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幻想の図書館

ミシェル・フーコー著,工藤庸子訳 1991. 『幻想の図書館』哲学書房,143p.,2500円.

前から書いているように,フーコーの本は本書で6冊目,というほどしか読んでいない。そんな私が本書を古書店で購入したのは,まだ継続中のオースター研究の関連図書になりそうだったから。フーコーにも「図書館」にこだわった文章があったとは。しかも,訳者は工藤庸子さん。私は彼女のクンデラ本『小説というオブリガード』を読んで知ったが,戦中の1944年生まれの工藤さんは本当に精力的に次々と研究書を出版し,驚くばかり。他にもフローベール『ボヴァリー夫人』論である『恋愛小説のレトリック』は読んだが,フーコーの翻訳までしているとは。
とはいっても,それもそのはず。本書はフーコーがフローベールの『聖アントワーヌの誘惑』を論じた小文だからだ。しかも,フーコーの文章は73ページしかなく,本書の中ほどには『聖アントワーヌの誘惑』に掲載された挿絵が挿入されている。そして残りは工藤庸子氏による解説文。本文と解説文がほぼ同量です。さて,なぜフローベールの作品論に「図書館」なんてタイトルがついたのかというと,まさにこの作品が「事の始めから知の空間でみずからを形成してゆく作品であり,書物とある種の根本的な関係を保ちつつ,存在する。」(p.20)ものであるという。まあ,フローベールには『紋切型辞典』なんて文章もあるくらいだから,「書物に関する本」といった作品があってもおかしくないし,工藤氏の解説によれば,同時代の英国作家ジェイムス・ジョイスもしかりだという。そしてボルヘス。フーコーの本分にはボルヘスの名前は一度出るだけだが,工藤氏はもちろん,そこに大きな影響関係があるという。まあ,フローベールの作品は『感情教育』しか読んでいない私だから,本書の理解には限界があるが,フーコーの文章もさほど難しくはないし,なによりも工藤氏の解説が丁寧でうれしい本だ。

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