« 10月のライヴ予定 | トップページ | イマイチ映画2本と,なぜかグッとこなかったライヴ2本 »

市川 準監督,一周忌

9月21日(月,祝)

渋谷シネマ・アンジェリカ 市川 準一周忌特集
先日も書いた理由で、25日までに市川 準特集をあと3回観なくてはならない。ということで、連休中唯一予定の入っていなかったこの日に3本立て。以前、オールナイトで宮﨑あおいちゃん主演映画を3本立てしたことはあったけど、同じ監督の作品を3本続けて観るというのは初めて。

『ざわざわ下北沢』(2000)
市川 準の名前を知る前から、この映画のタイトルだけは知っていた。主演は北川智子さんという観たことない女優さん。かなり可愛い。『大阪物語』に先に出演していて、こちらで主演になったようだ。で、最近は見ない女優さんなのでネットで調べてみたら、サッカー選手と結婚して芸能界引退。既に2児の母だそうだ。このころ21歳だったようで、相手役の小澤征悦とはちょっとつりあわない感じか。小澤君はNHK朝の連続テレビ小説『さくら』(2002)で知っていたが、映画では本作と『東京マリーゴールド』で立て続けに主演していてビックリ。以前、実家に帰ったとき、母親が彼の演技をこき下ろして以来、そういう目でしか見れなくなってしまったが、確かにイマイチだな。でも、市川作品2つに関しては、そのイマイチさが、インチキ臭い役どころにぴったりしていていいかもしれない。本作で、彼が演じる男は主人公とつきあっていながら、鈴木京香演じるスナックのママとずるずる関係している。主人公の前の恋人を痛めつけたりしているのに。
まあ、そんな2人の物語はあくまでも物語の一部分。スズナリで活躍する役者を原田芳雄が演じ、彼が入り浸るお店のママにリリィ、その他にもタウンホールの警備員で渡辺 兼、道端で出店を出している女性を広末涼子、小澤君の友だち役で中村靖日君が出いていたのは面白かった。前にも書いたけど、彼はおおはた雄一さんの友だちで、下北沢440でのおおはたさんライヴで近くに座り、ちょっと話しかけたのだ。なので、下北沢にいる彼をスクリーン上で観ると変な感じ。まあ、ともかくいろんな人がちょこっとずつ登場します。当然、スズナリの隣にある映画館、今はなくなってしまったシネマ下北沢(本作もそこで上映されていた)も登場する。なくなる前に映画館の奥のカフェでお茶をしたかった。まあ、ともかくちょうど10年位前の下北沢の様子がよく分かるようになっている映画。まったく下北沢を知らない人が観たらどんな感じかは分からないが、ざわざわして、ごちゃごちゃした街を表現する映画だからこそ、街のあちこちが断片的に、そして多くの登場人物の日常が断片的に描き出される。もちろん、前にも説明したような、単なる街のスナップショット映像も多数挿入されている。
そんな下北沢も現在揺れている。SAVE THE 下北沢という運動も形を変えて継続中のようだ。小田急線がこの区間を地下化することによって駅前開発が可能になり、それとともに数十年前に計画されたことのある道路計画が復活したとのこと。大きな道路が下北沢の中心を縦断し、駅前(駅上?)にはロータリーができるという。まあ、こんな時期だからこそこの映画をもっと活用したらいいんだろうな、と思う。シネマ下北沢改め、シネマアートンも閉館しちゃったし、そういう場がないか。やっぱりタウンホールだな。でも、単に私が知らなかっただけで、そういう上映回は既にあったかもしれない。とにかくいい作品です。

『東京マリーゴールド』(2001)
続いては、田中麗奈主演作。私も知っていた「味の素 ほんだし」のCM。田中麗奈とその母親役で樹木希林が出演しているが、なんとこの映画はほんだし発売何十数年記念企画とかで、この親子関係がそのままスクリーンに登場する。樹木希林は彫刻家役。そして、またまた登場する小澤征悦は麗奈ちゃんの相手役だ。合コンで知り合い、デートを重ねる。しかし、彼には海外に1年間行っている恋人がいる。しかし、主人公は1年限定でいいから付き合って欲しいといって、2人の交際が始まる。実は主人公はこれまでの恋愛関係の最長記録が半年だったのだ。原作は林 真理子の「一年ののち」。マリーゴールドとは一年草。劇中でこの花が登場するが、一年キッカリと約束された自分の恋愛に主人公が照らし合わせる。また、舞台が東京だというのはもちろんだが、21世紀に入ってからの映画にしては、1980年代っぽい若者の東京的生活が描かれるといっても良い。合コンの二次会でカラオケ、清潔なレストランやバー、フローリングのワンルームマンション。もちろん、『なんとなくクリスタル』的な時代錯誤感はないし、東京からそういうものがなくなったわけではないが、全体的に清潔感溢れる画面というのは、後の『トニー滝谷』に近い雰囲気があるのかもしれない。そう考えると、1999年の『大阪物語』から2001年の『東京マリーゴールド』までの3本はとても似た雰囲気を持っていながらも、大きな転換期にあるようにも思えてくる。
ともかく、私はこの映画がとても好きになった。田中麗奈の演技は本当に好きだ。ほとんど映画を中心に活動していることもあるけど、演技がとても映画的だと思う。テレビに出てしまうと、役そのものではなく、あくまでもタレント的な存在としてみてしまうし、演劇中心だとどうしてもくどくなってしまう。彼女の演技がうまいかどうかは私には分からないんだけど、ともかく、田中麗奈本人がどういう人間かはイマイチ分からない。常に彼女が演じる女性を、作中人物として観ることができるのだ。本作でも肌の露出はほとんどないが、それによって恋愛関係のリアリティが損なわれることはない。小澤君がソファーで座っている膝に彼女が馬乗りになるシーンがあるのだが、それはまさに恋人同士がするような親しさがあって、下手なベッドシーンよりもよっぽどエロティックだったりするし。小澤君の演技は前述したとおりだが、それは本作の作中人物としての不甲斐ない男性をうまく表現していると思う。本作は『ざわざわ下北沢』よりも清潔感が増しているだけでなく、抽象性が増していると思う。それこそが、市川監督の抱く東京像なのだろうか。もちろん、映画だから個々のシーンは具体性を持つロケーションなのだが、そこがどこだかはあまり特定できない。でも、やはりそこが東京のどこかであるという印象は鑑賞者に与える。その抽象性と清潔感というのは「東京」の性質として結びつくのだ。樹木希林の存在感も素晴らしいし、ちょこっとだけその旦那役で登場する寺尾 聡もいい。私の好きな日本映画として5本指に入るかもしれない。

『大阪物語』(1999)
こちらは確か、関西テレビの開局何十周年記念か何かで制作されたもの。池脇千鶴が14歳で出演する。私の両親は大阪だが、大阪の土地勘はほとんどない。主人公の両親を、かつて夫婦だった田中裕子と沢田研二が演じ、しかも夫婦漫才をしている芸人として。芸人の娘として、学校でも人気だったりからかわれたり、周りには人が多くいるが、なんとなく孤独感を抱いている少女を演じる。その両親は仲睦まじく見えるが、父親の浮気癖でいつでも離婚の危機にさらされている。映画の後半では本当に離婚してしまい、ついには失踪してしまう。その父親を娘が探しに行くロードムービーっぽい展開に。この作品では、スナップショット映像はさほど多用されないが、東京生まれの市川監督にとっては、撮影そのものが大阪観察みたいなものだから、必要ないのかもしれない。そして、本作は『東京マリーゴールド』とは対照的に、生活と都市の負の部分を多く含む作品だといえる。主人公の住む家は長屋のようで、貧乏暮らし。父親を探す主人公はその旅先で(といっても大阪内だが)、野宿をしたり。たくましくも繊細な少女を演じる池脇千鶴はさすがだ。
とにかく,スクリーンで市川 準監督作品を全部観たい。こういう特集,どんどんやってください!

9月22日(火,祝)

この日は休日にもかかわらず,恋人が休みを取って,埼玉の母親の家へ。8月にも2人でいったばかりだが,9月の母親の誕生日プレゼントを渡すために再び行く。プレゼントはデジタルカメラ。パソコンのない母親のために,写真専用プリンタもつけて。われわれは1泊して翌日まで。翌日には,お盆に帰省できなかった兄夫婦もやってくる。緊張のご対面。その前に,先日観るつもりで前売り券を買って観られなかった映画をさいたまで観る。

さいたま新都心MOVIXさいたま 『ホッタラケの島 遙と魔法の鏡
綾瀬はるかが声優挑戦ということで話題になったフルCGアニメーション。実際の人間の動きをかなり取り入れたスムーズな動きにはなっているけど,やはりその人物描写はあまり観ていて気持ちの良いものではない。でも,長時間みていると段々慣れてくるから,そのできばえは数年前とは比べものにならないのだろう。でも,綾瀬はるかとか,CGアニメとかに惹かれて観ることにしたわけではない。人間がほったらけにしたものを,地球上の異世界に住む生物たちが自分の世界に持ち込んで生活をしている,というその御伽噺的発想が気に入ったのだ。こういう発想は既に『まんが日本昔ばなし』でもあったと思うが,基本的に好きなんですよね。恋人はあまり乗り気ではなかったようですが,それなりに楽しんでくれたようす。私的にもまずまずでした。まあ,もう少し工夫の余地ありですが。

この日は母親の家のテレビで,なんと初めてスピルバーグの『E.T.』を観てしまいました。

|

« 10月のライヴ予定 | トップページ | イマイチ映画2本と,なぜかグッとこなかったライヴ2本 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218863/46368318

この記事へのトラックバック一覧です: 市川 準監督,一周忌:

« 10月のライヴ予定 | トップページ | イマイチ映画2本と,なぜかグッとこなかったライヴ2本 »