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今週は少しゆったりと

先週はいろいろ遊びすぎたので、日記が追いつきません。すみません。

7月3日(金)

講義後、また谷中ボッサに出かける。今回は恋人も一緒に、7月26日のイヴェントのチラシを持参します。この日の私はカレーランチ。やはりこのお店のカレーは、カレー専門店と比べても遜色ない美味しさです。そして、谷中にきたら寄ることにしているSCAIザ・バスハウスという銭湯を利用したギャラリーに行く。そこに展示されていた安部典子さんという米国在住のアーティストの作品に心惹かれる。地形モデルのような作品は地理学者の興味を引きますね。恋人と新宿までご一緒して、私は映画。

新宿テアトルタイムズスクエア 『マン・オン・ワイヤー
本作はフランス人綱渡り師フィリップ・プティのドキュメンタリー映画。私がポール・オースター関係の本をいろいろ読んでいるのは以前からこのblogにも書いているが、オースターの評論集に載っていた一つの文章でフィリップ・プティが紹介されていた。確か、プティ自身による自伝をオースターが英語に翻訳し、それにつけられた訳者の序文だと思う。ちなみに、この自伝は日本語にも翻訳されていて、その訳者はオースターの翻訳も手がけている人だ。さて、プティとは何者かということだが、このドキュメンタリーでは一つの偉業に焦点が当てられている。その偉業とは、2001年9月11日にテロの標的にあって崩れ去ってしまった世界貿易センターのツインビルの2つの屋上を結ぶようにかけたワイヤーの上をプティは綱渡りで渡ったのだ。プティはそれまでも、パリのノートルダム寺院やオーストラリアのゴールデンゲートブリッジなどで同様のパフォーマンスを行ってきた。彼の場合面白いのは、そのパフォーマンスはまったくもって自己満足の世界で、密かに計画を練り、ゲリラ的に人知れずワイヤーを貼り、そして白昼堂々と実行するのだ。もちろん、こういう行為はどこの国でも世間を騒がせたということや、交通渋滞を引き起こしたなどの罪で犯罪となり、現行犯逮捕される。まあ、それほど重い罪ではないので、短い期間や保釈金で釈放されるのだとは思うが、基本的には彼自身に一銭の得にもならない。また、彼自身はサーカスなどで技を磨いたわけでもなく、単独の曲芸師だ。そんなところが、オースターの興味も惹いたのだと思う。
このドキュメンタリーは基本的に彼の自伝に基づいているようだが、上述したように、世界貿易センタービルの話に焦点を当てているし、また実際にこのパフォーマンスに関った人物たちのインタビュー映像と、当時の記録映像、そして再現フィルムから成っている。やはりこの人物は圧倒的に興味深い芸術家であるが、この作品の映画としての作りはもうちょっと工夫されても良かったような気もする。ちなみに、本作で知る限りではプティはかなり金持ちだったようで、それぞれのパフォーマンスに相当な期間と金額を費やしている。それにしても、世界貿易センタービルの綱渡りは8往復しながら、45分も綱の上にいたのだと。全くもって驚きだ。

ということで、この日は早めに帰って家で過ごす。バターロールを焼きました。

7月4日(土)

夏風邪を引き、喉の調子が悪いなか、2日連続で講義をしたので、かなり体力ダウン。とりあえず、講義を終えて一度帰宅。出勤前の恋人と昼食を一緒にして、軽く仮眠をとる。

渋谷ライズX 『選挙
現在『精神』という新しい作品が公開中のドキュメンタリー映画監督想田和弘の前作がアンコール上映していたので観に行く。ちょうど東京都議会議員選挙間近ということでタイムリーだ。もちろんこの作品のことは知っていたが、どうしてもドキュメンタリーは後回しにしてしまう傾向があり、見逃してしまった。予告編を観ていた時は勘違いしていて、どこの政党にもつかず、お金のない素朴なやり方で選挙に臨む若者を追ったものかと思ったが、そうではなかった。実際にドキュメンタリーの対象になった候補者、山内和彦氏は川崎市議会議員補欠選挙で3人の候補者のなかで当選を果たした。山内氏は東大出身の個人経営者だったが、密かに政界への進出を目論んでいたが、たまたま行われる川崎市議会補欠選挙で、自由民主党が擁立する候補者を募集していて、それに応募して候補者になったという次第。しかし、選挙のはじめの資金はほとんど持ち出しで、事務所を借り、チラシやポスター、のぼりを作り、奥さんは有給休暇をとってサポートする。一応自民党側としても川崎市に拠点を置く国会議員や県議会議員、そしてもちろん地元の自民党員や講演会の人々が手助けをする。後半になると、川崎市長選挙とも重なって、同じ自民党の候補者とともに、大規模なキャンペーンが行われ、当時の小泉総理大臣も含む多くの人が登場する。
日本でこうした活動は「選挙」というが、英文でつけられたタイトルはcampaign。要は、投票のことではなくまさにキャンペインを追ったものだ。政治の経験はなく、川崎市民でもない、ましてや漠然と政治家になるという目標以外にはほとんど何も持たない山内氏が、地元で何十年も福祉の実績があり、明確な政策を打ち出している他の候補者とどう戦うのか、そこが想田監督の目の付け所であり、その予想が見事に当たったように思える。私に印象的だったのは、一人の女性市民が、キャンペイン中の山内氏に、「あなたは他の土地からやってきて、明確なヴィジョンも何もない。悪いけど話にならない」みたいなことを訴えるシーンがある。まさに映画を観ていた私の思いと一緒。結局、それが選挙のやり方だ、と自民党流のシステムに乗っているだけの山内氏。とりあえず、声がかれても連呼する自分の名前、そして「小泉政府とともに、地元でも改革を!」の一点張りだ。山内氏本人は体育会の新人のように、自分のやっていることが良いことか悪いことかの判断を停止したまま、毎日の苦しいスケジュールをこなすだけ。それでも、東大出身と自民党推薦ということで、当選してしまうのだから、全くもってこの政治制度は腐敗しているとしかいいようがない。しかも、そのことをこうしたドキュメンタリーフィルムでさらけ出しても何も変わらないのだ。

この日は淡路町のレストランで行われる山田タマルちゃんのライヴに行く予定だったが、予定変更。まだ予約を入れていない数日前に、1年以上ぶりにはやしいとさんがライヴをするということで聴きに行くことにした。

池ノ上ruina
山田庵巳:大貫妙子カヴァーアルバム『音のブーケ』に参加している山田庵巳(あんみ)さんが出演するというのも、ruinaを選んだ理由の一つ。CDの1曲だけを聴いても不思議な雰囲気を醸し出している。小池アミイゴ氏が書いたイラストによると、どうやら男性のようだが、ちょこっと聴いただけでは高音で女性のような歌声。登場した山田氏は予想通り長髪で、ジーンズはブーツカット。8弦ギターでの弾き語りです。でも、実は前髪がそこまで伸びたのは初めてらしい。本人がいっていたようにすごい汗かきで見るからに暑そう。楽曲の怪しさはやはり予想通りで、即興で作っているような歌詞で、本人が「弾き語りではなく弾き物語りです。」といっていたように、延々と物語が続いてしまうような勢いで、お客も結局曲の間に一度も拍手ができなかった。ちなみに、この日のruinaは非常に盛況だった。でも誰の客が多かったかイマイチ分からなかったが、はやしいとさんのお客が多かったのは確か。
はやしいと:ということで、こちらはピアノ弾き語り。久し振りのいとさんですが、相変わらずのパワーです。そして曲はしっとりと。リズムのある曲では、持参したカスタネットをお客さんに配って参加してもらったり。やっぱり彼女のライヴ、面白いです。9月の彼女自身の誕生日にはmona recordsでランチライヴをするとのこと。
道下保大:本人は自分の年齢のことをそんなに若くないといっていましたが、ある意味ではこの空間に似つかわしくないタイプの男性ギター弾き語り。ギターロック主流派の歌い方って感じでしょうか。この日は若い女性客も多く、彼を目当てに来たかと思いきや、意外にはやしいとさんを聴いて帰ってしまう。私も少しそのつもりでいたが、せっかくなので聴いていく。
あまりつながりの分からない3人でしたが、単なるお店のブッキングではなく、この3人で企画したとのこと。名前の頭をとって、「山林道」ということで、この出演順。最後には3人登場して「やさしさに包まれたなら」を歌っておしまい。
終演後、いとさんと少しお話して、うだうだしていると誰かが私の肩をたたく。なんと、仕事帰りの恋人が立ち寄ってくれました。彼女はビールを一杯注文してくつろぐが、なんとruinaはバーチャージをとるようになったとのこと。

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