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ここにキムサンがいた

岸ちあき 2009. 『ここにキムサンがいた』日本文学館,133p.,1000円.

作者はちょっとした知り合いで,本人からいただいた。いつもだったらどんな知り合いか書くところだが,この作者名はペンネームではなく本名なので,一応伏せておくことにしよう。
今のところ,職業小説家としてではなく,会社勤めをしながら作品執筆をしているという。詳しくは聞いていないが,まだ世に出た作品はそれほど多くないようで,単行本としてはおそらく初めての作品。普段なかなか小説は読まない私だが,引越し準備であらかたの本を片付けてしまい,読みかけの本2冊も読み終わってしまったので,ちょうどよい具合にいただいてすぐに読み始めることができた。といっても,100ページあまりの作品なので,市ヶ谷への通勤電車でほぼ読み終えることができた。後で聞いた話では,作者は以前演劇をしていたこともあるらしく,常に登場人物たちの立ち居振る舞いを想像しながら書いたようで,それを知らずに読んだ私もちょっとした映画を頭のなかに想像しながら読むことができた,そんな作品。職業小説家ではないこともあり,前半は妙に言い回しが凝っているのが鼻についたり,シーンの切り替えがスムーズではなく唐突な感じがしたりしたが,さほど多くない登場人物のキャラクターと関係性がつかめてくるところで,話の展開がドラマティックになっていったりして,けっこう引き込まれた。作者は女性だが,男性読者として男性主人公にけっこう感情移入できるようにうまく書かれている。
小説を書いたこともない私が書くのも偉そうだが,文章はまだまだ改善の余地が多く残されているが,発想とプロット構成のうまさはなかなか。真面目な話,映画化しても十分楽しめる原作になると思う。次回作を楽しみにしたい。

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