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平日にしかできないこと

妻の味覚が変化したことと、胎児への影響を考えてわが家の食卓は極めて薄味になっている。でも、よく考えたら、妊婦が「つわり」と称して嘔吐するという身体反応は、実は胎児を守るためなのではないかとも思える。といっても、つわりのひどい人になると、氷しか食べれないとか、フライドポテトやカレーライスばかり食べてしまうという話も聞くから、必ずしもそうでもないのかもしれないが。ともかく、妊娠のことは別にして、私は以前からわが家の和風出汁は、顆粒だしではなく、きちんと取りたいと思っていた。といっても、だしパックという便利なものがあるので、それを基本にするが、昆布や煮干など、ヴァリエーションを持たせるのも重要。ということで、その私の計画は思いのほか前倒しになって日々実践されているのだが、これは意外に大変。まあ、朝食の味噌汁(あるいはお吸い物)と夕食の汁物(煮物にも使える)のために、前の晩か朝かにまとめて出汁を取るのはそれほど大変ではない。大変なのは出汁を取った後だ。昆布や煮干をそのまま捨ててしまうのは忍びない。今のところ、出がらしがたまった頃に、昆布は細かく刻んで佃煮や塩昆布に。煮干は乾煎りしてフードプロセッサーにかけ、塩や鰹節、胡麻などを入れてふりかけにする。しかし、圧倒的にこうして作られたものは、毎日消費する分よりも多くなってしまう。つまり、自給バランスが取れないのだ。実は昆布の過剰摂取は妊婦にはよくないともいわれているし、まあ、煮干はカルシウム摂取にいいと思うけど、昆布出汁がなににも合うのに対して、煮干の出しはそれほど万能ではない。ということで、いいアイディアがあれば教えてください。
そういえば、このblogで結婚報告をした時にはけっこうお祝いのコメントが入りましたが、妊娠報告はそうでもないですね。まあ、こんなに立て続けにあってしまってはお祝いもしにくいものだけど。さて、そんな妊娠報告にも嬉しいことはありました。それは私の母に報告した時。まあ、素直に考えて母親が孫の誕生を喜ばないはずはないのだが、それがゆえに、報告は安定期に入ってからと思っていたところに、母親から電話があった。今年の初めに、調子の悪い冷蔵庫をわれわれ夫婦が買い換えたついでに、そこで発生したエコポイントもついでに商品券にして母親宛にしたのだが、それが届いたというお礼の電話だった。私には兄がいて、12,3年前に結婚したのだが、夫婦揃って会社に貢献している重要な働き手ということもあって、子作りはすぐにはしないという方針だったようだが、結局犬を飼い始め、一向にその気配はない。一般的な家族計画のようなものに関心のない母親だから、私が結婚しなかったことや、兄が子どもを作らないことも、表向きは本人任せにする人だった。さすがに、私が大学院に進む時や、いまだに正規雇用になっていないことに関しては、少し口を出したりするが。そもそも、少し捻くれている母親が「おばあちゃんですよ~」などとベロベロバーをしている姿は想像できない。しかし、母からそうして電話があったついでに妊娠報告をすると、真っ先に喜びの言葉を発したのだ。日頃から長生きにも興味がなく、楽しく過ごせた人生だからいつ死んでもいいみたいなことをいっているが、電話では「まさか孫の顔が見れるとは」といっていたのは、私にとっても意外というか、とても嬉しい言葉だった。妻にも「ちゃんと産んでよ」といっていたし、その2人の対面は非常に楽しみである。

4月9日(金)

この日は2週間ぶりの妻の検診。今回も私は動くエコー画像を見れなかったけど,頭と胴体がはっきり分かれてきて,体長3.5cmほど。次回までに母子手帳をもらってきてください,ということで,そのまま市役所に行く。前に,出産に際して市からずいぶん援助が出るという話をしたが,今行っている病院で分娩をするという前提で一通りの話を聞いたが,それでもまだ随分出費があることを知る。母子手帳をもらい,今度は妻の再入国の申請をするために,品川へ移動。6月に台湾に行く予定だが,私が海外旅行であるのとは対照的に,彼女は一時帰国である。だから,日本に帰ってくるときは,再入国となり,事前の申請が必要なのだ。品川駅の東口からバスに乗るが,この時点で異様な雰囲気。バスに乗るのはほとんどが外国人。そして,東京入国管理局前のバス停で降りると,さまざまな国の人がなにやらチラシを配っている。この時はどんなチラシだが分からなかったが,帰りに再びバスで品川駅に着いた時,チラシを配っている人は首から「タイ人の正社員を募集しています」と下げていた。つまり,特定の国の人を雇用する目的だったらしい。東京入国管理局のなかに入ると,私が外国人のよう。やはり白人や黒人は比較的少なく,アジアの人たちが多い。待合室に座る人の多さで,相当の待ち時間を覚悟するが,病院のトータル待ち時間より短かったかな。30分くらいで用事は済み,再び品川へ。そのまま渋谷に移動する。

渋谷シネマライズ 『スイートリトルライズ
妻が『ストロベリーショートケイクス』を結構好きっていっていたので,同じ監督矢崎仁司の最新作を観に行く。前々から観ようといっていたのだが,結局公開最終日になってしまった。今回は江國香織の原作。私は江國作品は読まず嫌いだが,周りの女性でけっこう好きな人は多い。でも,多分それはストーリーとかではなく,その軽い文体に魅力を感じているようだ。この作品では,中谷美紀と大森南朋が夫婦役を演じる。冒頭のベッドルームのシーンからして,結婚3年目のこの夫婦が濃密な愛の関係ではないことが示唆される。朝のシーンだが,目覚まし時計が鳴るのをまたずに,2人は目を覚ましている。疲労感がないのは昨晩に性交渉がなかったしるし。妻が起きるべき時間に起き上がり,コーヒーを淹れ,ベランダで一服。おもむろに窓の拭き掃除をはじめ,窓越しにコンコンと叩き,その音と日差しで夫が目覚めるという,毎日2人が繰り返している演技をとらえるオープニング。夫はワイシャツにネクタイをして新聞を読みながら食卓につく。私はこのシーンが嫌い。なぜ,映画やドラマにおける朝食のシーンはこうなのか。少なくとも私は部屋着で朝食を食べる。その後歯を磨き,着替えてから外出する。しかし,映画やテレビの中では,主婦以外,朝食を食べ終わった直後に「いってきます」だ。歯磨きは必ず寝巻きのまま起き抜けにする。そういう人はいるかもしれないが,それは映画やドラマの影響ではないか。多くの人は歯磨きを寝る前にする。確かに,寝ている間に磨ききれなかった菌が繁殖するが,それを起き抜けにすぐ磨くのと,朝食後に歯に付着したものをそのままにしておくのとどっちがいいのか?着替えてから朝食を食べたとき,食べこぼしてしまったらどうするのか。まあ,ともかく不自然極まりない。しかし,この映画の演出はその不自然さが全体を貫いているところに,他の監督にはない,独自な味が生まれているのだと思う。妻はテディベア作家。自宅が仕事場。セックスレスのこの夫婦は友人たちには仲の良い理想の夫婦と思われている。もちろん,彼ら自身は仲が悪いわけではない。お互いの自由を尊重し,本数に制限をかけているものの,妻はベランダで喫煙する。そして,夫は自室に鍵をかけて爆音でビデオゲームに没頭する。用事がある時は同じ家の中で携帯電話で呼び出す。そんな仲。まあ,予告編で分かっていたことではあったが,決まったように,この夫婦は別の相手と出会い,不倫関係となる。妻の方は,自分の個展にやってきて,非売品のクマを譲ってくれときた男性。小林十市という男が演じる。私はどこかでこの男の顔と名前を見た記憶があるのだが,どこを調べても,私が観た映画への出演履歴は出ていない。気のせいなのだろうか。そして,彼はバレエダンサーで舞台俳優であり,私より1つ年上というのを意外に感じる。その私の記憶のなかでの彼はもっと若々しく,本作で肌の汚さを見て,ちょっとびっくりしたのだ。役どころでは夫よりも若い男性というような位置づけだが,実際には確か大森君が私より少し年下なので,夫のほうが若い。そして,その夫の不倫相手というのが,大学のダイビングサークルの後輩で,久しぶりのOB会で再会するという設定。その女性を池脇千鶴が演じる。大森と池脇は10つほど歳が離れているので,これまたちょっとおかしな設定。先ほども書いたように,私は江國作品を読んだことがないので,彼女がどんな文体でどんな雰囲気を醸し出しているのかを知らないのだが,なんとなく,この映画はその雰囲気を画像の色彩で表現しているのだと思う。人物自体の顔つきや肌の色はともかく,かれらが身につける衣装やインテリア,食事,風景,どれもが計算されていて,淡い,穏やかな空気を醸し出している。それに,それらしい演出を加えれば,かなりスタイリッシュな作品になったと思うが,演出には妙な間がある。そして,台詞と台詞,場面と場面を無理な論理的結びつきをさせていないということも,妙な間と呼ぶことができるだろう。きっと,そんなところにもどかしさを感じる観客もいるだろう。そして配役。私の妻はこの役の女性は中谷美紀ではなかったほうがよいといっていたが,私は逆に中谷美紀が演じている女性としか見ることができなかった。そういう女優としての彼女の存在が作品にとっていいのか悪いのかは分からないが,ともかくそういう女優だなって改めて思った。でも,ベッドシーンも多かったので,もう一皮向けたらいいかなとも思う。それに対して,『ジョゼと虎と魚たち』で裸体を披露した池脇千鶴。本作ではそういう露出はなかったが,ラヴホテルのシーンで,シャワーから上がってきた彼女が,きちんとノーブラでガウンを羽織ってきたのはさすがだと思った。そして,大森南朋。冒頭のシーンでは,「うん」「へえ」「いや,別に」などの台詞しかない。そして,妻からの困った質問に,目を泳がせるシーン。どれも大森君の得意分野で,思わず笑ってしまう。この演技も上手いのかどうなのか,よく分からないが,これほど似合う俳優は他にいないのではと思う。そういった意味でも,けっこう面白い映画です。

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コメント

「スイートリトルライズ」、岡山では17日からの公開。
 
>それに対して,『ジョゼと虎と魚たち』で裸体を披露した池脇千鶴。本作ではそういう露出はなかったが,ラヴホテルのシーンで,シャワーから上がってきた彼女が,きちんとノーブラでガウンを羽織ってきたのはさすがだと思った。
 
ますます楽しみになりました(笑)。

投稿: 岡山のTOM | 2010年4月12日 (月) 03時55分

TOMさん

かなりネタバレっぽかったですけど,読んでくれてありがとうございます。こちらでは公開終了だったので,思わず書いてしまいましたが,そちらではこれからなんですね。
ちょっと否定的に書いたような気もしますが,今後も矢崎監督には期待しているのです。

投稿: ナルセ | 2010年4月12日 (月) 19時11分

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