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父息子監督

4月30日(月,祝)
銀座テアトルシネマ 『ルート・アイリッシュ
ケン・ローチ監督最新作。今はなき六本木のシネ・ヴィヴァンでケン・ローチ特集をやっていた時に観た『ケス』は驚くべき作品だった。さらに驚きは、『ケス』は1969年の作品なのに、この監督はいまだ現役で作品を撮り続けているということ。日本で公開された作品を全て観たわけではないが、1998年の『マイ・ネーム・イズ・ジョー』、2002年の『SWEET SIXTEEN』、2004年の『やさしくキスをして』、2005年の『明日へのチケット』(3人の監督による短編集)、2006年の『麦の穂を揺らす風』、2007年の『この自由な世界で』などを観てきた。全てではないが、彼の作品は政治色が強く、しかも彼の住む英国、ないしアイルランドの問題を鋭く描く。今回もタイトルからしてアイルランド問題かと思いきやそうではなかった。
「ルート・アイリッシュ」というのはイラクのバグダッド空港から市街地を結ぶ道路のことをこう呼んでいるという。世界で最も危険な地帯とされる。この作品のなかでは主人公の親友がここで亡くなる。私たちはイラク戦争において、戦場に乗り込む兵士は米兵か国連兵だけだと思っていたが、実はヨーロッパで斡旋企業が募った民間兵が多くいたということを知らされる。舞台は2007年ということになっているが、日本同様経済的に厳しい英国では、こうした戦争までもが企業活動や個人の金稼ぎに利用されているのだという。主人公もその一人。稼ぎがいいので、親友も巻き込むのだが、不幸にも彼はイラクで亡くなってしまう。その死を不審に思った主人公が真相究明していくという物語。どこまでが事実に基づくのかは分からないが、やはり考えさせられることの多い作品。

5月2日(水)
神保町岩波ホール 『オレンジと太陽
次に観た映画はなんと、ケン・ローチ監督の息子さんジム・ローチが監督したという作品。やはりこちらも政治色の強い作品です。そして、こちらは史実に基づく物語。主演がエミリー・ワトソンというのも魅力的です。1980年代半ばが舞台。エミリー演じる主人公は社会福祉士。ある日,オーストラリアから来た女性が彼女を訪ねる。自分が何者か分からず,幼い頃のかすかな記憶を頼りにやっとの思いで探し当てた書類によると,自分は英国出身だという。すると,彼女の周りにそういう人物が次々と現れる。幼い頃に子どもたちばかり大勢で船に乗って英国からオーストラリアに移住した子どもたち。親は死んだと聞かされて孤児院に入れられ,その後にオーストラリアに送られ,そこでは教会や孤児院で虐げられながら育ったという。二児の母である主人公は職場に休職を願い出,夫に協力してもらって調査を開始する。一方では,職場の理解により休職期間を長くしてもらったり,基金を設立してもらったり,実際に親子の対面を実現したりと順調な一方で,その調査をよく思わない人々からさまざまな弾圧を受ける。また,主人公は個人的にもそうした孤児たちの話を聞くたびに精神的なダメージを受けてしまう。それでも,その調査は現在まで続けられているという物語。いやいや,さすがというのか,初長編監督作品とはとても思えない出来。さすがに,父親ほど,真に迫るような迫力のある場面は少なかったが,まあ父親と全く同じ路線にする必要はありません。今後も注目していきたい監督ですな。

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