« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

2013年2月

新しい共著論文

私の新しい論文がリリースになりました。

随分前から勉強会という名の下に集まっていた地理学者4人で,せっかくだからこの活動を形に残そうということで,論文を企画して執筆しました。

論文の内容から,発表媒体はよりオープンなものを選びました。
日本地理学会が紙媒体の学会誌『地理学評論』とは別に発行している電子ジャーナルです。
E-Journal GEOという名前で半年に一回発表されています。

ということで,ダウンロードはこちらからどうぞ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

映画2本立て

2月2日(土)

そのうち報告しますが,最近の週末はなかなか映画をゆっくり観る時間が取れないが,この日は妻の出勤日だったので,前売り券を既に購入していた映画をまとめて2本観た。

日比谷TOHOシネマズシャンテ 『アルバート氏の人生
グレン・グローズがかつて舞台で演じたことのある本作が,本人の熱望により映画化が実現されたという。予告編でもその意気込みは十分感じられた。グレン・グローズといえば,怖い女とかどちらかというと派手な演技が多いが,本作は非常に地味な演技。というのも,舞台は19世紀のアイルランド。ダブリンという都市で女性が一人で生きていくために,男装しホテルのウェイターとして働くアルバート。毎日のチップをせこせこと数十年もためて小さなタバコ店を開こうと夢見る。
予告編ではホテルにペンキ塗りに来た男性をアルバートの部屋に泊めるところからアルバートの人生が大きく変わるという展開が描かれている。それは確かにそうなのだが,その展開は私が予告編から予想したものとはちょっと異なっており,それが本作の魅力にもなっている。予告編ではアルバートが女性であることを再発見し,その後は女性として生きていくような雰囲気だが,本編はそうではなく,実はけっこうな悲劇で終わってしまう。しかも,他の登場人物のうち3人の女性もやはりこの時代に一人で生きる女性として悲劇を味わう。幸い,ずる賢い一人はアルバートの死によって悲劇を免れるのだが。その3人のうち1人はホテルのウェイトレスだが,演じるのはミア・ワシコウスカ。『アリス・イン・ワンダーランド』はきちんと観ていないけど,けっこう好きな女優さん。顔つきはグィネス・パルトロウ似だと思う。けっこう骨格がしっかりしていて,目もぱっちりはしていない。でも,こういう顔つきの方が奥の深い表情ができると思う。

新宿テアトル 『みなさん,さようなら。
中村義洋監督の最新作。相変わらず主演に濱田 岳を迎えている。もちろん,この組み合わせなら面白くないはずはないが,本作はなんといっても団地の物語ってのが私にとっては特別だ。本作の設定は主人公が1968年生まれで,その団地は東京都町田市にある設定。そして私は1970年生まれで埼玉県北部の同じような5階建て箱形の団地で2歳から20歳まで育った。いわゆるかつての住宅・都市整備公団が1970年前後に次々と建設した大規模団地だ。主人公は小学校卒業時に,この団地から出ずに一生を過ごすことを宣言し,団地外の中学校には通わないことを決める。私が通った小学校も団地内にあり,生徒のほとんどは団地の子だった。本作ではそういう話はあまり出てこなかったが,私の団地に移住してきた住民の多くが同じようなライフステージで,同じような子どもの構成をしていた。つまり,私には2歳年上の兄がいるが,兄の同級生の下のきょうだいが私の同級生という構図がとても多い。
ともかく,この映画が描いているように,団地がある種の小宇宙のようなまとまりを持っていることは事実。私の場合は隣人が同級生ということはなかったが,本作では主人公の隣に波瑠演じる同級生の女性が住んでいる設定。この2人の関係が魅力の一つ。波瑠ちゃん,とても頑張っています。この2人の関係はあくまでも幼馴染みということで,主人公は密かに同級生のなかで人気のあった女子,倉科カナ演じる女性と20歳の時の同窓会で再会して付き合うことになり,婚約までする。この2人のシーンもまた魅力の一つ。決して露出は多くないのだが,それなりに歳を重ねた鑑賞者は若き頃の性の思い出に浸れる演出になっている。それは長身でハンサムな俳優が演じるよりも濱田君が演じるからこそ効果がある。私は団地外の中学校に通ったし,隣の市の高校に通学していて,最終的には大学在学中の20歳の時に一人暮らしを始めた。だから,本作との違いは大きい。そして,私が育った団地は本作で描かれるような外国人居住者の増加という話はあまり聞いたことがないが(私の母はいまだにその団地で一人暮らしをしている),それなりのリアリティをもって団地の加齢の様子を描いている。しかし,私の聞いた話では,団地出身の子どもたちは本作のように全員が引っ越していなくなったということはなく,自身が子どもを持って,親が住む近くの部屋を借りて同じ団地に住んでいるという。特に親の世代は結局子どもが独立して出て行ってもそのまま住みつづけることが多く,高齢化が進んでいるというのはよく知られて事実だが,本作ではそういう事実はあまり強調されていない。
以前岡山県の団地を舞台とした『ニュータウン物語』というドキュメンタリー作品があったが,本作は原作のあるフィクションである。だから事実とは齟齬がありながらも,ドキュメンタリーでは描き得ない面白さもある。ともかく,今後の団地をどうするかということを含めて,個人的にも社会的にも考えていきたいテーマだ。ちなみに,これを書いている日はたまたま母親のところに遊びに行ったのだが,その帰りにJR宇都宮線沿線の団地を眺めていたら,なんとエレベータが増設されているのを目撃した。5階建ての団地はエレベータを設置しなくていいということだが,高齢化が進む現在ではそういうメンテナンスをしなくては存続しないのかもしれない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

風景画の出現

越 宏一 2004. 『風景画の出現――ヨーロッパ美術史講義』岩波書店,179p.,2800円.

岩波書店は継続的に市民セミナーを開催しているらしいが,本書も副題にあるように,そうした講義内容をまとめたもの。一般的に風景画の成立はルネサンス期の線遠近法の確立と北方ルネサンス的絵画傾向とが平行したものとして理解されるが,本書が扱うのは16世紀まで。まあ,簡単にいえば風景画前史とでもいえる内容。しかも,イタリア・ルネサンスについてはあとがきで補遺として数頁が割り当てられているにすぎない。私はすっかり,有り体の風景画史と思って読み始めたので,思いの外得るものは大きかった。まずは目次から。

はじめに――古代ギリシア
1 古代ローマ
2 古代末期・中世初期
3 中世盛期
4 ジョットおよびアッシージのフランチェスコ伝壁画
5 ドゥッチオ
6 ロレンツェッティ
7 ピュセルとその工房
8 ピュセル以後ランブール兄弟以前のフランス
9 ランブール兄弟の『ベリー公の美しき時祷書』
10 トレントの〈鷲の塔〉の壁画
11 『タクイヌム・サニターティス』
12 〈月暦詩〉
13 ランブール兄弟の『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』
14 『トリノ時祷書』
15 ファン・アイク兄弟
16 〈ブルゴーニュのマリアの画家〉
17 パティニール
18 アルトドルファー
おわりに――デューラー

読む前に参考にする目次としては分かりづらいが,講義が18回あったということだろうか。講義は恐らく絵画作品をスライドかなにかで映し出しながらの魅力的なものだっただろう。といっても,本書にも多くの図版が収録され,これまで観たことのある作品も少なくなかった。
著者は風景画の専門家というわけではなく,ヨーロッパ中世美術史とのこと。恐らく本人も見慣れた作品群を風景という主題から改めて調査することで発見することは多かったと思う。とても刺激的な読書だった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

東京カフェ散歩

川口葉子 2012. 『東京カフェ散歩――観光と日常』祥伝社,303p.,838円.

この手のカフェ本は最近数多い。そういうものをいちいち買っているわけではないが,本書は裏表紙の帯に掲載されているカフェの店内写真に見覚えがあったので,中身をペラペラめくってみた。幸い,目次に掲載されている96のカフェの店名が書いてあったので,私の「見覚え」はすぐに確認できた。一度私が誕生日イヴェント・ライヴを企画・開催させていただいた「谷中ボッサ」だ。それから,本書の副題「観光と日常」というタイトルも気になった。カフェと散歩というのは比較的結びやすいものだが,それを「観光と日常」という視点から論じるというセンスがいい。そして,1店1店の解説文もそれなりにヴォリュームがあり,またその文体もそれなりに誠実さがあって,私でも読めると思い,購入。写真撮影も自分で行っているということだし,その写真もなかなか味があった。
吉祥寺のパルコブックセンターで購入し,その日は吉祥寺で映画を観て調布までバスで移動したりしていたので,ほぼその日の内に読み終わった。最近のカフェの雰囲気は好きだが,コーヒー1杯に500円以上はなかなかかけられないので,カフェとしていった店は少ない。でも,96店中10店は行ったことがあった。
谷中ボッサをはじめとして
同じ谷中のカヤバ珈琲
代官山のeau cafe
小伝馬町のcafe紅
新宿丸井地下のブルックリンパーラー
荻窪の6次元
の6店はいずれもライヴで行ったお店。本書に掲載されているのはそういうイヴェントも開催するようなちょっと変わったお店も多い。ということで,それなりに楽しめた本。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

今年の映画は当たりが多い

1月12日(土)

新宿シネマカリテ 『ももいろそらを
この日は訳あって、映画は新宿で観ることとなった。講義後、新宿に移動。早速、観る予定の前売り券を購入して映画館へ。なんと、公開初日で舞台挨拶つきです。といっても、そんなに有名な作品ではないので、恐らく当日でも間に合うだろうとの予測。もし、だめだったらと別の作品も予定しておく。
前回の映画鑑賞と同じく、新宿の新しく出来た映画館「シネマカリテ」。ということで、その時に観た予告編で気になっていた作品。日本映画だが、モノクロの作品。予告編ではよく内容が分からず、あまり期待してはいなかったが、女子高生が主人公のようだし、こういうインディペンデント作品をチェックしておくだけでも映画ファンにとっては重要な行い。上映の1時間前には受付をすることができたが、なんと最前列を確保。というのも、また後で書くように、肝心の主役の女子高生は登壇予定に入っていない。
まあ、ともかく舞台挨拶は終映後ということで、まずは予告編なしで本編を観る。これがなんと予測を上回る面白さ。脚本もいいし、女子高生3人が中心的な登場人物だが、演技はなかなかいい。特に、主演の池田 愛という子がとてもよい。冒頭のシーンは大金の入った財布を拾ってしまい、それを交番に届けるか悩むシーンなのだが、かなり挙動不審。この子の演技は大丈夫かなあと思って観続けると、失うものは何もない的な思い切りの良い演技をみせてくれる。ドラマ「マルモのおきて」にも出演していたらしいが、テレビのない私は当然知らない。映画には後2人の女子高生が仲良し3人組として登場するが、1人は小篠恵奈で、既に『ふがいない僕は空を見た』で知っていた。
ストーリーはこんな感じ。財布を拾った主人公は釣堀仲間のおじさんに財布の中身から20万円を貸してしまう。残り15万円の入った財布のことを仲良し2人に話すと、財布に入っていた学生証にある男子高校生の写真を見た蓮実(小篠恵奈)が持ち主に返そうと言い出す。持ち主は高山 薫演じる男子高校生。ゲイの彼には、難病で入院している恋人がいるが、20万円を抜き取った代償として、主人公に恋人を楽しませる新聞作りを命ずる。そんな感じで、仲良し3人組が夏休みに新聞作りに励むという内容。
まあ、インディペンデント作品によくあるように、分かりやすい派手な展開はないのだが、淡々と物事が進行するなかでの細部が非常に面白い。オリジナル脚本も書いている監督の小林啓一は今後も注目したい。なお、本作は東京国際映画祭の日本映画・ある視点部門で作品賞を受賞したことで公開が決まったらしい。さて、舞台挨拶ですが、監督とプロデューサー、そして高山 薫君と主人公の友だちおじさんを演じた落語家の桃月庵白酒さんの4人が登壇。まあ、もう随分時間も経ってしまったので、あまり覚えていませんが、なんと客席に主演の池田 愛さんの姿が。実は彼女は恐らく高校1年生の時に撮影を行って、その後学業に専念するために俳優業をお休みし、現在高校3年生。受験を間近に控えているということです。大学生になったら復帰する予定らしいですが、監督に呼ばれて一言挨拶。これが、映画のなかの彼女とは違ってとてもかわいらしい女性。復帰作が楽しみです。是非、テレビドラマとかではなく映画中心に活動して欲しい女優さん。

1月20日(日)

渋谷シネクイント 『ルビー・スパークス
『リトル・ミス・サンシャイン』の監督最新作ということですが、なんと2人で監督しているんですね。主演はポール・ダノ。ひ弱で情けない役をやらせたら最高。小説家の役です。デビュー作が高い評価を受けるが、その重圧に耐え切れないのか、短編は書くものの、なかなか新作を書くことができない。プライベートでも同じ作家の恋人と別れてからはそのことを引きずってなかなか恋愛ができない。そもそも友達もいなく、そういう彼を不憫に思う兄が食事やジムに頻繁に誘い出す。
物語展開は過去にも似たようなものもあったと思うが,ある日夢に出てきた魅力的な女性との出会いを小説として書き始める。すると,しばらく経ったある日,その夢の中の女性が小説の設定とまったく同じ状態で現れる,というもの。こういう非現実的な設定は大抵ハッピーエンドにはさせないことで現実性を保つが,本作もその例外ではない。でも,非現実的でありながらもその展開が妙に説得的で面白い。しかも,こういう男性にとっての理想的な物語ってのは大抵男性作者の発想だが,本作の脚本はなんと,お相手の女優ゾーイ・ガザンの手によるものだった。そのことを事前には知らず,エンドロールで知ることになるのだが,それによって観終わった作品が違った魅力を持つようになるってのは私にはよくあること。思わず,かなり久し振りにパンフレットを買ってしまった。すると,なんとこの作品中のカップルは実生活でもカップルであったことを知る。

1月24日(木)

吉祥寺バウスシアター 『映画と恋とウディ・アレン
前にも書いたことがあるが,私はウディ・アレンの映画を初めて観たのは『世界中がアイ・ラブ・ユー』で,1997年の作品になる。当時非常に魅力的だったミラ・ソルヴィーノを観に1996年の『誘惑のアフロディーテ』も観ているが,恐らく日本での公開は『世界中が』が先だったと思う。当時できた恵比寿ガーデンプレイスで私はよく映画を観ていたが,そこがウディ・アレン作品をよく上映していたので,観るようになったという次第。Wikipediaなどで調べると,それから彼の作品を観続けているわけではないが,2000年以降は比較的多くの作品を観るようになった。なので,遅ればせながら彼の略歴や過去の作品などに興味を持った次第。
詳細は説明しませんが,ダイアン・キートンの若い頃などは非常に魅力的でしたね。今後彼の過去の作品を観ることも楽しみだし,今後の彼の新しい作品もますます楽しみになりました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »