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新年度開始

以前こちらでお知らせした私の新しい論文がアップロードされました。無料でダウンロードできますので,よろしければどうぞ。
こちらです。


法政大学の非常勤での講義は昨年度でもって打ち切りになった。会社の方はこれまで週4日で契約していたが,年度末は会社も忙しいので,できるかぎり金曜日も出勤していたが,最近は私の作業は一段落してしまい,講義はなくなったものの,金曜日もお休みすることになることが多くなりそうだ。

4月6日(金)

この日は妻の以前の職場の知人と新宿御苑でお花見をすることになった。私は一足先に新宿に出かけて映画を1本。

新宿テアトル 『海燕ホテル・ブルー
実は若松孝二監督の作品はあまり観る気にならず,これまで観てこなかったが,本作は珍しく史実に基づくものではなく,純粋なフィクションということで観てみることにした。『実録・連合赤軍 あさま山荘事件』でも重要な役どころで出演していたという地曳 豪が主演。ARATAこと井浦 新も同じく共演していたらしい。やはり若松監督作品で三島由紀夫を演じるARATAはその影響を受けて漢字表記の本名で俳優をしていくことになったらしい。たしかに,この名前と甘いマスクを含め,これまで通りのチャラい感じではやっていけませんな。年齢的にもいい判断かもしれない。
さて,本作だが,やはりこの監督の作品は私の感性には合わないということが確認された。

その後,友人がわが家に遊びにきて,近所の有名なしだれ桜のあるお寺にお花見に行ったり,花見の機会の多い一週間でした。とりあえず,観た映画だけを報告。

4月13日(金)

府中TOHOシネマズ 『僕達急行A列車で行こう
急死してしまった森田芳光監督の最後の作品となったこの作品。昨年湯布院映画祭でいち早く公開された。このblogにもよくコメントをくれる岡山のTOMさんはこの映画祭の常連なので,当然本作をいち早く鑑賞し,監督も交えたトークセッションにも参加していて,その様子はネットのニュースにも流れていた。それによると,いわゆる一般受けしそうな恋愛映画には仕上がっていないが,それだからこそ映画ファンにはたまらない出来になっているという。期待を込めて臨みます。
主演は松山ケンイチと瑛太で,一応,貫地谷しほりや村川絵梨,松平千里といったヒロインも登場するが,基本的に恋愛はイマイチ発展せずに,主人公2人の鉄道マニアぶりが遺憾なく披露されるという物語。いやあ,何がいいと説明しづらいのだが,久し振りに胸きゅんきゅんいわせ,笑いながらの鑑賞になった作品。肩肘張らずに,周りを遠慮せずに笑える映画(でも,大笑いではない),こういうの最近なかったなとしみじみ。森田監督の作品は絶対に観るというほどのファンでもないが,やはり適宜その時々の社会の状況で,必要とされる雰囲気を読み取って作品にしている,そんな印象を受ける。
もちろん,「オタク」的なものは社会に浸透してすっかり日本が国外に発信する文化の代表みたいになっているが,本作は鉄道オタクと,オタクのなかでも古い部類のものを扱い,しかもそれが一枚岩的に捉えられずに,多様性をもっていることが示される。そして,そうした人々が特殊な人種なのではなくどこにでもいる普通の人であり,オタクになるにはそれぞれの事情と育ってきた環境,さまざまな人とのつながり,あるいは社会のなかでの自己主張,そうしたものから成立していることを知ることができる。恋愛的な事柄についてはリアリティに欠けるところがあるような気もするが,一応主人公たちを男性に設定したところにおいて,男性鑑賞者を念頭においた恋愛物語になっているような気もする。だから,成熟しない恋愛の展開は私のような鑑賞者にはむしろ胸きゅんしちゃうのだ。ちなみに,村川絵梨のことは2004年の『ロード88』の主演で知っていたが,それ以降はぱっとせずちょっと気になっていた。でも,本作ではなかなか魅力的な女性として登場してひとまず安心。松平千里というのは古風な感じのちょっとセクシーな雰囲気を持つ,なかなか本作でも魅力的な女優だが,まだ若いらしい。今後にも期待したい。
そして,本作にはまだまだ映画によく出演している松坂慶子に加え,なかなか近年映画では観ることのできない星野知子や伊東ゆかりなども登場するのはちょっと嬉しい。テーマは鉄道マニアということですが,映画マニアにとって大事なものがいくつもつまった作品をしっかりと森田監督は残していったんだと思える作品でした。

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コメント

「僕達急行」、かなり楽しまれたようで何より。嬉しいです。
森田監督作品は、劇場用長編デビュー作「の・ようなもの」からずっとスクリーンで観ていますが(初期のまだマイナー監督の頃は大阪の映画館で)、今作は「の・ようなもの」を思い出させる軽さと得も言われぬ可笑しみを湛えており、森田芳光らしい作品になっていました。
先日、シネコンで再見してきたので、今日ぐらいに感想日記をmixiにアップする予定です。

投稿: 岡山のTOM | 2012年4月18日 (水) 16時29分

TOMさん

mixi日記には今年のベストテン候補と書いていましたが,その後どうですか?
私は今のところ日本映画は9本ですが,ベスト3には入りますね。1番にしてもいいくらいです。
恐らく,監督が亡くなったことで本作はなんらかの映画賞を取るでしょうが,そういう優遇処置なしの評価が知りたいところです。

投稿: ナルセ | 2012年4月20日 (金) 14時31分

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