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4連休映画4本

7月23日(金)

今年は私も40歳ということで、市から特別健診の案内が届いた。この日は一番最寄の診療所で一般的な健康診断を受ける。かなり古臭い感じの病院で、入るのは初めて。朝一9時に来てくださいということで行くと、すでにおじさん患者が一人。一通り書類に記載して、10分ほど待って診察室へ。その頃には椅子が窮屈にならないくらいの患者さんが集まっている。いわゆる町医者な感じのところ。問診をして血圧を測り、採血をし、心電図。そういえば、心電図ってとった記憶あるのかな。帰る前に尿を採取して終わり。9:40には終わってしまった。
一度帰宅し、法政大学の前期の成績をつけて、それを持って市ヶ谷へ。提出して渋谷に移動。スクリーンが1つになってしまったシネマライズに行く。以前も、一度上階のスクリーンがレストランに改装されてしまい、地下のスクリーンだけの営業になった時期があったが、その後復活し、程近くのスペイン坂中ほどに「ライズX」というスクリーンも作ったのに、そちらも閉鎖。今回は地下のスクリーンを閉鎖し、上階のみで営業中。この映画館は高校生の頃、埼玉から出てきて、その奇抜な建築に驚き「さすがに都会の映画館は違う」と、もう20年以上通っている好きな映画館だが、やはり映画館経営は難しいのだろう。短館上映ということもあって、最近ここの上映作品の前売り券は公開が始まるとチケット屋では手に入らないようだ。結局、当日券の1800円で観ることになる。

渋谷シネマライズ 『ガールフレンド・エクスペリエンス
作品はスティーヴン・ソダーバーグ監督最新作。出世作、『セックスと嘘とビデオテープ』以来、けっこう好きな監督で、特にジェニファー・ロペスの『アウト・オブ・サイト』やジュリア・ロバーツがアカデミー賞主演女優賞を獲得した『エリン・ブロコビッチ』などは大好きな作品。最近『オーシャンズ』シリーズや『チェ』3部作など、イマイチなメジャー作品も多いなか、久し振りにマイナーっぽい作品で嬉しくなった。サーシャ・グレイという23歳のAV女優を起用し、エスコート嬢という役柄を与え、ドキュメンタリー的な作りの作品。エスコート嬢というのは単なる売春婦ではなく、セックスは仕事の一部に過ぎず、基本的には時間制限ありの恋人ということだろうか。会う場所はどこでもかまわない。まあ、基本的にはレストランやホテルで食事し、バーで語り合い、ドライヴをし、ホテルや自宅で愛し合う、そんなコース。
本作がソダーバーグらしいのは、単にそうしたエスコート嬢の日常をドキュメンタリー的に追うだけでなく、彼女にインタビューするジャーナリスト役もそこに組み込んでいること。ともかく、まだ23歳だというサーシャ・グレイという女性は魅力的だ。AV女優といっても決してエロティックなボディをしているわけではなく、この役柄にぴったりな知性を匂わす顔立ちとスタイル。まあ、要はベッドで上手いだけではなく、クライアントの話し相手として相応しいように、さまざまな分野の話題に常日頃関心を持って、情報を入手していること。もちろん、クライアントは富裕階級の人々だから(といっても、単なる金持ちのおじさん方ではない)、その隣にいて不自然ではないファッションセンスを持っていないといけない。まあ、そんな感じのお話。

7月24日(土)

午前中は何をしていたのやら。もう数日経つと忘れますね。そんな暑さです。午後から出かけると移動中に妻に電話。われわれは渋谷で映画の予定だったが、その前に表参道まで歩いていって、台湾の友だちとお茶をする。映画までの時間をどうやって時間をつぶそうかと思っていたのに、表参道まで往復すると、時間はあっという間になくなり、友だちとご一緒できたのは15分ほど。

渋谷イメージフォーラム 『ザ・コーヴ
で、私たちが観たのはこちら。上映を予定していた映画館がキャンセルだの、大学での上映イヴェントもキャンセルだの、米国アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を獲得したにもかかわらず、日本でひどい仕打ちにあった作品としてすっかり有名となり、映画館が変わって公開された週は平日でもほぼ満席という状態が続いたと報じられたが、もうすっかり落ち着いていました。まあ、内容は多くの人が知ることになったと思うが、米国の写真家ルイ・シホヨスが、日本の和歌山県太地町で行われているイルカ漁を取材したもの。
ドキュメンタリー映画ではあるが、米国らしい作りできちんとしたストーリーがある。主役はリック・オバリーという人物。若かりし頃、『フリッパー』というテレビ番組でイルカの調教師役を務め、そのドラマの人気に伴って、米国のみならず、全国の水族館にイルカショーを広めた人物でもある。しかし、番組に出演していたイルカと自宅で共に生活していたものの、番組終了後は水族館に返す。そこから、ショーで使われるイルカの悲劇を目の当たりにするうちに、彼はイルカを野性に返す活動を長年してきた。そこで最近辿り着いたのが、全世界にショー用のイルカを輸出している日本の和歌山県太地町に目をつけたのだ。意外にも、その漁の様子は極秘ではない。イルカの群れを見つけると、漁船が取り囲み、聴力の敏感なイルカの嫌いな音を水中に流し、湾へとイルカの群れを追い込むというもの。そして、そのイルカの群れのなかから、各地から集まった調教師たちが品定めをして購入していく。そこまでのプロセスは誰でもその時間にその場所に行けば見学することができる。この映画に関わったかれらが知りたいのは、売れ残ったイルカたちの行く末だ。噂によると、すぐ近くの入り江で皆殺しにされ、食肉として販売されているという。しかし、その入り江は関係者以外立ち入り禁止とされており、外国人であるかれらが近づくと、猟師たちが監視にやってくる。少しでも怪しい行動をとろうものなら訴えるための証拠として、猟師たちはビデオカメラを向けている。
結局、監督率いるチームは極秘に入り江にカメラとマイクを設置するというゲリラ的撮影という手段をとる。この顛末は本当に最後のクライマックスにとっておかれ、前半や中盤にはIWC(国際捕鯨委員会)における日本の立場について語られる。日本は全く捕鯨とは関係のない国に資金援助をする代わりに、IWCに加盟し、日本擁護の票を入れるというもの。また、クジラ科であるイルカも当然IWCのテーマなのだが、イルカについての議論にならないようにしていることの謎。日本ではイルカ肉がクジラ肉と偽って売られているという噂。イルカ肉は多量の水銀を含んでいるということ。太地町ではイルカ肉を全国の学校給食に寄付しようとしているという噂。などなど。ともかく、日本の政治的なイルカ漁の隠蔽と、それをいいことに伝統的な日本文化だといって捕鯨と共にイルカ漁を続けている太地町の猟師たち、こういう人々を悪人と仕立てる根拠を次々と提示して、クライマックスに導くという作品。確かに、そのゲリラ撮影によって得られた映像はおぞましい。入り江に閉じ込められた大量のイルカたちが船の上から銛で次々と殺され、入り江の海水は真っ赤に染まる。
しかし、このような光景は以前も『いのちの食べかた』のようなドキュメンタリー映画で観ている。むしろ、それは私たちが普段から食べている食肉の処理のされ方を冷静に映し出している分、誠実だった。それに対し、本作品はさんざん、イルカは食べるべきものではないとか、イルカは人間に近い優れた知性を持っているなどといった先入観を吹き込むことで、その屠殺の光景を異常なものに見せようとしている。まあ、だからといって、『いのちの食べかた』と同列には語れないのも確かだ。ここで殺されるイルカは食肉用に育てられた家畜ではない。もともと野生のイルカであって、しかも漁の本来の目的はショー用だ。「フリッパー」と同じバンドウイルカが特に好まれ、もちろん姿かたちの美しさが優先される。そうではないイルカは沖に返されるわけではなく、結局どのくらいのイルカ肉がどうやって流通しているかは本作では明らかにされないのだ。
まあ、どちらにせよ、いろんなことを考えさせられる作品であることは間違いない。

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