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奇跡とはいわないけど,都合よく雨のやんだ日比谷野音

5月29日(金)

講義後、献血に。5月は1日にしてから2週間おきにやっていて、なんと1ヶ月に3回で、自己最高記録です。それにしても、最近金曜日は有楽町近辺で過ごすことが多い。この日も夜のライヴがあったので、それまでの時間をつぶすので大変です。でも、うまいことスケジュールを組めて、ライヴ前に映画2本。

有楽町日劇 『ラスト・ブラッド
なんとなくチョン・ジヒョンが観たくて行ってしまった。ちなみに、日劇はTOHOシネマズの傘下に入ってしまったのだが、この日はとんでもないサービスにイラついた。私は1階で受付をせずに直接上階に上った。私の前に別の作品の当日舞台挨拶か何かのチケットを引き換えるお客さんがいて、10分以上待たされたのだ。しかも、予告編上映が始まっている。私はわざとイライラをからだで表してみたが、なかのスタッフは「少々お待ちください」と繰り返すだけ。受付ブースでは指定席を取る機械も使っていないし、劇場内のスタッフは数人も暇にしているし、受付のなかの様子をうかがって、代わりにやってくれるくらいの機転はきかないのか。制服だけ立派でサービス精神のかけらもない若いスタッフたちに憤りを感じる。
本作は『BLOOD THE LAST VAMPIRE』という日本のアニメーションを米国の監督が実写化したもの。舞台は1970年頃の日本で、多くは横須賀(?)の米軍基地となっている。一応、チョンが演じるサヤは日本人という設定だが、日本語をしゃべるところはおそらく吹き替えで、ほとんどの台詞は英語でなされる。ちなみに、小雪との共演が話題の一つだが、小雪は最後にちょこっと出てくるだけで、その「対決」とやらもかなりあっさりしています。小雪も英語での台詞。イマイチ設定に疑問があるが、それを詳細に批判するほど思い入れもないので書きません。でも、『アンダーグラウンド』的な雰囲気があって、まったくつまらない作品ではない。チョン・ジヒョンちゃんはなかなか頑張っています。

シネカノン有楽町1丁目 『重力ピエロ
続いて観たのが,公開したばかりのこちら。でも,客席は結構余裕がありましたよ。前にも書いたが,こちらも伊坂幸太郎原作の映画化。ちょっと書店で立ち読みしたら,なんと私より一つ年下でショック...まあ,何度も予告編をみていたが,「最強の家族」を演じるのは長男が加瀬 亮,次男が岡田将生,父親は小日向文世,母親が鈴木京香。といっても,母親は現時点で死んでいるので,あまり登場しない。監督は『Laundry』の森 淳一でその時も音楽は渡辺善太郎だったが,今回も同じ。ちなみに,前作の主題歌は渡辺氏の作曲した曲にBONNIE PINKが歌詞をつけて歌った。映画はまあ,文句なしに面白い。といっても,文句をいうのだが。その前に私のお気に入りを一つ。鈴木京香が出てくる場面で,子どもが2人とも小学生の時代がある。この時を演じる2人の子役が最高なのだ。加瀬 亮演じる兄貴は子どもの頃から眼鏡をかけているという演出など必要のないくらい,この2人が大人になってからの役者とよく似ているのだ。このキャスティングだけでも褒めてあげたい作品。兄貴が眼鏡というのは,大学院生という設定だからかもしれない。弟は芸術家肌,兄貴はがり勉,そんな分かりやすい役割分担。さて,文句でも書こうか。それは読んではいない原作に対してだ。そう,ベストセラーのなかの名作の特徴ともいえるが,作品のなかの要素があまりにも予定調和的に結びつきすぎるのだ。まあ,それがフィクションってもんだが,あまりにも度が過ぎるとリアリティはなくなる。まあ,その本作の背骨を形成しているのが兄貴が研究している「遺伝子工学」ということになるが,まさに一般的なこの学問に対する印象のように,そのシステムは複雑だが,いわゆる複雑系のような不確定さはなく,全ては決定論的なもの。もっと遊び心のあるプロットが私は好きなのだ。そういう意味では,吉高由里子の役どころはとても面白い。彼女の存在が,この作品の愛すべき点だろうか。

有楽町線で池袋に移動。思いの他時間的な余裕がなかったので,駅からあまり出ずに軽く夕食の取れるところを探したが,あまりない。池袋のechikaにも初めて行ったが,そのために作ったというよりは副都心線の開通に伴ってできた空間の有効活用という感じで,間延びしている。しかも,飲食店はあまり充実していない。といいながらも,そこのsoup stock tokyoで食べればよかったかな。結局、駅構内の立ち食いそば屋に毛が生えたようなところで450円の牛丼を食して大塚へ移動。

大塚GRECO Asa festoon
この日はAsa festoonさんが太宰百合さんのピアノのみで歌う。一足先に夏を先取りした選曲で、いつもどおり心地のよいステージを聴かせてくれました。この日のGRECOは満席。特筆することなし。素晴らしいです。朝から忙しい一日でしたがすっかり穏やかな心地にさせてくれる演奏でした。


5月30日(土)

ということで、前日は忙しすぎたので,この日は講義後、映画1本のみとする。

新宿バルト9 『お買いもの中毒な私!
この日は何を観ようか、その日の朝に調べていて、まったく知らなかった本作に興味が引かれる。主演女優はまったく知らない。しかも、外見だけで魅力的ではない。タイトルどおり、ブランドものを次々クレジットカードで買ってしまう主人公。雑誌記者として働いていたが、その雑誌も廃刊。巨額の請求はもちろん払えるわけがない。転職活動をするが、目指すは最高グレードのファッション誌。そんな高嶺の花に憧れつつ、偶然にも同じ会社の金融雑誌の記者になることになる。その間、買い物中毒から抜け出そうという会に参加したり、同居している親友が結婚式を迎えたり、と立て続けに物事が展開するどたばたコメディ。まあ、言葉で説明しても面白くありませんね。ともかく、映画は期待した程度に面白かったです。それにしても、この主役の女優さんは敵役だわ。あまり美しい女優さんが買い物中毒といっても説得力がないし、彼女のある意味での成功は偶然と幸運によるものだから、あまり頭脳明晰に見えてもリアリティがないし。ぱっとしないけど元気だけは有り余っている(しかも若くはない)、という雰囲気がとてもよい。アメリカ映画ってメジャーどころでもこういう思い切った配役をするから面白い。日本のドラマやメジャーどころの映画って、配役の優先順位が一般的なテレビレベルの人気順になっていて、出演の格差がありすぎるのがどうにかならないものか。

5月31日(日)

中目黒楽屋 台所からはなうた
以前もここ楽屋で、ecoさんとvice versaの石塚明由子さんが「えことあゆ」というイヴェントをやっていて聴きに行ったが、今回はvice versaでの出演。ecoさんはあまりにも最近巷にeco=エコが溢れすぎているということで、表記を「えこ」に変更。ホームページもリニューアルではなく、別の新しいのができて、しかもご本人は結婚した。ということで、私が彼女の歌をきちんと聴くのも久し振り。ここ楽屋に来るのも久し振りだ。そして、昼間のランチライヴは初めて。天気が冴えないのは残念だが、ステージ後ろのガラス越しの裏庭の新緑がとてもきれい。
えこ:この日は一人ピアノ弾き語り。6月に7曲入りの新作をネット配信で発売するということで、新曲があったり、古い曲があったり。いやいや、改めてこの人の歌声の素晴らしさを実感。ピアノも驚くほどとはいわないが上手いし、甘い声でありながら真の通った歌声。彼女のステージの後半ではvice versaとそのサポートのベーシストわたなべえすさんも加わって、バンドヴァージョンえこソングをやったり。ランチライヴは終わりの時間が決められていて、1曲省いたりは残念だったけど、素敵なステージ。
休憩時間にイエローカレーを食べる。朝食が遅かったが、食事の美味しいこのお店にきて何も食べないというのももったいない。でも、ランチの時間はメニューが少ないようです。
vice versa:上に書いたように、この日はわたなべえすさんを迎えてのステージ。この日は松尾さんのギターをしっかりと聴いてみる。最近は他の伴奏としても引っ張りだこの彼のギターはやっぱり独特で面白い。アンコールは全員出てきて、それぞれの曲を1曲ずつ。盛り上がって終了しました。

14:20に終わったので、夜のライヴの前に映画を観られるかも、と急いでお会計。渋谷に出るか、日比谷に出るか悩んで日比谷線に乗る。結局、日比谷・有楽町・銀座界隈ではいい時間の映画がなく、映画は断念。雨は時折強くなっています。書店で立ち読みしたり、無印良品で雨合羽を探したり、カフェでレポートの採点をしたりでなんとか時間をつぶして、17時前に日比谷公園内の野外音楽堂へ移動。

日比谷野外音楽堂 Voices
ちゃんとお金を払っての日比谷野音は初めて。まだ小雨が降り続いていましたが、会場内は傘が厳禁ということを初めて知る。これ見よがしに入り口の前で300円くらいの雨合羽を500円で売っている。買うかどうかを迫られる。ほんの小雨だが、2時間以上もそれにさらされるとかなり濡れる。その降り方もけっこう不安定で、ほとんどやんだかと思えば、少し強めに降ったり。でも、あまりにも周りの人が合羽を着ている姿をみて嫌になって、意地でも着るか、ということでそのまま入場。まだ開演までは30分弱ある。時間をつぶすための用意はできていたけど、雨に濡れての読書も厳しい。ということで、後方の木の下で文庫本の立ち読み。すると、開演10分前くらいになってほぼ雨はやみました。そして、この日はそれ以降まったく降らなかったのです。いやあ、私の普段の行いがいいのか、会場内はそれこそ9割以上の人が合羽を着ていたのに、ざまあみろ(?)という感じで優越感に浸っていたが、その代わりに冷気が入り込むようになって寒い。合羽を着ていた人も寒さ対策で結局着たままでしたね。
Salyu:グランドピアノにパーカッションセット,ウッドベースという編成だったので畠山さんが先かと思いきや(中島ノブユキ,BIC,鈴木正人と予想),3人とも見覚えのない男性ミュージシャンがステージ上へ。そして,登場したSalyuも黒髪のおかっぱスタイルになってるし,随分やせたように見えるし,イマイチ状況を把握できませんでしたが,その歌声はまさにSalyuでした。本人がその後語ったように,彼女自身日比谷野音のステージは初めて,そしてこの日のSPACE SHAWER TVによるイヴェントはジャズをテーマにしているらしく,ジャズで活躍するピアノトリオをバックに白い衣装でしっとりと歌うSalyu。あらきゆうこさんの演奏を聴けるのと期待していたが,こういうSalyuを観て聴くのも貴重かもしれません。それにしても,雨があがったせいもありますが,この天井のない空間でこの歌声を聴くのはとても気持ちよい。会場入りする時に入り口前の出店などもあり,もちろんビールやおつまみを持ち込んでいる客も多かったですが,演奏が始まる頃にはお祭り騒ぎの人もいなく,非常にいい雰囲気でした。ステージまではけっこう遠かったですが,こういうのもいいもんですね。そして,Salyuの歌声の強さ,そしてそのハスキーさ,こうしてたまにライヴで聴くのはいいなあ,と思ったり。でもさすがにジャズのスタンダード(summer time?)を歌うのはちょっと無理があったかな。
畠山美由紀:後方にあったドラムセットで,予想を変更。坂田 学さんだと思いきや,以前おおはた雄一さんおライヴで聴いた芳垣安洋さんだった。改めてやっぱり鈴木正人さんのベースが好きだなあと実感。途中でなんと小島大介さん登場。つい先日も同じステージでport of notesのライヴがあったばかりというのに,最近の美由紀さんはport of notesモードのようですね。新譜を製作中ということで,新曲を3曲。1曲目が「愛にメロディ」だったので,ソロの曲を期待したのですが,中盤はスタンダード曲も多かった。そして,なんでも6月にソロのベスト盤が出るらしく,「diving into your mind」や「輝く月が照らす夜」,そしてベスト盤のために小田急ロマンスカーのCMソングとして彼女が歌った「ロマンスをもう一度」をフルコーラスで録音したとのこと。もちろん,こちらも披露。そして,なんといってもこの日期待していたのは,映画『群青』の主題歌「星が咲いたよ」でしたが,最後に持ってきてくれましたよ。全部で11曲なり。正直,この日はSalyuが頑張っていたせいもあるが,久し振りに美由紀さんの声が聴きたいと思ってきたのに,思ったよりも感情移入できなかった。でも,後半にかけて,特に最後の2曲が良かったな。やっぱり来て良かったです。
最後にアンコールでSalyuも呼んで,2人で歌いました。スタンダード曲でした。終了は20時前。そんなのも嬉しい。

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コメント

野音は久しぶりに同席してました。私も開演前ギリギリで入場したので、合羽のお世話にならず済みましたよ。
ですが、ステージの印象は真逆でSalyuは先日のツアーでのパフォーマンスがあまりに良かったので、今回はバンドとの呼吸が合わない点とか気になったかな。
一方の美由紀さんは5月だけでも3回目ですが、相変わらず好調をキープしてたと思います。鈴木さんと芳垣さんのクールなリズム隊が美由紀さんのテンションを上手くコントロールしてたな。

投稿: mike | 2009年6月 2日 (火) 23時58分

>mikeさん
お久し振りです。
いや,演奏はmikeさんの書いている通りだと思います。
確かに,Salyuバンドは初めて感は否めなかったし,美由紀さんの演奏も素晴らしかったんだけど,期待しすぎたってところでしょうか。「テンションを上手くコントロール」ってのはいい表現ですね。でも,あの寒さであのドレスはさすがですね。ステージ上は照明で少しは暖かいでしょうけど。

投稿: ナルセ | 2009年6月 3日 (水) 06時27分

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