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映画もライヴもコメント長いです。

6月17日(水)

大宮ムムタージ 松下美千代
恋人が美千代さんに会いたいというので、大宮までカレーを食べに行く。前から書いていますが、このカレー屋は水曜日に無料で音楽演奏が聴けるということで、もう何度も食べに行っている。そのブッキングをしているのがwater water camelの須藤剛志君ということで、これまで聴きに来たのは、erikuo、one tone、ヤマカミヒトミ、omu-tone、そして松下美千代といったところか。初めてか、2回目かの時に進められるままにメンバーズカードを作ったら、意外にお得。毎月のように送られてくるハガキにはちょっとしたフードorドリンクサービスがあり、誕生月には前後1ヶ月間有効のハガキで、カレー&ナンが無料で食べられる。私の誕生月が7月ということで、今年もいち早くそのサービスを利用。ちょっと残念だったのは、この日は普通のお客さんが多かったこと。特に2階席は10人くらいの女性を中心とした団体客で、けたたましい笑い声が店内に響いていました。
この日の美千代さんは須藤君とのデュオでしたが、穏やかでいい感じでした。ここ最近は彼女の活動もトリオがメインなので、聴く方もそうだった。たまにはどっぷりと、彼女のソロを都立大のJammin'まで聴きに行きたいところだ。翌日も仕事なので、3ステージあるうちの2ステージ終わったところで失礼しましたが、美千代さんともそれなりにお話できて楽しかった。

6月19日(金)

講義後、大学図書館で時間をつぶす。大学紀要雑誌を見ていると、けっこう地理学者の論文を見つけた。九州大学の高木彰彦さんによる日本地政学の論文、大阪市立大学の山﨑孝史さんの沖縄本土復帰に関する論文、そして個人的に期待しているのが、首都大学東京に来たばかりの滝波章弘さんのシチュアシオニストの論文。まあ、無理なく時間をつぶせて、谷中ボッサに移動。
谷中ボッサは7月26日に私企画イヴェントの開催地。その打ち合わせを兼ねてランチをしに行ったのだ。平日でもお昼時は混み合うことがあるということで、13時過ぎを目処に行ったが、13時前にほぼ満席。もう少し時間をつぶそうと、程近い東京藝術大学美術館にいったが、展示品の入れ替え期間にて閉館。しょうがなく、ちょっと遠回りをしてお店に戻るとトイレ前のソファ席は空いていて、とりあえずお客さんも食べ終わって待ったりしている雰囲気なので、私もキッシュランチをいただくことにした。この日は濃い目のブレンドコーヒーをいただいたが、これが私好み。このお店のストレートコーヒーは少し薄めに入れて、何も加えずコーヒーそのままの香りと味を楽しむ感じだが、やはり私がガッツリ濃い目に入れているのに、砂糖とクリームを入れるのが好み。残念ながらこのお店にクリームはありませんが。そして、このお店も使用している野菜などにこだわっているようで、キッシュで1000円は高いが、食べると納得の内容。食べ終わった頃にイヴェントの詳細を詰める。今週末から本格的に告知と予約開始をしますので、よろしくお願いします。
渋谷に移動して、ライヴの前に映画を1本。

渋谷ユーロスペース 『ウルトラミラクルラブストーリー
最近公開されている麻生久美子三部作の第二段。『ジャーマン+雨』で話題になった横浜聡子監督のメジャーデビュー作。いきなり引っ張りだこの松山ケンイチと麻生久美子の主演で、オール青森ロケという大胆な企画。しかも、音楽は大友良英で主題歌は中村一義率いる100s。もちろん、それだけではなく、脇役でも藤田弓子や原田芳雄、ARATA、地味なところではキタキマユといった配役も憎い。映画ファンとして『ジャーマン+雨』を見逃してしまったことは非常に残念だが、まあ仕方がない。荻上直子、井口奈己、西川美和、内田けんじなどという監督は、一般公開初作品を観て以来、作品ごとに注目を集めている監督たち。さすがに『ジャーマン+雨』もそういう雰囲気を醸し出してはいたが、さすがに一般受けする雰囲気ではないと思っていたが、2作目にしてこの注目度とは驚いた。しかも、この『ウルトラミラクルラブストーリー』は予告編を観ただけでもまたまたぶっ飛んだ内容だ。
松山ケンイチ演じる青森の田舎町在住の陽人(ようじん)は知恵遅れ(?)だが農業にいそしむ毎日。そこに、恋人を交通事故で亡くし、東京から引っ越してきた麻生久美子演じる町子が登場する。陽人はすっかり町子先生(町子は保母さんなのだ。そして、町子はキタキマユ演じる保母さんの代休ということでやってくる)に惚れてしまう。その子どものような落ち着きのなさに町子は迷惑顔。しかし、ある日陽人は人が変わったようにおとなしくなる。なんとそれは体に農薬を浴びたことによるようだ。それを陽人自身は「進化」と呼ぶ。しかし、原田芳雄演じる医者が陽人の胸に聴診器を当ててもほとんど音は聞こえない。はたして陽人の体の進化とはなんなのか、そして町子との恋の行方は。
実はエンドロールまで音楽担当が大友良英とは知らなかったのだが、観始めたころその映像と音響との素晴らしい組み合わせに驚いた。それは音楽にマリンバが効果的に多用されていたということもあるが、警報を出して、平気でヘリコプターで農薬を撒き散らすこの田舎町の風景と、陽人の健常者には理解できない頭の中身、そして音響系のインストゥルメンタルの音楽。その絶妙な組み合わせにゾクゾクする。そして、松山ケンイチの演技は『ギルバートブレイク』のレオナルド・ディカプリオを思い起こさせる。もちろん、『ギルバート』の方は明らかに特定の症状が想定されているシリアスなドラマなのに対し、本作はある意味でのファンタジー的要素を含み、アイロニックな手法での遠まわしな社会批評になっているので、単純な比較はできないが。
ネタバレになりますが、陽人が自らの進退の変化を「進化」という言葉で表現するのは理由がある。町子が陽人と2人で歩いている時に彼女独自の進化論を陽人に対して語るのだ。動物の進化には「恐怖」が必要だというのがその論点。動物は外界からの恐れに対処するために自らの身体を変化させる。すっかり「恐怖」を飼い慣らしてしまった人間にもう進化はない。人間の進化には戦争が必要なのではないか、というある意味過激な議論だ。これは町子が小さい頃から考えていたことだというが、間違いなくこれは監督自身の考えだ。農薬とは農作物を飼い慣らすもの。自らの生命を維持するための植物の身体を、人間の味覚や美的感覚にあわせて歪めてしまい、少なくても農薬は自然発生的な進化とは相容れないものだ。まあ、逆にそれが突然変異を生み出す可能性は十分にあるが。
さて、そんな植物に対しては反進化的な「農薬」がすっかり自ら進化を阻んでいる人類に対して「進化」を促進するものになりえるのか。町子が語る「恐怖」として、精神的な恐怖ではなく身体が意識下で感じる恐怖によって進化がありえるというこの作品の発想はとても面白い。まあ、世代を通じての進化ではなく、特定の個体の進化ってのはありえないが。農薬によって、陽人は確かに植物と同様飼い慣らされる。そして、陽人はついに、通常の人間を超えるのだ。つまり、心臓が止まり、食糧を摂取しなくても行き続けるのだ。これは、ハラウェイなどがSFの分析から訴えた「サイボーグ化」の一変種ともいえる。人類の進化とは、動物臭さ、生物学的な特徴を廃していくことなのかもしれない。
しかし、この陽人の進化を、自然/人工や野蛮/文化、子ども/大人という二元論で捉え、彼が持っていた良さが失われると考えるのは浅はかだ。作品中、何度か映し出されるヘリコプターの農薬散布、そしてそこにつけられた音楽、これは陽人の落ち着きのなさと関係している。つまり、あの音は陽人の頭のなかで鳴り響いているおとなのだ。陽人が奇声を上げたり、突然暴れだしたりするのは、脳内で響く音に反応しているのだ。われわれだって、音がすれば振り向くし、声を掛けられれば返事をする。好きな音楽が鳴れば踊ったり歌ったりする。つまり、外界からの刺激に反応して行動に移すが、陽人は外界からの刺激とともに、自らの内部からの刺激に常に反応しているのだ。
それにしても、ストーリー展開に多少解せないところもある。つまり、落ち着きのない陽人に対しては、警戒心を持って接していた町子が、陽人の心臓が止まっても生き続けるようになって、一緒に暮らすようになる(ここは多少疑問形だが)。まあ、そんな細かいところにこだわる必要もないのだが、町子の心のうちはイマイチ読めない。まあ、ともかく久し振りに哲学的思考を促してくれる作品でした。一つだけ不満があるとしたら,タイトルかな。監督本人がつけたわけではないらしいし。

さて、ライヴまでちょっと時間があったので、夕食を食べることにした。牛タンの「ねぎし」にて豚ロース焼き定食。おなか一杯で久し振りのAXへ。

SHIBUYA-AX leyona
leyonaを知ったのは何年のことだろうか。当時はまだ親元に住んでいて、『世界ウルルン滞在記』をよく観ていた。スポンサーは東レで、きれいなお姉さんが荒涼とした大地で向かい風を受けながら、はっぴいえんどの「風をあつめて」を歌っている。クレジットには「玲葉奈」。多分口パクだろうと思ったけど、その顔の見えないシンガーの姿が気にかかった。一方、鈴木 杏ちゃんとジャン・レノが熱帯雨林をボートで進むポカリスウェットのCM。こちらは「Travellin' man」が流れていた。ここでも「玲葉奈」の名前を見て気になった私はオフィシャルホームページを何度かチェックするうちに、原宿ラフォーレで行われたクリスマスライヴイヴェントの招待券を譲りますという掲示板の書き込みを見て、とある女子高生に譲ってもらい、当時の恋人と2人で出かけたように記憶している。それが多分2001年の年末だっただろうか。そこには浜崎貴志の後ろでギターを弾いていたアナム&マキも印象的だったが、すっかりleyonaが気に入ってしまった私はそれからCDを買い、ライヴにもよく足を運んだ。あの頃はAXやクワトロがメインだったかな。そのころにバンドメンバーで参加していたベースのTOKIEさんの姿も印象的。
特によかったのは、leyonaが初めて横浜のTHUMB'S UPで行ったライヴ。休憩を挟んで4時間、23時過ぎまでやっていて、終電を気にしながらも、KeisonやCaravanなど彼女と親しいミュージシャンが登場して盛り上がった。基本的にお客さんは座っているのに、これまで体感したことのないような自然な盛り上がり。ただでさえ、狭い店内でleyonaを間近で観たのは初めてだったのに、そのパフォーマンスと会場の一体感は初体験の出来事だった。その後、THUMB'S UPでのクリスマスライヴは恒例になったし、デビュー前からお世話になっていたというstar pine's cafeでもワンマンをしたし、440でもあった。大きな会場と小さな会場、どちらかに偏ることもないのも彼女の面白いところ。でも、インストアライヴなどはあまりやらないかな。
前置きがすっかり長くなりましたが,そう,この日のライヴはleyonaの10周年記念ライヴなのだ。ゲストが盛りだくさんなのはいいけど,なんとチケットが7799円もするのだ!それはまあしょうがない。なんといっても,ゲストが入れ替わり立ち代りで総勢30名を越えている。もうどうなることかと思ったけど,平日なので開演は19時。なんと,終わったのは22:40でした。でもきちんと座席が用意され,しっとりと聴かせる部分と盛り上がる部分と交互にあって,立ったり座ったりしていたので全く長く感じませんでした。主たるゲスト,佐藤タイジ,Keison,Spina B-ILL,斉藤和義,HIFANA,東田トモヒロ,三宅伸治,仲井戸CHABO麗一などはそれぞれ1曲leyonaと一緒するだけ。でも,ゲストはそうしたフロントマンたちだけじゃないのだ。Black Bottom Brass Bandは当然のことながら,いつものバンドメンバー,沼澤 尚,鈴木正人,エマーソン北村に加え,最近バンドに加入している會田茂一。そして,以前から一緒にやっているラティール・シーと久し振りの山本貴志,一時期バンドメンバーだった椎野恭平と笠原敏幸,中條 卓とKOTEZってのもいましたね。そしてなんといっても今回嬉しかったのが,TOKIEさんの登場。彼女は私より年上ですでに40歳を越えているはずですが,昨年か,福岡のイヴェントで永山マキちゃんとご一緒したとのことで,彼女のblogに写真が載っていたのだが,加齢するどころかさらにキレイになっていたTOKIEさん。やはり生で見ても素敵だった。なんといっても,実はleyona以外の紅一点だったのでは。leyonaも次から次へと登場する男たちに「アニマルハウス」と思わずいってしまったほどだ。私の知らない人はわずかだったが,そのうちの一人,パーカッションで登場した大儀見 元(おおぎみ げん)という人はすごかった。
leyonaは忌野清志郎を慕っていたから,そんな話もあるんじゃないかと思ったけど,やっぱり真面目に彼の話をするとないちゃうんだろうね。彼が歌っていた「デイ・ドリーム・ビリーバー」を歌ったり,楽曲提供された曲を,やはり清志郎氏と関係の深かった三宅伸治さんと歌ったり,モニタスピーカに立てかけてあった清志郎さんの写真を最後にお客さんに見せたりしていた。ステージ上でなきそうになったのは三宅伸治さんの時かな。彼のと思われるギターはすでにステージ上にセッティングしてあるのに,ギターケースとともに出てきた彼はおもむろにそれを開ける。すると,そこから花束が出てきたのだ。いやいや,なんとも大人の演出。私もleyonaは7~8年見てきた。ギターを人前で初めて弾き始めた頃から。でも,歌声は昔からすごかったなって思ったり。そして,なんといってもミュージシャンに慕われるシンガーは強いと思う。活動が思うようにいかない時もあったけど,これからも彼女のペースで心地良い歌を届けてくれるでしょう。

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コメント

いや、leyonaを知ったのが親元に住んでいた時ってのは間違いだ。私は既に一人暮らしを初めて19年だし。
果たしてその頃、『世界ウルルン滞在記』をどこで見ていたのだろうか?あー、なるほど。

投稿: ナルセ | 2009年6月24日 (水) 11時53分

ウルルンを調べればわかるかな?
あーなるほどって...

投稿: 爽健美茶 | 2009年6月25日 (木) 16時42分

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