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2014年6月

初日

4週連続映画のこの週は、公開初日の作品を2本観ました。

水曜日には、受付システムを更新するという東京都の献血ルームの更新日に行ってきました。紙の受付表を廃止したり、パスワードによる本人認証から生体認証へと移行したり。いわれていたほど余計な時間はかかりませんでした。

621日(土)

府中TOHOシネマズ 『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン

TOHOシネマズのポイントが6ポイントたまっていたので、事前にネットで座席指定。行定 勲監督最新作です。芦田愛菜ちゃん主演ですが、特にそちらがお目当てなわけでもなく、『遠くの空に消えた』以来の行定氏による子ども映画ってことで、特に事前情報なしに観ることにした。

こちらは『きいろいゾウ』の原作者、西 加奈子による原作があるとのこと。ちょっとWikipediaで調べてみると、この作者はイラン生まれ、エジプトと大阪で育つという変わった経歴。そんなこともあり、小学3年生の学校生活を描く作品だが、その描写がなかなか面白い。

作者が大阪出身ということで、大阪が舞台。主人公の「こっこ」は天邪鬼な性格で、長いものに巻かれるのが大嫌い。その代わりに多くの者が嫌がったり蔑んだりすることを真面目に好きになる。

芦田愛菜ちゃんの演技はさすがとしかいいようがないが、相手役の少年の存在がこの映画においてはとても大きい。どもりを持つ少年なのだが、本人も含めコンプレックスだったこの特性を、主人公は羨望の眼差しでみる。そのことによって、単に近所に住む幼馴染ではなく、2人は親友になっている。

その他にもクラスメイトのなかに在日朝鮮人4世の男の子、そしてベトナムからのボートピープル(難民)2世の男の子がいる。実際に大阪には在日朝鮮人が多い。

こうした原作に目を着けるところもさすがだし、映画化に際してもさすがの演出。やはりこの監督はただものではない。

府中TOHOシネマズ 『超高速!参勤交代

続いて観たのは佐々木蔵之介主演の時代劇。こちらは8割方席が埋まるという盛況ぶり。私はなんとなく、参勤交代という江戸時代の制度について地理学的に興味があるので、観ることにしたのだが、前評判がいいのだろうか。

もう一つ、この作品を選んだのは時代劇でもコメディだったからだ。まあ、あとは特に深く考えずにこちらも事前情報をあまりいれずに観ることにした。

すると、やはり前評判がよかったのか、とてもいい映画だった。まず、コメディといってもバカバカしすぎないこと。そして、時代劇たることも蔑ろにせず、舞台セットや衣装などもかなり丁寧に作りこまれている。もちろん、西村雅彦さんをはじめとする周囲のキャストの素晴らしさもあります。後半で出てくるヒロインが深田恭子ってのもいいですね。

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3週連続映画鑑賞

531日(土)

渋谷シネパレス 『白ゆき姫殺人事件

329日公開作品なので、既に2ヶ月上映されている。中村義洋監督作品なので、観ようとは思っていたのだが、予告編はtwitterなどの画像も取り込んだ、ネット社会の怖さを描くような作品を印象付けていた。過去にも『誰も守ってくれない』のような映画があって、その表現がちょっと極端な気もして、あまり気乗りがしなかったが、結局のところ、中村監督作品ということで、公開終了間際に観ることができた。

前売り券なしの当日料金だったが、観て良かったと思えるできでした。一応、宣伝的には綾野 剛と井上真央が主演ということになっていますが、綾野 剛は久し振りにかっこよくない役どころでそれはそれでいいけど、まあそんなところ。井上真央ちゃんは語る主体としてではなく語られる客体としての役どころってことは分かっていたので、予想通り出番はそれほど多くない。この作品の見所はやはり蓮佛美沙子ちゃんでしょうか。もともと肌は白いのだと思うけど、色黒の設定のメイクで、中途半端なおかっぱ頭、ちょっと猫背で外見的にはかなりひどい。しかし、それを違和感なく演じるところがさすがです。

井上真央演じる女性の幼少期の場面がいくつかあるが、その子役たちの連続性のなさも少し気になるところ。ただ、小学校時代の親友役を貫地谷しほりが演じているのだが、そのエピソードと終盤の2人のシーンには泣かされます。

67日(土)

六本木シネマート 『BF*GF

この週の水曜日、散髪しに行った。私が通っている美容室のことはこのblogでもたまに登場するが、映画好きの美容師さんで、鏡の下方に設置されたモニターで映画を上映している。この日は松田龍平特集だったはずだが、モニターには台湾映画『藍色夏恋』が上映されていた。この作品は2002年の作品だが、日本でも有名な台湾俳優チェン・ボーリンの出世作。しかし、美容師さんの目当ては相手役の女優グイ・ルンメイ。なんでも、彼女の主演作が今度シネマート六本木で上映されるから、それを観る前に『藍色夏恋』を観直しているのだという。

そんなことで、私も負けじと公開初日(といっても1週間のみ上映)の1回目を観ることにした。1週間限定上映だというのに、新宿のチケットショップには前売り券が置いてあって感激。少し早めに映画館に向かいましたが、座席は余裕。

2人と女1人との関係を27年にわたって描くという作品。2012年の作品なので、グイ・ルンメイもまだ30歳にはなっていないが、高校生から演じます。ちょうど台湾で民主化運動が盛り上がる時代を背景にしており、主人公たちも大学生時代に学生運動に参加します。

なかなかいい作品だとは思います。グイ・ルンメイもこの作品で台湾の映画賞を取っているようですが、やはり27年間を同じ俳優さんたちが演じるというのは観る方にストレスを感じさせます。といっても、別の俳優が同じ人物を演じるというのも別のストレスがありますが。特にカツラはかなり興ざめですな。でも、社会的な側面については非常にうまく映画のなかに取り込まれていて、こういうところは日本映画が大いに学んでほしいところ。さりげなく、いろんな事柄が取り込まれているんですよね。日本映画の場合は一つのことを過剰に表現するから引いちゃうんだよな。

さて、公開初日ということで、トークショーあり。ゲイの映画評論家と日本大学文理学部の女性教員によるもので、20分の予定が30分しゃべっていました。まあ、まっとうなことばかり述べていて、映画も絶賛するだけでしたが、それなりには面白かったです。

618日(日)

府中TOHOシネマズ 『春を背負って

3週連続映画を観ています。今回は近場の映画館で。『剣岳』の監督木村大作による山もの第二段。今度は原作があるようです。松山ケンイチ、蒼井 優、豊川悦司が主たるキャスト。でも、嬉しいのが松山ケンイチの母親役を壇ふみが演じているところ。彼女の演技をきちんと観るのは初めてかもしれません。そして、その存在感がとてもよい。

それにしても、いわゆる日本映画的な作品を撮影監督として支えてきた高齢の監督だけあって、映画のつくりがとても古くて、そのことが逆に新鮮です。ある意味、最近のウディ・アレンの作品に近いですね。そして、そんな映画の主演に選ばれた松山ケンイチという配役もあっています。蒼井 優ちゃんもスクリーンで久し振りに観ましたが、やはりいいですね。

ということで、一人ひとりの職人によって丁寧に作られた安定した魅力を持つ映画といったところでしょうか。

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現代地政学

九州大学の高木さんから話をもらって数年前に翻訳に加わった本がようやく出版されます。2006年に初版が出版された『Introduction to geopolitics』が大幅に改訂されて2版が出版されるということで,当初は著者から原稿段階で入手したものを翻訳し,日英同時出版をもくろんでいましたが,あえなく断念。原著は2012年に出版されましたが,日本語版は遅れること2年。

私は第3章「地政的行為の正当化:地政的コードの表象」と

第5章「領域的地政学:世界政治地図の揺らぐ基礎?」を担当しています。

他の章はまだ第1章しか読んでいませんが,なかなか優れた本です。

地政学ということだけでなく,政治地理学の入門として使えると思います。

コーリン・フリント著,高木彰彦編訳 2014. 『現代地政学――グローバル時代の新しいアプローチ』原書房,375p.,3500円

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世界の尺度

ズムトール, P.著,鎌田博夫訳 2006. 『世界の尺度――中世における空間の表象』法政大学出版局,463+27p.5600円.

近いうちに『人文地理』に発表される論文を修正中に本書の存在を知った。論文に関係する図書をAmazonで検索中、たまたま見つけたのだ。今回の論文では、地誌学(chorography)の歴史を簡単に辿っていて、中世を対象にした文献をあまり集められていなかったので、本書の存在は非常に魅力的だった。

しかし、結構な分量と価格だったため、なるべく早く修正して原稿を送り返したかったので、本書を読むことは保留にしておいた。その後、Amazonの中古品でそれなりの安値で出ていたために購入し、少し時間はかかったが読み終えることができた。幸い、今回の論文において必読文献という内容ではなかったので論文には反映しなかったが、地理学にも重要な歴史書であることは確か。まずは目次から。

序論

1 知覚されること

2 「中世」

I部 居住地

3 場所と、場所でないところ

4 郷土

5 建造すること

6 都市

II部 騎行

7 開かれること

8 道

9 巡礼者と十字軍参加者

10 遍歴の騎士

III部 発見

11 宇宙

12 大いなる躍進

13 他の空間

14 見えない世界

IV部 形象化されたもの

15 旅を語る

16 地図の作製

17 絵図

18 作品の空間

エピローグ

19 調和と光

ちなみに著者の発音は難しいが、原著は1993年に出版されたフランス語。非常に魅力的な言葉が散在する目次だが、目次を読み直しても、本書の内容は明確に思い出せない。

読み始めはけっこう苦痛だった。日本の地理学者による歴史研究はかなり年号というものに敏感だが、私が読むようなヨーロッパの歴史書はその辺はあまり気にしないような気がする。特に中世となると、おそらく史料自体に明確な年号の特定できないものが多いのか、あるいは年号の前後による決定論的な思想を回避しようという意図があるのか。

まあ、ともかくいろんな話が次から次へと展開して、なかなか頭が整理できないまま進んでいくような感じ。地理学者イーフー・トゥアンの博学的地誌に近い記述。

II部に入る頃からだんだん読みやすくなってきた。そして、「訳者あとがき」の解説とは違った理解のようにも思えるが、本書は「中世」というものを近代との連続の中で捉えようとしている印象が私にはあった。コロンブスの大西洋横断以降の植民地支配や地図製作の近代化などにつながる話どころか、もう近代ともいえる事項の記述もけっこう多かった。

そして、なんといっても本書には「地理学」や「地理学者」という言葉がかなりの数で出てきた。出てくる地理学者の名前のほとんどは私の知らないもので、今後の勉強のヒントになります。

読了から少し時間が経ってしまったので、あまり詳しく内容を紹介できませんが、非常に刺激のある読書でした。

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