『心中天使』見逃した
昨年に引き続き,日本地理学会の春季学術大会で発表する予定なので,なかなかblogに時間が割けず,1週間ぶり以上になってしまいました。また,週1回の映画をどれにしようか吟味すべきなのに,前売り券のある作品を優先してしまったために,2月5日から渋谷のユーロスペースで公開していた,尾野真千子主演の『心中天使』を見逃してしまった。まさか,3週間の上映とは。今回はかなり悔やみきれない。しかも,優先させて観た『白夜行』がイマイチだっただけになおさら。
まあ,下高井戸シネマでの上映を期待しましょう。こちらのチェックは欠かさずにしたい。さて,そんな感じでここ2週間で観た映画のことを簡単に。
2月20日(日)
府中TOHOシネマズ 『白夜行』
前の週に妻が観た朝一の時間で同じ劇場で観る。私が堀北真希目当てで,妻は高良健吾目当て。でも,妻は原作からして東野圭吾好きだし,私も彼の原作の映画はそれなりに観ている。しかし,テレビなし生活の私たちは当然テレビドラマ版は観ていない。そんなこの映画版は,『洋菓子店コアンドル』も公開中の深川栄洋監督によるもの。この2つの作品は明と暗の対照のような作品だが,彼は『真木栗ノ穴』の監督だと観た後で知る。そういえば,これにも出演していた粟田 麗も出演している。
さて,本作ですが,若き2人の俳優が,父親を殺害された息子とその容疑者を母親に持つ娘という役どころの物語ですが,実のところは当然子ども時代の配役は違うし,映画はその事件を担当した刑事を演じる船越英一郎を中心に展開する。そんな15年の時間の流れをたどる(原作は分厚い文庫本だから,パラパラめくっただけでも映画には登場しない数多くの人物とエピソードがある)。堀北も高良も高校生時代から自身が演じ,そういう意味では見所がないわけではないのだが,どちらも暗い過去をもつ人物を演じているだけに,身振りも表情も非常に控えめで観る者としてはちょっと物足りなさを感じる。
もちろん,だからこそ船越英一郎が一番の見所なのだが,もう一つ残念だったのが時代設定だ。『ノルウェーの森』や近日公開の『マイ・バック・ページ』など,まだ多くの人々の記憶にある時代の再現が最近の日本映画におけるブームだといえる。ちょっと前は,『Always』などのような,多くの人々の記憶にはない時代の再現によって,想像上の懐かしさを演じるのが流行ったこともあったが,今度は1970年代や1980年代だ。そういえば,仲 里依紗の実写版『時をかける少女』もそうだな。いっそ,『バブルへGO!!』くらいのネタとしての時代再現というのはいいのだけど,本作のような描き方は私はあまり好ましく思えない。まあ,2時間強の映画では描ききれない原作の存在というのもあるのだけど,確かにストーリーは魅力的ではある。だからこそ,ちょっと残念な映画ではあった。もう少し,経験豊富な監督だったらどうだろう,とあまりしてはいけない想像をしたくなる(ちなみに,深川監督は1976年生まれなり)。
2月27日(日)
新宿テアトル 『冷たい熱帯魚』
なんと,驚いたことに,本編上映前に予告編で次回作が宣伝された園 子温。もちろん,以前から問題作続きで有名ではあったが(といいつつ,私が彼のことを知ったのは『紀子の食卓』か『気球クラブ,その後』だった。あ,でも『奇妙のサーカス』も観ています),『愛のむきだし』で注目されるようになり,調子に乗っているのか,非常に精力的に仕事をしていますね。そんな彼が注目したのが吹越 満という脇役中心で俳優活動をしている人物。確かに,多くの作品でいい夫を演じ,いい父親を演じる彼の優しい笑顔の奥に狂気を感じるというのはよく理解できます。まさに,園監督はそんな吹越氏の俳優人生を具現したような作品です。
そしてその相手役がでんでん。私の世代の人間にとって,でんでんはイッセー尾形や九十九一などと同世代で「お笑いスター誕生」の常連出演者として馴染みのある,ある意味で笑いのツボにくるコメディアン。その後お笑いブームでビートたけしや明石屋さんまだのが出てくるが,私の笑いの原点は「お笑いスター誕生」。ギャグ・シンセサイザーはこの番組では滅茶苦茶強かったけど,その後ブラウン管のなかで見ることは少なかった。まあ,そんなでんでんももう老人に近い年齢。滑舌はかなり悪くなってはいるが,ほとんど言葉を発しない吹越氏と対照的に,次々と言葉を畳み掛けるでんでんの存在感は抜群。その脇で支える2人の女優たちも魅力的。『六月の蛇』以降,すっかりこんな役どころが板についている黒沢あすかとグラビア時代は知らないが,神楽坂恵はあまり抵抗なく裸体を疲労してくれる女優としては貴重な存在なのかもしれない。
まあ,ともかくそんな感じで園 子温ワールド全開で,前半はとても楽しめる内容でしたが,後半に入ってちょっとそのシチュエーションに慣れてくると,意外に拡がりを感じないストーリーだなって思えてきてしまう。どうせだったら,殺人の方法とその描写に力を入れるよりも,熱帯魚という存在に現代のグローバル化と環境問題を絡めていったほうがよかったようにも思う。
まあ,エンターテイメントとして楽しませてくれるのは確かです。
| 固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (0)




最近のコメント