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久しぶり学会発表

3月27日(土)

法政大学市ヶ谷キャンパス 日本地理学会2010年度春季学術大会
朝早い用事とは学会です。ここ最近は、杉山和明氏と香川雄一氏との連名での発表だったので、単独での口頭発表はかなり久し振りです。最近はネットでエントリー、発表要旨もPDFでアップロードという簡単手続きでありがたい。今回の会場は私が非常勤講師で通っている法政大学市ヶ谷キャンパスだったので、スタッフとして狩り出されるのかと思いきや、こちらから申し出ても断られた。ありがたいのか、迷惑がられているのか。ともかく、野放し状態です。
まあ、会場校とプログラムを組む集会専門委員会とは関係ないとは思いますが、私の発表は初日、第一会場の一番目。発表番号は101という名誉なのか、追いやられているのか、ともかく発表会場となる教室も私が教えている外濠校舎なので、勝手知った人が初っ端なのはいいのかもしれない。せっかく近場での発表ということもあって、妻にも来てもらう。第一会場となった教室は外濠校舎のなかでも一番大きな教室。しかも、9時から開始する教室は他に1つしかないというのに、人が集まるのか。という不安もあったが、人が少ない方がやりやすいと思ったり。そして、今回は初めてパワーポイントを使う。以前、学会発表は特に人文地理学分野では配布資料を配って発表をしたものだが、配布資料は配るのに余計な時間がかかったりするので、ほとんどのひとがパワーポイントを利用するようになった。しかし、私はその発表の仕方は頑なに拒んでいる。今回も、写真集の分析だから写真を見せるために用いるだけだ。
9時を前にけっこう人は集まってくる。朝早いのは難点だが、他に発表がないというのは集客にはよかったようだ。しかも、第一会場の外は書籍販売のブースがあり、そちらも準備中。必然的に9時前にやってきた人の多くが第一会場に来てくれた。勉強会で頻繁に会う荒又美陽さんは妻の後ろに座ってくれて、事前にメール連絡をしていた今里悟之君、阿部亮吾君も挨拶しにきてくれた。ちょっと前まで緊張していましたが、そんな馴染みの顔を見て、緊張はほぐれる。今回の発表は小難しい論理をたてるのではなく、要点のみを強調するように心がけたので、15分以内とまではいかなかったが、そして話す予定のことを全て話せたわけではなかったけど、質問の時間を残して終えることができた。質問者はいつもどおりというか、誰にでも質問を浴びせかける、鳴門教育大学の立岡裕士さん。こちらはそれなりのコメントだったが、次のおじいさん(名前聞き取れず)の質問がひどかった。「あなたの発表は文化地理学になると思いますが、マイクセルによると文化地理学というのは云々...君のはそのどこに入ると考えたらいいんだね」ときた。大学院時代は教室全体での発表会などでその手の質問はあったが、40を前にして、2010年になって、そんな質問が来るとは思わなかった。ある意味で、凄く興味深い。なんといっても、マイクセルは半世紀前に活躍した地理学者だからだ。もう呆れてしまって、適当な応対をしてしまったが、もっとそのコミュニケーションを楽しめばよかったと反省。
20100327 妻が撮影してくれました。
席に帰ると、妻が「分かりやすくて面白かったよ」といってくれた。とりあえず、同じ会場で発表を2つ聴く。山本啓典という東大の学部生の発表は「両毛地域におけるご当地グルメ発信活動の成立と展開」という発表は学生の卒業論文らしく、素朴で意欲溢れる発表は面白い。その次の筑波大学大学院生の金 玉実さんの「日本における中国人の観光行動空間の構造」はひどかった。彼女の文章は『観光の空間』でも読んでいて、インターネットから取った、中国の日本パッケージツアーのデータは貴重だと思うんだけど、今頃クラスター分析とかして、結局当たり前の傾向しか得られないというのは、あまりにも安直だ。一つ一つのデータを丁寧に見ていけば、もっと面白いことは分かると思うのに、統計分析に頼るのはいけません。会場を出て、書籍販売コーナーを物色。大学院時代にいろいろ一緒に活動した金沢大学の青木賢人君や、古今書院の太田君と話したり、杉山和明君と一緒にいるところで、ナカニシヤ出版の吉田千恵さんがきたりして、育児話で盛り上がる。同世代の濱田琢司君はわざわざ名古屋から私の発表に間に合うように来てくれたので、発表内容について議論する。筑波大学の大学院生、吉田国光君もやはり筑波から朝一で来てくれて、いろいろ話す。なかなか実りある議論でした。
昼は大阪教育大学に勤める同い年の地理学者、今里悟之君と、最近結婚した彼の奥さん、やはり地理学者の大浦瑞代さん、そしてこのblogにもよく書き込みをしてくれる青木茂治君と待ち合わせて、私の妻と荒又さんと6人で食事に行く。私が何度か行って気に入っている近くのカレー屋さんがやっているということで、行ってみる。ぎりぎり6人席を確保できて、皆で食事。けっこう初対面な人も多かった(私と青木君とも初対面)ので、多少心配したが、けっこう盛り上がったし、カレーを気に入ってくれた人も多く安心。私たちが席を立つと、なんと九州大学の高木彰彦さんが一人で食事にやってきてビックリ。挨拶をすると、「何かの会合?」と聞かれてしまう。午後は15時まで聴くべき発表はなし。私と妻と荒又さんで会員控え室でまったり。同じ部屋には山田晴通氏がいる。彼の周りには人が取り巻いていたが、とりあえず妊娠報告をする。私の大学院時代の指導教官である若林芳樹さんもいたので、つかまえて妻を紹介。いろいろと私の就職のことを心配してくれる。
午後に聴いたのは,お茶の水女子大学大学院の高槻幸枝さんの「明治期東京の案内書の変遷」。名前は忘れていましたが,彼女にはどこかでお会いしました。案内書の詳細な分析というよりは,数を集めてきて大まかな傾向をみるというもの。続いて,三上絢子さんという年配の女性が法政大学の沖縄文化研究所の人だったので,聴くことにする。「米軍統治下の口之島における密貿易組織」という内容で,それなりに面白かったが,学術研究というよりルポルタージュ的。教室を移動して,梶原宏之という人の「草山をめぐる言説―日本・台湾・韓国の比較からさぐる実践の地理学」という発表を聴く。私が関心を持つ自然の表象研究かと思いきや,彼は翌日のシンポジウム「博物館の地理学」でも発表する人物で,阿蘇たにびと博物館という所に属する人だった。熊本県阿蘇地方のように,野焼きをして草原を保っている文化は台湾や韓国にもあって,大切にしましょうよというお話。次に,勉強会でご一緒している二村太郎君の発表会場へと向かう。すると,荒又さんと私の妻がまたまた隣に座っているので,その隣に座る。太郎君の題目は「東京都心部にける都市型ファーマーズマーケットの出現」というもので,先日代々木公園に行ったときに彼が調査していた内容も含んでいる。さすがのパフォーマンスで分かりやすくて面白い。最後にもう一つ会場を移す。やっていたのは,遠藤幸子さんという人の「ハンブルク港の再開発」という内容だった。なんと発表していたのはさっきまでわたしたちと同じ会員控え室で,山田晴通さんのパートナーとしゃべっていた人。ドイツに住んでいたようで,こちらも面白いは面白いが,なんかアカデミックな要素に欠ける。私が目当てにしていたのは私より若い北川眞也君の「ローカル化される移民の地政学」というタイトルでの,イタリアはランペドゥーザ島の事例だった。地中海に浮かぶ島で,アフリカからの不法移民がたどり着く格好の場所であったという。彼は実際にその地に行って調査をしている。しかし,一方では分析は新聞記事を中心とする言説分析。あくまでもその島をめぐって人々が何を語っているかということを問題にしている。その現実と表象の問題を折衷的に扱いかねないという問題はあるものの,全般的には今回聴いた発表のなかで一番刺激的であった。
ということで,最後までいたが,その後に会った人は少なかった。ポスターセッションのところで見かけたのが武田祐子さんと宮澤 仁君,最後にお話をしたのは寄藤晶子さん。まあ,そんな感じでやはり帰るという荒又さんと一緒に都営新宿線に乗り込む。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、ひょんなことからこちらのページを拝見しました梶原と申します。先日は日本地理学会での私の発表に聞きに来て下さったようで有難うございます。あの発表は近年稀に見る大失敗でして、本当は草山を大切にしましょうよではなく、日本・台湾・韓国でこうも言説が異なるのはどうしてか、そうした現状に地理学者はどう実践すればよいかを問いたかったのですが、時間配分を誤りました。次回はもう少しまともにやりたいと思いますので、どうかまたご縁がありましたら宜しくお願いいたします。ありがとうございました。

投稿: 梶原 | 2010年4月 9日 (金) 10時32分

梶原さん

コメントありがとうございます。
正直に書いてしまったところ,本人に読まれてしまって恐縮です。
私は遅れて会場に着いたのですが,残り時間もないのにまだ阿蘇の話をしていて正直びっくりしたんですよね。テーマ的には非常に興味がありますので,是非論文にしていただいて,じっくり読ませてください。
なお,ご存知かもしれませんが,2007年に『地理学評論』に言説に関する展望論文を書いていますので,よろしければ参考にしてください。

投稿: ナルセ | 2010年4月 9日 (金) 21時57分

いえいえ、おっしゃる通りです。本当に失敗しました(おかげで翌日は少し軌道修正できました)。論文、拝見します(先ほどネット上から可能なものは拝見いたしました)。今後ともどうぞ宜しくご指導下さい。

投稿: 梶原 | 2010年4月10日 (土) 23時46分

梶原さま
2007年の論文も,こちらからダウンロードできますね。
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=grj2002&cdvol=80&noissue=10&startpage=567
それから,当然こちらの中島さんの論文もご存知ですよね。失礼とは思いますが,もし知らなかったらかなりまずいので,念のため。
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=grj1984a&cdvol=62&noissue=10&startpage=708

投稿: ナルセ | 2010年4月11日 (日) 22時15分

リンクありがとうございます。これから拝見します。
中島さんの論文は懐かしいです。僕がまだ筑波の院生
だった頃、ゼミで発表して民俗学や人類学の先生から
こてんぱんにやられた論文です(当館の図書にも所蔵さ
れています)。

私の紹介も悪かったのだと思いますが、ああいう超小講
座的な場は今にして思えば筑波の面白いところでした。

投稿: 梶原 | 2010年4月13日 (火) 15時25分

梶原さん

あら,筑波の出身だったんですね。
民俗学や人類学の先生がいる講座というのは具体的によく分かりませんが,地理学ではなかったのでしょうか。
私は都立大学の出身ですが,杉浦芳夫先生はあの論文を高く評価していましたよ。私的にも,あの頃の英語圏の文化地理学を手際よく紹介して,実証研究に活かしたというのは他に類がないでしょうね。
私も久しぶりに読み返すことにします。

投稿: ナルセ | 2010年4月13日 (火) 22時59分

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