« 内村鑑三 | トップページ | アイヌ民族の軌跡 »

先月のこと

ここのところ,会社の業務が激務で,私にとっては珍しく毎晩のように残業。休日出勤もしばしば,締め切り日前日は日付を越えての深夜残業などもあり,まったくblogが更新できませんでした。ということで,1ヶ月前の映画報告など。

915日(月,祝)

新宿K's Cinemaで開催されていた「台湾巨匠傑作選」。前日に妻が観たい作品を観に行ったものの,満席でやむなく帰ってきた。この日は私が別の映画を観る予定だったが,「台湾巨匠傑作選」はこの日まで。3回券が余ってしまうので,私が観ることになった。前日の教訓を活かして,かなり早い時間に新宿に移動。すると,なにやら映画館のビルの階段に長蛇の列が。この映画館は3階にありますが,列は1階どころかその外まで長く続いています。私はなんとか座席が確保できる位置で待ちます。

新宿K's Cinema 『セデック・バレの真実』

私が観たのはこちらのドキュメンタリー映画。『セデック・バレ』という日本統治下の台湾で起きた事件を基にした映画があったが,それにまつわるドキュメンタリー。『セデック・バレ』自体が二部作で合計274分に及ぶ大作で,それはこの「台湾巨匠傑作選」でも上映されたが,それを観ていないとこのドキュメンタリーを観る意味があまりないので,この人気には驚く。

さて,内容ですが,驚くことにこのドキュメンタリーは恐らく,『セデック・バレ』のメイキングなどではなく,『セデック・バレ』制作の事前準備から撮られていたように思う。というのも,『セデック・バレ』ではモーナ・ルダオという台湾先住民の指導者が反日本軍運動の指導者として始めから描かれているが,その史実は台湾でも日本でも通説ではなかったようだ。このドキュメンタリーのなかで示される新聞記事は日本のものだけではないようだが,特に日本の報道は日本の都合の良いようにねじ曲げられていたようで,通説は先住民のなかで日本の教育を受け,日本人の名前を与えられ,先住民たちを監視する警察官へと格上げされた「花岡一郎,二郎」の二人だとされていたとのこと。

ともかく,数多くの証人たちの声を聴くことで『セデック・バレ』という映画が肉付けされていったことがよく分かるドキュメンタリー。それと,『セデック・バレ』には描かれなかった後日談として,反日運動に参加した一族の生き残りは川沿いの村に強制移住させられたことなど,日本が行った残忍な行為がこれでもかと示される。

台湾は日本が植民地化した地域のなかでは反日感情が少なく,親日家が多いというのが一般的な理解だが,歴史上忘れてはならないことをしたことは変わりない。

新宿ピカデリー 『リトル・フォレスト 夏・秋

『セデック・バレの真実』終映から5分しかなく,急いで移動。ピカデリーの最上階までいきます。やはり観たかった橋本 愛ちゃんの主演作。監督は森 淳一で『Laundry』という作品を撮っています。主題歌がBONNIE PINKだということで,観に行きました。けっこう空気感は好きな監督なので,期待できます。

ただ,橋本 愛ちゃんが田舎でたくましく生きる姿を撮っただけかの作品と思いきや,コミックの原作があるんですね。主人公の設定は高校を卒業して一度故郷を離れ就職し,恋人と同棲し,別れて戻ってくるという設定で,三浦貴大が同じ高校の後輩というちょっと無理な設定以外は,愛ちゃんをたっぷり堪能できる作品。こういう作品好きです。冬・春編も楽しみ。

9月21日(日)

渋谷ユーロスペース 『物語る私たち

どうしても観ておきたかった作品。カナダの女優でアトム・エゴヤン監督作品などに出演し,日本でも『死ぬまでにしたい10のこと』で一時期は知名度もけっこうあったサラ・ポーリー。ちょっと憂いがあって知的な雰囲気が漂う彼女は女優としても好きですが,『アウェイ・フロム・ハー』(2006年)など監督業も務める。

本作は自らの家族を追ったドキュメンタリー作品。

両親共に舞台俳優ということで,単なる私的なファミリー・ムービーということでもないし,亡き母親が天国に持っていってしまったサラ自身の出生にまつわる秘密を探求する物語でもある。そして彼女の父親自身がナレーションを務めるということもあり,このタイトルがついている。単なる監督目線で語る真実の,あるいは個人的な物語なのではなく,一つの事実をその関係者がいかに理解しているかということを多声的に捉えた作品でもある。

そんなこともあり,本作は非常に開けっぴろげである。インタビューする前の準備段階もカメラに収め,それを本編で利用する。非常に面白いのは父親がホームムービーが好きで,多くの当時の映像が残されている。また,特に本作では母親がその中心にあるが,その姿はおそらく舞台だけでなく,ある程度の映像作品としても残されていて,それを利用している。しかし,それだけでなく実は母親や父親,そして最終的に明らかになる実の父親の若かりし頃の姿が,容姿の似た俳優を使った再現フィルムとして新たに8mmフィルムっぽく撮影され,作品中に利用されていることだ。それはあまりに違和感がないため,途中まで実際の映像だと信じてしまうのだが,あまりにも決定的な瞬間までもが記録していることに違和感を抱き始め,後半で,そのフィルムのメイキングまでもが使われることで,そこはフィクションであることが告げられる。

ただし,終盤で実の父親がサラ自身に話すことでもあるが,サラ自身の感情についてはあからさまになっていないのも本作の特徴。それがサラ・ポーリーなんでしょうね。

|

« 内村鑑三 | トップページ | アイヌ民族の軌跡 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

非常勤以外でなんの仕事してるんですか?

投稿: さか | 2014年10月17日 (金) 21時53分

しばらくブログの更新がなかったので、お忙しくされてるんだろうなと思ってました。 想像通り・・・・、想像以上でしたか。
体調を悪くされてた訳ではないのなら、良かった。
私は現在、TOHOシネマズの【1ヶ月フリーパスポート】を、絶賛、酷使中です(笑)。
 **********
「リトル・フォレスト 夏・秋」は、TOHOシネマズではかからなったので、MOVIX倉敷で観ました。
日記に感想を書くほどには惹き込まれませんでしたが、『冬・春』篇にも足を運ぶことでしょう。
 **********
ところで、台風は大丈夫でしたか?(こちらは、全くと言っていいぐらい影響ありませんでした)

投稿: 岡山のTOM | 2014年10月20日 (月) 15時11分

さかさま

私的企業には守秘義務っていうものがあるので,基本的に書かないようにしています。
私と個人的な知り合いであれば,直接聞いてください。


TOMさん

おー,TOHOシネマズ入り浸りの日々ですね。
私は間もなく出産ということで,映画も当分おあずけです。

投稿: ナルセ | 2014年10月21日 (火) 06時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218863/60480952

この記事へのトラックバック一覧です: 先月のこと:

« 内村鑑三 | トップページ | アイヌ民族の軌跡 »