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バベルの図書館 文字/書物/メディア

篠田孝敏編 1998. 『「バベルの図書館」文字/書物/メディア』NTT出版,145p.,2000円.

本書は,1998年9月18日から10月25日を会期に,初台のオペラシティにあるNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)で開催された展覧会のカタログである。この種の本は,編者の名前とかが記載されておらず,学術論文の文献に掲載する場合には困るものだが,本書は後付にきちんと記されていたので,その人の名前を書いておいた。
「バベルの図書館」とは,ここでも何度か紹介しているように,アルゼンチンの作家,ボルヘスによる短編のタイトルである。本展覧会はそのボルヘスの文章に触発されたアーティスト4人がそれぞれの作品を展示したものだが,本書にはその他の著者によるエッセイも収録しており,単なる展覧会のカタログというよりも読みもとのしての体裁を成している。構成は以下の通り。

テキスト
高山 宏「文字という世界,人という文字――ライプニッツ,ラファーター,ボルヘス」
武田雅哉「天書綺譚――バベルの塔の蒼頡たち」
中村敬治「バベルの図書館」
小松崎拓男「ひとつのアンソロジーとして――無限連鎖/文字遊戯」
畠中 実「バベルの図書館――メディア的解題」
カタログ(作者の言葉)
山口勝弘「ボルヘスとカサーレスの着想から」
幸村真佐男「ボルヘスの予言」
鈴木了二「「バベルの図書館」使用取扱書」
徐 冰「天地を嚇し鬼神を泣かす」

テキストとして寄稿されたのうち,著者を知っているのは高山 宏くらいで,彼が寄稿しているから,古書店で本書を見つけたとき,迷わず購入したようなものだが,どの文章も短いながら読み応えがあります。展示された作品も,その作品だけ見ても,その深いところを読み取るのは難しいと思うけど,こうして批評家の方達が文章を寄せ,作家本人も制作意図を明確に示してくれているので,ありがたいカタログです。
まあ,ともかくボルヘスという人物の偉大さを感じさせてくれるカタログでした。

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