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アリストテレス全集5

アリストテレス著,泉 治典・村治能就訳 1969. 『アリストテレス全集5 気象論 宇宙論』岩波書店,331p.,4000円.

アリストテレス全集は,3巻,4巻に続いて3冊目。気象論といっても,現代の気象学がカヴァーする範囲とはかなり異なる。まずは宇宙の話から始まる。というのも,その前段における四元素論があり,第五の要素としてのアイテールの話になり,そして全宇宙におけるアイテールの位置の説明から,流星や彗星,銀河の説明へと移るのだ。それがひと段落すると大気圏内の話になり(もちろん,アリストテレスの時代に大気圏などという概念はないが),雲や雨,霧や霜,など気象学的な話題が続く。そして第二部では地上における水や空気(どちらも四元素)の大きな流れを説明するなかで,海の役割や海水の塩辛い理由の説明,風の原因や地震や雷の原理などが説明される。
ここまでが第3巻だが,最後の第4巻になると,四元素についての詳しい説明が展開される。解説でも,この第4巻の位置づけは一貫性がないものとして諸説が説明される。ともかく,アリストテレスの自然学はこの四元素が基礎となり,しかもその原理である熱と冷,乾と湿とが物事を理解する根源にあることが理解できる。それほど徹底的にこの原理で全てを説明しようとしているから面白い。
さて,続く「宇宙論」だが,これは比較的短い。そして,なんと現代は「宇宙論」をアリストテレスの真作としては見做さないのが通説らしい。なので,「宇宙論」は本文を読むよりも解説文を読んだほうが面白いのだが,確かにそういわれると,これまで『自然学』,『生成消滅論』とアリストテレスの自然哲学を読んできた私にとっても,その矛盾というか首尾一貫しないところとかが本文には散見されるし,「気象論」からの繰り返しも少なくない。しかし,これまで私が読んだアリストテレスにはあまりなかった,神に関する記述はなかなか面白い。解説文によれば,この神の捉え方はやはりアリストテレス的というよりはプラトン的らしい。まあ,ともかくアリストテレス全集はその解説文が大きなもう一つの魅力で,分量的にも読み応えがあるのだが,今回の解説文からは,歴代の哲学史家たちが,この作品をどう捉えてきたのかが垣間見れて面白い。

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