿が気にかかった。一方、鈴木 杏ちゃんとジャン・レノが熱帯雨林をボートで進むポカリスウェットのCM。こちらは「Travellin' man」が流れていた。ここでも「玲葉奈」の名前を見て気になった私はオフィシャルホームページを何度かチェックするうちに、原宿ラフォーレで行われたクリスマスライヴイヴェントの招待券を譲りますという掲示板の書き込みを見て、とある女子高生に譲ってもらい、当時の恋人と2人で出かけたように記憶している。それが多分2001年の年末だっただろうか。そこには浜崎貴志の後ろでギターを弾いていたアナム&マキも印象的だったが、すっかりleyonaが気に入ってしまった私はそれからCDを買い、ライヴにもよく足を運んだ。あの頃はAXやクワトロがメインだったかな。そのころにバンドメンバーで参加していたベースのTOKIEさんの姿も印象的。
特によかったのは、leyonaが初めて横浜のTHUMB'S UPで行ったライヴ。休憩を挟んで4時間、23時過ぎまでやっていて、終電を気にしながらも、KeisonやCaravanなど彼女と親しいミュージシャンが登場して盛り上がった。基本的にお客さんは座っているのに、これまで体感したことのないような自然な盛り上がり。ただでさえ、狭い店内でleyonaを間近で観たのは初めてだったのに、そのパフォーマンスと会場の一体感は初体験の出来事だった。その後、THUMB'S UPでのクリスマスライヴは恒例になったし、デビュー前からお世話になっていたというstar pine's cafeでもワンマンをしたし、440でもあった。大きな会場と小さな会場、どちらかに偏ることもないのも彼女の面白いところ。でも、インストアライヴなどはあまりやらないかな。
前置きがすっかり長くなりましたが,そう,この日のライヴはleyonaの10周年記念ライヴなのだ。ゲストが盛りだくさんなのはいいけど,なんとチケットが7799円もするのだ!それはまあしょうがない。なんといっても,ゲストが入れ替わり立ち代りで総勢30名を越えている。もうどうなることかと思ったけど,平日なので開演は19時。なんと,終わったのは22:40でした。でもきちんと座席が用意され,しっとりと聴かせる部分と盛り上がる部分と交互にあって,立ったり座ったりしていたので全く長く感じませんでした。主たるゲスト,佐藤タイジ,Keison,Spina B-ILL,斉藤和義,HIFANA,東田トモヒロ,三宅伸治,仲井戸CHABO麗一などはそれぞれ1曲leyonaと一緒するだけ。でも,ゲストはそうしたフロントマンたちだけじゃないのだ。Black Bottom Brass Bandは当然のことながら,いつものバンドメンバー,沼澤 尚,鈴木正人,エマーソン北村に加え,最近バンドに加入している會田茂一。そして,以前から一緒にやっているラティール・シーと久し振りの山本貴志,一時期バンドメンバーだった椎野恭平と笠原敏幸,中條 卓とKOTEZってのもいましたね。そしてなんといっても今回嬉しかったのが,TOKIEさんの登場。彼女は私より年上ですでに40歳を越えているはずですが,昨年か,福岡のイヴェントで永山マキちゃんとご一緒したとのことで,彼女のblogに写真が載っていたのだが,加齢するどころかさらにキレイになっていたTOKIEさん。やはり生で見ても素敵だった。なんといっても,実はleyona以外の紅一点だったのでは。leyonaも次から次へと登場する男たちに「アニマルハウス」と思わずいってしまったほどだ。私の知らない人はわずかだったが,そのうちの一人,パーカッションで登場した大儀見 元(おおぎみ げん)という人はすごかった。
leyonaは忌野清志郎を慕っていたから,そんな話もあるんじゃないかと思ったけど,やっぱり真面目に彼の話をするとないちゃうんだろうね。彼が歌っていた「デイ・ドリーム・ビリーバー」を歌ったり,楽曲提供された曲を,やはり清志郎氏と関係の深かった三宅伸治さんと歌ったり,モニタスピーカに立てかけてあった清志郎さんの写真を最後にお客さんに見せたりしていた。ステージ上でなきそうになったのは三宅伸治さんの時かな。彼のと思われるギターはすでにステージ上にセッティングしてあるのに,ギターケースとともに出てきた彼はおもむろにそれを開ける。すると,そこから花束が出てきたのだ。いやいや,なんとも大人の演出。私もleyonaは7~8年見てきた。ギターを人前で初めて弾き始めた頃から。でも,歌声は昔からすごかったなって思ったり。そして,なんといってもミュージシャンに慕われるシンガーは強いと思う。活動が思うようにいかない時もあったけど,これからも彼女のペースで心地良い歌を届けてくれるでしょう。

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都市社会運動

スチュアート・ロー著,山田 操・吉原直樹訳 1989. 『都市社会運動』恒星社厚生閣,286p.,3000円.

久し振りに面白くない本を読んでしまった。1977年に出版されたマニュエル・カステルの『都市問題』は都市社会学のなかで新しい流れを作り出すきっかけとなった有名な本であり,同じ出版社から同じ山田氏の訳が1984年に出版され,またカステルの主要論文も収録したピックバンス編『都市社会学』も同じ出版社,同じ訳者たちによって日本語訳が出されている。『都市問題』は非常に入手しづらいもので,私はまだ読んでいないが,『都市社会地理学』は以前に読んで面白かったので,本書も古書店で見つけた時に買っておいた。そしてたまたまここ数年共同で論文を執筆していた香川雄一氏の専門が都市社会運動である。
そんなこともあって,結構期待して読み始めた。冒頭では,カステルの『都市問題』を含む3部作,つまり『都市・階級・権力』(1978)と『都市とグラスルーツ』(1983)を詳細に検討している。ちなみに,この2冊はどちらも法政大学出版局から邦訳が出ており,前者は読んだことがある。でも,正直なところではカステルの本はガッツリと私の関心を引くものではないことは書いておいたほうがいいかもしれない。やっぱりそれは,私が狭義の政治ってものに弱いところからくるのだろう。カステルの議論を詳細に検討しているのだが,その詳細さが私にとっては関心を引かず,読んでもなかなか頭に入ってこない。
また,都市社会運動の事例も,カステルが『都市とグラスルーツ』で都市社会運動の原型としているという1960年代のマドリッドの市民運動をはじめ,ヨーロッパを中心にさまざまなものが示されるが,事例自体に馴染みが湧かないだけでなく,都市社会運動が都市自体になにをもたらすのかということについてもさほど興味深い論点を得ることはできなかった。

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最近試写会当ててくれます

6月11日(木)

神保町一ツ橋ホール 『ディア・ドクター
一日書き忘れました。またまた恋人が当選してくれた試写会。しかし,実のところは今回はあまり乗り気ではなかった。西川美和監督は思い入れのある映画監督の一人。彼女の初長編監督作品『蛇イチゴ』は基本的に予告編の雰囲気が良かったのと,つみきみほさんが出演していたというだけで,前売り券を購入していたのだが,たまたま初日に観に行ったら,舞台挨拶の回に空席があったために,それなりに後ろの方の席ではあったが,初回舞台挨拶ということで,生の監督の姿を観たという次第。ついでに,その映画で使われていたカリフラワーズというバンドが気に入ってライヴに通い,その会場でメンバーと仲良く話す監督の姿を何度も見,一度は離しかけもしたのだ。まあ,それ以前に『蛇イチゴ』が良かったのだが,案の定第2作目『ゆれる』ではオダギリジョーを主演に向かえ,香川照之の演技も非常に評価が高く,作品自体とても話題になった。小説や漫画の原作の映像化が主流の日本映画にあって,製作期間がかかろうともオリジナル脚本にこだわる西川監督。
カリフラワーズは解散してしまい,本作でも予告編ではそれほど期待できる感じではなかったが,やはりきちんとお金を払って観たかったし,昨年から恋人のおかげで試写会で観る機会が増えているが,多くの会場は映画鑑賞のために作られてはいないため,余計な光が入りやすいとか,ピントを合わせるのが難しいとか,もちろん座席に関しても問題は多い。でも,最終的に恋人が一緒に観たいといったし,先の述べたように,それほどの期待があったわけでもないので観ることにした。私は鶴瓶が主役ってのはやっぱりどうなのか,という疑問を抱いたのだ。実際,会場である一ツ橋ホールは試写会としても2回目だったが,案の定真っ暗にはできず,ピントが合わない場面もあり,また画面が細かく揺れるところもあったりして,鑑賞する環境としてはかなり悪かった。しかし,映画の方は流石だった。私が抱いた不安は的中したのだが,まさにそれだからこそ,この主人公の役どころが鶴瓶だったのだ。そう,忘れてはいけない。この作品は小説のなかの人物を鶴瓶が演じるのではなく,あらかじめ監督が鶴瓶を想定して作り上げた人物かもしれないのだ。それがまさにオリジナル脚本の強み。もちろん,本作の魅力はそれだけではない。でも,本作は公開前だし,多くの人に観られるだろうから,ここでつまらないネタバレや,過剰な解説は必要ない。
そして,なによりも彼女の作品の魅力は,鑑賞者に物事を考える余地を与えていること,そして本作のテーマもまた前2作と同様に生と死。そして,それは善と悪,正と負というテーマに変換され,生きている人間のこれからの人生のあり方に関わってくる。そんな映画だ。もう一度空いた頃の映画館で観ることとするか。そして,次回はネタバレありで。

6月14日(日)

前日にのんびりすごしてしまったので、天気のよくなったこの日は恋人の出勤時間に合わせて外出し、ライヴ前に映画を2本。

渋谷イメージ・フォーラム 『ジャイブ 海風に吹かれて
石黒 賢主演の北海道を舞台とした作品。石黒がスタントなしでヨットマンを演じ、物語上では北海道を無寄港で1週するという内容に惹かれ、観ることにした。相手役が清水美沙というのも魅力的。物語はよくありがちな展開。主人公は北海道江差の出身だが、大学で札幌に、就職して上京し、友人と起業して一儲けする。しかし、ひたすら仕事に没頭してきたおかげで40歳をすぎていろんなものを見失い、祖父の49日で帰省。その数日で人生を見直そうという時に、高校の同級生の女性と再会する。高校時代に密かに石黒に思いを寄せていたその女性を演じるのが清水美沙。「あの頃は」なんて酔っ払って昔話をするなかで、主人公は高校ヨット部時台の夢だった北海道無寄港1週ヨットの旅を思いつき、実行に移す。そんな、ロードムーヴィならぬ、トラベルムーヴィ。そこに、上原多香子演じる会社の部下である女性が彼の実家を訪ねてくる。そこから、清水と上原が海上の石黒を追って北海道の大地を旅する。そんななんてことない展開ですが、雰囲気がいい映画です。上原多香子の自然な演技と存在感もよかったし、石黒氏が真っ黒に日焼けしながら初体験だというヨットに取り組む。期待以上だったのはやはり清水美沙の演技。最近では『レインフォール』にもちょこっと出演していましたが、やはりこの人はすごいと思う。『うなぎ』の演技で絶賛されたものの、引っ張りだこにはならない程度の出演頻度だが、映画女優としての彼女の存在感は素晴らしいと思う。

渋谷シネマライズ 『USB
続いて観たのは、ちょっと怪しげな雰囲気を持つ作品。一応表向きは茨城県東海村の施設で起きた放射能漏れ事故を題材としている。しかし、主人公が実際に被爆してどうのこうのってまじめな話ではなく、なかなか面白い。そもそも渡辺一志演じる主人公の男はまったくもっていい加減な人間で、銀杏BOYSの峯田演じる男と悪いことばかりして、ヤクザに借金をしている。地元の立派な医者だった父親の死を機に、26歳にして予備校に通って医学部受験を目指す。しかし、やることといったら予備校でつかまえた女の子とカラオケルームでセックスをし、その女の子に講義をビデオ撮影させ、本人は出席しない。借金のあるヤクザに覚醒剤を預かって、予備校生に売って借金を返済するという毎日。峯田は相変わらずの生活で、拳銃で次々と人を殺したり、大森南朋演じる主人公の叔父である医師は、放射能の人体実験を行う。放射能汚染ですっかり廃頽したこの町で、職を失った老人や若者が頼れるのはそうした人体実験の類で、病院だけは賑わっている。主人公も結局金の工面がつかず、最終的にこの実験に参加することに。
この奥 秀太郎という監督の作品は初めて観たが、なかなか過激で面白い。大森南朋以外にも、主人公の母親には桃井かおり、死んだ父親の患者であり映画監督には野田秀樹が出演している。あ、ヤクザの親分は大杉 漣。音楽も作品の雰囲気を作り上げるいい役割を果たしています。『カインの末裔』って映画を撮っているらしいが、なかなか注目の監督だ。主役の渡辺一志も最高にいかがわしさを醸し出しています。

この日もLOOPへはこのまま歩いていく。ちょっと早かったかな。でも、けっこう人が集まっています。

代官山LOOP
整理番号28番で前方をとる。最近3回来たライヴで常に最前列中央を占有している、眼鏡で大柄の男性。なぜかヴィトンのバッグ。どうやっていつも一桁のチケットを入手しているのだろうか。私は一応2列目にいたつもりだが、1列目の人が荷物を置いてドリンク交換に行ったり、隣の女性2人組は最終的に4人組になったり、後ろの人が「もう半歩前に行ってくれませんか」などといわれたり、最終的には一番前でかぶりつきになりました。この日もDJはorbit blenderの松下さん。それにしても、本当にこのDJ爆音だけはテンション下がります。
トイマシン:この日はほぼ時間キッカリに始まったと思ったが、オープニングアクトつきだった。どうりでバンドメンバーが若いわけだ。ヴォーカルの女の子は元気だし、若い割には演奏はしっかりしていると思うが、まあこの手のにはついていけない私です。それにしても、オープニングで5曲は多すぎる。しかも、6人編成なので、後片付けにも時間がかかる。
Rie fu:すっかり、ステージ上に何もなくなって、キーボードが登場し、アコースティックギターも置かれ、どうやらRie fuちゃんは一人のステージのよう。2回目のライヴですが、多少サポートが入って賑やかなのを期待しましたが、まあ、彼女のギター演奏も聴けるのでよしとしましょう。最近は井上陽水のツアーにコーラスで参加したり、オレンジレンジのメンバーが立ち上げたユニットのヴォーカルを務めたり、といろんなところで活動をしている彼女。この日はしっとりと一人です。まだ3rdアルバムを入手していませんが、この日は最新アルバム『Urban Romantic』からの曲が多かった。それこそ賑やかな「ビジネス」もピアノだけで歌うとは。なかなか無謀だが面白かった。3rdアルバムからの曲はなかったようだし、やっぱり知っている曲を改めてライヴで聴くってのはいいもんだ。本人の立ち居振る舞いものんびりしていていい感じ。購入したばかりのリズムマシーンも登場し、今度はいろんな楽器を駆使して一人でワンマンライヴをしたいといっていたので、楽しみだ。
一十三十一:なんとなく、最前列に疲れてしまって、後ろの方を見たら、けっこう隙間があったので、ドリンク交換も含めて後方に下がった。前方はやはりステージのためか、エアコンがけっこうきいているが、後方は過ごしやすい。それに音もいいし、踊るスペースもあるし。なかなかいい選択だったように思う。さて、一十三十一バンドはいつものメンバーですが、この日はコンパクトな分、先日のワンマンよりも良かったような気がする。選曲もあまり被っていませんでした。1曲新曲がありましたが、「今,パークウェイ」かと思いました。よく似た雰囲気の曲です。
アンコールも含めて結局終わったのは22時前。食事もしていなかったので,久し振りにすき屋で鶏そぼろ丼など食べる。時代に逆行して座席で注文をとるように変わったんですね。

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外で撮ったり,部屋で焼いたり

6月9日(火)

池袋鈴ん小屋 コーコーヤ
この日は鍵盤女もあったものの、一度鈴木亜紀さんも聴いてみたいといっていた恋人でしたが、最終的にこちらをチョイス。新宿で待ち合わせ。2回目の鈴ん小屋(りんごや)でしたが、思ったよりも広く感じる。正直いって、いつもプラッサオンゼでは満席、stringsではちょっと窮屈ですから、ここではどうかなと思ったけど、きちんとテーブルが出ても25人くらいは座れますね。江藤さんの話だと、テーブルをなくせば40人は入れるとのこと。だったら、辻 香織ちゃんのワンマンってのもちょうど良いか。座席はほぼ埋まる、ちょうど良い入りでしたが、プラッサオンゼの時とはちょっとお客さんも違ったみたい。
この日のコーコーヤは、アルバムからの曲は少なく、かれらがベースとしているショーロというブラジルの曲と、最近発売されたばかりのアニメのサントラからの曲が中心。珍しく5月から毎月東京でのライヴがあるために工夫を凝らしているようです。この日は恋人が職場から借りてきた最新のデジタル一眼レフカメラでライヴを試し撮りということでしたが、ちょっとこのお店はライティングが撮影用ではないとのこと。でも、終演後にちゃっかり3人の記念撮影を。もうちょっとゆっくりしたいところですが、翌朝も早いので失礼しました。

6月12日(金)

久し振りに私の大学の日に恋人がお休みということで、講義後に2人で出かけた。目的地は京王百草園。10年前に一度来たことがあったが、ちょっと時期をはずしてしまい、残念だったので、今回は紫陽花祭りの時期に選びました。私のGR1は修理中ということで、恋人はその借りているNikonのD700で、私は恋人に借りたフィルム一眼レフNikonのFM10を借りる。はじめてフルマニュアルの一眼レフで挑戦。残念ながら紫陽花には少し早く、そしてほぼ自生に近い感じでの紫陽花はちょっと物足りませんでしたが、梅のシャーベットを日本家屋に上がって食べたり、山道を上り下りしたり、こじんまりとしていい感じでしたね。平日なのでお客もまばらでよかった。やはりここは梅が一番いいのかも。写真撮影も、やはりしっかりとしたシャッター音が快感で、数ヶ月前から残っていた25枚ほどのフィルムを撮り終わる。帰りはちょこっと立川に寄ってみたら、思わず洋服を上下で買ってしまった。
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6月13日(土)

新宿ピカデリー 『ハゲタカ
大森南朋主演のNHKテレビドラマの映画版。もちろん、ドラマは観ていないけど、大森南朋はけっこう好きな俳優なので観ることにした。ピカデリーは人気作品を観るにはあまり向いていないが、1時間以上前に行ったらまだ席が空いていた。上映時間2時間強の大作ですが、結局上映開始時にはほぼ満席。左隣のおばさん二人が最前列の席に文句ばっかりたらたらと述べている。だったら、もっと早く来いよ!という感じではあるが、彼女たちの言い分も一つは正しかった。私的にはスクリーンと座席はそれほど近くないのだが、見上げるためには座席の背もたれに工夫をして欲しい。ここの座席は首をもたれるところが前方に曲がっていて、見下ろすのにちょうどよい作りになっている。これでは確かに辛いですよ。
さて、テレビシリーズにも出演していたと思われる、松田龍平や栗山千明など、大森側の人間に加え、今回はマネーゲームで争う相手として玉山鉄二が登場する。中国残留日本人三世という役どころで、中国の政府機関からの出資金を使って、日本の代表的な自動車メーカーの株を買い占めるという展開。それを阻止するために、日本から逃げていた大森を呼び寄せるのが、この自動車メーカーの財務を担当する柴田恭平。金融関係の用語が飛び交う、台詞の多い映画であるという前情報を持っていたが、やはり日本語だからそんなに辛いほどではない。金融の知識のあまりない私ですが、かなり楽しめました。栗山千明も頑張ってますね。なかなかいい映画です。
この日はTOPSさんに教えてもらったムリウイでのライヴにちょこっと顔を出そうかと思っていたが、2時間半の映画を観て疲れてしまったし、あまり慌しく家で過ごすのもなんなので、天気もよくないし予定変更。先日購入したパン一斤型でパンを焼くことにした。うちのオーブンレンジはそれほど大きくないので、山型イギリスパンだとてっぺんがかなり熱源に近づいてしまう。焼き始め数分で焦げてきてしまったので、アルミホイルで蓋をしたら今度は焦げ色が少なかった。やっぱり難しいな。でも、パン自体の味はなかなかうまくできました。この型にはちゃんと蓋もついているので、今度は四角い食パンに挑戦かな。

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付け睫毛の美女歌姫3人

6月7日(日)

最近、金土日とけっこう忙しい。なので、この日も午前中はゆっくり。ライヴ前の映画は1本にしておく。

渋谷HUMAXシネマ 『インスタント沼
三木 聡監督最新作。彼のテレビシリーズは当然観ていないが、発監督作品の『ダメジン』から、初上映作品『亀は意外と速く泳ぐ』、『イン・ザ・プール』、『図鑑に載ってない虫』、『転々』と全ての作品を観ている私。やはり映画としては『亀は意外と速く泳ぐ』の印象が強くて、それを越える作品はなかなか出てこない。でも、とりあえず三木作品常連のふせえりや岩松 了を観るだけでも面白いし、有名俳優を奇怪な役どころでこき下ろすその演出がたまらなく、観てしまう。『亀は意外と速く泳ぐ』の上野樹里ちゃんなどは最高だった。今回はその対象になったのが麻生久美子。最近は『おと な り』と『ウルトラミラクルラブストーリー』と主演作が同時公開されているということで、結婚しても活躍していますが、三木作品ではどれだけはじけてくれるのだろうか。
本作は予告編ですでにこのタイトルの意味が想像できる。予告編では一通りのストーリーが説明される。主人公は30歳女性。働いていた出版社の雑誌が廃刊になる。母親は河童を捕まえに行って池で溺れ意識不明。発見された母親の手紙によって、未だ知らぬ実の父親がいることが分かり、会いに行く。彼の格言「テンションを上げたいときは水道の蛇口をひねる」ということで、どん底人生の彼女にも転機が訪れる。そして、ついにはひねった蛇口によって、即席の沼を作ってしまう。そんな物語。母親には松坂慶子、父親には風間杜夫、父親の友人には加瀬 亮、出版社時代に仕事を依頼していたライターにふせえり、などなど。もちろん岩松 了や温水洋一なども登場します。
主人公が「ジリ貧」という割には100万円の貯金があるし、「テンション上がりませんなあ」とネガティヴに嘆いている時間は非常に短い。そういう意味では、ある意味看板に偽りあり、という感じだが、とにかく妙なテンションの麻生久美子が見られるのが、本作の最大の魅力。起こる時の顔も怖くていいですねえ。ある意味ではこれこそが三木作品の真骨頂ってやつですか。その分、いつもは奇妙なキャラが際立っているふせえりと岩松 了が普通だったのは狙いか。個人的には岩松氏の役どころは寂しかったけど、普通の人ふせえりはそれはそれで面白かった。ともかく三木作品のなかではきわめて分かりやすく、ストーリーも無理がない。河童などがCGで登場するのは人間の想像力の許容範囲内ということで。ちなみに、ここで「など」と書いたところがミソ。まあ、ともかく観て損はない作品。

昨年の誕生日プレゼントでもらったRICOHのGR1というフィルムカメラ。なにやら赤い光が写り込むようになってしまったということで、修理に出す前にとりあえず、残っているフィルムを撮影するために、代官山まで歩く。この日のライヴはスタンディングだし、3組もあるということを後で思い出して失敗。代官山だと気軽に入れるカフェなどもなく、結局、後で腰を痛めることに。

Fh000003_2 LOOP待ちの私の視線

代官山LOOP ジルデコフェスタvol.1
好きな2組に一度ライヴを聴きたかった1組という楽しみなライヴ。整理番号が30番台ということで、右寄りだが最前列をキープ。開場から開演まで1時間。さらに入場者が多く、混雑していたおかげで開演が20分ほど遅れる。その間ひっきりなしにDJが爆音を鳴らす。ああ、耐え難い時間。
Fonogenico:この日はキーボードとパーカッションで登場。6月ということで、井の頭線を始発で帰る時のことを歌った紫陽花の歌、「6月の絵画」も歌ってくれたし、ギターなしはちょっと物足りないけど、いつもどおりのいいステージでした。
dorlis:実は、以前からちょっと気になっていたのは、サポートで後藤郁夫さんが入っているから。セットチェンジでやっぱり登場してきましたね。ちょっとネクタイなんかしていつものerikuoライヴよりも着飾りながらも、いつもどおりのサンダル。ひとしきりセッティングを終え、ふとフロアを見ると目の前の私と目が合って驚いた様子。なにか話しかけてくれましたが、DJ爆音で聴こえず。dorlisはギター&ヴォーカルの女性のソロユニット名のようですが、細くて顔小さくて美形です。つけまつげとカラーコンタクト(?)のせいで外人っぽいです。この日は正確に覚えていませんが、ヴァイオリンとウッドベースとなんだったかな。けっこう大所帯での編成で、自身もギターを弾きます。郁夫さんはバンジョー中心。なかなかいい感じですが、音楽的にあまり好みではないかな。
JiLL-Decoy association:まだ書いていませんでしたが、この日のイヴェントはジルデコ企画。第1回目ということと、メジャーデビュー3周年ドラムスのtowada氏の誕生日ということでした。メンバー3人にこちらもホーン隊2人にベースもつけての大所帯バンドで爆音盛り上がり。それでも負けないchihiRoのヴォーカルはさすが。ただ、一番盛り上がりたいけど体力的に疲労した頃の最後はきつい。
確かに、楽しかったけどやっぱりいくら好きな出演者ばかりだといっても、この手のイヴェントはもうきついな。しかも、早い開演時間だったのに、終了時刻は遅く、帰宅するまで電車でほとんど座れないんだから厳しいです。

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万博幻想

吉見俊哉 2005. 『万博幻想――戦後政治の呪縛』筑摩書房,302p.,860円.

吉見俊哉は東京大学の社会学教授だ。都市研究,メディア研究,カルチュラル・スタディーズという分野で数々の素晴らしい功績を残している人物だが,彼の素晴らしい著作として,中公新書の『博覧会の政治学――まなざしの近代』(1992年)がある。新書という一般の読者もかなり意識した出版物のなかであれほどのレベルの文章が書ける人はなかなかいない。この本は基本的にヨーロッパやアメリカにおいて19世紀末から行なわれてきた万国博覧会と,明治以降に日本でも開催された勧業博覧会をたどりながら,一番新しいところでは1970年に日本で始めて開催された万博である大阪万博までを取り上げ,博覧会というものがいかに近代国家と近代都市のありかたを規定してきたかを非常に批判的に論じている。
しかし,こうした一般書を書くと,世間的には彼は「博覧会の専門家」ということになる。一方で研究者としては,一つのテーマで一冊の本を書くということは,そのテーマを一段落することも意味する。本書『万博幻想』で著者が書いているように,吉見氏にとっては博覧会のことは『博覧会の政治学』で終わりにしたのだ。しかし,その後,愛知万博が決定した後,その予定会場を開発から守るために万博反対運動をしていた人から講演を依頼されたという。そして,また一方では愛知万博の検討委員会の委員として依頼を受けたという。結局,吉見氏は反対運動の人々とかかわりながらも,一方で自由な意見を出せるという条件の下で,検討委員会にも参加する。
つまり,吉見は歴史研究という形で,すでに遠い過去に過ぎ去ってしまった「博覧会」の役割を明らかにしてその研究テーマは終わらせたわけだが,今度は社会学者として現実に進行している万博に直接関わることによって,その問題を明らかにしていくことを自分の研究使命と課したのだ。しかし,本書『万博幻想』はその使命を果たすものではなく,あくまでもその前段階だ。前著で最後に取り上げた大阪万博から話を始め,その後日本で開催された数ある博覧会のなかから,主要な四つ,つまり大阪万博,沖縄海洋博,つくば科学博,そして最後が愛知万博を論じる。その方法論は基本的にメディア研究だ。各万博に関する新聞報道(中央紙と地方紙)および,各万博での公式報告書と反対派などによる団体の報告書など。大学に職を得てからさまざまなメディア研究,カルチュラル・スタディーズの紹介を行なってきた著者が1992年に『博覧会の政治学』に出版するためにその研究に取り組んだ時には,既につくば科学博も終了している。つまり,大阪万博は1970年,沖縄海洋博は沖縄本土復直後の1975年,つくば科学博は筑波学園都市の開発の後の1985年。つまり,彼が身をもって体験したのは直接関与した2005年開催の愛・地球博だけである。しかし,アプローチの仕方は前著とはかなり異なっていることは確かだ。前著では,国民国家の成立と資本主義の成熟とに博覧会は寄与する一大国家イヴェントとして,ある種の国家のイデオロギー装置としてとらえるものであったが,本書ではそのイヴェントが,開催までの過程でそのプロジェクトが紆余曲折した過程を描いている。国家の政治的な思惑と地方自治体の思惑,協賛企業の経済的な思惑,そして,愛知万博へと徐々に高まっていく市民たちの希望。特に,最後の下からの勢力は重要で,押し付けがましい開発主義的な万博計画に市民たちが反対運動を起こすところから始まって,徐々に万博のあり方自体に市民が参加していくという,社会全般の傾向を見事に捉えていると思う。
そして,本書のあとには著者も書いているように,その過程に参加した知識人である吉見氏自身の経験を中心とした「厚い記述」によって明らかにされる「ミクロな政治学」が刊行され,「博覧会三部作」が完成するのだろうか。ただ,不満がないこともない。基本的には本書の物語は新聞で報道されたことを事実として進行する。上述したように,彼自身がつくば科学博までは研究対象として同時代的に関わっていないために,それについて知ることのできる資料は活字となっているものしかない。もちろん,当時の当事者に面接してインタビューすることはできるが,本書はあくまでも新書だし,4つもの万博を扱っているために,そこまでやるのはどうかとも思う。しかし,新聞に書かれていることをメディア研究者として意識的に検討しているのは数箇所で,ほとんどが事実そのものとして提示されるのはどうかと思う。まあ,実際にこの作業をしていると,その辺の線引きは非常に難しいところなんですけどね。それにしても,あの膨大な新聞記事はどうやって集めたのだろうか。最近のネットによる新聞記事検索が優れているのか,あるいは自分の研究室の学生によるものなのか。ともかく私のような立場では難しい研究だ。

それにしても,この文脈で,東京オリンピックの誘致問題はどうなるのであろうか。本書を読む限り,愛知では市民の運動がかなり活発になっていることを知ったが,東京では皆無関心で,私の周りに積極的に賛成する人はほとんどいなく,多くの人は消極的な反対だ。しかし,なし崩し的に誘致運動は行政主導で進められ,既にポスターやCMなどで巨額の都民税が使われているのではないか。私は『博覧会の政治学』を書き終えたときの吉見氏と同様に,もうオリンピックという祭典自体が時代遅れはなはだしいと思っているが,なんのためのオリンピックなのか,21世紀に東京で開催することの意味は何かと都民の間でよく考えて決定するようなことになって欲しいと強く願う。もちろん,選考で他の都市に負けることが一番手っ取り早いのだが。

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黒猫・アッシャー家の崩壊

エドガー・アラン・ポー著,巽 孝之訳 2009. 『黒猫・アッシャー家の崩壊 ポー短編集Ⅰゴシック編』新潮社,207p.,362円.

新潮文庫が「海外名作新訳コレクション」と題し,さまざまな作品がを新訳で発売している。ちょうどエドガー・アラン・ポーは生誕200周年にあたり,アメリカ文学研究者の巽氏が,ポーの短編を,「ゴシック編」と「ミステリー編」に分けて翻訳している。「モルグ街の殺人」を読みたいところだが,私がスデニ持っている,ボルヘス編『盗まれた手紙』に収録された作品ばかりだったので,とりあえず「ウィリアム・ウィルソン」が収録された「ゴシック編」を購入した。収録されているのは以下の通り。

黒猫(1843年)
赤き死の仮面(1842年)
ライジーア(1838年)
落とし穴と振り子(1842年)
ウィリアム・ウィルソン(1839年)
アッシャー家の崩壊(1839年)

私が「ウィリアム・ウィルソン」を読みたかったのは,現在研究中のポール・オースター『ガラスの街』の主人公,ダニエル・クィンのペンネームがウィリアム・ウィルソンというからだ。米国のユダヤ人作家であるオースターはポーから多大な影響を受けている。ポーのデュパンシリーズの舞台はフランスだし,「群集の人」の舞台はロンドン。米国作家であるポーが注目されたのはフランスのボードレールが翻訳・紹介してからであるように,ポーはフランスと関係が深いし,ポーの作品自体,非常にヨーロッパ的雰囲気を持っている。そして,オースターもフランスに行っていたこともあり,彼の作品にはポー的,ボードレール的雰囲気はプンプンだ。実際,『ガラスの街』でスティルマンという老人がニューヨークの街を徘徊する場面は「群集の人」を思い起こさせ,一見,探偵小説の設定を有するところは,探偵小説の祖であるポーへのオマージュといえる。実際に作品中にはポーの名前も登場し,「盗まれた手紙」からの直接的な引用もある。そして,このウィリアム・ウィルソンという名前はポーの分身物語「ウィリアム・ウィルソン」が明らかに意識されている。
残念ながら,巽さんの文章を読んだことはないけど,読みたい本を書いている人なので,かなり期待したが,やはりポー自身の物語展開が非常に奇抜で一読しただけではよく分からないというのが正直なところ。まあ,「盗まれた手紙」も「群集の人」も一読ですっと頭のなかに入ってくる類の短編ではない。まあ,だからこそ面白いのかもしれないが。しかし,そのことは同時に,ポーの恐るべき想像力に感服するしかない。まさに,ゴシックの名に相応しい,おどろおどろしい世界がそこに拡がっています。小学生の時,学校の図書館で借りて一時期はまってしまった江戸川乱歩シリーズのように。いま考えると,江戸川乱歩という作家も相当のものだと思う。ポーの2つの特徴である,探偵ものとゴシック性とを1つの作品に併せ持ったものを日本で作り上げたのだから。といっても,幼い頃の読書経験が記憶で幻想化しているのかも。乱歩の作品も小学生用に書き換えられたものではなく,ちゃんと読んでみたくなった。

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また野外のコンサートで晴れました。

6月6日(土)

この日も予定がいろいろあって、映画は観られる時間帯で決定。なにやらB級臭い作品をチョイス。

渋谷シアターTSUTAYA 『ハイキック・ガール!
いつもどおり、最前列中央の席を希望すると、AからF列まで埋まっています、とのこと。「舞台挨拶でもあるんですか?」とたずねると、うなずく。公開は先週からだが、この日は西 冬彦監督と主演の武田梨奈がトークショーを行うという。主演の武田梨奈は空手の経験者であり、映画のタイトルにもなっているハイキック=延髄蹴りはスタントなしってのは『ぴあ』で読んでいたが、実際にそれを生で拝見できるとは(しかも、女子高生の制服)ということで、2列目の端っこの席を確保。別にアニメでもないけど、やっぱりこういうときは彼らが集まるんですね。トークショーといいながらも、要は蹴りの技術の披露のみ。実は、この監督も空手経験者のようで、こうやるんです!と蹴りとまではいわないけど、足を軽く上げています。そんな監督が格闘シーンのリアリズムを追求して作ったアクション映画。道場の師匠が自分の力をなかなか認めてくれないということで、主人公は大学の空手部主将などを捕まえては勝負を挑む毎日。そんななか、変な組織に巻き込まれてしまう。実は、そのお師匠さんがかつてその悪の組織の一員で、裏切り行為か何かをしでかして行方をくらましたという設定。その組織はこの女子高生を使って、師匠をおびき寄せ、そこから格闘シーンの連続という単純な映画。
そういえば、書き忘れましたがトークショーの時にも当然ミニスカートでまわし蹴りなどをするわけですが、大きめの黒いパンツを履いていて、残念。でも映画なら生地は厚めでも白いパンツだと思いきや、同じ黒いものでした。この辺りは『愛のむき出し』の勝ちかな。でも、監督がこだわっただけあって、格闘シーンはなかなかの見もの。出演者はほとんどが格闘家なので、受け身もできますから、普通に蹴りもパンチも当てています。主人公の女の子もボコボコニやられます。まあ、そんな映画。

代々木公園野外音楽堂 竹仲絵里
前日が世界環境デーってこともあってか、この日代々木公園ではエコのイヴェントを開催中。午前中には大橋エリさんのいる東京楽竹団のステージもあったようですが、まだ小雨がぱらついていて、湿気に弱い竹細工の楽器で大変だったことでしょう。幸いなことに、映画が終わるとすっかり晴れていて、気持ちよく代々木公園に向かいます。渋谷からの入り口前の横断歩道で、目の前から歩いてくるのはHARCOとQuinkaの夫妻。Quinkaことミッコさんが「あらーすっかり髪が伸びて」と驚く。そういえば、2人とも久し振りですね。さすが、エコ好きなお2人。まだ時間があったので、私もいろいろ見たいところですが、驚くべきことにあまりにも真面目な出展たち。そして、お客よりも呼び込みの方が強い。まだまだ上からのイヴェントのようですね。途中で既に酎ハイ片手のTOPSさんに出会い、ステージまでご一緒する。ステージでは開演15分前というのにまだまだリハーサル中。
この日のステージは、なにやら坂本龍一がやっているというミュージシャン参加型のエコ運動に賛同したミュージシャン3組が登場し、ゲストとして竹仲絵里ちゃんが出るというもの。ステージの時間が15:30からで、絵里ちゃんのサイトには彼女の出演が15:30からとなっていたために、顔を見知った彼女のファンも早速集まっていましたが、そううまくはいきませんな。ただでさえ、遅れて始まり、3組が15分ずつの持ち時間で演奏した後に、竹仲絵里ちゃん登場。はじめはギター1本の弾き語り。いきなり1曲目でギターの弦を切ってしまいます。本人はびっくりしたといいながら、冷静にギターを張替え、司会者が出てきてインタビュー。そこからピアノで小林健樹さんが登場して2人のステージ。この日は初夏のいい天気ということで、明るめの3曲でしたが、最後が「サヨナラサヨナラ」。演奏はさすがだし、フリーライヴの定番曲ではあるけど、どうなのかなあ?でも、やっぱり聴きに来てよかった。

ライヴが終わり、ステージ袖から竹仲絵里さんのマネージャーらしき人がこっちを見て「楽屋に来なよ」てきなジェスチャーをしていたので、後ろを振り向くと、Jill-Decoy associationのchihiRoさんらしき女性の姿。翌日はジルデコライヴの予定だったし、早速帰ってちぇっくすると、chihiRoさんのblogにやっぱり載っていました。しかも、彼女たちは同じ事務所だったんですね。そして翌日のライヴに行くと、なんとジルデコと竹仲絵里ちゃんの2組ライヴが開催されるとのこと。いやいや、嬉しいお知らせです。
私は次の予定があったので、ここで失礼し、神保町へ移動。ちょっと時間に余裕があったので小川町に近いところの古書店を物色。美術関連図書が豊富なお店だったけど、地下のお店は古書店ではなくなったようで残念。山田タマルちゃんのカフェライヴが淡路町に移って何回目かですが、初めて来ます。地図を見ながらウロウロしていると、本人が地べたにしゃがんでいました。「こんばんはー」と挨拶してさらに歩こうとすると、「そこです」といわれ、お店はすぐ後ろのレストランでした。

淡路町ルシェーヌ 山田タマル
ということで、タマルさんのレストランライヴ。3500円でワンプレートの食事とワンドリンクつきです。ライヴチャージは2000円というところでしょうか。一人客は少なかったので、カウンターに案内されます。カウンターに座って、その左端、入り口に近いところにステージが作られています。一番ステージに近いところに女性一人客が座っていました。私は赤ワインを注文し、食事を食べ始めます。ご飯にひき肉あんかけのようなものがかかって、その他にエビフライが3本、ポテトサラダにブロッコリー、ラタトゥイユにパンも1つついています。なかなか食べ応えあり。ワインもそこそこの量で味も美味しかった。その女性と私の間にもう一人男性のお客さんが座ると、なぜか女性はその人に乾杯を求め、そのあとしばしご歓談。なんと、この2人も代々木公園で竹仲絵里ちゃんを聴いてきたらしい。でも、私は会話に加わらず。お2人の会話も開演前に収束していきました。一方、私の左隣はタマルちゃんを知らない、このお店の常連3人組。しかし、1人は結局来れなかったらしい。お店の人とも仲が良くて、予約がいっぱいにならなかったので、誘われたんでしょうか。お店はカウンターがあり、中央のテーブル席、そして奥には一段高くなったテーブル席があります。お店のオーナーらしき人が、この常連客に説明しているところで「いつもと違って」といっていたので、他にもライヴをしているのかもしれません。
さて、今年初めてのタマルちゃんでしたが、彼女もあれから髪が伸びている。この日はマツキチさんというドラマーと(レストランでドラムセットかよ!)、Asia sunriseことタイキさんのギターによるサポート。2ステージで10曲ほどやったでしょうか。カヴァー曲も数曲ありましたが、以前の1部がカヴァー、2部がオリジナルという編成とは違って、オリジナルが中心です。「ハイヒールの丘」は久し振りに聴きましたが、ちょっとドラム音が大きくて残念。しかし、最近コーラス部をお客さんに歌わせることでライヴではあまり好きな曲ではなくなってきた「手」ですが、やはりパーカッションとイマイチなコーラスではなく、ドラムスとタイキさんの素晴らしいコーラスだといい感じですね。やはり「秘密の静寂」や「My brand new eden」もやってしまいましたが、久し振りということで素直に聴けました。他にも「電話」や「warp」などのレア曲もあり、満足な内容。
帰り際、前のお客さんが、CDは皆持っているけど、サインがもらえるんだったらと4枚くらい買っていて、サインも長くなりそうだったので、一言だけ挨拶をして帰宅。ああ、もっとゆっくりお話したい。

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エコ、エコ騒ぐのもいい加減にしろよ!

6月3日(火)

日暮里bar porto 古賀夕紀子
仕事を終え、一度帰宅し、夕食を一人で作って食べてから日暮里に向かう。ひっそりとしたバーにふらっと立ち寄って素晴らしい歌声を聴く、そんな贅沢の味を知ってしまっている私ですが、この日は甘かった。予約もなしに開演予定時刻10分前にお店につくと、すでに随分客席が埋まっているし、空いている席にもコースターが置いてあり、予約席のようだ。私は演奏者が休憩と荷物置き場に使っている、ステージに背を向ける席に案内される。しかも、背中には壁。一番端っこの席で、体を反転させてようやく夕紀子さんの姿が見れる。ギターの前原さんの姿は見えない。無理に見ても譜面台でギターの手元は見えません。でもいいんです。夕紀子さんのライヴにこれだけお客さんが来てくれるってことで私も嬉しいんですから。一番驚き、そして喜んでいるのが夕紀子さん本人。ニコニコしながら私のところにやってきて、「すみません、こんな席で。見えますか?」と聞いてくれる。
さて、演奏ですが、この日もブラジルの曲を中心に、でも前回よりもcasaの曲も多めにチョイス。このcasaの曲がなかなか面白かった。casaとしてのライヴを前原さんはあまり聴いたことがないと思うが、必然的に美宏君の演奏を頭の中で流してしまうなかで、それとは明らかに違う弾きかたで返してくれる前原さん。その違いを存分に楽しめることができるステージ。まあ、音楽のことはさっぱり分かりませんが、小学生の頃に習ったいわゆる音符というのをこういう人たちは使わないんですよね。コード譜というものだと思いますが、一音一音を指定されずにどうやって演奏するのか、未だに理解していない私ですが、要は基本的なルールだけ決まっていて、後は演奏者の裁量に任されているというところでしょうか。いろいろ面白かったけど、覚えているのは「綱渡りの少女」のアレンジが良かったなあ。他にもソロではよく歌っている金延幸子さんや浜田真理子さんの曲なども。お客さんのなかには夕紀子さんが大学時代にやっていたバンドのメンバーなども来ていて、会うのは10年近くぶりということで、盛り上がっていました。私が2人の記念写真を撮ったりして。私も、この日は恋人が同僚と1泊旅行に出ているということで、終演後にウイスキーを頼んでまったりしてみたり。

6月5日(金)

講義後、有楽町に移動。最近、なぜかこの界隈で長い時間を費やすことが多い。

銀座テアトルシネマ 『夏時間の庭
まずは映画。恋人が先週の水曜日のお休みの日に観ようと思ったら満席で断念したという。その日はレディースデイだったからということだったが、この日もほとんど満席。私は1時間前に受付したので、大丈夫だったが、こういう作品は高齢の方にうけるのだろうか。まあ、平日も関係ないということだろう。
さて、本作はオリヴィエ・アサイヤス監督作品。パリ郊外にある、とある画家が住んでいた家で、その姪が夫を亡くした後に子ども3人を育てた。長男をシャルル・ベルリングが,長女をジュリエット・ビノシュが演じ、その母親の誕生日にそれぞれの配偶者と子どもたちが集まってのパーティから始まる。その画家が収集したさまざまな美術品や工芸品など、美術館が欲しがるような宝物の詰まった自然豊かな家。母親は自らの死期を悟ったように、長男にこの家の処分を相談する。一番この家に思い入れのある長男は、この家を宝物とともに守りたいと思っていたが、他の兄弟2人は海外住まい。今でも年に2回しか帰国できないし、今後はそれがもっと難しくなるという。
この画家の回顧展が世界各地で開催され、そのために渡米したり、パリでも開催した疲れもたたってか、母親は急死してしまう。実際に残されたのは美術品と家だけではなく、巨額な相続税。結局、家は売り、美術品は美術館に寄贈することになる。そんなことをめぐっての家族の物語。親しいようでいてそうでもない。実家に対する愛着よりも今の自分の生活が優先。一見、美しい美術品と田舎の地所。そんな映画的な美しい風景が牧歌的な雰囲気を醸し出していますが、なかなかいいリアリティがそこには描かれています。
ナイキのシューズ生産に関わる次男はアジアを生活拠点にしているが、ニューヨークで気ままに暮らしている長女はそのグローバル資本主義のありたかを非難する。一方で、長男は経済学者でもあるが、口は挟まない。長男夫婦はとても仲が良く、人前でもいちゃいちゃしているが、実はその子どもたちは無垢には育っておらず、窃盗と薬物保持で補導されたり。最後のシーンなどは売却前のその家で友達を呼んで大騒ぎのパーティ。長男夫婦は寄贈した家具類が美術館でどんな様子で展示されているのかを見に行くと、学芸員の説明にもまったく無関心にその前を通り過ぎていく団体客。
まあ、そんな内容です。私的にはとても面白かったのですが、客席の多くの年配の方たちはどんな心境だったのでしょうか。

東京メトロ銀座駅構内 leyona
この日は銀座駅構内でleyonaのフリー・ライヴ。私は結局この手のイヴェントには初参加になりますが、ちょっと前からこういう企画が始まって、今回で26回目とか。今回は世界環境デーということもあって、エコを前面に出しているようです。といっても、日本コカコーラが新しく発売したミネラルウォーター「いろはす」の宣伝。なんでも、最軽量のペットボトルで、雑巾を絞るようにすると、くしゃくしゃになってしまうというもの。もう、こういうエコにはうんざりだ。そんな水、はじめから飲まなきゃその方がいいのではないのか。次から次へと新製品を作り出しては販売促進して。それのなにが地球に優しいだ!
この日は17時からと18:30からの2ステージ。とにかく、16時過ぎに様子をうかがいに行くと、すでに列ができています。結局15分ほど立って待ち、30分は席に座って待ちます。その間、ずーっとこの水のCMが流れ、阿部 寛がひたすらペットボトルを絞っています。この音がうるさくてしかたがありません。さて、この日のleyonaは久し振りにパーカッショニストのラティール・シーとの2人。以前はこれに山本貴志氏を加えての編成が定番でしたが、もう一人でも十分なleyonaのギター技術。leyonaは今年で10周年。私も8~9年は聴き続け、ライヴに通い続けているので、ギターを弾き始めた頃から知っていますが、対したものです。それにしても、やっぱりラティールのコンガとジャンベはすごい。アフリカ人だからと簡単に済ませたいところですが、そうではない。彼だからすごいのだ。しかも、それはごく自然なところがまたすごいのです。1ステージ7曲くらいでしたが、汗だくになってのleyonaも良かったな。そして、この日は多少期待していたけど、嬉しかったのはCDの販売とサイン会があったこと。私はまだ最近出た彼女のカヴァーアルバム『music is magic』を購入していなかったので、これを期に購入。3000円は高いと思いますが、そしてサインをもらおうとビニールをはがすと、思わず帯がはらり。このCDには歌詞カードもついていないので、これがないと、単なるCD-Rという感じですが、なんと私が落としたと思われるものを前に並んでいる人が拾ってしまったのだ。その人も同じようにビニールをはがしていたので、「それは私のです!」ともいえず、もう一つ落ちていないかと探すものも見つからず。結局そのままサインをもらいました。leyonaと直接会話を交わすのは初めてだったけど、上手くかみ合わなかったな。いろんな会場で最前列になって食い入るように見続けた8年間だったけど、やはり顔を覚えているはずもないか...

2ステージ目のアンコールの前に(あるとは思わなかった)、会場の後方に行くと、ここで待ち合わせていた杉山君と二村君の姿が。この後は勉強会です。この日は私の選んだ論文をめぐって、90分ほどカフェで議論。その後はガード下の呑み屋で一杯。結局、終電で帰ることになりました。

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ニューヨーク革命計画

アラン・ロブ=グリエ著,平岡篤頼訳 1972. 『ニューヨーク革命計画』新潮社,211p.,980円.

ロブ=グリエの作品は正直難しい。しかし,性懲りもなく,古書店で彼の作品を見つけると,それほど高価でなければ購入してしまう。『覗く人』『嫉妬』『消しゴム』についで,読むのは4冊目。もう一冊,手元には『快楽の館』が控えている。
本作『ニューヨーク革命計画』は他の作品よりもタイトルも具体的なので,より理解しやすいものを期待したが,そんな凡人の期待は裏切られるに決まっている。そういう作家だ。ニューヨークという都市の特性はほとんど登場しないし,なにが革命かも全く分からない。というか,そもそも人物は限られているが,筋や設定などを追うことは不可能である。それでいて,数ページを読む限りでは,普通の小説と変わらない文体。ともかく断片が緩やかにバラバラになっている感じ。ミラン・クンデラのように明白に書き方を変えたものの組み合わせになっているのではなく,そもそも章や節などの区分はなく,文章はつながっているのに,話をつなげていくことはできない。しかし,最後の方はなにやら女性を性的な暴力でいたぶりながら処刑するという,展開が革命と結びつくらしいということが分かってくる。これまでの作品では,性的なものや暴力というものからはあまり縁のない作家だと勝手に思っていたので,かなりショック。『快楽の館』というのもそういう類の展開だろうか。
ともかく一筋縄ではいかない作家だ。

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奇跡とはいわないけど,都合よく雨のやんだ日比谷野音

5月29日(金)

講義後、献血に。5月は1日にしてから2週間おきにやっていて、なんと1ヶ月に3回で、自己最高記録です。それにしても、最近金曜日は有楽町近辺で過ごすことが多い。この日も夜のライヴがあったので、それまでの時間をつぶすので大変です。でも、うまいことスケジュールを組めて、ライヴ前に映画2本。

有楽町日劇 『ラスト・ブラッド
なんとなくチョン・ジヒョンが観たくて行ってしまった。ちなみに、日劇はTOHOシネマズの傘下に入ってしまったのだが、この日はとんでもないサービスにイラついた。私は1階で受付をせずに直接上階に上った。私の前に別の作品の当日舞台挨拶か何かのチケットを引き換えるお客さんがいて、10分以上待たされたのだ。しかも、予告編上映が始まっている。私はわざとイライラをからだで表してみたが、なかのスタッフは「少々お待ちください」と繰り返すだけ。受付ブースでは指定席を取る機械も使っていないし、劇場内のスタッフは数人も暇にしているし、受付のなかの様子をうかがって、代わりにやってくれるくらいの機転はきかないのか。制服だけ立派でサービス精神のかけらもない若いスタッフたちに憤りを感じる。
本作は『BLOOD THE LAST VAMPIRE』という日本のアニメーションを米国の監督が実写化したもの。舞台は1970年頃の日本で、多くは横須賀(?)の米軍基地となっている。一応、チョンが演じるサヤは日本人という設定だが、日本語をしゃべるところはおそらく吹き替えで、ほとんどの台詞は英語でなされる。ちなみに、小雪との共演が話題の一つだが、小雪は最後にちょこっと出てくるだけで、その「対決」とやらもかなりあっさりしています。小雪も英語での台詞。イマイチ設定に疑問があるが、それを詳細に批判するほど思い入れもないので書きません。でも、『アンダーグラウンド』的な雰囲気があって、まったくつまらない作品ではない。チョン・ジヒョンちゃんはなかなか頑張っています。

シネカノン有楽町1丁目 『重力ピエロ
続いて観たのが,公開したばかりのこちら。でも,客席は結構余裕がありましたよ。前にも書いたが,こちらも伊坂幸太郎原作の映画化。ちょっと書店で立ち読みしたら,なんと私より一つ年下でショック...まあ,何度も予告編をみていたが,「最強の家族」を演じるのは長男が加瀬 亮,次男が岡田将生,父親は小日向文世,母親が鈴木京香。といっても,母親は現時点で死んでいるので,あまり登場しない。監督は『Laundry』の森 淳一でその時も音楽は渡辺善太郎だったが,今回も同じ。ちなみに,前作の主題歌は渡辺氏の作曲した曲にBONNIE PINKが歌詞をつけて歌った。映画はまあ,文句なしに面白い。といっても,文句をいうのだが。その前に私のお気に入りを一つ。鈴木京香が出てくる場面で,子どもが2人とも小学生の時代がある。この時を演じる2人の子役が最高なのだ。加瀬 亮演じる兄貴は子どもの頃から眼鏡をかけているという演出など必要のないくらい,この2人が大人になってからの役者とよく似ているのだ。このキャスティングだけでも褒めてあげたい作品。兄貴が眼鏡というのは,大学院生という設定だからかもしれない。弟は芸術家肌,兄貴はがり勉,そんな分かりやすい役割分担。さて,文句でも書こうか。それは読んではいない原作に対してだ。そう,ベストセラーのなかの名作の特徴ともいえるが,作品のなかの要素があまりにも予定調和的に結びつきすぎるのだ。まあ,それがフィクションってもんだが,あまりにも度が過ぎるとリアリティはなくなる。まあ,その本作の背骨を形成しているのが兄貴が研究している「遺伝子工学」ということになるが,まさに一般的なこの学問に対する印象のように,そのシステムは複雑だが,いわゆる複雑系のような不確定さはなく,全ては決定論的なもの。もっと遊び心のあるプロットが私は好きなのだ。そういう意味では,吉高由里子の役どころはとても面白い。彼女の存在が,この作品の愛すべき点だろうか。

有楽町線で池袋に移動。思いの他時間的な余裕がなかったので,駅からあまり出ずに軽く夕食の取れるところを探したが,あまりない。池袋のechikaにも初めて行ったが,そのために作ったというよりは副都心線の開通に伴ってできた空間の有効活用という感じで,間延びしている。しかも,飲食店はあまり充実していない。といいながらも,そこのsoup stock tokyoで食べればよかったかな。結局、駅構内の立ち食いそば屋に毛が生えたようなところで450円の牛丼を食して大塚へ移動。

大塚GRECO Asa festoon
この日はAsa festoonさんが太宰百合さんのピアノのみで歌う。一足先に夏を先取りした選曲で、いつもどおり心地のよいステージを聴かせてくれました。この日のGRECOは満席。特筆することなし。素晴らしいです。朝から忙しい一日でしたがすっかり穏やかな心地にさせてくれる演奏でした。


5月30日(土)

ということで、前日は忙しすぎたので,この日は講義後、映画1本のみとする。

新宿バルト9 『お買いもの中毒な私!
この日は何を観ようか、その日の朝に調べていて、まったく知らなかった本作に興味が引かれる。主演女優はまったく知らない。しかも、外見だけで魅力的ではない。タイトルどおり、ブランドものを次々クレジットカードで買ってしまう主人公。雑誌記者として働いていたが、その雑誌も廃刊。巨額の請求はもちろん払えるわけがない。転職活動をするが、目指すは最高グレードのファッション誌。そんな高嶺の花に憧れつつ、偶然にも同じ会社の金融雑誌の記者になることになる。その間、買い物中毒から抜け出そうという会に参加したり、同居している親友が結婚式を迎えたり、と立て続けに物事が展開するどたばたコメディ。まあ、言葉で説明しても面白くありませんね。ともかく、映画は期待した程度に面白かったです。それにしても、この主役の女優さんは敵役だわ。あまり美しい女優さんが買い物中毒といっても説得力がないし、彼女のある意味での成功は偶然と幸運によるものだから、あまり頭脳明晰に見えてもリアリティがないし。ぱっとしないけど元気だけは有り余っている(しかも若くはない)、という雰囲気がとてもよい。アメリカ映画ってメジャーどころでもこういう思い切った配役をするから面白い。日本のドラマやメジャーどころの映画って、配役の優先順位が一般的なテレビレベルの人気順になっていて、出演の格差がありすぎるのがどうにかならないものか。

5月31日(日)

中目黒楽屋 台所からはなうた
以前もここ楽屋で、ecoさんとvice versaの石塚明由子さんが「えことあゆ」というイヴェントをやっていて聴きに行ったが、今回はvice versaでの出演。ecoさんはあまりにも最近巷にeco=エコが溢れすぎているということで、表記を「えこ」に変更。ホームページもリニューアルではなく、別の新しいのができて、しかもご本人は結婚した。ということで、私が彼女の歌をきちんと聴くのも久し振り。ここ楽屋に来るのも久し振りだ。そして、昼間のランチライヴは初めて。天気が冴えないのは残念だが、ステージ後ろのガラス越しの裏庭の新緑がとてもきれい。
えこ:この日は一人ピアノ弾き語り。6月に7曲入りの新作をネット配信で発売するということで、新曲があったり、古い曲があったり。いやいや、改めてこの人の歌声の素晴らしさを実感。ピアノも驚くほどとはいわないが上手いし、甘い声でありながら真の通った歌声。彼女のステージの後半ではvice versaとそのサポートのベーシストわたなべえすさんも加わって、バンドヴァージョンえこソングをやったり。ランチライヴは終わりの時間が決められていて、1曲省いたりは残念だったけど、素敵なステージ。
休憩時間にイエローカレーを食べる。朝食が遅かったが、食事の美味しいこのお店にきて何も食べないというのももったいない。でも、ランチの時間はメニューが少ないようです。
vice versa:上に書いたように、この日はわたなべえすさんを迎えてのステージ。この日は松尾さんのギターをしっかりと聴いてみる。最近は他の伴奏としても引っ張りだこの彼のギターはやっぱり独特で面白い。アンコールは全員出てきて、それぞれの曲を1曲ずつ。盛り上がって終了しました。

14:20に終わったので、夜のライヴの前に映画を観られるかも、と急いでお会計。渋谷に出るか、日比谷に出るか悩んで日比谷線に乗る。結局、日比谷・有楽町・銀座界隈ではいい時間の映画がなく、映画は断念。雨は時折強くなっています。書店で立ち読みしたり、無印良品で雨合羽を探したり、カフェでレポートの採点をしたりでなんとか時間をつぶして、17時前に日比谷公園内の野外音楽堂へ移動。

日比谷野外音楽堂 Voices
ちゃんとお金を払っての日比谷野音は初めて。まだ小雨が降り続いていましたが、会場内は傘が厳禁ということを初めて知る。これ見よがしに入り口の前で300円くらいの雨合羽を500円で売っている。買うかどうかを迫られる。ほんの小雨だが、2時間以上もそれにさらされるとかなり濡れる。その降り方もけっこう不安定で、ほとんどやんだかと思えば、少し強めに降ったり。でも、あまりにも周りの人が合羽を着ている姿をみて嫌になって、意地でも着るか、ということでそのまま入場。まだ開演までは30分弱ある。時間をつぶすための用意はできていたけど、雨に濡れての読書も厳しい。ということで、後方の木の下で文庫本の立ち読み。すると、開演10分前くらいになってほぼ雨はやみました。そして、この日はそれ以降まったく降らなかったのです。いやあ、私の普段の行いがいいのか、会場内はそれこそ9割以上の人が合羽を着ていたのに、ざまあみろ(?)という感じで優越感に浸っていたが、その代わりに冷気が入り込むようになって寒い。合羽を着ていた人も寒さ対策で結局着たままでしたね。
Salyu:グランドピアノにパーカッションセット,ウッドベースという編成だったので畠山さんが先かと思いきや(中島ノブユキ,BIC,鈴木正人と予想),3人とも見覚えのない男性ミュージシャンがステージ上へ。そして,登場したSalyuも黒髪のおかっぱスタイルになってるし,随分やせたように見えるし,イマイチ状況を把握できませんでしたが,その歌声はまさにSalyuでした。本人がその後語ったように,彼女自身日比谷野音のステージは初めて,そしてこの日のSPACE SHAWER TVによるイヴェントはジャズをテーマにしているらしく,ジャズで活躍するピアノトリオをバックに白い衣装でしっとりと歌うSalyu。あらきゆうこさんの演奏を聴けるのと期待していたが,こういうSalyuを観て聴くのも貴重かもしれません。それにしても,雨があがったせいもありますが,この天井のない空間でこの歌声を聴くのはとても気持ちよい。会場入りする時に入り口前の出店などもあり,もちろんビールやおつまみを持ち込んでいる客も多かったですが,演奏が始まる頃にはお祭り騒ぎの人もいなく,非常にいい雰囲気でした。ステージまではけっこう遠かったですが,こういうのもいいもんですね。そして,Salyuの歌声の強さ,そしてそのハスキーさ,こうしてたまにライヴで聴くのはいいなあ,と思ったり。でもさすがにジャズのスタンダード(summer time?)を歌うのはちょっと無理があったかな。
畠山美由紀:後方にあったドラムセットで,予想を変更。坂田 学さんだと思いきや,以前おおはた雄一さんおライヴで聴いた芳垣安洋さんだった。改めてやっぱり鈴木正人さんのベースが好きだなあと実感。途中でなんと小島大介さん登場。つい先日も同じステージでport of notesのライヴがあったばかりというのに,最近の美由紀さんはport of notesモードのようですね。新譜を製作中ということで,新曲を3曲。1曲目が「愛にメロディ」だったので,ソロの曲を期待したのですが,中盤はスタンダード曲も多かった。そして,なんでも6月にソロのベスト盤が出るらしく,「diving into your mind」や「輝く月が照らす夜」,そしてベスト盤のために小田急ロマンスカーのCMソングとして彼女が歌った「ロマンスをもう一度」をフルコーラスで録音したとのこと。もちろん,こちらも披露。そして,なんといってもこの日期待していたのは,映画『群青』の主題歌「星が咲いたよ」でしたが,最後に持ってきてくれましたよ。全部で11曲なり。正直,この日はSalyuが頑張っていたせいもあるが,久し振りに美由紀さんの声が聴きたいと思ってきたのに,思ったよりも感情移入できなかった。でも,後半にかけて,特に最後の2曲が良かったな。やっぱり来て良かったです。
最後にアンコールでSalyuも呼んで,2人で歌いました。スタンダード曲でした。終了は20時前。そんなのも嬉しい。

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隠喩論

久米 博 1992. 『隠喩論――思索と詩作のあいだ』思潮社,206p.,2400円.

著者はもちろんキャスターの久米 宏ではない。フランスの哲学者,ポール・リクールの一連の著作の役者で知られる人物。リクールの本は2冊くらいしか読んだことがないが,私の中ではかなり得意なフランスの哲学者といえる。フランスの現代哲学者といえば,世界的な流行の追随者というより牽引者であり,各自がかなり独自な路線を突っ走る印象がある。特に,フランス人が英語の文献を包括的に参照することは少ないのだが,リクールは違う。まさに博学者の名に相応しい,総括的な哲学者。現代におけるアリストテレスかホワイトヘッドか,ってのは言いすぎですが,もちろんドイツ語などの他のヨーロッパ言語はもちろんのこと,米国における動向にも常に気を配り,哲学以外にも人類学や歴史学にも精通している。
その訳者である久米氏は訳者としては一流だが,著者としての存在はあまり目立たない。しかし,そんなリクールの訳者である限り,リクールのみを読んでいたのでは大した訳はできないはずだ。リクールの読む文献を追随して読む。もちろん,それらに日本語訳が出る前に,というかやはりフランス語で引用されるわけだからそれに近い状態で彼も読むわけだ。必然的にリクールの思考に近づくであろうし,それと同時にリクールと同一思考を持つはずもない。ということで,久米氏自身がリクールと同様の文献を読むなかで,リクールとは違った思考,考察,結論に至ってもいたって驚くべきことではない。
私も自身の隠喩論で検討したリクールの『生きた隠喩』ももちろん彼の訳なのだが,著者自身もその著作を訳したことも,本書を書くきっかけになったようだ。本書は著者が『現代詩手帖』に掲載した10編の文章に,書き下ろしの1章を加えて構成されたものである。一般的に隠喩は,4つの主要な比喩表現(隠喩,換喩,提喩,反語)の一つと見做されるが,私の隠喩論を含む論文でも主張したように,隠喩はそれを越えた存在であると著者も指摘している。がゆえに,本書は隠喩論であると同時に,言語一般論でもある。といっても,一般的な言語学におけるそれではなく,あくまでも哲学・思想における言語論的転回におけるそれである。よって,ソシュールやヴィトゲンシュタインといった教科書的な話から,構造主義や脱構築などを経由しながら,レヴィナスの哲学,そしてかなりの紙幅を割いているのがハイデガーの哲学だ。もちろん,随所でデリダとリクールも登場しながら,最終的に隠喩の議論に収束していくという展開。けっして大著とはいえないが,なかなかコンパクトで刺激的な書である。

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5月はライヴ10本越え

5月24日(日)

ここのところ,日曜日でも早起きして1日に映画を3本観たりと,無理が続いたので,この日は夜のライヴだけ。洗濯,掃除,アイロンがけなど火事全般をこなしたり,パンを焼いたり。雨降りな1日に贅沢な過ごし方。

祖師ヶ谷大蔵ムリウイ
ということで,2週連続で祖師ヶ谷大蔵に。この日はSOZOROの主催イヴェントにcasaが呼ばれたということで,チェックしたら上原さんというシャンソンシンガーが面白そうだし,恋人が遅番で一人寂しく部屋で過ごすのもなんなので,行ってみた。
上原英里:SOZOROの人も紹介する時にいっていたが,シャンソンといえばエディット・ピアフのイメージが強く,美しいドレスでピアノ演奏で歌う,そんなエンタテイメント性の強い印象があるが,彼女はいたって普通。というかミュージシャンにしては地味だ。といっても,かなり知的な感じなので,むしろ図書館司書という雰囲気の女性。彼女がガットギターで弾き語りする。これが低音の響く,まさにシャンソンなのだ。なんだか,曲調からするとこのスタイルの方が実はシャンソンらしいような気もする。フランス風フォークソングという感じか。とにかく,その存在に驚く。そして,なぜか単語もお好きらしい。よって,流暢なフランス語だけでなく,スペイン語でも歌うし,日本語でも歌う。シャンソンの有名な曲に見事な日本語詞がついているのだ。1曲はかつて日本の歌手が歌っていたということだったが,けっこう日本語詞のついた楽曲があるのだろうか。
casa:この日は2人の演奏。アントニオ・カルロス・ジョビンの曲とその息子の曲を1曲含みながら,最近は『歌十色』以降の新曲が増えてきた。ぼちぼち新譜の制作に入れそうな雰囲気。やっぱり夕紀子さんの歌声は飽きないな。
SOZORO:以前にもcasaとここムリウイで対バンして,すっかりcasaが気に入ってしまったという。ギター&ヴォーカルの男性と,アコーディオン&フルートの女性の2人組。確かに,そのユニット名とこの2人の風貌,そして楽曲のモダニズム的雰囲気は覚えているのに,帰宅して私のデータベースを検索しても出てこない。そのムリウイか,あるいはbobtailで聴いたような記憶なんだが,ひょっとしたらariさんだけ聴きに行ったbobtailで途中で帰ってしまったときかもしれない。確かにその音楽世界は面白いと思うが,あまり長く聴いていたいと思う感じではない。でも,このアコーディオンの女性はなかなかスゴイ。


5月27日(水)

下北沢440 ハシケンハマケン
先日、コーコーヤのライヴに行った時に、江藤有希さんが私のblogをチェックしていたらしく、「27日のライヴは私も遊びに行きますよ~」といわれた。江藤さんはNUUちゃんのライヴにも参加しているし、ハシケンさんはNUUちゃんとも親しいので、つながるのは当然なのですが、どうやら、今度本格的に一緒に演奏するらしい。それがライヴイヴェントなのか、CDの形になるのかは分かりませんが。まあ、ともかくハシケンさんはお目が高いというか、人徳というか、顔が広いというか。とにかく、多くの魅力的なミュージシャンと仕事をしてきている。昨年はヤマカミヒトミさんや橋本 歩さんなどが参加するstar pine's cafeでのライヴが素晴らしかったけど、その時に参加していたサケロックの浜野謙太氏とがっぷりよつでCD『TAKARA』を作った。この日はその発売記念ツアーの東京公演。随分経ってから普通にチケットぴあ店頭で購入したが、整理番号は21番。でも、イープラスも同時に同じ番号を出しているので、入場順は40番くらい。まあ、それほどがっつり聴く感じでもないので、テーブルのある中ほどの席をキープしてレポートの採点をしながら、1時間の待ち時間をつぶす。30分ほど経過したところで江藤有希さんが声をかけてくれた。
しかし、結局始まったのは開演予定時刻よりも20分以上遅れる。いやあ、本当にこういうの勘弁してほしいな。客席にはハマケン目当ての女性客が多く、なぜか喫煙率が高い。そのなかに、喫煙とは無縁(煙)のちょっと年配の女性がいたら、それはかなりディープなハシケンファンだと分かる。結局開演は20時前だったが、やっぱり2人ではネタがそれほど多くはないので、ステージはアンコールを含めても90分程度だった。といっても、CDの曲だけでなく、意外にもハマケンは高校生の頃にハシケンさんを聴いていたということで、その頃の懐かしの曲(私がハシケンさんを知ったのは数年前なので懐かしくはないのだが)を2人で演奏。と、書いたが、実はこの日は一人サポートミュージシャンが参加。入場する前に見かけたので私には分かったが、打楽器奏者のPすけさん。この日は妙なテンションでしたね。ハマケンの演奏をこんなにしっかり聴いたのは久し振りだ。先ほど書いた、ハシケンさんのライヴや、ブルーハッツの一員としての演奏は聴いているけど、大勢のなかなので、音をきちんと識別はできない。こんなにちゃんと聴いたのは、おそらく湯川潮音ちゃんが表参道FABでイヴェント「空想音楽会」をやっていた頃に、サケロックがゲストで出演した時だ。その時、ハマケンはのび太の格好をしていたっけ。その時は、確かにトロンボーンはとても難しい楽器だけど、この技術でフロントかよ!と唖然としたものだ。しかし、さすがに人気バンドの盛り上げ役としてもう何年もたっているので、演奏もかなり上達していた。さすがに、ハシケンさんが村田陽一さんに吹いてもらうために書いた曲を演奏する時は緊張していたみたいだが、全体的に味のある演奏だった。でも、正直なところ、今回のCDに収録された曲はあまり魅力的なものはなし。もともと3枚持っているハシケンさんのCDは自宅であまり聴かないが、これも購入はしないかな。

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