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大分前のことですが、1週間映画3本

8月8日(金)

この日は妻の妊婦検診。大学も夏休みに入ったので,会社を休んで同行することにした。息子は保育園に預けたので,夫婦2人で出かけるのは息子が産まれてから初めて。検診後は新宿まで映画を観に行く。

角川シネマ新宿 『グランド・ブダペスト・ホテル
ウェス・アンダーソン監督作品はあまり観ていないけど,本作はレイフ・ファインズが主演ということや,シアーシャ・ローナンがヒロイン役で出演しているところなどが観たいと思っていた理由。といっても,6月の初旬に公開していたのでもう観られないかと思っていたが,「2人でどれを観る?」と妻に尋ねたところ,公開中の作品からこれを選んだ。妊娠中だから楽しい映画が観たいとのこと。最近やっている映画は暗いものが多いということも改めて分かった。 公開から日が経っていたので,前売り券は入手できなかったが,当日1800円でも損した気分にはならなかった,なかなかのでき。なによりも,キャストが豪華すぎます。しかも,単に贅沢に有名俳優を使っているというのではなく,俳優自身も彼の作品に出演できることを楽しんでいるのがスクリーンに出ていますね。そして,なによりもレイフ・ファインズ。これまで多くの作品でシリアルな役どころを見事に演じてきた彼ですから,こういう作品でコメディをやるとそのギャップがいいんですよね。といっても,本作中でも笑顔を出すようなコメディそのものではなく,シリアスな演技が笑いを誘うという演出。これぞ映画という作品です。

8月10日(日)

この週末は雨続きだったので,1日雨の日曜日は1人で映画を2本観ることにしてもらいました。

テアトル新宿 『2つ目の窓
河瀬直美監督の新作。彼女の作品は『萌の朱雀』以来,なるべく観るようにしている。今回は村上 淳の息子が主演であり,彼自身も父親役として共演し,「なぜお母さんと離婚したのか」という実生活にも重なる台詞があるということで話題になっていた。ちょうど公開前にカンヌ映画祭に出品したというニュースもあった。 しかし、東京ので上映はテアトル新宿だけだし、雨の日曜日のお客の入りもイマイチだった。『殯の森』の時はもっとお客さんが入っていたように思うが、やはり受賞するかしないかが大きいのかもしれない。基本的に楽しい映画を撮る人ではないので、観る方にもある程度の覚悟がいる。 さて、本作は彼女の地元の奈良県ではなく、鹿児島県の奄美大島を舞台とする。作品のウェブサイトを見ると、奄美は河瀬監督のルーツだと書いてあるが、詳しいことは分からない。
奄美大島を舞台にするということで、音楽は現在奄美大島に在住しているハシケンが担当している。ハシケンは以前は東京在住で、私もよくライヴを聴きに行ったシンガーソングライター。2012年に『地理科学』に発表した論文でも取り上げている。 そもそも、今回この映画の音楽を彼が担当しているのを知ったのは、彼からのメールである。私は論文を書き上げて2年も経ってしまったが、ハシケン宛に論文を送ったのだ。しばらく連絡はなかったが、メールが届き、なんと河瀬監督に同行してカンヌに行っていたので、連絡が遅くなったという。映画の感想もぜひ送ってくれと書かれていて、期待を込めて映画を観た次第。 河瀬監督の作品はいつもいろんなことを考えさせられる。でも、彼女の脚本や映像の構成はけっして難しいものではなく、基本的に直球勝負だ。ストレートに人間の普遍性を目指している。そういう意味では、本作は私にとってはあまり評価できるものではなく、かなり批判的なことばかり考えてしまう。
彼女の作品では演技のうまさという点で配役されていないと思う。今回の主演の2人、村上虹郎と吉永 淳は、『萌の朱雀』の尾野真千子とは違い、村上は俳優とミュージシャンの子どもで、自らも音楽をする。吉永はすでに映画に出演している女優。しかし、役どころとしてはよく似ている。『萌の朱雀』は正直いって細部まで覚えていないが、主演の男女関係がとてもバランスよかったように記憶している。それに対し、今回は積極的な女性に消極的な男性。まあ、この少年のどこにぶつけたらよいか分からないもどかしさを表現しているといえばそれきりだが、観る者をいらだたせるような演出で、しかもそれは段階的に解決に向かうのではなく、予定調和的にラストで急展開してしまう。とはいえ、もちろん2人の演技というか、役に立ち向かおうとする姿は美しい。
『萌の朱雀』では國村 隼の圧倒的な存在感と作品中での展開がとても良かった。しかし、本作では死に逝く女性を演じた松田美由紀やその夫の杉本哲太、少年の父親を演じた村上 淳などが出演しているが、イマイチぱっとしない。村上 淳のシーンなど、東京にしがみついて生きる刺青彫り師という設定や、息子から離婚の理由を尋ねられた時の返答の台詞も有体な感じ。せめて東京ではなく、大阪や福岡だったら良かったような気もする。かろうじて魅力的なのはやはり渡辺真起子の役どころと女優としての存在感。 舞台である奄美大島の描き方も気になった。空港のシーンでこの島が奄美大島だとは分かるが、沖縄の離島といわれても違和感はない。まあ、確かに河瀬監督は奈良県にこだわりながらも『萌の朱雀』は和歌山県の山間のようにも写っているし、場所の特殊性よりも一般性を描く傾向にあるのかもしれない。奄美大島も行ったことはないが、名瀬などはそれなりに栄えているように思うが、描かれているのは農村のみ。自然の力が圧倒的に描かれる。 生死をテーマにするのが好きな河瀬監督だから、本作も死をテーマとしているが、その追求は『殯の森』のような力強さがなかったように思う。

K's Cinema 『こっぱみじん
一方、続いて観たのはスケールの小さい作品。『死に至る病』で強い印象を残した女優、我妻三輪子がまた主演するというので観ることにした。なぜか、妻も私好みだと勧めてくれた。群馬県桐生市というまたまた非常にローカルなロケーションでの映画。 さすがに『恋に至る病』ほどのはちゃめちゃ映画ではなかった。このタイトルが非常に魅力的ではあったが、まあ好きになった相手がゲイだったというどうしようもない失恋をこのタイトルで表現しただけで、たいした含意はない。しかし、このローカルさがこの映画の魅力。主人公が美容院に勤めるという設定や、その兄が小さなレストランを営むとか、そういうことがとても自然に、でも映画的に描かれている。こういうミニマルな映画はやはりいいですね。

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コメント

「グランド・ブダベスト・ホテル」はご近所シネコンで上映されたのですが、スルーしてしまいました。
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「2つ目の窓」は、こちらでは今週の土曜日から。
河瀬監督の作品は特に好きというほどではありませんが、公開されたならやはり見逃せません。
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「こっぱみじん」は、今回の湯布院映画祭で上映される「つぐない」と共に、立ち読みした先月号の『月刊シナリオ』に脚本が掲載されていたため、「つぐない」とセットのような感じで思い浮かべてしまうんです。
たぶん地方では公開されないでしょうから、DVD化されたならチェックしようと思います。
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さて、その『湯布院』。
ちょうど1週間後の28日(木)の早朝に出発です。
当然、18きっぷで(笑)。

投稿: 岡山のTOM | 2014年8月21日 (木) 02時17分

TOMさん

お返事遅くなりました。
私も妻に誘われなければ『グランド・ブダペスト・ホテル』はスルーしそうでした。
でも,当日料金でも損した気分はしませんでした。

『こっぱみじん』確かに『月刊シナリオ』の表紙でしたね。
『つぐない』私もチェックしておきます。

ついに湯布院ですね。
存分にお楽しみください。

投稿: ナルセ | 2014年8月25日 (月) 05時46分

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