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2011年12月

今年の映画は61本

何やら年末は忙しくなった。東京経済大学で非常勤講師として教えるようになって10年以上になるが,そこのコミュニケーション学部にあるコミュニケーション学会の雑誌『コミュニケーション科学』に初めて論文の掲載をお願いした。原稿提出は9月だったが,何の音沙汰もなく,突然初稿チェックが送られてきて,先日はその確認としての第二校。学内の人は基本的には無条件で掲載されるようで,この雑誌は大学の紀要扱いでもあるが,私のような学外の人間には一応レフェリーがつくとのこと。でも,全く修正要求もなく,掲載が決定したようです。来年2月発行予定。
一方,『地理科学』に投稿中の下北沢論文も大詰めを迎え,なんとか条件付きの受理。なんと,前回の審査結果の紙の両面印刷された裏面を見逃していて,英文要旨のネイティヴ・チェックをしていなかったのだ。私は英語のネイティヴ・スピーカーなど知り合いがいないので,学会に紹介してもらうことになっていた。ということで,急いでウェブ上で依頼。どうやら1日2日でやってくれるらしい。しかも,1ワード6円ということで,200ワード足らずの英文要旨だったら1000円強でできちゃうらしい。どんなものが仕上がってくるのか。
今年の後半は『地政学入門』という英文教科書の翻訳にも携わった。11月の人文地理学会の時の会合で,訳者がつかなかった1章も受け持ってしまったので,その翻訳を進める。年内が締め切りだったが,まだ5分の3。急げ。そうした翻訳の仕事は会社勤めの平日に,昼休みを使って行っている。以前はそれこそこのblogの更新などをしていたわけだが,ウェブ利用の管理が厳しくなって,やることがなくなったので,翻訳をすることになった。『地政学入門』の仕事がくるまえにコツコツと翻訳していた1996年の論文があるのだが,これを『空間・社会・地理思想』に掲載してもらおうと,この時期になって連絡をしたら,ちょっとした大事になってしまった。翻訳権を取得してほしいというのだ。しかも,その支払い方法について出版側と編集側とで意見の不一致があったり。ともかく,私は英国の出版社のウェブサイトから申し込みをしたり。
さらに,1月後半が締め切りの日本地理学会の春期学術大会の口頭発表に申し込もうと準備を進めている。年末年始は3泊4日で帰省する予定だが,やらねばならないことがたまっていてちょっと不安。

さて,ということで日記もたまってしまっていたが,今日で今年の映画も観納めたので,それについてだけは書いておきたい。ちなみに,先週から観てきた3本はそれも女性の裸体が拝めるベッドシーンありの作品だった。

12月18日(日)
新宿テアトル 『恋の罪
園 子温は最近勢いづいている。『奇妙なサーカス』から彼の作品はよく観ているが,あの作品が2005年だったことに驚く。宮崎ますみ主演だったせいもあって,もっと昔かと思った。途中観ていない作品もあるが,7年間で7本の作品を観ている。『奇妙なサーカス』から,その溢れるエネルギーを感じ取ることはできたが,上映時間4時間の『愛のむきだし』以降,そのエネルギーがさらに加速している。しかも,1年に複数本を撮影している。
本作は水野美紀を含む3人の女性の体当たりの演技というのが話題になっていたが,水野美紀が裸体を披露したのは冒頭の短いシーンだけ。『冷たい熱帯魚』で裸体を披露し,本作にもさらに磨きを上げた体当たり演技で出演している神楽坂 恵はなんと監督と結婚してしまった。と,いろいろ話題のつきない作品ではあるが,やはり疲れる映画鑑賞ではあった。しかし,精神的な刺激があったかというとそれほどでもない。彼の作品世界に慣れてしまったのだろうか。何度となく繰り返されるセックスシーンはある意味で退屈で,逆にそれが狙いだと思えるほど。欲望と金にまみれたセックスなど,傍観する価値もないつまらないものなのだと。

12月24日(土)
渋谷TOHOシネマズ 『フィフティ・フィフティ
妻が最近お気に入りのジョセフ・ゴードン=レヴィット主演作。どこかの記事で評論家が,この俳優をエドワード・ノートンと似ていると書いていたが,私も同感。これから,どんな俳優になっていくのだろうか。本作は主人公が27歳にして治療の難しい癌におかされ,生存率が五分五分だという設定。後に別れることになる主人公の恋人役を演じるのはなんと,『マンダレイ』主演の美女でした。そして,『マイレージ・マイライフ』のアン・ケンドリックも出演。なんだか,ぎこちない2人の関係が面白い。主人公の母親役にはなんと,アンジェリカ・ヒューストンが抜擢されているが,もう少し面白い役どころでも良かった気もします。

12月29日(木)
新宿シネマート 『ラブ&ドラッグ
今年最後の作品として選んだのはアン・ハサウェイ出演作。一応主演はジェイク・ギレンホールの方だが。最近多いこの手のラブコメ。ラブコメといえば以前は健全な男女の恋物語だったが,最近はどちらかが何かしらの問題を持っているものが多い。そして,セックス先行。後から愛情みたいなパターン。本作は女性の方がパーキンソン病を抱えているという。しかし,病気のことは忘れてセックスを楽しみたいということでつながる2人。本作で,アン・ハサウェイの脱ぎっぷりがいいという情報は仕入れていたけど,あれほどとは。でも,なぜか嫌らしい感じがしないのが不思議。監督は『ブラッド・ダイヤモンド』のエドワード・ズウィッグだというからちょっとびっくり。冒頭はいかにもアメリカンなコメディタッチでいまいち乗れなかったが,アン・ハサウェイの出番が多くなってきてからはなかなかいい展開でした。やはり彼女はいい女優さんです。

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渋谷で映画2本

12月9日(金)

渋谷ユーロスペース 『不惑のアダージョ
井上都紀という1974年生まれの女性監督の作品で,なにやら注目されているようなので,観ることにした。主演が歌手の柴草 玲ってところも気になります。ライヴには行ったことがないけど,私がかつて通っていたお店でよく演奏しているようで,以前から名前だけは目にしていたので,そういうところも気になります。
ホームページにはきちんと記されていないが,恐らく監督人によるオリジナル脚本だと思う。「不惑」というのは40歳のことで,主人公は教会のシスター。当然のことながら男性経験がなく,しかも最近は更年期障害らしき症状をおぼえてくる。不惑ところか,信者の悩みを聞く立場(まあ,実際にシスターはそんな立場にはないかもしれないが)どころか,この先の人生をどうするのか,そんな一女性の生き方を,穏やかにひっそりと描く。まあ,こうやって書くと各方面から絶賛の声が寄せられる理由も分からないではないが,個人的にはあまり好きな作品ではなかったかな。
その一つの原因は映像。デジタルカメラで撮影されていると思うが,画質がけっこう荒くて映画館で観るというよりは,ちょっとした試写室で観た方が印象は良かったかも。でも,きっとこの監督の次回作も観に行くんだろうな。

渋谷シネクイント 『ハラがコレなんで
昼食をとって引き続き観たのは,石井裕也監督最新作。彼の作品もこれといって好きなわけではないんだけど,なるべく観ておきたいと思う。今回は特に仲 里依紗が主演ということで,とりあえず観ておかなくては。『あぜ道のダンディ』はちょっとクセがなくなった気がしたけど,今回はくどいほどクセがありますね。このクセはけっこう好きです。最近映画でもよく出てきている若手俳優中村 蒼が里依紗ちゃんのお相手なんだけど,彼の登場シーンがすごい。石橋 凌が育ての親という設定で,2人で定食屋を切り盛りしている。暗い店内の厨房にたたずむ2人という映像がなかなかすごい。若手俳優には似つかわしくない登場シーンがさすが。そして,主人公が幼い頃住んでいた長屋の大家さんを演じる稲川実代子というおばさんの存在感。どこかで観たことがあると思えば,石井監督の『川の底からこんにちは』でもその存在感を示していましたね。
ついでに斉藤慶子のやくどころなんてのもニクい感じですが,全般的に長い。くどい映画なんだから,その分上映時間は短くして後味すっきりにしてほしかったのに,主人公の「粋」へのこだわりがしつこすぎて,本当に田舎町の定食屋でハラがはち切れんばかりの味が濃い野菜炒めを食べた感じ。まあ,それがこの作品のこの作品たる所以なのかも知れません。

ちなみに,この日観た作品に共通していることが2つありました。一つはお米を研ぐシーン。最近のお米は精米技術が進んで,そんなに力を込めなくてもいいということになっていて,洗い方は米の袋にかいてあるのに,どちらも間違っている。いわゆる映画的な演出だ。それから,もう一つは出演者。どちらにも幸薄そうな中年男性役として千葉ペイトンという俳優さんが出演していました。

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宝島

スティーヴンスン著,阿部知二訳 1963. 『宝島』岩波書店,310p.,410
円.

こちらもレポートの課題としていた一冊。もう一冊の『ロビンソン・クルーソー』(1719)よりもだいぶ新しく,原著は1883年に出版された。歴史を古い方からたどっている講義がようやく『ガリヴァー旅行記』(1726)だから,ちょっと新しすぎた。
まあ,現代ではディズニー映画の『パイレーツ・オブ・カリビアン』やちょうど公開中のスピルバーグ映画『タンタンの冒険』,そして日本で人気の漫画『ONE PIECE』(これについては受講者がレポートに書いていた)などの原点として本作を位置づけることはできるが,講義で話をしているテーマとの関連はあまり見出せないことが分かってがっかり。そして,学生さんには少し悪いことをしたような気もします。
本作が執筆されたのは19世紀後半だが,舞台として設定されているのはほぼ1世紀前ということになっている。さすがに,19世紀後半には海賊はいなかったのか。海賊というのも地理学的には面白い歴史的テーマだが,存在が存在だけに私が読んだ歴史書の類いでまともに登場したことはない。しかし,断片的には18世紀における海洋覇権国としての大英帝国を思わせるような記述もあるし,無人島の設定は『ロビンソン・クルーソー』からの文学的影響もみてとれる。
しかし,『ロビンソン・クルーソー』のリアリティに比べたら,子どもが主人公という時点から明らかにフィクションであることが前面に出ているのは,やはり19世紀後半という時代のせいだろうか。ともかく,一度読んでおいてもいい本であることは間違いない。そして手塚治虫のデビュー作である『新宝島』(1947)を読み直してみようと思う。

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Questioning geography

Castree, N., Rogers, A. and Sherman, D. (eds.) 2005. Questioning geography. Blackwell, Malden.

本書は新宿の高島屋タイムズスクエアでやっていた洋書フェアを物色していたら見つけたもの。タイムズスクエアの隣には紀伊国屋書店があり,この店舗は洋書が充実しているので,そこから流れてきたものだとは思うが,まさかバーゲン品のなかに地理学書が入っているとは思わず,しかも出版年も比較的最近で編者の一人がCastreeだということで,目次を見た時はどうかと思ったが,買っておかないと,この本の存在自体が私の記憶から消えそうな気がして購入した。
10月初めに読み始め,けっこう一気に半分くらい読み進んだが,それから学会発表の準備のために読まなければならない本があったり,講義の関連で読まなければならないものがあったりで頓挫していた。読んでいる時は1章ずつ丁寧に紹介するつもりだったが,はじめの方は読んでから随分時間が経って詳細は思い出せない。そもそも,辞書なしで読んでいるので,理解もその程度だし。目次だけきちんと紹介することにして,内容については大雑把に書くことにしよう。

序章:地理学を問う
第1部 地理学の「本質=自然」
1 地理学ー縫い目において離れていくこと ロン・ジョンストン
2 分離した学問分野? ヘザー・ヴァイルズ
3 どんな差異が地理学に差異を与えたのか? キャサリン・マキトリック,リンダ・パーク
第2部 地理学における諸アプローチ
4 地理学は科学か? ノエル・キャストリー
5 自然地理学はどんな科学か? スティーヴン・ハリソン
6 科学を超えて?人文地理学,解釈,そして批判 モリーン・ヒッキー,ヴィッキー・ローソン
第3部 地理学における主たる論争
7 一般/特殊 ティム・バート
8 過程/形態 ブルース・L・ローズ
9 表象/現実 マシュー・ハンナ
10 メタ理論/諸理論 マイケル・R・カリー
第4部 地理学の実践
11 地図学と視角化 スコット・オーフォード
12 モデル,モデル化,そして地理学 デイヴィド・デメリット,ジョン・ウェインライト
13 民族誌とフィールドワーク スティーヴン・ハーバート,ジャクリン・ギャラガー,ガース・メイヤーズ
14 計量と計測:ハッピー・ヴァレンタインズ・デイ
15 理論と理論化 エルスペス・グラハム
16 社会に対する政治的に妥当な地理学? アリスデア・ロジャース
17 誰の地理学か?政治学としての教育 ノエル・キャストリー

編者であり,2章分を担当しているキャストリーは近年とても活躍している英語圏の地理学者である。私も2001年の『地理学評論』に掲載した論文で彼の1995年の論文を引用している。自然というテーマの人文地理学研究として先駆的な立場にいる研究者だ。
なので,本書は人文地理学と自然地理学の双方を含む地理学における問題を論じようとするものである。ということで,ある意味では楽しみにしていたのだが,けっこう本書を貫くのは,なぜ地理学は人文地理学と自然地理学との間に大きな溝が開いてしまったのか,という多少陳腐なテーマにあったことが読んでみて分かった。といっても,各章の分量を減らした分,執筆者を増やし,各章で論じるテーマを限定した編集方針が,章によっては功を奏し,興味深い論点もあったりする。
第2部は地理学は科学かという根本的なテーマを,自然科学に依拠する自然地理学と,人文・社会科学に依拠する人文地理学とを同列で論じようとするのはなかなか新鮮だ。
第3部は地理学に限らず議論の的になる二元論や二項対立に焦点当てるという,なかなか珍しい企画。第4部についても地理学に関わる研究実践の部分に焦点を当てている。しかし,自然地理学に関する議論はほとんどが地形学に関するもので,デイヴィス理論などが検討されている。気候学とか植物地理学とか,もうちょっと多岐にわたってもいいのになって気がする。
筆頭編者のCastreeが書いている,最終章はけっこう面白い。一応地理学の学生・院生を読者として想定している本書だが,大学における地理学の教育についてかなり根本的に問いかけているのだ。英語圏は知らないが,日本の地理学ではけっこう地理教育の分野がきちんと確立しているので,こうした根本的な問いかけをしにくい雰囲気にある気がするが,やはりこういう議論ができるようになるといいんだろうな。

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息子,歩き出す

誕生日から一ヶ月が経ちました。誕生日の時に私の母がわが家に泊まりにきて,息子とよく遊んでくれましたが,そのなかで歩行練習もしていました。それ以前からつかまり立ちと伝い歩きはするようになっていたのですが,伝い歩きは横歩きだし,椅子に掴まらせて椅子を引きながらの歩行練習をきっかけに,歩くこと自体に興味を持ったようです。それからの上達ぶりはけっこう早かった。
しかし,1週間以上体調不良になってしまい,体力も落ち,せっかく覚え始めた歩行が停滞してしまいました。今回の体調不良は風邪の症状でした。これまでも鼻が詰まることはよくあったのですが,今回は喉風邪。そして,大人の風邪のように,喉から鼻へ。しかも,今回は単なる鼻づまりではなく,鼻水がたれ,医者でもらった薬を飲み続けてもなかなか治らず。そんなこんなで一週間経ったところで,急な発熱。39℃弱の熱が2日間くらい続き,最後に発疹。周りのママ友に聞くと,どの子どもも一度は経験しているらしいが,本格的な発熱は初めてだったので,本人も辛かったようです。発疹もようやく落ち着いてきて,元気に歩きの練習ができるかな。

11月25日(金)

渋谷ヒューマントラストシネマ 『ラビット・ホール
ニコール・キッドマン主演最新作。ニコール・キッドマンといえば,彼女のことを知らずに観た『ある貴婦人の肖像』で,その美貌に驚いたものですが,1997年の作品でしたね。彼女は現在44歳で,この時はちょうど30歳だったようです。それからもけっこう主演作品を観てきていますが,加齢がプラスになりにくいタイプの美人なので,最近はあまり観たいという気になりませんが,監督がなんと『ヘドウィッグ・アンド・アングリー・インチ』のジョン・キャメロン・ミッチェルということで,急に観たくなった。アーロン・エッカートが夫役で,幼い息子を事故で亡くしてしまったという設定。この手の設定も最近少なくないが,本作の興味深いところは,主人公がその悲しみに耐えるために何かに頼ろうとしないこと。アメリカ映画によく出てくるのが,悲しみや苦しみを共有しようというお話し集会。よくあるのが,ドラッグ中毒やアルコール依存症だが,本作で出てくるのは,幼い子どもを亡くした両親たちの集う会。ニコール演じる主人公は,神を拠り所にしようとするこの会のメンバーたちのお涙頂戴の話に我慢ならない。そして,この会の中心的なメンバーの女性として出演しているサンドラ・オー。この中国系(?)の女優を初めてどの作品で観たのか思い出せないが,日系人の役もやっていたと記憶している。本作の役どころもなかなか。
本作のアーロン・エッカートもいまいちだし,ニコールもその演技が称賛に値するというわけでもない,というのが正直なところ。しかし,その母親役を演じたダイアン・ウィーストと,事故を起こした少年を演じたマイルズ・テラーという俳優がなかなかいい。この監督もこういう普通の作品を普通に撮るんだなと納得して,観るべきところはある,という評価です。

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