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ご当地ソング,風景百年史

溝尾良隆 2011. 『ご当地ソング,風景百年史』原書房,242p.,2000円.

本書は1999年に東洋経済新報社から出版された『ご当地ソング讃』の改訂版である。1999年に『ご当地ソング讃』が出版された当時,私は手に取らなかったが,山田晴通氏が『地理学評論』に書評を書いていたので,この本のことは強く私の記憶に刻まれた。昨年,私はちょっとした音楽研究を書いていたので,この本を探してAmazonで検索してみると,出てきたのが2011年に出た改訂版だった。山田氏の書評は,この本が貴重なデータに基づきながらも,それを学術的なレベルまで高めていないことを嘆いていたので,今回の改訂版でその指摘にどの程度対応しているのかも気になって,購入することにした。とはいっても,まったく山田氏の意見を取り入れることはなく,単にデータのみを最新版に更新したものであることだけを確認して,きちんと読むことはしなかった。そう,実は読まずに文献表に挙げたのです。でも,購入はしたので読まなくては,ということで,今回読んだ次第。

序章 ご当地ソングの魅力と威力
第1章 魅力あるまち,日本列島うたの地図
第2章 ひとの集うあこがれのまち,うたのまち
第3章 うたによる文化おこし,まちおこし
第4章 ご当地ソングにひそむ果たせぬ心情
補論 日本の「うた」の定義,資料,時代区分

1999年の表題が「ご当時ソング讃」とあるように,基本的には批判的スタイルによって書かれたものではない。観光研究を専門とする著者は一般的な地理学に漏れず自身が旅行好きなようだ。研究も兼ねてさまざまな土地を訪れ,その土地の料理を食べ知識を増やす。その延長線上でその土地について歌った歌についての知識を増やしていく。そんな結果できあがったのが本書だといえよう。でも,それは質的なものではなく,きちんとしたデータに基づくものであり,補論にもあるように彼なりに「ご当地ソング」を定義づけてもいる。この辺が私とは正反対の立場だともいえる。歌の選出はなるべく客観的であろうとするのに,その評価はいたって素人的というか印象的なものにすぎない。時折学術論文への言及もあるが,これもまたひどい。著者名も示さなければ,雑誌名すら間違っている箇所もある。まあ,ただこういうテーマであればほとんどの読者は学術的なものを期待せずに単なる雑学自慢程度のものになるのだろう。

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