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新年度始まりました

かなり久しぶりの日記です。

3月21日(金・祝)? 渋谷ユーロスペース 『パラダイス:神

最近この1本しか映画を観ていなかったので日記が書きづらかったのですが、3部作の最後の作品、ちゃんと観ました。そして、私のなかでは一番面白かった作品。『パラダイス:希望』の冒頭で、主人公の少女を合宿所に連れてきた女性が今回の主人公。 冒頭は、イエス像の前でお祈りをしていたかと思うとおもむろに机の引き出しから鞭を取り出し、服を脱いで、自らを鞭打ちます。非常に敬虔なカトリック教徒という設定。休日もマリア像をバッグに入れて外出し、家々を訪問しながらそこの住人にお祈りを強制するという毎日。 この行動は単独ではなく、彼女を慕って集まる有志たちによる集団があります。古きよき時代の信仰のあり方を取り戻すということですが、今の時代に逆行する社会更正を目指します。彼女が訪れるのは、共に離婚して同棲している中年男女や、ロシアから単身で移住してきた女性、母親を亡くした後荒れ放題の部屋で暮らす中年男性、などなど。この作品の素晴らしさは、彼女の意思と行動を一方的に描くのではなく、それに抵抗する市民たちのあり方を描くところ。 そして、後半は物語が急変します。突如彼女の家に現れたのは、数十年前に失踪した配偶者。下半身不随で車椅子の生活。しかも、こちらはいい加減だがある意味敬虔なイスラム教徒。この2人がどうやって夫婦生活を過ごしていたのか不思議に思うが、おそらく、主人公は夫が行方不明になってからキリストへの信仰を過度に深めたのだろう。その2人のやりとりがなんともユーモラスでシニカルだ。

4月9日(水)

この日から早稲田大学での講義が始まる。早稲田大学は本キャンパスには何度かいったことがあるし(学園祭での湯川潮音ちゃんのコンサートやアリエル・ドルフマンの講演など)、文学部がある戸山キャンパスには関東都市学会で活動していたときによく訪れた。この日はまだ同じ曜日の朝にある東京経済大学の講義は始まっていないので、講義前に1本映画。

新宿テアトル 『友たちと歩こう

久し振りの映画。音楽ライヴは行けなくなってもさほど残念な気はしないが、映画は2週間も観ていないとかなり厳しい。というよりはやはりこの空間がいいのでしょう。テアトル新宿は特に好きな映画館なので、いつもどおり最前列中央の座席に腰を下ろすと落ち着きます。

今、ひとつの研究テーマとして「歩行walking」を考えていることもあり、この映画を選択。緒方 明監督作品です。上田耕一と高橋長英が主演という、中年映画ってところが魅力。 冒頭は想像した通りではありますが、初老男性の遅々たる歩行速度に接近したカメラワークで、とことんこの何気ない行為「歩行」をクローズアップする。しかし、まあこのテーマでは劇的な面白さは基本的に期待できませんね。そうではないところがこの種の作品の魅力だといえます。でも、やはりおそらくかなり元気な初老俳優たちが、日々の生活も厳しい(体力的にも経済的にも)老人を演じるというのはなかなか難しいのでしょう。歩くという行為が一日の大仕事であるということは実際にそうなってみないと分からないものです。

映画を終えて、移動します。早稲田大学で今年度非常勤講師として1コマだけ講義を担当するのは創造理工学部。今話題の小保方氏が博士論文を出した先進理工学部も同じ西早稲田キャンパスにある。西早稲田キャンパスは新大久保駅からも高田馬場駅からも同じくらいの距離ということで、しかもテアトル新宿自体が新宿駅からすでに離れているので、明治通りを歩いていくことにした。特に地図で詳細を確認したわけではなかったが、それなりの敷地面積を有する大学のキャンパスですから、すぐに発見することができた。しかも、新宿から歩いても大した時間ではない。 たまたま私の講義は小保方さんの記者会見の時間と重なった。まあ、そのこととは関係ないが、キャンパスには若者が溢れ、非常に居心地の悪さを感じる。とりあえず、自分の授業の行われる教室の位置を確認し、昼食へ。 せっかく大学に来るのだから大学の食堂で食べたいと思ったが、そんな感じで混雑しているために断念。周辺で探すものの、ずいぶん離れたところまで来てしまった。高田馬場駅に近くなれば職場から昼休みに溢れ出るサラリーマンなどもいるし、どうしようと思っているところに、私好みのベーカリーカフェがあり、昼食にありつく。その周辺まで学生たちは繰り出していたが、この店は対象外のようだ。 大学に戻る。教員の控え室は非常に落ち着かない。そこにいる職員も若い女性などを雇っているし、事前の説明は全くなく、連絡事項はそこに設置された個人のポストを通じて行われる。他の大学ではリソグラフを使って自分で配布資料を印刷するが、ここにはコピー機しかなく、大量印刷は事前にPDFをメールで送って印刷依頼をするのだそうだ。まあ、マンモス大学だから仕方がない。 時間になり、教室に向かう。建築学科も擁する理工学部だけあって、教室はなかなか面白い造り。さほど大きな教室ではなく、学生との距離が近い。一時登録者が83名と聞いていたが、初日はほぼ満席で120名ほどの大盛況。私の自虐的な語りにもいちいち反応してくれてやはり頭の回転は速いようだ。教室に入ったときに緊張もほぐれ、次回からも楽しみ。

4月13日(日)

妻にお願いして、この日は1日単独行動をさせてもらう。ということで、事前に献血の予約。時間の余裕もなく、映画を1本観、昼食を食べて2本目という、私らしい単純な予定。やはり思った通りというか、献血後、ゆっくり休む間もなく映画館に移動し、なんとか予告編上映中に滑り込みます。

渋谷シネマライズ 『ドン・ジョン

ジョセフ・ゴードン=レヴィット君が自ら監督・脚本・主演をした作品ということで、観に行った。相手役はなんとスカーレット・ヨハンソン。そして、ジュリアン・ムーア。初めてジョセフの姿を見たとき、その姿をエドワード・ノートンと重ねていた。何本かの出演作を観るうちにまあ似ているのは雰囲気だけかなと思ったが、本作の予告編を観た時にまたエドワード・ノートンのことを思い出していた。 ジョセフ君を初めて観たのは2008年の『セントアンナの奇跡』。なんと『リバー・ランズ・スルー・イット』にも子役として出演していたらしいが全く記憶にない。『セントアンナ』では結構髪が長く華奢な印象で、エドワード・ノートンを初めて観た『世界中がアイ・ラヴ・ユー』の時の彼と印象がかぶる。エドワード・ノートンはその後、『アメリカン・ヒストリーX』への出演に際し、筋肉ムキムキへと変身し、カメレオン俳優と呼ばれた。 本作でのジョセフ君もかつての男らしさを体現した人物を演じるために、短髪、そして筋肉ムキムキへと変身している。その後、『ファイト・クラブ』などいくつかのヒット作はあるものの、いまいちパッとしなくなってしまった(最近はコメディタッチでそれなりに活躍していますが)。 さて、本作の内容ですが、まあ有体のストーリーではありますね。若くて美しく、自分よがりの美女を演じるスカーレット・ヨハンソンと、とうに女性の美しさの峠は越えてしまったが人生経験と相手を思い遣る魅力という、ある意味この2人の女優に割り当てられがちな役どころを与えている。まあ、無難な仕上がりではありますが、それなりに楽しめます。

渋谷ユーロスペース 『オーバー・ザ・ブルースカイ

原題がTHE BROKEN CIRCLE BREAKDOWNといい、作品中でもアメリカン・カントリー・ミュージックが溢れているので、てっきり米国映画化と思いきや、そういえば予告編でも医師がドイツ語を使っていたよなあと思い出した。ベルギー映画です。ユーロスペースに行くたびに予告編を観る羽目になり、あまり私好みではない印象だったが、つぎはぎの予告編が物語への興味を抱かせ、観ることにした。 実際本編を観てみるとヨーロッパ映画ってこともあり、思ったよりも私好みだった。そして、音楽のシーンが多い楽観的な印象の予告編よりももっと悲観的な本編だった。この作品について書きべきことはあまり思い浮かばないが、いい作品ではあります。でも,この邦題は意味不明。 主人公の女性が最後の方で発する「こうなるんじゃないかってことは分かっていた。あまりにも幸せすぎたから。人生はそんなに甘くはない」という言葉は映画ではよくあるものだが、子を持った親には深く心に突き刺さる。

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コメント

どれも、ナルセさんらしい作品のチョイスですね。
外国映画は3本とも、あまり知らなくて。
「オーバー・ザ・ブルースカイ」は岡山でも上映予定になっているみたいなので(時期未定)、予告編など観て、鑑賞するかどうか決めることにします。
 ***************
「友だちと歩こう」は、昨夏の湯布院映画祭で上映された1本。
あまり、のれませんでした。
でも、こうして一般公開され、良かったと思います。
今年はどんな作品がかかるのか?!
そろそろ、湯布院モードに突入です(笑)。

投稿: 岡山のTOM | 2014年4月16日 (水) 04時26分

TOMさん

観なければならない作品はけっこうあるのですが,やはりなんとなくマイナー路線に走ってしまいます。

『友だちと歩こう』は「のる」映画ではないですよね。
でも,やはり完成した作品は上映期間が短くても一般公開してほしいものです。
もう湯布院ですか!

投稿: ナルセ | 2014年4月19日 (土) 19時32分

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