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美しい都市・醜い都市

五十嵐太郎 2006. 『美しい都市・醜い都市――現代景観論』中央公論新社,270p.,760円.

五十嵐太郎氏は『10+1』などの雑誌を開くと名前を非常によく見かける,建築分野の人気作家(?)。なので,私も彼の文章を一度や二度読んだことがあるのですが,あまり惹かれるタイプではなかったので,著書は本書が初めて。というのも,大学の講義の小レポートの課題として選出したので読んだ次第。いかにもなタイトルに読む気がしませんが,まあ読まず嫌いもよくありません。この中公新書ラクレというシリーズも初めて。

第一部 21世紀の景観論
 1章 醜い景観狩り
 2章 景観を笑う
 3章 日本橋上の首都高速移設を疑う
 4章 渋谷のドブ川とソウルの清渓川
 5章 テーマパーク化する都市
 6章 東京の色彩と広告
第二部 計画とユートピア
 7章 アジア・メガロポリスの建設と破壊――香港・上海・深圳
 8章 押井守の未来都市
 9章 幕張はいかにつくられたか
 10章 管理社会が生み出す”都市伝説”――ディズニーランド・筑波・都庁舎
 11章 ユートピアとしての平壌
 12章 過防備都市・再論

案の定というか,本書は『10+1』に掲載された文章を多く含むもので,書き下ろしではなかった。確かに,第一部はかなり一貫して日本の現代都市景観を論じているが,第二部はバラバラな印象で,香港,上海,深圳,平壌といったアジアの諸都市の訪問記あり,押井 守のアニメーションの話ありな感じでまとまりはない。
しかし,思ったよりは頭の固い人間ではないことが分かった。といっても,彼の関心は常に具体的なものに向けられていて,私が好むような抽象論や認識論に関する議論はほとんどなかった。といっても,3章の日本橋の話や9章の幕張の話は,新書という決して文字数が多くない著書の中ではしっかりとした情報に基づいて分かりやすく説明されており,学ぶことは多かった。本書は基本的に景観に美しい・醜いの絶対的価値軸は存在しないという立場に立っている。でも,実のところは完全なる相対主義ではなく,建築家として教育を受けてきたものとしてのかなり強固な価値軸があることも確かである。

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