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ライブハウス文化論

宮入恭平 2008. 『ライブハウス文化論』青弓社,222p.,1600円.

下北沢の研究を始めて,ライヴハウスの一般論についてもフォローしなくてはならなくなって急遽購入,読んでいる本を中断して読み始めた本。青弓社ライブラリーの一冊だが,このシリーズを読むのは初めて。このシリーズには第1回から何度か私が聴きにいっていた,多摩市が主催,パルテノン多摩を会場とした連続講演の記録がかなり含まれているがそれらも購入したことはなかった。
著者は1968年生まれで大学在学中から活動するミュージシャン。2003年からハワイ大学に留学して社会学修士を取ったという略歴。研究でももっぱら音楽を対象としている。といっても,本書ではほとんど理論や抽象的な議論はない。ミュージシャンとしての彼が長年お世話になってきた活動の場であるライブハウスを,客観的なデータや書かれ語られたさまざまな言説を集め(文献調査と聞き取り調査),そして日本のライブハウスを相対化するために米国に渡り,そしてカラオケといったジャンルも比較対象として扱っている。その比較研究と称した記述は時に冗長だったりするが,ライブハウスというテーマで1冊の本を書くという以上はやむをえないのかもしれない。
まあ,ともかくいろんなことを調べ,いろんな本を読み,勉強になることは多かった。そういう非常にオーソドックスな社会学モノグラフといった感じか。しかし,インタビューによる意見にかなり力を与えていることや,結論としてはミュージシャンとしての彼が日ごろ不満に思っている,日本のライブハウス独特の「ミュージシャンに課すノルマ」に議論が集中していて,それが故に日本の音楽はよくならないし,ライブハウスという存在の今後にとってノルマは障害である,的な論調はどうなのだろうか。まあ,だからこそ私の研究で論じることは多いのだが,本書ではライブハウスで行われるさまざまなイヴェントには全く言及されていないし,彼自身が恐らくロックというジャンルのミュージシャンなのだろうが,フォークやジャズに関する記述はあるものの,他のジャンルにはほとんど触れていないのも,ライブハウスの一面しか論じていないのではないかと思う。まあ,あくまでも彼はパフォーマー側にいて,私はオーディエンス側にいるということかもしれない。

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