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詩的言語の革命 第一部 理論的前提

ジュリア・クリステヴァ著,原田邦夫訳 1991. 『詩的言語の革命 第一部 理論的前提』勁草書房,346p.,3200円.

今,場所研究の一環として,プラトンのコーラ概念を検討している。コーラ概念に着目したのはどうやらデリダの『ポジシオン』の方が先のようだが,クリステヴァはこの概念を本格的に取り込み,本書では自らの批評を「コーラ・セミオティク」と名付ける。ということで,読まなくてはならなくなった本。クリステヴァは,

『テクストとしての小説』(原著1970年,翻訳国文社)
『セメイオチケ』(原著1969年,翻訳せりか書房)
『ポリローグ』(原著1977年,翻訳白水社)
『ことば,この未知なるもの』(原著1981年,翻訳国文社)

と,初期の作品中心だが,本書は5冊目。ちなみに,原著は1974年に出版されたもので,彼女の国家博士号請求論文だそうだ。詳細目次は省略するとして,大目次を一応記しておこう。

I セミオティクとサンボリク
II 否定性ー棄却
III 異質なもの
IV 実践

いやいや,これまでのクリステヴァ作品のなかで一番読みにくい。翻訳は『セメイオチケ』と同じ人なので,翻訳のせいではないはずだ。博士論文だからか。非常に急いで論を進めている感じがするが,かといって彼女のはじめての本でもないし。
コーラ・セミオティクというのは冒頭第2章で登場するが,プラトンの詳細な検討から導かれる概念ではない。議論はフッサールやフレーゲに関するものに移行する。II,IIIはフロイトを中心にヘーゲルなども交えて,難しくはあるがまとまりはある。でも,Iとの関連はさっぱり。第I部は他の著作同様に,そして本書では第二部以降のテクスト分析の前提としての理論編かと思いきや,IIとIIIは文学的なものとは無縁のような。でも,所々でマラルメやロートレアモンの名前が出てきて,実際に第二部以降ではそれらの作品が取り上げられるようだ。
そう,そもそもにして私には馴染みの薄いマラルメやロートレアモンの作品を取り上げるということで,その理論的前提はかなり複雑なものにならざるを得ないと理解するほかない。まあ,コーラ概念の含意としては読書の甲斐はあったと思うが,第二部以降はとても読む気になれない。

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