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ゲルハルト・リヒター 写真論/絵画論

ゲルハルト・リヒターほか著,清水 穣訳 2005. 『増補版 ゲルハルト・リヒター 写真論/絵画論』淡交社,279p.,2800円.

またリヒター関係ですみません。本書はドイツ語の原著『Gerhart Richter Texte: Schriften und Interviews』(1993年)の抜粋訳として1996年に出版されたものに2000年以降のインタビューを加え,そのなかで言及されているリヒター作品の図版を掲載したもの。Amazonで原著を調べたら,2009年に最新版が600ページにもわたる英語版として出版されているらしい。ドイツ語ができない私にはありがたいことだが,価格が3000円台で手に入るにしても,個人で所有するようなものか悩む。
しかし,図版も含めて279ページの日本語版がどれだけの抜粋なのかはちょっと想像がつく。研究上で彼の言葉を利用するのであれば,全文を入手するのは必死かもしれない。しかし,このリヒターという芸術家は多くの言葉を残している。これまで,リヒター関係の文章を読み続けているが,作品の真の意味を引き出すのに,彼自身の言葉を利用している人が多いことが分かる。彼自身は,言葉にできないものを視覚芸術にしている,というようなことを言っているのにだ。
いくら,芸術作品の解釈は観る者の自由であって,作者の意図が真なる作品の意味とは限らないといってみたところで,やはり作者の考えとは全く異なる解釈をしてしまわないかという不安から,作者の言葉は読んでしまう。

さて,前置きが長いが,本書は原著のタイトルにあるように,インタビュー集とノート集である。インタビューはともかくとして,記した年を記録したノートが1962年から存在するというのもこの芸術家の特徴といえようか。世界的な名声を得る芸術家だからこそ,哲学者でもあるわけだが,やはり彼の言葉は強い。これらを絶対視しないように作品に立ち向かうことが必要だ。

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