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シンポジウム参加

7月10日(土)

この日はとあるシンポジウムに参加するために講義後,恵比寿まで。地理学者仲間とやっている論文購読会の次回の担当が私なのだが,「ポスト開発の空間」と題された論文を読む。取り急ぎ,「ポスト開発」とは何か,ということで検索をかけると,中野佳裕という人物がヒットする。そして,彼が注目しているのがフランスの研究者,セルジュ・ラトゥーシュで,近々中野氏の訳によりこのラトゥーシュの著書も日本で刊行されるとのこと。そして,もう少し調べると,ラトゥーシュが来日して中野氏も参加するシンポジウムがあるというので,非常にいいタイミング,行くことにしました。しかも,このシンポジウムは10,11日と朝から夕方まで開催されているが,土曜日の午前中は参加できないし,2日連続費やすほど私の関心にぴったりでもない。しかし,ちょうど中野氏とラトゥーシュが報告するのがこの日の午後のセッションということで,そんな都合のよいこともなかなかない。

恵比寿日仏会館 日仏シンポジウム:より良い共生が可能な社会を目指して

さて,ちょっと勘違いしていたのは,中野氏はラトゥーシュを含め,ポスト開発の議論を日本で展開している,ということですが,ラトゥーシュは自らの議論を「脱成長」と名づけており,ポスト開発論とは一致しません。ところで,日仏会館なだけあって,同時通訳も専門性を損なうことなく,フランス語のできない私にとっては大助かり。
ラトゥーシュの報告では,前半でどうしたら世界各国の成長の度合いを測れるのか,というところから始まり,GDPという単純な指標を補足するようなものがいくつも出されているけど,結局根本的には成長などというものを数値で測ることはできないのだ(場合によっては数値同士は矛盾する結果を算出する)というところが出発点。最終的には「経済とは宗教である」と断じ,そこから脱することが必要だと結論するほどラディカルな立場でした。でも,本人はいたって穏やかな人でした。
中野佳裕氏の報告ですが,まず彼自身の研究が,ポスト開発論やラトゥーシュの脱成長論を国際開発政治の文脈で考えるものであると説明していました。そして,アマルティア・センの正義の概念に関する近著を丁寧に検討しながら,今後のグローバル政治経済において必要なのは制度論よりも認識論だと主張しました。
中野氏は立命館大学に勤めていますが,先日紹介した『現代帝国論』の著者,山下範久氏も立命館大学。同世代の地理学者で加藤政洋君もいる立命館ですが,そこの地理学者たちも面白いことをしてくれるでしょうか?

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