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新年

もう2週間が経ちましたが,2013年初めてのblogです。このblogを始めたのが2007年7月からなので,5年以上が経っています。また,今年もよろしくお願いします。
とりあえず,昨年観た最後の映画についてまだ書いていないので,そこから。

2012月12月29日(土)

新宿テアトル 『グッモーエビアン!
なんとなく,テアトルに来た時に公開前に前売り券を買った作品。大泉 洋は取り立てて好きだというわけではないが,麻生久美子さん出演作は一応チェックしておかなきゃ,ということと,麻生さんの娘役として出演していた三吉彩花という女優さんもなかなか奇麗だし。そんなに期待していなかったが,けっこう楽しめた作品。不器用だがバカ正直という大泉 洋によくありがちなキャラで,とても分かりやすいテレビドラマ的作りではあるが,映画としてのできも悪くないので,そういうベタな展開にも覚めることなくのめり込めた映画。妊娠中の麻生さんも今までになくおっぱいが大きいという魅力もあったし,三吉さんと高校の同級生を演じた能年玲奈ちゃんもなかなかだった。ちょっとかなりくどい役どころだったが手加減なくくどさを演じきっている。思わず泣いてしまった。

2012年に観た映画は全部で72本。2011年が61本だから若干増えました。そのうち日本映画が36本ですからちょうど半分,その他米国は15本,英国が8本,フランスが4本という結果。

2013年1月4日(金)

この日はたまに集まって研究会をしている地理学者3人との新年会ということで,その前に映画を1本。

日比谷TOHOシネマズシャンテ 『愛について,ある土曜日の面会室
カトリーヌ・ドヌーヴも絶賛したというフランスの新鋭監督の作品。刑務所に収監された人と社会に残されたその関係者を描く作品。といっても,刑務所の中の生活を描くわけではなく,限られた時間で許される面会時間に焦点を当てる。登場するのは3人の囚人。それぞれの関係者が複雑な事情を抱えているので,簡単には説明できないが,1本の映画の限られた上映時間の中でうまく表現しきっていると思う。単に脚本がいいとか,演技がいいとかではなく,全体的によくまとまっている作品。

1月5日(土)

この日は大学の講義があったが,妻も出勤で息子は保育園だったので,私はその後映画へ。実は年末から喉をいためていて,そのせいで前の晩はほとんど眠れず,90分の講義も最後には声が出なくなるほどだったため,講義後耳鼻咽喉科に行き,思ったよりも待ち時間が短かったため,新宿まで映画を観に出かけることにした。

新宿シネマカリテ 『理想の出産
新宿に新しい映画館がオープンした。新宿はバルト9とピカデリーという大きなシネコンができ,歌舞伎町の映画館がほとんど閉館し,シネマート新宿と角川シネマも,元あった映画館のリニューアルとはいえ営業再開し,とここ10年ほどで大きな変化があるが,この新しいシネマカリテは武蔵野館による営業。実はかつて武蔵野館は今あるビルの3階の3スクリーンに加え,同じビルの6階か7階にももう一つスクリーンがあった。その頃は3階のミニシアター的スクリーンを「シネマカリテ」と呼んでいた時期もあったと記憶している。でも,今度は違うビルの地階に新しく2スクリーンの映画館をオープンしたのだ。ここは武蔵野館で上映される映画の上映前の広告でもやっているNOWAビル。
オープニング作品として上映されたこの作品はフランス映画。わが家も出産を経験しているので,先に妻がこの作品を知り,前売り券を購入。私も武蔵野館で別の作品を観た時に観たくなったので,観ることにした。予告編では魅力的に見えた主演のルイーズ・ブロゴワンという女優だが,実際にスクリーンで観るとちょっと私好みではなかったのが残念ではあったが,設定的には私の好みの作品だった。もちろん,妊娠・出産・育児に関して共感できる場面が多かったこともあるが,私の関心は主人公の女性の設定。主人公の女性は哲学を専攻している大学院博士過程の学生という設定。正確には忘れてしまったが,博士論文のテーマは「ウィトゲンシュタインにおける他者」。
それまではこの哲学的問題を男性中心的な哲学的系譜に従って,男性の指導教官の元で論じようとしている。途中で,レヴィナスの名前も出てくる。しかし,彼女自身の妊娠によって,このテーマにおける「他者」は自らの身体に宿る胎児の問題として論じる方向性に変更されてしまう。なんとか,彼女はこの博士論文を書き上げるが,当然のごとく指導教官はその論文に失望し,別の男性研究者を自分の研究室の助教授として迎えることになる。この指導教官曰く,「書き直すかテーマを変えるか。後者の場合は指導教官も変えること。」ここで彼女が読書をするシーンがあるのだが,彼女の手にあるのは「フェミニズムの歴史」というタイトル。結局,彼女はその博士論文のファイルを自分のパソコンから消去し,徹夜して新たな文章を書き上げる。しかも,それは哲学論文としてではなく,まったく自由なエッセイとして。この執筆を通して,そして妊娠・出産の経験を通して,彼女が悟ったことが最後に述べられた。字面通りは忘れてしまったが,私自身が妙に納得したのを覚えている。まあ,要はこういうことだ。これまでは自分自身のことすらよく分からなかったが,自分自身の内部に自分とは異なる他者を宿し,それが体内から出,独立した存在になるが,乳幼児としてのその存在は相変わらず母親を必要とする。そういう過程を経て,彼女自身が彼女らしさを手にしていく,というようなこと。こうして言葉にしてしまうと当たり前のことだが,この辺りのことがよく表現されている映画作品だと思う。
ちなみに,私は今イリガライと,それを論じたフェミニズムの論文をいくつか読んでいる。イリガライはプラトンのコーラ概念とアリストテレスのトポス概念を検討することで,「性的差異としての間隔」という議論をしているのだが,まさにこの映画の主題に近いのではないかと感じた。

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コメント

 『グッモーエビアン!』は、こちらでは2月の公開。どうするか少し迷った時もあったのですが、今は鑑賞予定に入れています。
当地のミニシアターでは大抵3ヶ月毎(1,4,7,10月)に、3ヶ月間有効の5枚綴りの回数券(5000円)が会員向けに発売されるので、2冊ずつ購入してるんですよ。また、12回入場すると(回数券利用でもOK)1回招待されるので、1万円でほぼ11回鑑賞できるようになっています。この他に月曜日のメンズデーに千円払って入場するのが2~3回。週一本ペースでのミニシアター通いですね。
昨年はそれを割り込んでしまったので、今年は60本ぐらいに戻さなければ。迷った時には、なるべく足を運ぶ方を選ぶようにするぞ!(笑)
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『愛について,ある土曜日の面会室』は、まだまだ先、4月の公開なんです。でも、予定が決まっているので、まずはひと安心。
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 『理想の出産』は珍しく東京等と同時期に公開済み。スルーしちゃいました。
新しい映画館、特にミニシアターがオープンするのは嬉しいですね。シネマカリテ、2~3年ぐらいの内には行くチャンスがくればいいなぁ。
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実は、ご近所シネコンには今年はまだ一度も行っていないのです。いつでも【1ヶ月フリーパスポート】に交換できる状態なので、来週24日(木)に入手し、2月23日(土)まで観まくるつもり♪ 正月映画もまだ殆どが上映中なので、観ずに待っていて正解でした。そこまで我慢できない「レ・ミゼラブル」と、12月1日に公開された「007」だけはもう観ましたけど。
ナルセさんも早く6000マイル貯め、【パスポート】での映画三昧を楽しんで下さい。

投稿: 岡山のTOM | 2013年1月18日 (金) 03時16分

そうそう、先日は雪で大変だったみたいですね。
大きな問題はありませんでしたか。
その内、このブログででも様子を教えてください。

投稿: 岡山のTOM | 2013年1月18日 (金) 03時32分

TOMさん

今年も早速コメントありがとうございます。
結局,昨年3月に作ったTOHOシネマズのマイレージカードですが,まだ2000マイルたまってません。今年いっぱいで6000マイルいくかどうか。
とりあえず,6回観てもただでは観ないようにして,今年はマイルをためることに専念しようかと。

日曜日の雪は当日以外は大したことありませんでした。
日曜日のことは日記に書くかどうか,どうでしょう。

投稿: ナルセ | 2013年1月18日 (金) 19時56分

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