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Questioning geography

Castree, N., Rogers, A. and Sherman, D. (eds.) 2005. Questioning geography. Blackwell, Malden.

本書は新宿の高島屋タイムズスクエアでやっていた洋書フェアを物色していたら見つけたもの。タイムズスクエアの隣には紀伊国屋書店があり,この店舗は洋書が充実しているので,そこから流れてきたものだとは思うが,まさかバーゲン品のなかに地理学書が入っているとは思わず,しかも出版年も比較的最近で編者の一人がCastreeだということで,目次を見た時はどうかと思ったが,買っておかないと,この本の存在自体が私の記憶から消えそうな気がして購入した。
10月初めに読み始め,けっこう一気に半分くらい読み進んだが,それから学会発表の準備のために読まなければならない本があったり,講義の関連で読まなければならないものがあったりで頓挫していた。読んでいる時は1章ずつ丁寧に紹介するつもりだったが,はじめの方は読んでから随分時間が経って詳細は思い出せない。そもそも,辞書なしで読んでいるので,理解もその程度だし。目次だけきちんと紹介することにして,内容については大雑把に書くことにしよう。

序章:地理学を問う
第1部 地理学の「本質=自然」
1 地理学ー縫い目において離れていくこと ロン・ジョンストン
2 分離した学問分野? ヘザー・ヴァイルズ
3 どんな差異が地理学に差異を与えたのか? キャサリン・マキトリック,リンダ・パーク
第2部 地理学における諸アプローチ
4 地理学は科学か? ノエル・キャストリー
5 自然地理学はどんな科学か? スティーヴン・ハリソン
6 科学を超えて?人文地理学,解釈,そして批判 モリーン・ヒッキー,ヴィッキー・ローソン
第3部 地理学における主たる論争
7 一般/特殊 ティム・バート
8 過程/形態 ブルース・L・ローズ
9 表象/現実 マシュー・ハンナ
10 メタ理論/諸理論 マイケル・R・カリー
第4部 地理学の実践
11 地図学と視角化 スコット・オーフォード
12 モデル,モデル化,そして地理学 デイヴィド・デメリット,ジョン・ウェインライト
13 民族誌とフィールドワーク スティーヴン・ハーバート,ジャクリン・ギャラガー,ガース・メイヤーズ
14 計量と計測:ハッピー・ヴァレンタインズ・デイ
15 理論と理論化 エルスペス・グラハム
16 社会に対する政治的に妥当な地理学? アリスデア・ロジャース
17 誰の地理学か?政治学としての教育 ノエル・キャストリー

編者であり,2章分を担当しているキャストリーは近年とても活躍している英語圏の地理学者である。私も2001年の『地理学評論』に掲載した論文で彼の1995年の論文を引用している。自然というテーマの人文地理学研究として先駆的な立場にいる研究者だ。
なので,本書は人文地理学と自然地理学の双方を含む地理学における問題を論じようとするものである。ということで,ある意味では楽しみにしていたのだが,けっこう本書を貫くのは,なぜ地理学は人文地理学と自然地理学との間に大きな溝が開いてしまったのか,という多少陳腐なテーマにあったことが読んでみて分かった。といっても,各章の分量を減らした分,執筆者を増やし,各章で論じるテーマを限定した編集方針が,章によっては功を奏し,興味深い論点もあったりする。
第2部は地理学は科学かという根本的なテーマを,自然科学に依拠する自然地理学と,人文・社会科学に依拠する人文地理学とを同列で論じようとするのはなかなか新鮮だ。
第3部は地理学に限らず議論の的になる二元論や二項対立に焦点当てるという,なかなか珍しい企画。第4部についても地理学に関わる研究実践の部分に焦点を当てている。しかし,自然地理学に関する議論はほとんどが地形学に関するもので,デイヴィス理論などが検討されている。気候学とか植物地理学とか,もうちょっと多岐にわたってもいいのになって気がする。
筆頭編者のCastreeが書いている,最終章はけっこう面白い。一応地理学の学生・院生を読者として想定している本書だが,大学における地理学の教育についてかなり根本的に問いかけているのだ。英語圏は知らないが,日本の地理学ではけっこう地理教育の分野がきちんと確立しているので,こうした根本的な問いかけをしにくい雰囲気にある気がするが,やはりこういう議論ができるようになるといいんだろうな。

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