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2013年5月

美しい都市・醜い都市

五十嵐太郎 2006. 『美しい都市・醜い都市――現代景観論』中央公論新社,270p.,760円.

五十嵐太郎氏は『10+1』などの雑誌を開くと名前を非常によく見かける,建築分野の人気作家(?)。なので,私も彼の文章を一度や二度読んだことがあるのですが,あまり惹かれるタイプではなかったので,著書は本書が初めて。というのも,大学の講義の小レポートの課題として選出したので読んだ次第。いかにもなタイトルに読む気がしませんが,まあ読まず嫌いもよくありません。この中公新書ラクレというシリーズも初めて。

第一部 21世紀の景観論
 1章 醜い景観狩り
 2章 景観を笑う
 3章 日本橋上の首都高速移設を疑う
 4章 渋谷のドブ川とソウルの清渓川
 5章 テーマパーク化する都市
 6章 東京の色彩と広告
第二部 計画とユートピア
 7章 アジア・メガロポリスの建設と破壊――香港・上海・深圳
 8章 押井守の未来都市
 9章 幕張はいかにつくられたか
 10章 管理社会が生み出す”都市伝説”――ディズニーランド・筑波・都庁舎
 11章 ユートピアとしての平壌
 12章 過防備都市・再論

案の定というか,本書は『10+1』に掲載された文章を多く含むもので,書き下ろしではなかった。確かに,第一部はかなり一貫して日本の現代都市景観を論じているが,第二部はバラバラな印象で,香港,上海,深圳,平壌といったアジアの諸都市の訪問記あり,押井 守のアニメーションの話ありな感じでまとまりはない。
しかし,思ったよりは頭の固い人間ではないことが分かった。といっても,彼の関心は常に具体的なものに向けられていて,私が好むような抽象論や認識論に関する議論はほとんどなかった。といっても,3章の日本橋の話や9章の幕張の話は,新書という決して文字数が多くない著書の中ではしっかりとした情報に基づいて分かりやすく説明されており,学ぶことは多かった。本書は基本的に景観に美しい・醜いの絶対的価値軸は存在しないという立場に立っている。でも,実のところは完全なる相対主義ではなく,建築家として教育を受けてきたものとしてのかなり強固な価値軸があることも確かである。

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家具選び

家のことを書く日記が続いていますが,住友林業さんにお願いする家本体はかなり決まってきました。
最近はもっぱら,新しく購入する家具の検討に入っています。検討しているのは以下のもの。

・ダイニングテーブル
・ダイニングチェア2脚
・カップボード

かなり以前からダイニングチェアとして検討しているのが,CHLOROSというお店。兵庫県の会社で北欧家具のアンティークと北欧風のオリジナル家具を扱っていますが,基本的にはネット通販で東京では実物をみられる場所がありません。
妻が↓このチェアを気に入って,私もいいなあと思っていました。その後,チェア選びにおけるデザインと価格の基準になりました。
Chloros

しゃれた家具屋さんということで,私たちの検討に上がったお店は2つあります。しかも,両方吉祥寺に店舗があります。
一つはunicoというお店。吉祥寺店は駅から大分離れていますが,非常に賑わっていました。こういうお店のカタログは有料で販売されています。しかし,web会員登録などをすればいただけるということで,その場で登録していただきました。カップボードやダイニングセットなど,いくつか素敵なものがありました。
ちなみに,こちらで扱っていることで知った照明器具をすでに購入。トイレ用に色違いが2つです。
Gambling

もう一つはmomo naturalというお店。こちらは妻が以前一人で自由が丘に行った際に訪れたお店。雰囲気は女性っぽいのですが,ものはけっこうしっかりしたものを扱っています。特に妻が気に入ったのがこちらのカップボード。
Mn_furniture_cozypalce06
ちなみに,こちらのお店では,リネンを中心とする天然素材のカーテンも扱っていて,それも考慮中。

続いてダイニングテーブル。はじめは単純にデザインと価格で選んでいたのですが,いろいろ見るうちにどれも一緒に見えてきて,「これぞ!」というものに出会わなくなってきた。そんな時に私がネットで発見したのが,AJIMという長崎の家具屋さん。長崎には造船所がありましたが,造船の技術を持った職人さんが今は家具を作っているといいます。私が一目で惹かれたのは↓こちらのダイニングテーブル。曲線がなんともたまりません。
Ballenata_ash_b2

こちらの製品はそれを扱っている会社のショールームが千駄ヶ谷にあるということで,行ってきました。こちらの会社です。テーブルは予想通り素晴らしいものでした。はじめはダイニングテーブルに10万円以上かけるなんてと思っていましたが,こういう現物を見ると価値観が変わっていきます。その後の品選びではダイニングテーブルはこちらのデザインと価格が基準になりました。

しかし,その後いろいろ検討していくと,このテーブルはいわゆる突き板だということが分かりました。曲線の美しい木目は表面に薄くスライスした板を張っているのです。つまり,傷をつけてしまうとやすりなどで削るしかないわけですが,突き板の場合,削りすぎるとその下の板が出てきてしまうということ。そして,表面の塗装の問題もあります。ウレタン仕上げだと,普段の手入れは楽ですが,そのウレタンに傷がついてしまうと,持ち主では補修はできません。それに対して,オイル仕上げというのがあります。こちらは無垢材に用いられる場合が多いですが,木そのものにオイルをしみ込ませるというものです。オイル仕上げは水や油などがすぐにシミになってしまうため,普段からの手入れが必要です。ただし,その手入れは持ち主が簡単に行うことができます。
ということで,結論的には長く使うのであれば,やはり無垢材の天板でオイル仕上げのものがいいのでは,ということです。

ネットで,「ダイニングテーブル 無垢オイル仕上げ」などというキーワードで検索するだけで,国内の家具メーカーがさまざまに出てきます。どちらも,地方にある小さな工房ですが,最近ではけっこう需要があるんでしょうね。楽天などでもけっこう売っています。
それこそ,無垢材で作られたテーブルは非常に魅力的なものが多いのですが,デザイン的にピンときたのが,マスターウォールというブランド名で家具作りをしているアカセ木工という会社。ここのダイニングテーブルには天板が3種類ほどあるのですが,今のところ有力なのが「モザイク」というシリーズ。その名の通りです。
Masterwal

こちらは岡山の工房ですが,東京にもショールームがあります。外苑前です。私も当然行きました。いやいや,素晴らしいです。そして,なんと店先には「ご自由にお持ちください」とウォールナットの木材の端切れが置いてあります。ということで,私も一つ持ち帰りました。新しい家でこれをなにかに使う予定です。

さて,実はAJIMにしても,マスターウォールにしても,その製品を知ったのはRignaというお店です。こちらは簡単にいうとネット通販のインテリア・セレクト・ショップです。東京では早稲田にショールームがあります。なんと,5階建ての古いビルをまるごとリノベーションしています。こちらは家族で行きました。1階では若いスタッフたちが働いていて,2階以上がショールームになっています。マスターウォールの現物に出会ったのもこちら。
こちらでは基本的に商品販売はしていませんが,妻が品切れになったウォールナット製のキッチンペーパーホルダーを購入。

いろいろ購入検討商品が絞られてきた時期に,なんと住友林業主催のインテリア・フェアなるものがあり,行ってきました。さまざまな家具メーカーが参加し,住友林業を通して購入すると,10〜25%オフという非常にお得なイベント。基本的には住友林業で注文住宅の契約をしているお客限定ということにはなりますが。
なんと,ここでダイニングチェアを1脚注文。そして,ダイニングテーブルも突如有力候補が登場してしまいました。

ダイニングチェアは日進木工という会社のもの。インテリアフェアに参加するような会社は,住友林業のモデルハウスなどにも家具をおいているわけですが,ここの製品も以前玄関用のスツールで気になるものがありました。なんと,座面に開いている穴に靴べらが差し込んであるのです。
まあ,それはそれとして,注文したのはこちらのチェア。
Photo
決めてはなんといっても軽い。そして,肘掛けの部分をテーブルの上に載せると,椅子そのものをテーブルに引っ掛けることができます。掃除の時など便利。ちなみに,座面の張り布ですが,イギリスのファブリックがこの日持ってこられていて,それをつけてもらうことにしました。しかも,座面の布はマジックテープではがせるので,素材によっては洗濯できます。

ダイニングテーブルで急遽購入候補になったのは白川木工という会社のもの。飛騨家具ですね。なぜこのメーカーが急に購入候補になったかというと,基本的にはここの製品は非常に質がよく,通常のものはちょっと価格的に候補にならないのですが,なんと住友林業のために制作したシリーズがあり,割引率がその製品だけ高いということでした。ということで,他の候補よりもかなり質の高い製品でありながら価格は随分近づいているということです。
ということで,残念ながら画像はありません。

このインテリアフェアでは,他に価格の面でとても検討対象にならなかったリッツウェルや,たまたま私たちの案内担当になってくれたスタッフのカリモクも魅力的な製品があったなあ。深澤直人というデザイナーの作品を多く作っているマルニ木工も素敵だった。そんなところがきていました。でも,わが家の設計担当者に教えてもらったtime & styleは出店していなかったなあ。こちらの製品もかなりお高いのですが,インテリアフェアで割引がきけば候補にしたかったのに。

とりあえず,今回はこんなところで。

5月18日(土)

この日がインテリアフェアの日で,朝からいく予定でしたが,なんと以前購入した映画の前売り券がその週で上映終了してしまう,しかも東京では上映館が1つ,さらに1日朝1回上映ということで,家族に無理をいって,急遽予定変更で観させてもらった。

渋谷ヒューマントラストシネマ 『ヒステリア
ということで,19世紀英国を舞台にした,史実に基づく物語。先日『マーサ,あるいはマーシー・メイ』に出演していたヒュー・ダンシーが主演ですが,あまり知名度はないので,共演のマギー・ギレンホールが宣伝ではメインになっていますね。本作は,女性用のバイブレータの発明者が主人公。医師の新しい姿を目指す主人公は旧態依然の病院をいくつも渡り歩いては解雇される。そんな再就職活動の中で出会ったのが婦人科の開業医。当時は上流階級の主婦たちの半数が煩っていると看做されていた病気,ヒステリー。それを治療するといって,この医者は手で女性器を刺激するという方法を採っていて,繁盛していた。そんなところに雇われた主人公は来る日も来る日も右手を酷使し,限界に。そこで,友人の発明家と共同してつくり出したのが,バイブレータの元祖だった,という物語。共演のマギーの役どころはその開業医の娘。上流階級の患者相手の父親に対し,娘は下層階級の人たちの手助けをしている。そこには埋められない父娘の裂け目ができてしまうわけだが,最終的には主人公がそこを埋めていくことになるという,恐らくここはフィクションでしょうが,魅力的な物語展開があります。
いやいや,マギー・ギレンホールって美人ではないけどけっこう好きなんですよね。特に本作ははまり役。見逃さなくてよかった秀作でした。

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日本映画2本

わが家の設計も最終段階に入ってきました。ということで,今回は家の話はお休みして,観た映画2本を紹介します。

5月8日(水)

先週は映画サービスデイだったので,事前に前売り券を買っていた作品ではなく,別の作品を観たので,この日はその映画を観に渋谷まで。

渋谷シネクイント 『ペタル ダンス
石川 寛監督最新作。『tokyo.sora』は観ていないけど,『好きだ,』の時も公開劇場で前売り券を購入して鑑賞した。この監督はCMも多数撮っているが,前回も今回も前売り特典はCM集のDVD。普段TVを観ないが,けっこうCMが好きな私には嬉しい前売り特典。
『tokyo.sora』の時も複数の若い女性を描いていたが,本作も宮崎あおい,忽那汐里,安藤サクラ,吹石一恵が演じる4人の女性を描く。長野陽一という写真家を撮影監督に迎え,石井監督の独特の映像物語です。韓 英恵もちらっと出演しているのも嬉しいです。まあ,CMから共通して間や雰囲気を大切にする監督ですから,その辺を楽しむ映画ですね。しっかりしたストーリー展開や,明確な台詞などを期待する人には向かないでしょう。
個人的には珍しく積極的な役どころの宮崎あおいちゃんが良かったかな。『舟を編む』の感想でも書きましたが,最近はちょっと受け身の役どころが多いような気がして,パターン化しつつありますから。逆に積極的な役どころが多い吹石一恵ちゃんは,今回ちょっと病んだ役どころなので,彼女の美しさが非常に引き立っています。
石井監督には今後もこの路線でやっていってもらいたいものです。

5月11日(土)

この日も立川の住友林業ショールームで打ち合わせ。本格的な打ち合わせは最後かもしれません。今後は書類の手続きなどが多くなるのかな。
設計担当者が午後次の仕事があることもあって,打ち合わせは昼過ぎに終了。そして雨でもあったので,私だけ立川に残って映画を観させてもらうことにした。

立川シネマシティ 『県庁おもてなし課
観たのはこの日上映初日の作品。実は,原作を読んでいて,錦戸 亮主演でヒロインが堀北真希という配役にちょっと違和感があったので観るかどうか悩んでいましたが,時間と場所でちょうどよかったので観ることにしました。
結論からいうとまあ無難に仕上がった映画だといえるでしょう。原作自体が「観光小説」と名付けられているように,高知県の実在の観光スポットが登場するので,映画的な小説であることは確か。だから,小説を読んで想像していた風景を実際の場所で撮影された映像の連続である映画で再確認するという観方が一番いいのかも。ところで,主演の錦戸君は『ちょんまげプリン』でけっこう好印象だし,堀北真希も実は前からけっこう好きでした。しかし,NHKの朝ドラ以降あまり映画には出ていなかった気がしますし,髪の毛が長くなりちょっと以前の印象とは違ってきた気もします。映画で観るのは『白夜光』以来。個人的には『アルゼンチンババア』の彼女が好きです。
原作を読んだ私の印象では,主人公はもう少し顔の印象が薄い感じで,ヒロインはもっとカジュアルな雰囲気。船越英一郎の配役は問題ないにしても,関めぐみと高良健吾の2人は若すぎる気がした。しかし,その2人は演技派だし,堀北真希も芯の強い印象があるので,意外に違和感はありませんでした。そして,やりかたによっては観光映画になってしまいがちですが,本格的なシーンがあったのは2箇所で,それ以外はさっと流し,人間の心情の表現に重きを置いたのも成功だったと思います。特に,関めぐみは起こった顔は得意だし,いろんな表情をうまく表現していたと思います。
しかし,観終わった後にあまり残るものがないというのは,本来恋愛表現よりもお役所の体制や観光産業の問題の詳細を調査に基づいて細かく描写した原作だったからかもしれません。でも,映画としてはこれが限界なんでしょうね。十分によくできた映画です。

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ショールームその3

ショールーム訪問の旅はまだまだ続きます。

松装カーテンセンター立川
毎度住友林業の打ち合わせは立川のショールームなので、その前に立ち寄れる所を探したら見つかったのがこちら。しかも、カーテンじゅうたん王国よりも取り扱っているメーカーが多い。ということで、予約して間取りの図面を持って訪れました。ショールームといいながらも非常に狭いお店。にもかかわらずキッズスペースもついています。でも狭いのでもっぱらDVDを観させてもらう。関西弁の抜けない担当者はテキパキといろんなものを紹介してくれます。ポリエステルのカーテンでも、質感やデザインがけっこう良いものがあることを知る。後日、見積りはもちろんのこと、生地のサンプルをメーカーに依頼し、自宅に送ってくれるなど、なかなか細やかなサービス。もちろんそこまでは無料。そして、取引価格もけっこう安くていい感じです。

WALPA
楽天上にウェブ店舗を持つ壁紙屋本舗のショールーム。渋谷の分かりにくいところにありますが、妻が一人で行ってきてくれました。ここは以前紹介したテシードという会社が扱っている輸入壁紙も扱っていますが、妻の印象では扱っている商品数が多いため、質の悪い壁紙が多いとのこと。やはりテシードはヨーロッパの壁紙でもかなり厳選して仕入れているんでしょうね。まあ、ともかく素材やデザインだけで選んではいけないということが分かりました。

大光電機
先日オープンしたばかりの住友林業立川第二モデルハウスを訪れた時、DAIKOと入った照明器具が使われていたので、早速両国にあるショールームに行ってみた。営業時間などきちんとチェックすることなく訪れてしまったため、日曜日の休業に当たってしまった。このショールームはどうやら土日祝日はやっていないらしい。使えない...

コイズミ
以前行こうと思って予約をしていた日が暴風雨の予報でキャンセルしてしまった照明のコイズミのショールームが秋葉原にあったので、両国から移動して行ってみた。秋葉原駅周辺の雑踏から少し離れた場所にあるショールームでしたが、既にその日の予約は一杯で、わたしたちは勝手に商品をみせてもらうことにした。そんなわたしたちを見かねたスタッフがいろいろと相談にも乗ってくれましたが、近日中にショールームがLEDを中心とした新商品に入れ替わるとのこと。しかも、ここの商品は引っ掛けシーリングタイプが少なく、採用しにくいかも。

パナソニック
その後、ついでに汐留にあるパナソニックのショールームにも行ってみた。こちらも大勢の人で賑わっています。深澤直人デザインのmodifyというシリーズの実物を見られたのは良かったが、その他にあまり得るものはなし。

5月4日(土)

銀座テアトルシネマ 『天使の分け前
ケン・ローチ監督最新作。先日どこかで雑誌を立ち読みしていた時に知った作品。雑誌の記事に出るくらいの時は上映が終わっている場合もあるが、何とか間に合いました。そして、銀座テアトルシネマのクロージング作品でもある。5月いっぱいで閉館してしまう、この素晴らしい映画館に最後に来ることができたのも良かった。今年で77歳だから私の母と同い年だ。高齢になっても次々と新しい作品を世に出す監督。ウディ・アレンや日本では新藤兼人がそういう映画監督だが、ただただ敬服するしかない。そして、ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』がそうであったように、本作はケン・ローチの近年の作品のなかでも素晴らしい作品に仕上がっていて、興行成績もいいらしい。
ケン・ローチは作風としてはウディ・アレンとは違って社会の闇の部分というか、人間の闇というか、そういうものを描き続けている。ある意味では、観るのが非常につらい作品でもある。でも、毎作観てしまうのは、彼は決して世界を、社会を、人間を悲観視しているわけではなく、そのなかでの人間の生きる力というか、そういう希望を抱き続けているのだと思う。本作は人間のそうした部分をより強調した作品だといえる。冒頭では裁判のシーンが続く。些細なことで犯罪を犯し、投獄はされないものの、社会奉仕を命じられる。主人公の場合は300時間だ。日本ではそういう制度があるのかどうか知らないが、劇中で出てくるのは公共施設のリフォーム工事作業だ。その現場監督をする中年男性。主人公の恋人が産気づいたという連絡を受け、この現場監督は主人公を車に乗せて病院に向かう。それから、家族のいないこの中年男性は特に主人公を、そして奉仕活動をする若者たちを思いやるようになる。ウイスキー好きのこの男性は若者たちを連れてウイスキーの醸造所を訪れたりするが、徐々に主人公もウイスキーに興味を持ち出す。そんな感じで主人公は社会復帰を目指すのだが、そう簡単にいくものではない展開がいかにもケン・ローチらしい。しかも、最終的に主人公はその悪循環から抜け出すための手段としてかれらが培った悪巧みの知恵を活かすのだ。
いやいや、本当に素晴らしい作品。しかも、かなり久し振りにデジタルではなくフィルムで上映された映画を観ました。主人公を演じる男性はこれまで演技経験もないというのに素晴らしい演技、脚本はもちろんのことカメラワークから編集まで、まったく違和感なく連続する映像。エンドロールが始まって現実に戻されると、とてつもない幸福感に包まれます。映画というもの、ケン・ローチという監督、この映画館、全てが特定の時代に特定の場所でしか鑑賞できないものであるのに、そこに自分がいたことの偶然。

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ショールームその2

以前,住友林業のイベントで行った新宿パークタワー。わが家は新築後に買い足す家具を北欧テイストのものを考えているが,このパークタワーに北欧家具を輸入販売する店舗があるということで行くことにした。すると,このビルの3階から7階はOZONEという,住まいにまつわるさまざまな店舗の集合体であったことが判明。行く前はあまり長居するつもりはなく,別の場所に移動する予定もしていたが,ここだけで十分楽しめる場所で,予定を変更した。

コンラン・ショップ
たまたまはじめに行ったのがここ。ベビーカーもこちらで預かってもらいました。非常に良質なインテリア雑貨を扱っているお店。でも,まだ雑貨までは頭が回りません。でも,魅力的な商品が多いので,これから先もっと今必要な店舗があって,ここで時間を使いすぎた感じ。

CASAMANCE
妻が息子のおむつ替えをしている間に私がふらふらとしていて見つけたカーテンのお店。次に紹介する壁紙のお店と併せて,近くのスペースで新商品の展示をしていた。デザインも非常にセンスが良く,なにより手触りが違う。わが家は現在3つのカーテンを使用していて,これはあまりデザイン的にも満足しているものではないが,とりあえず新居でも使う予定。新居になると圧倒的に窓の数が増えるが,小さな窓はロールスクリーンを使用する予定。そしてダイニングの南向きの窓には妻がこだわってマリメッコの記事でシェードを作る予定。結果的に,カーテンを使うのはダイニング東側の横幅のある窓のみ。
今回改めてロールスクリーンやカーテンを実際に選ぶに際し,まず近所にあるカーテンじゅうたん王国にいってみた。ここは自社製品もあるが,日本の全国展開しているカーテンメーカーから安く仕入れることができるという。よく知られているカーテンメーカーはサンゲツリリカラ。ロールスクリーンやブラインドでは,タチカワブラインドニチベイトーソー。でも,こうした日本のメーカーはとにかく機能重視で,ほとんどのカーテンはポリエステル100%。
前置きが長くなりましたが,このCASAMANCEという会社はフランスを中心にカーテン生地を輸入しているのですが,リネン中心の天然素材でともかく質感がいいんですね。本当にうっとりします。

テシード
その隣にあるのが,今度は壁紙の輸入販売店。壁紙は住友林業の注文住宅では標準仕様に入っています。カーテンはあくまでも提案工事のなかなのですが,さすがに室内壁をそのままにしておくわけにはいかないので,標準仕様の壁紙があります。壁紙の状況もカーテンと似たような感じです。日本での主要メーカーは上記のサンゲツやリリカラ,東リという会社があって,やはり機能性重視。ほとんどが塩化ビニール製の壁紙(もはや紙ではないのでクロスと呼ぶ)。しかも,現在住むマンションの壁紙がそうであるように,商品の多くが塗り壁調とか,織り物調などといった,フェイクの表面をしています。これは実際に壁紙を貼る前にある壁の凹凸を目立たなくするという効果がありますが,私はこのフェイク感と素材感が嫌なんですよね。
それに対し,この会社が輸入するヨーロッパの壁紙の多くは「不織布」という素材でできています。簡単にいうとフェルトですね。こちらのカタログも抜群にデザインがよく(というか,日本では当たり前の無地,しかも白なんてのはヨーロッパではあまりないようです),質感も素敵。これを一度見てしまっては,標準仕様のビニールのクロスを使うのはためらわれてしまいます。

ウッドワン
さらにあったのは,建具のお店。ここで気に入ったのは室内ドア。やはり標準仕様のドアは木目の印刷されたシートばり。住友林業だからって何もかも木にこだわっているわけではありません。このウッドワンが扱っているのは無垢材の扉。一応,住友林業でもアップグレードして挽き板の扉を選ぶこともできますが,デザインは標準と同じ。この会社のデザインは特別なものではありませんが,そのシンプルなデザインでも木の質感が加わるとかなりいい感じです。ということで,今のところ玄関からダイニングキッチンに入る引き戸だけはこの会社の製品を使用したいと考えています。

他にも魅力的なお店がたくさんあって,本当に一日楽しめる場所です。ただし,今回はわが家に直接関係のある店だけにしておきましょう。なお,登録すると有料の託児所を利用することもできます。

5月1日(水)

連休のただ中ですが,大学は休講になりません。以前はなっていたんですけどね。ということで,連休の隙間,火曜日と木曜日は会社に出勤,この日は大学という予定になりました。この日は映画サービスデーということで,講義後に映画を1本。近場で観ます。

府中TOHOシネマズ 『図書館戦争
観たのはこちら。以前にちょっと気になって読んだ『県庁おもてなし課』も映画化されますが,同じ作者有川 浩氏の原作。アニメで映画化もされていますが,観ていません。今回の実写版は何度か予告編を観ましたが,榮倉奈々と岡田准一の関係が,戦争と題する作品であるにもかかわらずコメディタッチだったところで観ようと思った。原作は読んでいませんが,映画としてなかなかいい感じに仕上がっていたと思う。時代設定はまさに現代で,平成元年に成立した法律からの20年間をフィクショナルに再現している。まあ,国家の思想統制やメディアの表現の自由,社会全般の活字離れという社会問題をいくつも組み込んでいます。
その問題を分かりやすく具現化するために,仮の法律を作り上げ,書店を検閲の対象に(つまり個人の蔵書までは検閲されない),そして図書館を戦場にしたその発想はすごい。でも,活字ならだましも,それを映像化するのは簡単そうで難しい。主人公たちが所属する「関東図書隊」が本拠地とする武蔵野台一図書館で戦闘が繰り広げられるシーンで,防護室に誘導される客の一人がいった言葉が妙に説得的だった。「どうせ戦争ごっこだろ」。確かに,特定の蔵書を没収するために銃を使って力づくで奪うという設定自体がおかしいし,図書隊は図書館の敷地以外での発砲が許されないとか,細かいルールが妙にサバイバルゲームっぽいところがある。
また,最後の見せ場でヘリコプターで輸送される資料を奪おうとするシーンがあるのだが,検閲隊の方はヘリや飛行機などは使わず,せいぜい機関銃ってのも面白すぎる。まあ,戦闘シーンそのものもパロディなのか,その辺はよく分からないが,コメディ要素も存分に含んだ映画で,その辺も見所ではある。まあ,ともかくこうした発想の良さで,有川作品は今後も映画化が進むのでしょう。今後も期待したいと思います。

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モデルハウス,ショールーム

たまに,訪れたモデルハウスを気に入って,自分たちの建てる注文住宅の理想にしたり,部分的なものを採用したりする人もいるようだが,私たちは逆だった。自分たちの家の諸々が決定していく過程で,モデルハウスを参考にしようと出かけた。
しかし,結論からいうと,モデルハウスは実際の家づくりにほとんど参考にならない。前にも書いているように,一般的な注文住宅の施主は標準仕様といかに折り合いをつけるかというところが悩みどころである。しかし,モデルハウスはかなりハイグレードな部材から構成されているので,標準仕様の実際の使用例をそこで見ることはできない。広さはもちろんのこと。モデルハウスという性格上,ドアは明けっ放しだし,風呂,トイレ,キッチン,どれも使用できない。階段もお客さんが上り下りですれ違えるように広くできている。壁紙すら使わず,外壁材を内装に用いていることも多かったり。まあ,ともかく注意深く見て参考になるところがいくつかといったところでしょうか。それに,標準仕様は毎年更新されるし,住宅建設の技術も日々進歩している。だから,数年前に建てられたモデルハウスであれば,やはり少し古く見えてしまうのだ。ただ,モデルハウスはけっこう空いていて,スタッフがついてくれればいろいろと教えてくれたりはします。

さて,モデルハウスの話はこれくらいにして,私たちもいくつかショールームを訪れました。それらについて書いておきましょう。

サンワカンパニー
こちらのショールームは南青山にあります。根津美術館の近くです。前にも書きましたが,私たちは洗面台をどうにかしたいということで,こちらの会社にたどり着きました。基本的にTOTOで扱っているのは洗面台とキャビネット,収納付きのガラスが一体となっているもので,INAXは洗面器と水栓を別々に売っていますが,水栓が意外に高価だったりする。ということで,洗面器を別途購入し,造作で台を作ってもらい,洗面器と水栓を合わせるということになったのです。
こちらサンワカンパニーはイタリアを中心とした洗面器を扱っています。一応候補の洗面器を決めたのですが,一応実物を見ておきたいということでショールームを訪ねました。この会社は洗面器だけでなく,キッチンやバスタブ,室内ドアやタイルなども扱っています。実際に見る候補としていた洗面器は非常に大きく,大きい割に水をあまりためられないようなので却下。再度検討した結果,前に写真を載せたものに決まったのですが,これも写真のイメージより実物はけっこうごっつい。

LIXIL
LIXILとは水回りのINAX,キッチンのサンウェーブ,エクステリアのトステムなどの住宅関連会社が一つになったもので,ショールームにいくとかなり楽しめます。私たちが行ったのは新宿のショールーム。西新宿の住友不動産ビルの上階に入っています。最近では松山ケンイチと広末涼子がCMをやっていますが,このショールームにも2人が訪れたようです。休日でしたが,担当者がついてくれるコースは1時間待ち。とりあえず,お願いすることにして,それまでは自由に見学します。
1時間待たずに連絡が来て,1人の女性がついてくれます。この日の目的は,住友林業標準仕様にあるトイレとシステムバス,そして洗面台も探していたし,洗面台前に使うタイルなども見ました。これだけのお客をさばく多くのスタッフですから,あまり多くを求めてはいけません。結局,実質的に役立ったことはあまりないかな。

オーデリック
照明の話はまた後で書きますが,オーデリックは照明を扱う会社としてはかなり大きいようです。名の通った大手ではやはりパナソニックですが,オーデリックやコイズミなどという会社も頑張っているようです。
さて,オーデリックのショールームは井の頭線の高井戸にあります。事前に予約をして訪れます。すると,受付を入ってすぐのところに打ち合わせスペースがあり,この日私たちを担当してくれるスタッフがついてくれます。しかも,訪問者数分の1ドリンク券もついています。私たちの間取り図面とこの会社の商品カタログを見ながら,必要な照明数と要望を聞き,どこにどんな照明をとあたりをつけて,実際の商品を見て回ります。対応は非常に丁寧で,商品の説明も分かりやすく的確です。一通り見た後に,再度打ち合わせスペースで選んだ商品を確認します。お願いすればそこで概算費用を出してくれるし,1週間後には図面と見積書を自宅宛に2通分送ってくれます。つまり,わが家の場合には自宅用と,住友林業用とです。この会社は住宅メーカーや工務店相手に仕事をしているようなものなので,一般の消費者にはあまり知られていません。なので,最終的にも個人で商品を買う必要はなく,工務店や住宅メーカーを通して購入してもらい,設置してもらうということですね。仕入れ値も定価よりは大分安くなるようです(しかし,楽天などでは半額くらいで流通していますが)。そこまでやってくれてすべて無料です。

今回はこんなところで。

4月28日(日)

先日吉祥寺のバウス・シアターに行った時、第1部と第2部を続けて上映する本作に、平日にもかかわらず多くのお客さんが開場を待ちわびているのに驚いた。帰宅したその夜、妻が台湾の友人と電話で話をしている。その友人は映画の制作会社に勤めていて、彼女が携わった作品が現在日本で公開中で、公開初日には渋谷ユーロスペースの舞台挨拶のために来日したという。その話のなかで、バウス・シアターでも公開中というような話が聞こえてきた。その映画の話は以前から聞いていて、日本人の映画セットの大道具スタッフも関わったと聞いていた。超大作だと聞いていたし、再度バウス・シアターのホームページで確認すると、やはりその第1部と第2部とを続けて上映していた作品がその作品であると分かった。
この日は妻が息子を連れて機関車トーマスの映画を観に行くというので、私はひっそりと吉祥寺に向かった。映画館に行く前にPARCOに寄ると、その映画の前売り券を販売していた。2枚つづりは2400円。合わせて4時間半に及ぶ大作だが安いものだ。映画館に行って受付をすると42番。続く第2部も一緒に受付をしたが38番。やはり皆さん続けての鑑賞のようです。

吉祥寺バウスシアター 『セデック・バレ
さて、この作品は台湾映画。台湾はかつて日本の占領下にあったわけですが、山岳地帯に住む台湾の先住民と日本人との関係を描いた作品です。先住民役でビビアン・スーも出演しているので話題になっていますね。日本人俳優も多数出演していますが、有名どころでは安藤政信と木村祐一。台湾を中心に活動している日本人女優の田中千絵も出演しています。監督は『海角七号』のウェイ・ダーション。2011年の作品です。
この先住民族は狩猟を中心に自給自足の生活をしていますが、狩猟には火縄銃も使っているので、全くの未開民族というわけではない。火縄銃は日本ではポルトガルから種子島にもたらされたと歴史で習いますが、台湾にも同様の時期に伝来したのでしょう。山岳地帯にその生活の場を有するかれらはいくつかの部族にわかれていて、冒頭ではその部族間の対立も描かれています。実際に殺し合いをするほどの対立で(まあ、要は猟場争いですね)、殺害した敵の首を切り取って持ち帰るという風習を持っている。自給自足といっても、それは完全なものではなく、狩で採取した毛皮などを持って、平地に降りて行き、そこで商売をしている漢人(中国大陸からの移住者)相手に取引をする。貨幣はないようだが、自分たちでは生産できない塩などを持ち帰るシーンがある。
そこに日本人がやってくる。はじめは軍隊がやってきて、立地の良いある村を焼き払い、植民都市とする。多くの村はそのまま先住民たちを住まわせるが、駐在所を配置し、常に日本人の監視下に置く。植民村には日本人入植者たちが住み、日本から建設会社もやってくる。先住民を過酷な労働条件で使い、狩場だった山から木材を切り出させ、建築資材とする。鉄道も敷き、学校を作り、先住民の日本人教育がおこなわれる。その中からは,日本人と結婚して子どもを産むものもあれば,日本人の名前をもらって警官になるものもいた。しかし,日本人の先住民に対する差別意識は強く,先住民側の不満も募っていく。
そんな折にちょっとしたことで大規模な対立になっていったのが史実としての「霧社事件」。私もその存在は知らなかったが,映画で観る限り,非常に恐ろしい刹略の歴史である。その中心にいたのが一つの種族の長であるモーナ・ルダオという人物で,かれらの種族の間では勇ましい戦闘に勝ち抜いた「真の男」を「セデック・バレ」と称する。もちろん,当時日本軍は機関銃や大砲,プロペラ機などを有していたし,この戦闘では実験中だった有毒ガスを用いた爆弾も使用したらしい。当然,その地を知り抜いた先住民でさえ,日本軍に勝てる見込みはなかった。いわば,自らの種族の全滅をかけた争いだったが,それでも自らの誇りのために闘った先住民たちの物語。
いやいや,すごい映画でした。東京ではここバウスシアターと渋谷のユーロスペースのみの上映でしたが,連日かなりの集客を達成したようです。ともかく,多くの日本人が観るべき映画。

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公共性の喪失

リチャード・セネット著,北山克彦・高橋 悟訳 1991. 『公共性の喪失』晶文社、497p.,5800円.

本書は原著が1974年に発表されたもので、1991年に晶文社から翻訳が出ている。この頃の晶文社は私にとって非常に魅力的な出版社であった。大学4年に上がるか上がらないかの頃、自分のなかでは就職活動の心の準備をしていたのだが、卒業論文のテーマ探しの際に晶文社の本をいくつか読むことで、学問そのものへの興味を深めていった。もちろん、そんななかで本書の存在も知っていたのだが、もともと読書家ではない私にとって、本書は厚く、当時は読む有気がなかった。その後、セネットの本は『権威への反逆』を読んだが、その内容はあまり覚えていない。とりあえず、目次から。

第一部 公共性の問題
 第1章 公的領域
 第2章 役割
第二部 旧制度の「公」の世界
 第3章 観客――見知らぬ人たちの集まり
 第4章 公的な役割
 第5章 「公」と「私」
 第6章 俳優としての人間
第三部 19世紀における公的生活の動揺
 第7章 産業資本主義の公的生活への影響
 第8章 「公」の場における個性
 第9章 19世紀の公的人間
 第10章 集団的個性
第四部 親密な社会
 第11章 公的文化の終焉
 第12章 カリスマは不作法になる
 第13章 コミュニティは不作法になる
 第14章 芸術をうばわれた俳優
結論 親密さの専制

読み始めてまもなく、その魅力に取り付かれた。学部卒業から修士課程に入学した当時は、社会学的なものに非常に魅力を感じていたが、社会学自体の衰退(こんな風に書いたら社会学者に怒られますが)に伴って、私の関心も徐々に移行していった。一時期は精神分析に、そして継続的に歴史学に、さらにその関心は徐々に美術史の方にと傾いている。
なので、非常に社会学的想像力に溢れた本書はある意味で新鮮で、ある意味で懐かしい感覚を抱かせた。近代以降の人間の生活の変化、移動性の増加、都市の発達などに伴って、公私の区分の変容、見知らぬ他者に囲まれていかに生きるかということが変容していくという議論は、社会学にとって主要なテーマであり、本書が頻繁に言及しているゴッフマンや訳者あとがきで著者の師匠筋とされているリースマンのみならず、アルフレッド・シュッツやゲオルク・ジンメルなども思い出すような内容が前半では続きます。
いわゆる学術書的な感じの文献参照や史実に関する厳密さはないが、まさに博学的知識から繰り広げられる多彩な議論展開に圧倒され、これまである程度読んだことのあるような議論ですら、非常に新鮮に感じます。しかし、本書はともかく長く、途中でかなり集中的に取り上げられている「ドレフュス事件」などは私が無知なせいか、よく理解できずに読み進むのに苦労した。直接引用できるような文章はあまり見出せなかったが、実り多い読書であったことは間違いない。また、著者の『無秩序の活用』なども読んでみたい。

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